試験研究用原子炉施設等の安全規制のあり方について(案)

平成16年11月22日
文部科学省研究炉等安全規制検討会




試験研究用原子炉施設等の安全規制のあり方について(案)



核物質防護の強化について
試験研究用原子炉施設等におけるクリアランス制度について
試験研究用原子炉施設等における解体廃止制度について
少量核燃料物質の使用に係る安全規制について
自然放射性物質の使用に係る安全管理について



平成16年11月22日

文部科学省
研究炉等安全規制検討会



目次

1 核物質防護の強化について
検討の背景
1. 核物質防護強化策について
(1) 設計基礎脅威(DBT)の策定と適用
(2) 事業者に対する守秘義務制度の導入
(3) 核物質防護検査の導入
2. 今後の進め方

資料1   INFCIRC/225/Rev.4の概要
資料2   核物質防護に関する新体制について(PDF:26KB)
資料3   防護対象特定核燃料物質の区分(PDF:16KB)
資料4   主要国の設計基礎脅威(DBT)策定と適用状況
資料5   文部科学省および経済産業省のDBTの適用方針
資料6   核物質防護上の秘密の種類及び守秘義務対象者(イメージ)
資料7   機密性に関するINFCIRC/225/Rev.4とTECDOC-967の概要
資料8   脅威到達時間評価のイメージ図(PDF:151KB)
2 試験研究用原子炉施設等におけるクリアランス制度について
検討の背景
1. クリアランス制度とその意義
2. 検討にあたっての前提
2-1   クリアランスレベル
2-2   クリアランスの対象
2-3   クリアランスレベル検認と国の関与
(1) クリアランスレベル検認の流れ
(2) 試験研究用原子炉施設等でのクリアランスレベル検認における国による確認の基本的な考え方
3. 検討の内容
3-1   検討項目の抽出
(1) クリアランスレベル検認制度関係
(2) クリアランスレベル検認方法等の技術的要件関係
3-2   検討の内容
(1) クリアランスレベル検認制度関係
(2) クリアランスレベル検認方法等の技術的要件関係
4. 検討結果
4-1   クリアランスレベル検認関係
4-2   クリアランスレベル検認方法等の技術的要件関係
5. まとめ
参考1   日常生活と放射線(PDF:169KB)
参考2   クリアランスレベルの算出(PDF:51KB)
参考3   クリアランスレベルの算出結果に基づく基準値導出の流れ(PDF:122KB)
参考4   クリアランスレベルの検認とクリアランスレベル検認の流れ(PDF:336KB)
参考5   試験研究用原子炉施設の解体工事に伴う固体廃棄物の発生量(推定)(PDF:46KB)
参考6   解体中の原子炉における施設許可区分と、放射性同位元素等
(放射性同位元素、核燃料物質、使用済燃料)の使用保管状況(PDF:25KB)
参考7   試験研究用原子炉施設に対して用いる重要放射性核種について
参考8   原子力安全委員会及びIAEAが示したクリアランスレベル(PDF:25KB)
主な用語の定義
我が国におけるクリアランス制度の検討経緯
3 試験研究用原子炉施設等における解体廃止制度について
検討の背景
1. 現行の安全規制制度
(1) 解体に係る安全規制
(2) 廃止に係る安全規制
(3) 解体中の施設に係る保安規定、保安検査及び施設定期検査等
1 解体中の施設に係る保安規定及び保安検査
2 施設定期検査
3 原子炉主任者の選任
4 核物質防護対策
2. 現行の安全規制における課題とその対応の考え方
(1) 解体に係る安全規制
1 解体届
2 解体に係る技術基準
(2) 解体に係る安全規制と廃止に係る安全規制の関係
(3) 解体措置時及び廃止措置時の原子炉設置者等の義務
(4) 廃止に係る安全規制の終了の手続き
(5) 一部の原子炉を廃止する場合の手続き
3. 今後の廃止に係る安全規制のあり方
(1) 今後の安全規制のあり方
1 基本的考え方
2 廃止措置に係る安全規制
3 廃止措置中の原子炉設置者等の義務
(2) 安全規制制度の設計に当たっての留意事項
1 解体に係る安全規制、一部廃止の場合の廃止に係る安全規制のあり方
2 運転(使用)から廃止措置への移行期間
3 許可の取消し、事業者の死亡解散時の規制

資料   現行の試験研究用原子炉施設に係る解体廃止の手続きの概要(PDF:33KB)
図-1   現行の試験研究用原子炉施設の安全規制の概要(PDF:14KB)
図-2   今後の試験研究用原子炉施設の解体廃止に係る安全規制(案)(PDF:15KB)
図-3   現行の核燃料物質の使用施設の安全規制の概要(PDF:13KB)
図-4   今後の核燃料物質の使用施設の廃止に係る安全規制(案)(PDF:15KB)

(解体、廃止に係る関係法令)
参考1   原子炉の解体関係
参考2-1   事業の廃止等関係
参考2-2   運転の廃止の届出、解散等の届出関係
参考2-3   使用の廃止届、解散等の届出関係
参考3-1   事業の廃止等に伴う措置関係
参考3-2   許可の取消等に伴う措置関係(原子炉の設置、運転等)
参考3-3   許可の取消等に伴う措置関係(核燃料物質の使用等)

(原子炉の設置、運転等に係る法令)
参考4   保安規定、保安規定の遵守状況の検査関係
参考5   施設定期検査関係
参考6   原子炉主任技術者関係
参考7   核物質防護関係

(核燃料物質の使用等に係る法令)
参考8   保安規定、保安規定の遵守状況の検査
参考9   核物質防護関係
4 少量核燃料物質の使用に係る規制について
検討の背景
1. 国際規制免除レベルを取り入れた場合に新たに規制の対象となる範囲
2. 規制の考え方
(1) BSS規制免除レベル算出シナリオによる放射能の算出
(2) 使用の技術上の基準等の適用
3. 今後の進め方

図-1   ウランの使用目的
図-2   トリウムの使用目的
表-1   BSS規制免除レベル算出シナリオ
表-2   BSS規制免除レベル放射能算出計算条件
表-3   BSS規制免除レベル算出シナリオを用いたレベル等の算出
表-4   核燃料物質の使用等に関する規則第3条(使用の技術上の基準)の適用性について
表-5   核燃料物質の使用等に関する規則第3条の2(貯蔵の技術上の基準)の適用性について
表-6   核燃料物質の使用等に関する規則第4条(工場又は事業所内の廃棄の技術上の基準)の適用について
表-7   核燃料物質の使用等に関する規則第2条の11(記録)の適用について
参考   核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(抜粋)
5 自然放射性物質の使用に係る安全管理について
検討の背景
1. 自然放射性物質について
2. 海外における自然放射性物質の規制状況
3. 利用実態
4. 我が国における自然放射性物質の安全規制の現状
5. 自然放射性物質に対する規制の考え方
6. 我が国における自然放射性物質を含む物質に関する過去の事例
7. 当面の対応

 表-1   海外における規制の現状
 表-2   産業用試料中のウラン、トリウムの含有量の分析結果
 表-3   自然放射性物質を含む物質の分類と対応案
研究炉等安全規制検討会委員名簿(平成16年11月現在)

「研究炉等安全規制検討会」の開催について(平成14年7月科学技術学術政策局)

「原子力安全規制等懇談会」の開催について(平成14年5月科学技術学術政策局)




はじめに

 研究炉等安全規制検討会は、文部科学省における原子力安全行政の透明かつ効率的な展開に資するために開催する原子力安全規制等懇談会の下で、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく試験研究用原子炉施設等に対する安全規制について、関係する専門家による検討を行うことを目的として、平成14年7月より活動してきているところである。本検討会では、原子力の安全規制を巡る動向を踏まえ、効率的で効果的な安全規制の実現に向けて検討を行うこととしており、既に、1試験研究用原子炉施設の解体廃止手続及び解体中の原子炉施設に対する安全規制のあり方、2試験研究用原子炉施設の高経年化対策のあり方、3保安活動への品質保証の取り入れなどに関する検討結果については、安全規制に反映されてきたところである。

 現在の原子力の安全規制を巡る状況として、以下のことが挙げられる。
(1)  テロリズムの脅威が世界を揺るがす情勢の下で、核物質を巡る状況は一段と厳しさを増している。原子力の平和利用を国是とする我が国においても、国際原子力機関(IAEA)の最新のガイドラインへの対応を図るなど、核物質防護を一段と強化し、原子力施設の防護水準を最近の国際的な状況に対応できるものとすることが求められている。
(2)  また、国内では、現在、8基の試験研究用原子炉施設が解体中という状況にある。
 今後、これらの解体作業の進展により発生する廃棄物については、一義的には、発生者の責任として、原子炉設置者が自らの廃棄物の処分に主体的に取り組む必要があることは言うまでもない。国としては、原子炉設置者が行う廃棄物の処分について、安全規制の枠組みや技術的基準を明確に定めつつ、原子炉設置者の行う保安活動に適切な関与が行えるよう現行の安全規制制度を見直すことが必要となっている。
 文部科学省においては、試験研究用原子炉施設や核燃料物質の使用施設等を設置して原子力の安全研究等を含む様々な研究開発や教育研究を行っている日本原子力研究所、核燃料サイクル開発機構等の研究機関、大学等からの放射性廃棄物の処分の実現に関し、「RI研究所等廃棄物の処分事業に関する懇談会」が開催され、処分事業の実施に向けての課題等についての検討が行われており、平成16年3月にその報告書が公表されている。当該報告書によれば、こうした放射性廃棄物の処分の実現は、原子力の研究開発を含む科学技術活動を今後とも着実に進めるために不可欠な課題であり、関係者においては、問題を先送りすることなく、最優先の課題として具体化を図って行くべきとの見解が示されている。
 試験研究用原子炉施設や核燃料物質の使用施設に係る安全規制においては、廃棄物に対する合理的な安全規制を早期に明確化することが必要となっている。その一つとして、具体的には、ある物質に含まれる微量の放射性物質に起因する線量が、自然界の放射線レベルに比較して十分小さく、また、人の健康に対するリスクが無視できるものであるならば当該廃棄物を放射性物質として扱う必要がないとして、放射線防護に係る安全規制の枠組みから外すという考え方、いわゆるクリアランスを制度として導入することが考えられる。クリアランス制度の導入は、原子力の研究、開発及び利用に伴い発生する廃棄物の多くを資源として再使用再利用することを可能とし、廃棄物量の低減に寄与するとともに、廃棄物の安全かつ合理的な取扱いに大きく寄与するものと期待される。
(3)  解体廃止に係る安全規制については、解体廃止の経験が全くなかった時代に制定されたものであり、文部科学省においては、現行制度の運用面で様々な工夫をしつつ安全規制を実施してきている。これまでに、解体廃止に係る安全規制の経験がかなり蓄積され、改善することが望ましい種々の課題が明らかとなってきたことから、今後の試験研究用原子炉施設等の解体廃止措置の進展を念頭に置いて所要の制度改正を行うことが重要な課題となっている。
(4)  放射性物質の規制免除について、放射線審議会では、平成14年10月に国際原子力機関(IAEA)の「電離放射線に対する防護と放射線源の安全のための国際基本安全基準」(BSS)規制免除レベルを国内法令に取り入れることが適切であるとする報告書「規制免除について」を取りまとめている。また、原子力安全委員会では、平成15年3月にBSS規制免除レベルの国内規制体系への取り入れ等に際しての基本的な考え方を取りまとめた報告書「国際基本安全基準(BSS)の規制免除レベルの国内規制体系への取り入れに当たって」を公表している。この報告書では、今後の規制に関連して考慮すべき留意点の一つとして、「核燃料物質等の使用については、原子炉等規制法で規制されているが、BSS規制免除レベルを超える量の核燃料物質等の使用については、関係省庁において、放射線安全の観点から検討することが必要である。」とされており、文部科学省としても検討が必要となっている。

 以上の試験研究用原子炉施設等に関する安全規制の現状を踏まえ、本検討会では、核物質防護の強化、試験研究用原子炉施設等に係るクリアランス制度、解体廃止制度のあり方並びに少量核燃料物質の使用に係る規制及び自然放射性物質の使用に係る安全管理のあり方について、検討を行ってきた。

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(科学技術・学術政策原子力安全課原子力規制室)