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解体に係る安全規制
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解体に係る安全規制と廃止に係る安全規制の関係
現行の廃止に係る安全規制としては、原子炉等規制法第65条に、原子炉設置者が、当該許可に係る原子炉のすべての運転を廃止したときなどは、30日以内に、主務大臣に届出なければならないことが定められている。
しかしながら、原子炉の解体は、原子炉から核燃料物質等を撤去し、放射性物質により汚染された機器・構造物を撤去し、解体に伴い発生する放射性廃棄物を処理処分する必要があることから、長期間を要し、原子炉の運転を恒久的に停止した後30日以内に廃止措置を完了することは現実的ではない。
これまでの試験研究用原子炉施設の廃止に係る安全規制においては、すべての運転を廃止した時点を、解体をはじめとする一連の措置がすべて完了した時点と解釈し、原子炉の運転を恒久的に停止した時点では、設置許可を失効させず、解体が終了した後に廃止届を提出し、設置許可を失効させる運用がなされている。
このようなことから、原子炉等規制法第65条に基づく廃止届の提出時期や廃止した日から30日としている提出期限に関し、解体に係る規制との関係において明確化が図られることが望ましい。
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解体措置時及び廃止措置時の原子炉設置者等の義務
1.(3)に示したとおり、現行の解体・廃止に係る安全規制においては、原子炉の解体・廃止措置中も原子炉設置許可が有効であるとして、運転中の原子炉と同様に、保安規定、保安検査、施設定期検査など各種の規制が課せられている。
原子炉の解体においては、原子炉からの核燃料等の撤去、当該施設外への搬出など、解体の進捗に応じ、安全確保の内容は、原子炉運転時の災害の防止という観点から、放射性物質により汚染された機器・構築物など当該施設内に残存しているものによる放射線障害の防止の観点に重点が移っていく。
このようなことを踏まえ、解体・廃止措置中の安全規制については、むしろ核燃料物質の使用者に課せられる義務等を参考にしつつ、措置の進展に応じた柔軟性のある制度とすることが合理的である。
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廃止に係る安全規制の終了の手続き
現行の廃止に係る安全規制としては、原子炉等規制法第66条に、原子炉のすべての運転を廃止した原子炉設置者、核燃料物質のすべての使用を廃止した使用者など、同法第65条に基づく廃止の届出をしなければならない者は、核燃料物質を譲り渡し、核燃料物質による汚染を除去するなどの措置を講じ、主務大臣に報告しなければならないと定められている。また、主務大臣は、講じられた措置が適切でないと認めるときは、災害を防止するために必要な措置を命ずることができると定められている。しかし、廃止措置の報告は、実質的に安全規制の終了に当たるものであるにもかかわらず、報告内容に対する国の関与が不明確である。
このため、廃止等に伴う措置の報告においては、原子炉設置者等からの報告内容に対する国の関与を明確化することが望ましい。
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一部の原子炉を廃止する場合の手続き
原子炉の廃止に係る安全規制としては、現行の原子炉等規制法第65条において、原子炉設置者は当該許可に係る原子炉のすべての運転を廃止した時に廃止届を提出することとされている。法律の文理解釈の上では、「原子炉のすべての運転を廃止した時」とは、一つの工場又は事業所に複数の原子炉を設置している場合、すべての原子炉を廃止した時点と解釈することが自然である。しかし、この解釈では、仮に複数の原子炉を有する原子炉設置者が、一部の原子炉を解体・廃止する場合には、最後の原子炉を解体・廃止するまで廃止の届出を要さないこととなる。
このため、文部科学省では、1.(2)に示したとおり、平成14年10月に、原子炉等規制法第65条及び第66条に基づく廃止に係る手続きに関して、廃止の時期や要件を示した「文部科学省が所管する原子炉の廃止に係る手続きについて」を定め、その旨原子炉設置者に通知している。
試験研究用原子炉施設については、現在8基が解体中であり、そのうち4基は、複数の原子炉が設置される事業所にあるものであり、今後の解体、廃止措置の進展を念頭に、このようなこれまでの安全規制の経験を踏まえて、一部の原子炉の廃止に係る制度を明確化しておく必要がある。
なお、現行の試験研究用原子炉施設に係る安全規制においては、原子炉設置者が、施設の供用期間中において、改造等を目的として施設や設備の一部を解体・廃止する場合の工事に関して当該設置者が講じる措置に対する国の関与が明確になっていない。このため、この点についても、制度上明確化しておく必要がある。 |