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Home > 政策・施策 > 審議会情報 > 調査研究協力者会議等 > 原子力安全規制等懇談会 > 試験研究用原子炉施設等の安全規制のあり方について(案) > 5−3


3. 利用実態

 我が国は、産業活動で使用する鉱物等を海外からの輸入に依存しており、多い物では年間1億トンを超える量が輸入されており、また、これらの産業活動には長い歴史がある。
 自然放射性物質を含む鉱物等の放射能濃度は、BSS免除レベルを超える可能性のある物だけでなく、放射能濃度が低い物についても、有用物質を抽出する過程で生じる残渣や副産物において、ウラン及びトリウムの比率が高まり、意図せずにBSS免除レベルを超える物もある。また、作業工程には、化学的な処理だけでなく、原料の粉砕処理もあり、粉塵が発生する可能性がある。
 基本部会報告書においては、規制免除の方針を検討するための基礎資料を作成する目的で、自然放射性物質を含む物を取り扱う作業及び自然放射性物質を含むことにより被ばくを生じるような産業及び機器製品(一般消費財)について行われた利用実態の調査結果が示されている。この実態調査は、産業利用されている鉱石類のうち、比較的自然放射性物質の濃度が高いと思われるモナザイト、リン鉱石、チタン鉱石、バストネサイト、ジルコン及び輸入量が多い石炭等を対象としている。
 原料鉱石の放射能濃度についての調査結果によれば、Th−232系列核種及びU−238系列核種のBSS免除レベルである1ベクレル毎グラム(それぞれTh−232、U−238として)・RP−122の0.5ベクレル毎グラムを超えるものが、モナザイト、リン鉱石、ジルコン及びバストネサイトの工場から採取した試料に認められた。しかしながら、各鉱石とも、工程の過程で発生する廃棄物は、産業廃棄物として処理されており、工程中で希釈されるため、BSS免除レベル及びRP−122のレベルを超えるものは確認されなかったとしている。
 工場等の空間放射線量率の測定の結果、原料鉱石の放射能濃度が低い物でも、工程中に缶石注3等が付着し、対象物から1メートル離れた位置で数マイクロシーベルト毎時のような比較的高い空間放射線量率を示す場合があったが、作業者の年間外部被ばく線量は、実際の作業時間を考慮すると、最大でもバストネサイトの製品置場での作業における約0.40ミリシーベルト毎年であるとしている。原料粉等を粉末状で取り扱う作業においては、作業員は粉塵対策のためのマスクを着用していることから、粉塵の吸入は少ないものと推定されるとしている。また、敷地境界の空間放射線量率は、全国の自然放射線量率0.004〜0.11マイクロシーベルト毎時(宇宙線を除く)と同程度であり、一般公衆については、安全上特に問題はないと考えられるとしている。  また、文部科学省は平成15年度の委託調査で、缶石について地熱発電所、ガス田、石炭について製鉄所及び亜炭炭鉱の自然放射性物質使用者の現地調査を実施した。その結果、原料鉱石、製品等の放射能濃度はBSS免除レベルを超えるものではなく、空間放射線量率もバックグランドレベルであった。
   表−2に委託調査の分析結果を示す。
注 3 缶石
液体中の塩が析出して配管やタンクなどに付着したもの

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