平成15年9月19日
原子力二法人統合準備会議
はじめに
特殊法人等整理合理化計画を受けて、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合されます。この統合に向けて、1年半にわたり統合準備会議は検討を重ね、ここに報告書を取りまとめました。
この報告書は、今後の新法人の発足に向けての制度設計を進める上で重要な基礎となるものですが、同時に新法人の発足は、我が国の原子力研究開発利用の新たな再出発として大きな意味を持つものであり、この報告書においてその意義を明らかにしています。
我が国は、昭和32年に東海村に原子の火がともって以来、40有余年にわたり原子力の研究開発利用を進め、今や我が国の電力の約3割を担っています。しかし、動燃事故、ジェー・シー・オー 臨界事故、東電不祥事等により、国民の原子力に対する大きな不信を招くに至りました。このような情勢の中で、原子力二法人が統合され、新法人が発足することとなりました。この機会を捉えて、原子力関係者全員が心を新たにし、これを正に国民の信頼を回復する転換点とすべきであると考えます。その点で原子力二法人の統合は、特別の意義を有するものです。
また、我が国は世界唯一の被爆国です。そのような国が平和利用と安全確保に徹して、民主、自主、公開の三原則に基づく原子力の研究開発利用を進めることは、現在の国際情勢からみても特に大きな意味があります。新法人が、その成果を、特にエネルギーへの需要が高まるアジアのみならず全世界に向けて発信していくことは、大きな国際貢献となります。
さらに、原子力は国民の信頼と地域との共生があってこそ存立するものであり、また円滑に推進され得るものです。新法人は、大学・産業界等関係者の需要を踏まえた運営を行うことはもとより、国民の原子力に対する疑問に技術的観点から的確に答えるなど、いわば「国の原子力シンクタンク」として大きく生まれ変わるとの自覚の下にその役割を担っていくことが強く求められます。
独立行政法人化による整理合理化は、自主決定、自己責任を基本とする自立的な運営による経営資源の選択と集中により、必要な機能を効率的・効果的に果たすために行うべきものです。しかしながら、我が国の原子力エネルギー利用のための研究開発基盤を揺るがすような単なる整理合理化であってはなりません。原子力二法人の統合を、資源に乏しい我が国が十分な技術的裏付けの下に原子力研究開発利用を着実に進める好機と捉え、国民に信頼され、期待に応える新法人が作られることを強く期待します。
報告書 一括ダウンロード
(PDF:211KB)
(1) | 原子力の研究、開発及び利用の必要性 |
(2) | 原子力二法人の研究開発の実績と評価 |
(3) | 原子力をとりまく環境の変化 |
(4) | 新法人設立の意義 |
(1) | 原子力研究開発の国際的な中核的拠点(Center of Excellence)の実現 |
(2) | 原子力安全研究の着実な推進などによる国の政策への貢献 |
(3) | 自らの安全確保の徹底と立地地域との共生 |
(4) | 行政改革の観点による事業の整理合理化と効率化、活性化の推進 |
(5) | 効率的・効果的な経営・業務運営体制の構築 |
(1) | 原子力システムの高度化を図ることにより、エネルギーの安定確保と地球環境問題の解決に資すること |
(2) | 原子力利用の新たな領域の開拓により科学技術の発展等に貢献すること |
(3) | 原子力利用の基盤を強化することにより、直面する諸問題の解決に貢献すること |
(4) | 自らの原子力施設の廃止措置及び自らの放射性廃棄物の安全、かつ、着実な処理・処分を実現すること |
(1) | 新法人の業務 |
(2) | 新法人の業務の推進の方向 |
(1) | 独立行政法人制度の趣旨を踏まえた組織・運営体制の確立 |
(2) | 経営の基本的考え方 |
(3) | 業務運営の在り方 |
(1) | 総合的な研究開発機能と適時適切な廃棄物対策の両立 |
(2) | 累積欠損金の適切な処理 |
(1) | 研究開発分野の融合相乗効果 |
(2) | 統合による事業の効果的・効率的な実施 |
(3) | 事業の整理・合理化と業務の効果的・効率的な実施に必要な組織・インフラの整備 |
(4) | 統合に向けての先行的な取組の実施 |
(1) | 累積欠損金の適切な処理に当たっての出資者等との調整 |
(2) | 原子力安全規制上における地位の承継のための調整 |
(3) | 新たな原子力政策の中期目標等への反映 |
原子力二法人統合準備会議について(抜粋)
原子力二法人統合準備会議構成員
原子力二法人統合準備会議審議日程
参考資料 一括ダウンロード
(PDF:588KB)
-- 登録:平成21年以前 --