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6. 新法人の財務基盤の確立
     新法人が我が国唯一の原子力の総合的な研究開発機関として、着実にその役割を果たしていくためには、独立行政法人制度にのっとり、適切な財務基盤が確立されていることが必要である。
   独立行政法人は、国の行うべき事務及び事業を国に代わって実施するものであり、国は独立行政法人通則法に基づき、その事務及び事業が適切に実施されるよう、中期目標の策定や中期計画の認可等を行うとともに、必要に応じ所要の財源措置を講ずる責務を有するものとされている。
   このような制度の下で、新法人が着実に業務を実施していくためには、全事業費の中で研究開発費と研究インフラの維持費のバランスを重視することが重要である。特に、施設維持費をはじめとする固定経費については極力抑制・削減して、効果的かつ効率的に事業を実施することが必要である。

  (1)    総合的な研究開発機能と適時適切な廃棄物対策の両立
   原子力二法人においては、原子炉施設をはじめとする多数の原子力施設を保有しており、将来の老朽化の進み具合などにより、時期がくれば廃止措置を講じなければならない。また、現在、研究開発活動等に伴い発生する放射性廃棄物も保管しているところである。
   今後、新法人が、これらの原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分を長期的な観点から計画的かつ確実に実施するとともに、国民から期待される総合的な研究開発機関として研究開発を着実に実施できるよう、国及び新法人は必要な措置を講じていくべきである。
   なお、本件に関して、本会議における廃棄物処理処分に関する検討のため、原子力二法人によって、現在保有している原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分のコスト及びスケジュールについてケーススタディが実施された結果、総費用は約2兆円、実施に要する期間は約80年間と見積もられた。費用については、年間約100〜300億円程度で推移し、現状の原子力二法人の全事業費(平成15年度認可予算:約2,300億円)からみると約5〜15%になると試算された。文部科学省及び原子力二法人は、この試算について、外部要因などにより、今後の研究・事業計画に不確定要素があるものの、現状の財源規模に対して比較すると、本事業実施に要する費用に関しては、特別な制度的措置は講じなくとも、総合的な研究開発機関として研究開発を着実に行っていくことが可能と考えられる、としている。(参考6
   これに対して、本会議においては、研究事業計画の見直しによる施設解体時期の変動や法令面の整備状況等に伴う費用の変動の可能性などの不確定要素を踏まえて幅を持った検討、考察をすべきとの意見や、約2兆円の総費用を80年間にわたって確実に手当てすることが可能かとの意見があった。したがって、このケーススタディについては国及び新法人において定期的に見直す必要がある。また、原子力二法人においては、今後、コスト削減に向けて合理化の取組がなされるとともに、関係者においても国際動向を踏まえた、放射性廃棄物処理処分のための安全基準の整備等の法令等の整備が適切になされることを期待する。
   特に、本事業については、発生者としての責任を全うしつつ、民間活力を用いて効率的に事業を進めていくことも有力な選択肢であり、新法人の当該民間事業の運営への参画の可能性の検討も含めて、効率的かつ責任ある事業の推進方策について可能な限り幅広く検討していくことが必要である。
   なお、放射性廃棄物の処理処分事業については、現在、文部科学省において、RI・研究所等廃棄物の処分事業のあり方についての検討が進められているところであり、同検討との整合にも配慮しながら、検討を深めることが必要である。

  (2)    累積欠損金の適切な処理
   原子力二法人の累積欠損金については、出資者との調整を踏まえて適切に処理し、新法人発足前に独立行政法人として健全な経営を確保しうる財務基盤を確立することが必要である。国は、累積欠損金が、新法人に引き継がれることのないよう、先行の独立行政法人の研究開発法人と同様に、法的措置により政府及び民間出資の減資を行うことが適切である。


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