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(参考6)

原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物の処理処分を踏まえた
新法人の経営基盤に関する検討について
(文部科学省と原子力二法人によるケーススタディ)

1. はじめに
・  新法人においては、原子力に関する基礎・基盤研究からプロジェクト研究開発までのミッションを推進するとともに、現二法人が保有する原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分を着実に実施していく必要がある。ここでは、経営基盤の確立の観点から、新法人が独立行政法人として研究開発が円滑に実施可能であるかについてニ法人においてケーススタディを行った。

2. 原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分の試算例
・  廃止措置及び放射性廃棄物(ここでは低レベル放射性廃棄物を対象)処理処分関連費用及びスケジュールの試算を実施した)。試算に当たっては、廃止措置などが一時期に集中しないといった平準化を行い、本来ミッションである研究・事業計画の進展に支障を来さないよう配慮した。
試算の結果、総費用は約2兆円、また、実施期間は約80年間となった。
廃止措置及び放射性廃棄物処理処分の実施スケジュール及び各実施期間における費用は、以下のとおりである。
・  新法人設立後約10年間:放射性廃棄物の廃棄体化処理施設の建設を順次開始する。この間は、約100〜150億円/年で推移。
平成27年度頃〜平成60年度頃(約30年間):原子力施設の廃止措置が本格化するため、約300億円/年程度で推移。
平成60年度頃〜平成90年代半ばまで:主要施設の廃止措置が概ね終了し、放射性廃棄物処分が中心となり、平成60年度頃から徐々に150億円程度まで減少し、平成90年代半ばに全体の廃止措置及び放射性廃棄物処理処分が終了。

なお、廃止措置及び放射性廃棄物処理処分関連費用の総額については、研究・事業計画の見直しによる施設解体時期の変動、合理的な廃止措置及び放射性廃棄物処理処分のための法令の整備などによる費用変動の可能性など、不確定要素があるため、今後定期的に見直していくことが必要である。

3. まとめ
・  原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物処理処分関連費用は約100〜300億円/年程度で推移することとなる。これは、現在の両法人の全事業費(約2,300億円/年)の約5〜15%となる。新法人設立後10年以降の原子力施設の廃止措置が本格化し、関連費用が300億円/年程度で推移する時期においては、基礎・基盤研究について従来と同様に各事業のスクラップ・アンド・ビルドを進めるとともに、核燃料サイクル技術開発関連の大型既存事業(常陽、もんじゅなど)が終了して次の開発ステップに移行することなどにより、研究開発実施に必要な費用は減少傾向にあるので、関連費用の措置は可能となると考えられる。

ケーススタディの結果、今後、外部要因などにより、研究・事業計画には不確定要素があるものの、現状の財源規模に対して比較すると、原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分に係る費用に関しては、特別な制度は講じなくとも総合的な研究開発機関として研究開発を着実に行っていくことが可能と考えられる。なお、法令面での整備や新法人における経営合理化等の努力により、更に所要コストを低減していく努力は当然行わなければならない。

以上


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