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7. 新法人の統合による融合相乗効果と効率化、合理化
       原子力二法人の統合に当たっては、新法人の基本理念に示しているとおり、原子力二法人に分散されている優秀な人材等の研究資源の有機的連携等による相乗効果を発揮するという積極的意義を捉えて、事業の「選択」と限られた資源の「集中」投入、そして業務運営の効率化により、活力ある事業展開を実現していかなければならない。
   新法人においては、基礎・基盤研究の成果や人材が横断的に活用され、プロジェクト研究開発が総合的に推進されていくこと、また、原子力二法人が共通に有する課題については相互に補完され、一体的かつ迅速に課題解決が図られていくことなどが期待される。
   このような新法人における融合相乗効果を発揮していくために、整理合理化を適切に実施していくとともに、新しい事業展開の可能性のある分野についてのニーズとシーズを精査し、時宜を得た柔軟な取組が可能となる機能を保有することが必要である。

  (1)    研究開発分野の融合相乗効果
   新法人の設立により、原子力二法人の研究開発資源の有機的連携等が可能となり、研究開発分野においては、以下のような融合相乗効果が期待される。
   
1 基礎・基盤研究からプロジェクト研究開発に至るまで、原子力二法人の幅広い専門分野の研究者及び技術者が有する経験や成果など充実した技術基盤をもとに、原子力二法人が保有する研究インフラを一体的に活用することにより、研究開発がより一層進展、加速し、効率的に実施されることが期待される。
2 プロジェクト研究開発から基礎・基盤研究へのニーズが的確にフィードバックされることにより、適時かつ的確に研究目標を設定することが可能となる。
3 幅広い専門分野と充実した技術基盤をもとに、技術的選択肢が拡大することにより、次世代原子力システム等の研究開発において高い実用化目標の達成が期待される。

  (2)    統合による事業の効果的・効率的な実施
   これまで原子力二法人がそれぞれ実施していた以下の事業については、統合により一元的に実施することが可能となることから、事業がこれまでに比べてより効果的・効率的に実施されることが期待される。
   
1 国際的核不拡散への貢献
   これまで個別に実施してきた保障措置や核物質管理に関する専門の技術者と研究者を結集し、核不拡散関連の技術開発と国際的な核不拡散体制の強化への協力を一元的に実施することにより、国際的な核不拡散への貢献が効果的・効率的に進められることが期待される。

2 原子力防災支援事業
   日本原子力研究所が関係行政機関の職員の支援のために実施している原子力防災に関する研修事業等については、核燃料サイクル開発機構の原子力緊急時支援・研修センターに一元化し、一体的に実施することにより、原子力防災支援事業の効率的な実施が期待される。これらが効率的に実施されることにより、原子力防災支援体制の強化が図られることが期待される。

3 自らの原子力施設の廃止措置及び自らの放射性廃棄物の処理処分
   自らの原子力施設の廃止措置も両法人の技術能力を結集して行うことができると期待される。また、自らの放射性廃棄物の処理及び保管については、原子力二法人の放射性廃棄物処理施設及び保管施設の統合を可能な限り行うことにより、効率的な利用が図られることになり、費用の削減が可能になることが期待される。
   また、放射性廃棄物の処分についても、原子力二法人の人材を結集し、処分事業の具体化への取組がなされることにより、効果的かつ効率的な進展が期待される。

  (3)    事業の整理・合理化と業務の効果的・効率的な実施に必要な組織・インフラの整備
   研究開発資源が限られる中で着実に研究開発を続けていくためには、まず、原子力二法人の管理部門の統合、研究所・事業所の統廃合、研究開発施設、設備の整理、合理化等を進め、固定経費を可能な限り抑制・削減することなどにより事業の効率化を実現することが必要である。このような事業の効率化によって得られた研究開発資源も活用することにより、我が国唯一の総合的な原子力研究開発機関として必要な研究基盤の構築を図っていくべきである。
   具体的には、例えば、同一地域に原子力二法人の研究開発拠点が存在する東海、大洗地区については、それぞれ事業の一体的な運営について検討することが適当である。また、日本原子力研究所が理化学研究所と共同で整備した大型放射光施設(SPring−8)については、運転業務の移管を前提に検討することが適当である。
   また、事業の「選択」と限られた資源の「集中」投入、そして業務運営の効率化により、活力ある事業展開を実現していくとの観点から、原子力二法人の検討に基づいて行った文部科学省の検討結果として、原子力二法人の統合により機能が重複する施設について、より重要な施設に機能を重点化、集約化を進めていくとともに、老朽化が進んでいる施設や事業の終了により役割を終えた施設について、順次廃止していくとの方針が示されたところである。(参考7
   今後、研究施設の整理合理化に当たっては、国として真に必要な研究インフラを損なうことのないよう十分留意しつつ、原子力委員会や科学技術・学術審議会等の場において長期的視点に立って検討されることが望まれるところであり、それらの検討を踏まえて、新法人が自ら、事業の効率化を進めるとともに我が国として必要な研究基盤の確保に努めていく必要がある。

  (4)    統合に向けての先行的な取組の実施
   新法人が設立時から最大限にその力を発揮して事業を展開していくためには、設立前においても現行事業の整理合理化を進めていくとともに、原子力二法人の協力事業の実施と大幅な人事交流の促進等による連携・協力の強化を進めることにより、統合を実質的に進めていくことが極めて重要である。
   これまで、原子力二法人においては、情報関連部門の融合による事務基幹系システム構築への取組や、バックエンド部門の連携による廃止措置・放射性廃棄物処理処分計画等の一体的検討、事務所等の集約、延べ100名を超す人事交流など、主として管理部門において先行的な取組が行われてきている。
   今後は、統合による融合相乗効果が最も期待できる研究開発部門においても、統合に先立って人事交流と研究開発体制の再構築による研究開発の実質的融合を促進し、新法人発足時から融合相乗効果を最大限に発揮することが期待される。
   特に、新法人の主要業務のうち、以下の研究開発分野においては、原子力二法人の研究資源等を結集して、早期に一元的な取組を進めていくことが望まれる。
   
    1 次世代原子力システム実用化に向けた研究開発
  2 放射性廃棄物処理処分研究開発等
  3 原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分


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