ここでは,平成18年を中心に教育改革の主な進捗状況について,制度改正や新たな取組を中心にして,テーマごとに説明します。なお,平成17年度文部科学白書において,教育改革について特集していますので,併せてご覧ください。
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▲平成18年度 文部科学大臣優秀教員表彰式 |
中央教育審議会は,文部科学大臣の諮問に応じ,教育の振興,生涯学習の推進,スポーツの振興などに関する重要事項を調査審議する機関であり,教育改革の推進に当たり,重要な役割を果たしています。最近では,平成19年2月6日に開催された第58回総会において,関係法案(学校教育法,教育職員免許法等,地方教育行政の組織及び運営に関する法律)及び教育振興基本計画について,文部科学大臣から審議要請がなされ,これを受け,3月10日に「教育基本法の改正を受けて緊急に必要とされる教育制度の改正について」(答申)が取りまとめられました。また,教育振興基本計画については,鋭意検討が行われています。このほか,18年度においては,次のような検討が行われました。
国民一人一人の生涯を通じた学習活動を促進することと,子どもたちが家庭や地域社会の中で伸び伸びとはぐくまれるような環境を整えることが喫緊の課題となっていることを踏まえ,平成17年6月に「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」諮問がなされました。
平成19年1月30日には,これまでの審議の内容を整理し,国民の学習活動の促進,家庭・地域の教育力の向上,地域社会全体で学習活動の支援に関する具体的な方策とともに,国・地方公共団体・民間団体などの今後の役割について提言した「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」(中間報告)が取りまとめられ,引き続き検討が行われています(参照:第2部第1章Topics 1)。
平成17年10月26日に出された「新しい時代の義務教育を創造する」(答申)の中で,引き続き検討が必要であるとされた課題などを中心に,義務教育9年間を見通した目標の明確化や高等学校の目標の在り方などについて,18年12月22日に公布・施行された新しい教育基本法を踏まえつつ,更なる検討が行われています。
また,教育内容の改善については,教育課程部会において,平成18年2月13日に「審議経過報告」が取りまとめられ,学習指導要領全体の見直しについて基本的方向性が示されました。また,19年1月26日には,「審議経過報告」以降の審議も含めたそれまでの検討状況を整理した「第3期教育課程部会の審議の状況について」が取りまとめられ,引き続き学習指導要領全体の見直しなどについて検討が行われています(参照:第2部第2章第1節2(1))。
教師の質の向上に関しては,教員が広く国民や社会から尊敬と信頼を得られる存在となることが重要であるとの観点から審議が行われ,平成18年7月11日に「教職課程の質的水準の向上」,「教職大学院制度の創設」,「教員免許更新制の導入」などについて提言した「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(答申)が取りまとめられました(参照:第2部第2章Topics 3,第2部第2章第3節1(2))。
さらに,平成18年7月に設置された「教職員給与の在り方に関するワーキンググループ」においては,メリハリある給与体系を構築し,教育の質の向上を図るという観点から,公立学校の教職員給与の在り方について,検討が行われています(参照:第2部第2章第3節3(4))。
平成13年4月に行われた「今後の高等教育改革の推進方策について」の包括的な諮問を受け,短期大学,高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方について,
大学等の設置認可の望ましい在り方と今後の高等教育の全体規模,
職業資格との関連も視野に入れた新しい形態の大学院などの整備の在り方について,具体的な改革を推進していくため,現在,高等教育の質の保証や学生の視点に立った大学教育の展開など,「学士課程教育の在り方」について検討が行われています。
また,大学院教育については,平成18年3月に大学院教育の実質化,国際的な通用性・信頼性の向上を目的とした「大学院教育振興施策要綱」を策定したことを受け,大学院部会において,本要綱のフォローアップや専門職大学院の在り方について検討が行われています(参照:第2部第3章Topics 1)。
青少年が自立した人間として成長するに当たって,行動の原動力である意欲の向上を図ることが急務であることから,平成17年6月に「青少年の意欲を高め,心と体の相伴った成長を促す方策について」が諮問され,スポーツ・青少年分科会において審議が行われてきました。19年1月30日には,青少年の意欲をめぐる現状とその背景を検証するとともに,青少年の意欲を高め,心と体の相伴った成長を促すために講ずべき方策について,「次代を担う自立した青少年の育成に向けて」(答申)が出されました(参照:第2部第8章Topics 1)。