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1 新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について

 平成17年6月13日,中山文部科学大臣(当時)は,中央教育審議会に対し,「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」諮問しました。
 諮問後,中央教育審議会の生涯学習分科会において,国民の生涯を通じた学習活動を推進するための方策や,子どもたちが家庭や地域社会の中で伸び伸びとはぐくまれるような環境を整備するための方策について審議が重ねられてきましたが,平成19年1月30日に,これまでの審議の内容を整理した中間報告(参照:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/index.htm(※中央教育審議会へリンク))が提出されました。
 中間報告では,今後の生涯学習振興方策の基本的考え方を整理した上で,「国民の学習活動を促進する具体的方策」,「家庭・地域の教育力の向上に関する具体的方策」,「地域社会全体で学習活動を支援する具体的方策」などについて提言されています。
 今後も,中央教育審議会の生涯学習分科会において,審議を行うこととされています。これまでの審議を踏まえ,より具体的な答申が取りまとめられることが期待されます。

中間報告で提言された具体的方策

1.国民の学習活動を促進する具体的方策

  • 地域社会・産業界のニーズを具体的に把握・明確化し,職業やボランティア等社会参加等の新たなチャレンジをしようとする人に,相談に応じつつ,適切な学習機会を社会教育施設等において提供するなど,学習者の再チャレンジに資する「学び」の機会を総合的に提供・支援するシステムの構築
  • 学習成果が適切に評価される方策
     国レベルの生涯学習に係る登録制度創設を検討。将来的には,例えばナショナルセンター機能を持つ第3者機関において,大学・社会教育施設等における学習成果を評価し全国的な通用性を保障する仕組の構築を長期的な課題として検討
  • 個人の「学び直し」に対する支援
     産学官が連携して,情報通信技術を活用してキャリアアップ等に資する学習コンテンツの提供・学習相談活動を行う活動を支援
  • 若年者・女性・団塊世代・高齢者に対する支援
     社会奉仕活動・体験活動を推進するための窓口の設置促進・コーディネーターの養成等/身近な場所での女性の再チャレンジ支援講座/団塊世代等が「教育サポーター」として学校・社会教育施設等で活躍する方策の検討
  • 「公共」の課題に取り組む社会教育の振興
    • 社会奉仕活動・体験活動機会の提供・受け入れ先の開拓・マッチング等を行う拠点として公民館等社会教育施設の機能を充実
    • 地域社会における学習活動支援の担い手として社会教育主事の在り方の見直し
    • 地域づくりを支援する拠点として図書館活動の質を向上(司書等の資格等の在り方の見直し)
    • 自然や歴史,文化の学びを通じて地域の課題を理解し,社会活動へ参画を促す役割を持った博物館の質の向上(登録博物館制度や学芸員制度の在り方の見直し)

2.家庭・地域の教育力の向上に関する具体的方策

  • 「子育てサポーター・リーダー」等のボランティアや保健師等が連携して,子育ての悩みや様々な課題・困難を抱える親の子育て相談・情報提供等を行う訪問型のきめ細かな家庭教育支援を充実
  • 各発達段階における子育ての課題や悩み解消などに対応するため,子どもの発達段階に応じた課題別の子育て家庭教育講座を全ての親に提供
  • 中・高校生が幼児やその親とふれあう機会や父親の家庭教育参加の促進等,親子・世代間で育ち合う子育てを応援する社会づくり
  • 乳幼児期からの子どもの生活リズム向上のため,「早寝早起き朝ごはん」運動を社会全体の子育て支援策として一層充実
  • 公民館等社会教育施設を活用し,子どもを持つ親が家庭教育講座や子育てグループ活動に気軽に参加できるよう,小学校区単位における家庭教育支援の環境を整備
  • 放課後等の子どもの安全で健やかな活動場所を確保し,総合的な放課後対策として実施する「放課後子どもプラン」の創設・全国展開(全国の小学校区に)。小学校区毎に,地域の人材を「コーディネーター」や「安全管理員」,「学習アドバイザー」として配置し,学習活動を実施
  • 「学び合い,支え合う」地域のきずなづくりを促進する学習活動を支援
  • 地域の教育力を効果的に向上させるため,地域の社会奉仕活動・体験活動の実施数,学校支援ボランティアの参加人数,図書館における子どもの利用者率など「地域の教育力の指標」を試行的に作成

3.地域社会全体で学習活動を支援する具体的方策

  • 地域の人材が講師等として活躍する「教育サポーター」,地域の人材と学校や社会教育施設等活躍の場へ橋渡しをする「学習コーディネーター」,社会人の「学び直し」から社会参加までの学習相談を行う「学習相談員」を育成
  • これら人材の資質・能力等の全国的な通用性を確保し,有効活用を促進するため,第3者機関による人材育成・認証システムの構築を検討

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