第2節 家庭の教育力の向上に向けた取組

3.子どもの基本的生活習慣の育成に向けた取組

(1)子どもの基本的生活習慣の現状と課題

 子どもたちが健やかに成長していくためには,適切な運動,調和のとれた食事,十分な休養・睡眠が大切です。しかしながら,最近の子どもたちを見ると,「よく体を動かし,よく食べ,よく眠る」という成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠な基本的生活習慣が大きく乱れています。こうした今日の子どもの基本的生活習慣の乱れが,学習意欲や体力,気力の低下の要因の一つとして指摘されています。
 このため,家庭における食事や睡眠などの乱れを個々の家庭や子どもの問題として見過ごすことなく,社会全体の問題として地域が一丸となり,子どもの健やかな成長を期して学習意欲や体力の向上を図るための取組を推進することが必要です。

1子どもの就寝・睡眠時間

 午後10時以降に就寝する6歳以下の幼児の割合は29パーセント(約3割)に上っています(図表2-1-2)。また,平日24時以降に就寝する小・中学生の割合は,小学6年生で12パーセント,中学3年生で64パーセントとなっています。

図表●2-1-2 就学前の幼児の就寝時間

2子どもの朝食

 朝食を食べないことがある小・中学生の割合は,小学生で15パーセント,中学生で22パーセントに達しています(図表2-1-3)。国立教育政策研究所の調査によれば,毎日朝食を食べる子どもほど,ペーパーテストの得点が高い傾向にあることが,調査した小5から中3のすべての学年・教科において明らかになっています(図表2-1-4)。
 こうした状況を踏まえ,子どもの朝食摂取の状況を改善することについて,家庭だけでなく,国民全体で考え行動する社会的機運を高めていくこととしています。

図表●2-1-3 朝ご飯を食べないことがある小中学生

図表●2-1-4 朝食の摂取とペーパーテストの得点の関係

(2)「早寝早起き朝ごはん」国民運動の展開

1子どもの生活リズム向上プロジェクト

 文部科学省では,平成18年度から新たに,早寝早起きや朝食をとるなど,子どもの望ましい基本的生活習慣を育成するため,「子どもの生活リズムの向上プロジェクト」として,全国的な普及啓発活動や先進的な実践活動などの調査研究を行っています。
 特に,調査研究では,地域ぐるみで子どもの生活リズムを向上させるための取組を実践してもらうだけでなく,実施前後における子どもの生活実態(例えば,起床・就寝時間,朝食摂取状況など)にどのような改善が見られたのかを調査しています。また,基本的生活習慣の育成が学習意欲,体力,気力の向上にどう貢献したかということなども分析していきます。さらに,生活リズムの向上による効果について,具体的でわかりやすくデータの裏づけを伴った形で保護者の方々に理解を深めていただくため,民間団体との連携を図り,普及啓発に積極的に取り組んでいます。
 また,「子どもの生活リズム向上全国フォーラム」を全国7か所で開催し,基調講演やパネルディスカッション(公衆討論会)などを実施していきます。

2「早寝早起き朝ごはん」全国協議会による運動の展開

 平成18年4月には,「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が発足しました。これは,PTAをはじめ,経済界,メディア,有識者,市民活動団体,教育・スポーツ・文化関係団体,読書・食育推進団体,行政など,幅広い関係団体の参加を得て,「早寝早起き朝ごはん」運動を民間主導の国民運動として全国展開することを目的としています。
 設立以来,本運動に賛同する方々や,本全国協議会に参加する様々な団体などとともに,子どもの基本的生活習慣の確立や生活リズムの向上につながる運動を展開しています。また,本全国協議会ではコミュニティサイトを立ち上げ,今後展開される様々な事業,イベントなどの情報を提供しています(参照:http://www.hayanehayaoki.jp(※早ね早おき朝ごはんホームページへリンク))。

前のページへ

次のページへ