学校施設の防犯対策に関する調査研究報告書

文部科学省委嘱調査研究

平成16年9月

社団法人 日本建築学会文教施設委員会
  学校施設の防犯対策に関する調査研究委員会

はじめに

 学校は、子どもたちの夢を育む場所でなければならない。そのために学校施設には、教育内容・方法の多様化に応え、学習・生活の場として豊かな環境を備えることが求められる。学校はまた、地域の夢を育てる場でもある。地域に開かれた学校として、生きがいを持って安心して生活を送れるコミュニティづくりの拠点となり、災害時には応急的な避難場所となるなど、地域の中で期待され、果たすべき役割は大きい。特に今日では、学校と家庭や社会が連携しながら、ともに子どもたちを育てていくという観点も重要になっている。
 このように学校に求められる役割は増大しているが、その前提には、子どもたちにとって安全・安心な環境が確保されている必要がある。そもそも地域に開かれた学校とは、不審者に対して何の備えもなく空間が開かれていることを意味するものではない。
 近年、学校への不審者侵入事件が大きな問題となっている。子どもたちを犯罪から守るためには、教職員をはじめとする関係者が危機管理意識を持って緊密に連携し、ソフト・ハードの両面から必要な対策を講じる必要がある。  
 これまでも、文部科学省では、安全で安心できる学校の確立を目指し、学校安全及び心のケアの充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を平成14年度から推進しており、不審者侵入などの事態が起きた場合の共通的な留意事項をまとめた「学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル」(平成14年12月)、学校における犯罪被害防止のための特色ある安全管理の取組等を紹介した「学校の安全管理に関する取組事例集」(平成15年6月)等を作成・配布してきている。  
 施設面に関しては、学校施設における防犯対策のあり方について総合的に提言した「学校施設の防犯対策について」(平成14年11月 学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議)が公表され、それに基づき「学校施設整備指針」の改訂(平成15年8月)が行われてきた。  
 この報告書は、文部科学省より社団法人日本建築学会へ委嘱された調査研究の成果であり、各教育委員会や学校等の防犯対策を担当される方を対象に、学校施設の防犯対策に関する手引書として、上記「学校施設整備指針」における防犯対策関係規定について、分かりやすく解説することを意図したものである。  
 関係者におかれては、既に配布済の指針等とあわせて本手引書を十分に活用し、安全、安心で豊かな教育環境が全国の学校で形成されていくことを願う次第である。

平成16年9月
  社団法人 日本建築学会 文教施設委員会
  学校施設の防犯対策に関する調査研究委員会
主査 長澤 悟

学校施設の防犯対策に関する調査研究 報告 目次

お問合せ先

文教施設企画部施設企画課

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