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著作権分科会 法制問題小委員会(第1回)議事録・配付資料

1.日時

平成20年3月18日(火曜日)10時〜11時45分

2.場所

虎ノ門パストラルホテル 新館5階 「ミモザ」

3.出席者

(委員)

青山、大渕、清水、末吉、茶園、道垣内、土肥、苗村、中山、前田、松田、村上、山本 の各委員

(文化庁)

高塩文化庁次長、吉田長官官房審議官,山下著作権課長,ほか関係者

(ヒアリング出席者)

久保田氏(社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会専務理事・事務局長)

梅澤氏(社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会調査部)

4.議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    • (1)法制問題小委員会主査の選任等について
    • (2)法制問題小委員会審議予定について
    • (3)私的使用目的の複製の見直しについて
    • (4)その他
  3. 閉会

5.配付資料一覧

資料1
  文化審議会著作権分科会法制問題小委員会委員名簿
資料2
  小委員会の設置について(平成20年2月27日文化審議会著作権分科会決定)
資料3
  ワーキングチームの設置について(案)
資料4
  インターネット上に流通している違法コンテンツの実態について(社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会作成資料)
資料5
  当面の審議予定について(案)
参考資料1
  文化審議会関係法令等
参考資料2
  第8期文化審議会著作権分科会委員名簿
参考資料3−1
  私的録音録画小委員会中間整理 抜粋
(※(平成19年第11回)議事録・配付資料へリンク)
参考資料3−2
  第23回文化審議会著作権分科会における意見の概要
(※(平成19年第11回)議事録・配付資料へリンク)
参考資料3−3
  私的録音録画小委員会中間整理に関する意見募集の結果について
(※(平成19年第11回)議事録・配付資料へリンク)
参考資料3−4
  著作権法第30条の適用範囲の見直しに関する論点の整理について
(※(平成19年第11回)議事録・配付資料へリンク)
参考資料3−5
  私的使用目的の複製の見直しについて(以上、第7期第11回法制問題小委員会配付資料)
参考資料3−6
  識別マーク(呼称:エルマーク)概要説明資料(社団法人日本レコード協会作成、第25回著作権分科会配付資料)(PDF:325KB)
参考資料4
  今期の法制問題小委員会の検討課題について(第7期第1回法制問題小委員会配付資料)
(※(平成19年第1回)議事録・配付資料へリンク)
参考資料5
  平成19年度法制問題小委員会の審議の経過について(第24回著作権分科会配付資料)
(※著作権分科会(第24回)議事録・配付資料へリンク)
参考資料6
  第24回文化審議会著作権分科会における意見の概要
参考資料7
  知的財産戦略推進本部における検討状況

6.議事内容

(1)法制問題小委員会主査の選任等について

  • 本小委員会の主査の選任が行われ、中山委員が主査に決定した。
  • 主査代理について、中山主査より土肥委員が主査代理に指名された。
  • 以上については、「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成十八年三月一日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき、議事の内容を非公開とする。

【中山主査】

 それでは、第1回法制問題小委員会の開催に当たりまして、高塩文化庁次長よりごあいさつをちょうだいしたいと思います。

【高塩文化庁次長】

 失礼いたします。
 第8期の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 先生方におかれましては、大変御多用中のところ、文化審議会の著作権分科会法制問題小委員会の委員をお引き受けいただきまして、まことにありがとうございます。心から感謝を申し上げたいと存じます。
 前期の本法制問題小委員会におきましては、いわゆるデジタル化、ネットワーク化の進展の中で、著作権法にも大変大きな変革が求められる中で、数多くの課題につきまして御議論の整理をいただいたところでございます。今期におきましても、非常に多岐にわたる問題でございますけれども、引き続き最終的なまとめに向けまして、精力的な御議論をお願い申し上げたいと思います。
 私ども文化庁といたしましては、結論が得られました課題につきましては早急に法制度の整備などに積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。また、そのほかにも放送・通信法制の見直しへの対応や、その他もろもろの課題につきましても順次御検討いただきまして、方向性をお示しいただければというふうに考えておる次第でございます。
 先生方には、大変御多忙のところでございますけれども、ひとつ今期におきましても引き続きの御協力を切にお願い申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

(2)法制問題小委員会審議予定について

【中山主査】

 ありがとうございました。
 それでは次に、本小委員会の設置の趣旨や所掌事務、ワーキングチームの設置及び今後の審議予定につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【山下著作権課長】

 それでは、御説明申し上げます。
 資料の2、それから資料の3をごらんいただければと思います。資料2は、本小委員会の設置の趣旨でございます。去る2月27日にこの著作権分科会の親会議が開催されてございまして、そこでの決定が資料2でございます。ごらんいただけますように小委員会の設置についてということで、1にございますとおり、本法制問題小委員会を含む4つの小委員会の設置が決定されているところでございます。いずれも前期に引き続きの設置ということでございます。
 法制問題小委員会の審議事項につきましては、その下の2の(1)にございますが、著作権法制度の在り方に関することとなっておりますけれども、今期は前期からの検討課題、引き続いて非常にたくさんあるということでございまして、基本的には前期から引き続いての検討課題を想定しているところでございます。この点は詳しくは、きょうの会議の最後のところで改めて整理をして御説明をいたしますけれども、昨年の3月時点の法制問題小委員会での検討事項につきましては参考資料の4がございます。参考資料4で法制問題小委員会の検討課題についてというものがございます。こちらをまた御参照いただければと思います。また、前期の法制問題小委員会の審議経過につきましては参考資料5がございます。こちらのほうを御参照いただければと存じます。
 それで、前期から引き続いての課題の中で、ワーキングチームを設置して検討してまいったものがございます。これについて資料3をごらんいただければと存じます。
 資料3「ワーキングチームの設置について(案)」とさせていただいております。こちらは、昨年の前期の最初の法制問題小委員会でも同様のことをお決めいただいておりまして、改めて案としてお諮りするものでございます。これまで3つのワーキングチームが設置をされてまいりました。表になってございます。1つはデジタル対応ワーキングチーム、それから契約・利用ワーキングチーム、そして司法救済ワーキングチーム、この3つでございます。検討課題はそれぞれ右側に記載のとおりでございます。これらにつきまして、基本的にはそれぞれ同じ形でもって引き続き検討を進めていただこうという案になってございます。また、この資料の下半分のところ、ワーキングチーム員の構成でございますけれども、これについても座長は主査の指名によること、また、そのほかのチーム員は座長が指名をすること、またさらに、法制問題小委員会の委員以外の者を協力者という形でチーム員に指名できるといったこと、これまでどおりでございます。
 また2ページ目にございますが、検討方法ということで、会議の開催だけでなくて、メーリングリストの活用など機動的な開催を可能にするということ。原則として会議は非公開とすること。また、議事要旨を作成して公開すること。こういったこともこれまでどおりでございます。
 それからまたその下、備考として書かせていただいておりますが、ワーキングチームの当面のスケジュールでございますけれども、前期からの継続検討ということでございますので、これはそれぞれ進捗状況に応じて適宜法制問題小委員会に御報告をいただいて、まとまったものについては法制問題小委員会における審議を経て、順次、法制問題小委員会報告書として取りまとめていくという形でお示しをしているところでございます。
 以上、よろしく御審議をお願いいたします。

【中山主査】

 ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から説明がございました資料3「ワーキングチームの設置について(案)」、これにつきまして御意見があればちょうだいしたいと思います。
 なお、会議の公開の方針や、どの課題をどのワーキングチームに検討してもらうかという点も含めまして、御意見をちょうだいしたいと思います。何かございましたら。よろしいでしょうか。これは従来どおりということでございますので。
 それでは、御意見がないようでございますので、資料3のワーキングチームの設置につきましては、この点で御了承いただいたものとして扱わせていただきます。
 では、ただいま御承認いただきましたワーキングチームにつきましては、先ほど事務局から説明がございましたとおり、座長をこの小委員会の委員の中から指名するということになっております。そこで、前期に引き続きまして、デジタル対応ワーキングチームにつきましては茶園委員、それから契約・利用ワーキングチームにつきましては土肥委員、司法救済ワーキングチームにつきましては大渕委員にそれぞれ座長をお願いしたいと思います。各座長におかれましては、次回の小委員会までにワーキングチーム員の構成を固めていただきたいと思います。固まりましたら、次回の小委員会で名簿を配付したいと考えております。
 それでは、前期からの検討課題であります私的使用目的の複製の見直しにつきまして、これから議論を行っていきたいと思います。
 前期の最後の小委員会では、違法複製物からの私的複製について、録音録画以外も対象とするかという点につきまして議論をいたしました。そして、その結果、まず実態を調べてみようということになっております。そこでまず、前期における本課題の審議経過につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

(3)私的使用目的の複製の見直しについて

【黒沼著作権調査官】

 それでは今、主査からございましたように、後ほど録音録画以外も含めました私的複製の実態について御発表いただきたいと思いますが、それに先立ちまして、新たに御参加の委員の方もいらっしゃいますので、前期の審議についてご説明したいと思います。
 参考資料の3、それから参考資料5に基づきまして御説明をさせていただきます。参考資料の3は前期の最後の小委員会で配ったものと同じものでございます。
 まず、参考資料3−5から説明させていただきます。
 こちらは、私的録音録画小委員会が始まるまでの経緯を整理したものでございます。御案内のように、個人的に又は家庭内で行う複製につきましては、著作権法第30条で著作権者の許諾なく複製することができるという規定がございます。一方で、この規定につきましては、技術革新が進むに従いまして、権利制限を認めておくことが不適切であるという場合には、適宜その範囲の見直しを行ってきているという状況がございます。近年では、複製・通信技術が特に発達しまして、私的領域においても大量かつ広範な複製が可能となっている状況ですとか、あるいは私的領域であっても契約や著作権保護技術を通じて利益の確保が可能となっていると、そういう状況も生じておりますので、こういった背景をもとに平成17年1月の著作権分科会の決定としまして、条約上の制約や私的使用目的の複製の実態を踏まえて、認められる範囲の明確化を図るということが、この分科会全体の検討課題として設定されたわけでございます。
 それを踏まえまして、平成18年度の法制問題小委員会で御議論いただいた結果、こちらのAからCまでの課題を具体的な検討課題として御設定いただきまして、それらについては私的録音録画補償金との関係もございますので、まず私的録音録画小委員会において検討を進めて、その結論を踏まえて、必要に応じて私的複製のあり方全体について検討を行うと、こういった形で今まで流れが来ていたわけでございます。
 次に、参考資料3−1で、私的録音録画小委員会での検討の状況を御説明したいと思います。こちらの参考資料3−1は、昨年10月段階での私的録音録画小委員会の中間整理でございます。まず1のところですけれども、私的録音録画小委員会では、幾つかの私的複製の行為類型につきまして、それぞれの契約実態などについて調査を行いまして、こちらに並んでいるような類型につきまして、それぞれ実態を調査したということでございます。こういった利用実態を個別に見ますと、まず、私的録音録画の実態から権利者に著しい経済的不利益を与えているのではないかという指摘があった利用形態が幾つかあったわけでございます。このaとbというものがございますが、特にa違法録音録画物や違法サイトからの私的録音録画につきましては、正規商品等の流通や適法ネット配信等を阻害しているという実態が報告されたという整理になってございます。
 それから2番目の類型としましては、利用契約の実態から既に私的複製の対価が徴収されているのではないかという指摘があった利用形態もございました。これもaからcまでございますけれども、例えば、配信事業者と利用者との配信契約の間で、そこに対価が含まれているかどうかはあいまいさが残るものの一定の範囲の録音録画を許容しているような契約形態があると、そういった実態があるということでございます。
 こういった実態を踏まえまして、今の著作権法第30条の適用範囲から除外することが適当ではないかと考えられる利用形態について整理を行っております。(1)としまして、先ほどの権利者に著しい経済的不利益を生じさせて著作物等の通常の利用を妨げる利用形態ということで整理をしていまして、違法録音録画物、違法サイトからの私的録音録画は30条の適用範囲から除外すべきであるという整理がされました。具体的には、違法なダウンロード配信サービスを利用した録音録画ですとか、ファイル交換ソフトを利用したダウンロード、こういったものが想定されておりました。これはなぜかといいますと、先ほどの利用実態調査の結果によりますと、ベルヌ条約のスリー・ステップ・テスト、これは特別の場合に通常の利用を妨げる、不当に権利者の利益を害さない場合でなければ権利の例外をつくってはいけないという、そういう基準でございますけれども、そちらに照らせば権利者側として容認できる利用実態ではないというようなことでございます。
 そのほか、脚注にございますけれども、諸外国でもこのような私的複製につきましては、権利制限の範囲から除外している国が幾つかあるということでございます。幾つか列挙しておりますけれども、EUの情報によりますと、こちらに書いてある国のほかも含めて申しますと、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、スペイン、フランス、ハンガリー、フィンランドでは今言ったような法的な措置がとられているというようなことでございます。
 このように30条の範囲から適用除外をするとの意見が概ね大勢であったという結果だったのですが、一方で、ダウンロードについて違法化としなくても、送信可能化または自動公衆送信の違法性を追及すれば十分であるというような反対意見もあったわけでございます。そういったことも踏まえまして、中間整理では、30条から適用除外する場合に、幾つか条件をつけております。どういう条件かと申しますと、下のアのところですけれども、違法サイトと承知の上で録音録画する場合、明らかな違法録音録画物からの録音録画に限定するなど一定の条件を課す。イで、複製全般ではなく、権利者の不利益が顕在化している録音録画に限定する。それからウで、罰則の適用を除外する。こういった条件のもとで30条から除外してはどうかというような整理でございました。
 それから、(2)の契約によって既に対価が徴収されている可能性がある利用実態につきましては、適法な配信事業者から入手した録音録画物からの私的録音録画についても30条から適用除外という整理でどうかと整理されております。その趣旨としましては、対価に私的録音録画の対価も含まれ得るとすれば、契約による解決にゆだねることが適当ではないかということで、そういった意見が大勢であったということでございます。
 なお、そのほか適法配信事業者以外に、レンタル店から借りたCDからの録音や適法放送のうち有料放送からの私的録画につきましても検討はされましたが、これらについては30条からの除外については慎重な意見だったということでございます。
 このような内容で昨年の10月に中間整理という形で整理が行われておりました。
 参考資料3−2は、このような中間整理に対して親委員会である著作権分科会でどのような意見があったかということでございますが、違法録音録画物からの私的録音録画につきましては、2番目のまるのところで、音楽・映像のみならず、ゲームソフトやビジネスソフト、コンピュータ・ソフトウエアについても権利者の不利益が顕在化しているので、録音録画だけに限定するのではなく、すべての著作物を対象として議論を行うべきではないかという御意見があったということでございます。
 それから、この中間整理案に対してパブリックコメントも実施しまして、そこに寄せられた意見が参考資料3−3でございます。膨大な意見が寄せられたわけでございまして、賛成意見もございましたけれども、特に反対意見のところだけ御紹介をいたします。どのような趣旨からの反対意見があったかといいますと、ダウンロードしたファイルが違法なものかどうかはダウンロードした後でないとわからない、ダウンロードした後であっても違法なものであるかどうか区別するのは難しい、管理されたサイトにのみ適法マークを与えてそれ以外はすべて違法であると扱うのは乱暴である、ユーザーが常に犯罪を犯すリスクにさらされる、そういった反対の御意見がありました。それから、適法・違法の区別が難しいという中では、違法サイトのアクセスの減少だけではなく適法サイトへのアクセスも減少させてしまうのではないか、架空請求のおそれがあるなどといったような反対意見もあったわけでございます。
 こういったパブリックコメントを踏まえまして、改めて私的録音録画小委員会でこの問題を議論したときの資料が参考資料3−4でございます。違法複製物などからの録音録画の取り扱いについては、そういってもやはり国際条約や先進諸国の動向を勘案すれば、30条の適用対象外とする方向で検討すべきではないかという整理です。一方で、パブコメ等で問題視されました利用者保護の問題につきましては、次のような措置をとれば対応可能ではないかということで議論いただいております。具体的には、法改正内容の周知徹底、権利者が許諾したコンテンツを扱うサイトに関する情報提供、それから架空請求などというような意見もありましたけれども、警告・執行方法の手順に関する周知、そういった取組を行うと。それから、適法マークの推進。何が適法なのかを明らかにするマークをつけるというような形で、権利者側あるいは政府なども努力をすると、そういった条件をつけるべきということになったところでございます。
 なお、この適法マークにつきましては参考資料3−6で、先月の著作権分科会で日本レコード協会からご説明いただいた資料がございまして、こちらの5ページに大体の概要が書かれております。レコード会社が配信に提供するレコード音源などのところにはエルマークというマークをつけるということで管理されているものであるかどうかを区別できるようにするというようなことでございます。なお、2月段階で大体130社中の110社ぐらいの配信事業者が、このマークに協力をすることになっていたようですが、現在ではさらに増えまして、134社の協力が得られるということになっていると、そういう状況でございます。
 このような状況を踏まえまして、参考資料5のように法制問題小委員会で御議論いただいたわけですが、結論といたしましては、録音録画以外についても、例えばプログラムなどについて同じように30条から除外すべきかどうかについて、先ほど主査からございましたように、まず実態を見てから議論したらどうかということで、前期の議論はとりあえず終了していたところでございます。
 そういった形で本日、実態をお伺いしようということになったわけでございます。前置きが長くなりましたけれども、以上でございます。

【中山主査】

 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、本日は社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田専務理事にお越しをいただいておりますので、インターネット上における違法コンテンツの流通実態についての御説明を伺いたいと思います。
 それでは久保田さん、よろしくお願いいたします。

【久保田氏】

 ソフトウェア著作権協会の久保田でございます。きょうはインターネットで流通している違法コンテンツの実態について御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 先ほど事務局から丁寧な御説明があったところなのですけれども、本報告の意義につきましては、当協会、コンピュータソフトウェア著作権協会ということなんですが、実はデジタルのコンテンツすべて扱うようになっておりまして、会員会社の中にはプログラムの著作物の開発会社だけでなく、電子出版からゲームソフト、アニメ、数々のデジタル化された情報、著作物の権利保護を行っている団体です。
 そういう観点から、この30条の除外をしていく録音録画以外のものにつきましても、著作物全般について、まず議論していただきたいというコメントを出しております。
 またあわせて、この法改正の際につきましては、その実効性、この「その」というのは、ダウンロードした人をなかなか知るすべがない、非常にまた困難であるという環境から、その実効性を確保するための環境の整備をしていくことが非常に重要であるという観点がございます。
 以上、インターネット上における違法コンテンツの流通実態について、この違法コンテンツの流通実態は2通りありまして、無許諾でアップロードされた、いわゆる主に違法アップロードと言われるものと、ファイル共有ソフトというものに2つ場合分けができるのですけれども、この流通実態について御報告をさせていただきます。
 まず、1ページ目のファイル共有ソフトに関する問題ということで、そもそもファイル共有ソフトとはどんなものかということについて説明させていただきます。ファイル共有ソフトとは、ピア・ツー・ピア技術と呼ばれるコンピューター同士をサーバー等を介することなく通信させる技術を利用したソフトウエアで、自己のコンピューター内にあるファイルをほかのユーザーが直接アクセスすることによって、ファイルのやりとり、共有することを可能にしたソフトウエアのことを指します。そして、このファイル共有ソフトの具体例なのですけれども、1ページ、2ページ目を見ていただきますと、いわゆるハイブリッド型といいまして、問題になりましたNapsterやWinMX、これはハイブリッド型と言われるものです。そして、ピュア型と言われる、難しく言うとキャッシュ非作成型でLimewireとかGnutella等を指すのですけれども、これが2つ目でありまして、仲間としては同じなのですけれども、このピュア型のキャッシュ作成型のWinny、一番日本で問題になっているWinny等の、この3つの形態がございます。大きく分けるとこの1つのハイブリッド型とピュア型というものに分けられるわけですが、今問題になっているのは、この3のWinnyであります。
 ちなみに、このハイブリッド型を簡単に説明いたしますと、この図を見ていただくとわかりますように、まずファイルの所在情報というのが情報管理するサーバーに自動的に登録されます。続きまして、ファイルを検索するときに情報管理サーバーを利用します。そして、3番目として、ファイルが見つかった後はピア・ツー・ピア型通信でファイルの送受信を行います。この図を見ていただきますと、1対1で通信をしているので相手がわかると。これは2つ目のLimewire等も1対1で通信をしている結果から相手がわかるということがございます。そして、この情報管理サーバーがあることで、ここを押さえていくと違法な著作権侵害に対して対応ができるという意味では、比較的このハイブリッド型については、権利者からいうと相手にしやすい、そういった形態だということが言えると思います。
 続きまして、2ページ目のピュア型のキャッシュ非作成型なのですけれども、これも最終的には1対1で通信ができるものですから、相手がわかるというものでございます。まず、この特性なのですけれども、1のNapster型と違うのは、情報管理サーバーを持ちません。そして、ファイルの検索はバケツリレー型で行っていきます。そして、ファイルが見つかった後はピア・ツー・ピア通信でファイルの送受信を行います。今一番問題になっている3番目のWinnyと言われる、いわゆるファイル共有しているものですけれども、実態としてまず違法にアップロードを最初にした人がわからないという形態です。ちょっと細かく図がかかれているのですけれども、実態としては、まずアップロードを最初にした人がわからないというのが特徴になってきます。したがいまして、ファイル共有ソフトの悪用によって著作権侵害が行われたとしても、その対策は非常に困難であるということが結論づけられます。その具体的な中身としましては、匿名性とかいろんな技術を盛り込んでいるということから、さらに非常に難しいということも言えると思います。
 続きまして2−3、3ページ目になりますが、ファイル共有ソフトとウエブサイトにおける違法コンテンツ流通の相違点です。これは、先ほど言いました、いわゆる違法アップロードの形なのですけれども、このクライアントサーバー型の、左の方の図ですね、これにつきましては、まずファイルはサーバーに蔵置して公開しています。そして、ファイルの問い合わせはPC端末からサーバーに対して行われます。そして、発信者に対する差止請求が、ゆえにここのファイルがあけられているサーバーについて対応すればいいわけですから、サーバーの管理者に対して削除要請を行うことが可能になりまして、アップロード行為者の特定が容易であるということが言えます。したがって、ファイルのいわゆる違法アップロードの件については権利者としては対応が可能だということが結論づけられます。
 続きまして右側の図なのですけれども、いわゆるピュア型ファイル共有、Winny等ですけれども、これはファイルは各PCからの公開が行われていまして、そしてファイルの問い合わせについてはPC端末間をバケツリレーで行われると。そして、結論からいいますと、発信者に対する差止請求は非常に効果が薄い。なぜならば、1つ差止めようとして発信者を押さえたとしても、すべての端末の中に同様なファイルが共有されていることから、1つつぶしてもA端末、B端末、C端末ということで、同じようなサーバー環境と同様なものがPC側で行われているということになりまして、1つの特定のPC端末を停止させたとしてもファイルの流通には影響が小さいということが結論づけられます。
 続きまして、Winny類似のファイル共有ソフトを利用した違法コンテンツの流通の問題点についてお話をしたいと思います。先ほどピュア型のキャッシュ作成型で御説明しましたように、いわゆるコンテンツがネットワークに流通する際におきまして、キャッシュと呼ばれる暗号化されたファイルとなって流通します。キャッシュは自主的にアップロードした場合はもちろん、ダウンロードした場合もキャッシュフォルダに保存されまして、ネットワークに公開され、これは送信可能化状態になります。また、アップロードあるいはダウンロードを行わなくても、中継と呼ばれる機能によって自動的に複製され、送信可能化状態になる場合もあります。したがいまして、このWinny類似のファイル共有ソフトにおけるコンテンツの流通は、1自主的にアップロードしたのか、2ファイルをダウンロードして送信可能化状態にあるのか、3中継されたことによって送信可能化状態にあるのか、を判別することが難しく、法的責任を追及するに当たっての立証が困難であるのが実情であります。したがいまして、違法アップロード対策のみでは、このファイル共有対策については不十分だということが結論づけられます。
 続きまして、4ページ目に移ります。ファイル共有ソフトの利用に関するアンケートの調査について御説明します。まず調査の目的なのですけれども、インターネットユーザーにおけるファイル共有の利用実態を把握することで、効果的なファイル共有対策を講じるための基礎資料として実施いたしました。調査方法としましては、ウエブアンケート方式を実施しております。総回答数は20,301件となっております。実施期間は2007年9月14日から9月24日までの間です。
 ファイル共有ソフトの利用状況についてなんですけれども、この調査はレコード協会さんとJIMCAさん、国際映画著作権協会さんと一緒に実施したアンケート調査です。
 次に、ダウンロード経験のあるファイルのジャンルについての説明に移ります。これは、どのようなファイルをダウンロードしているかということを調査した内容なので、複数回答になっていると思います。ここで見ていただけるとわかるように、今回まず録音録画という観点からアプローチされたことは正しいと思いますのは、こういったファイル共有の実態も、まず断トツで音楽ファイル、そして映画ファイルと来まして、ソフトウエア等のプログラム、そして書籍関連ファイル、これは漫画等も入っております。そして写真画像、それから「情報漏洩ファイル」というふうに書かれていますけれども、Winny等で情報が漏えいされて、そのデータをまた追いかけていくというような人もいるわけですけれども、そういったものが含まれていたということです。
 また、4番目のファイル共有ソフトにおけるコンテンツの流通実態調査について、次に御説明いたします。これはWinnyのみの調査でございます。ファイル共有ネットワークで流通しているコンテンツの情報を分析しまして、効果的なファイル共有対策を検討するために実施しておる目的です。調査方法としましては、各ファイル共有ネットワークに対応したツールを使用しまして、実際のネットワークに流通している情報を取得し、分析いたしました。これはPC内にある情報を取得しているわけではなくて、バケツリレーとしてネットワークに流通しているファイルの調査をしております。調査の日時ですけれども、2007年9月28日の17時から9月29日の17時までの24時間でございます。
 コンテンツの流通状況につきましては、収集された情報よりランダムに2万件を抽出しまして、抽出データに含まれるファイル名を確認のうえ、各ファイルに推定されるジャンルと権利の対象及び許諾の有無について調査しました。これは、人間の目で現認しております。その結果、流通しているコンテンツの種類なのですけれども、これはWinnyのみの調査ですけれども、全体の1割程度がプログラムや書籍関連のコンテンツとなっております。全体の約51パーセントが何らかの著作物であり、その約92パーセントは著作権が存続しており、かつ著作権者の許諾なく流通していると推測されています。この集計外の49パーセントの中身なのですけれども、これは著作物ではないとは限らないものでありまして、例えばアダルトや同人ソフトといったものがこの集計外の中に含まれております。そのほか、「その他」というところなのですけれども、落語やラジオ放送、いわゆる音楽以外の音声データというものが多数含まれているということがわかっております。
 こうやって見ますと、プログラムというのが3パーセントぐらいで少ないのではないかというような御意見を持たれる方がいると思いますけれども、ほかの著作物の数との比較からいって、まだプログラムの著作物というのが音楽や映像等の数というところから比較しますと、相対的に少なくなってくるだろうということと、1ファイルごとに1著作物ではありませんで、この1ファイルの中にはたくさんのゲームソフトが格納されているようなファイルもございます。こういう観点から、このデータだけを見ると、プログラム関連が少なく見えるのですけれども、そういったことにつきましても今の御説明で少なくないということが理解される分もあろうかと思います。
 続きまして、ファイル共有ソフト以外の違法なアップロードの実態なのですけれども、これはいわゆる違法アップロードと言われるものの実態です。当協会が把握している問題概要としましては、携帯用ゲームソフトなどの容量の小さいファイルを中心としたアップロードがウエブサイトによって行われておりまして、中国やヨーロッパの海外サーバーにも蔵置されていることが散見されています。これにつきましては、当協会をはじめ、各権利者団体が削除要請等するのですけれども、なかなか中国などでは削除要請にすぐこたえてもらえない、著作権の帰属やライセンスがどうなっているかといったようなことを蒸し返されまして、対応されないということがほとんどであります。そういう状況の中で、違法アップロードについてほうっておける状態ではないのですけれども、今はそんな状況の中で対応が進んでおります。
 続きまして、そのアップロードサイトがどんなものかということで、これは皆さんのお手元にある机上の報告レポートのほうに記載されたと思いますけれども、これは画像が非常に悪いわけではなくて、差しさわりがあるのでこのように少し見づらくしておりますが、こういった形でネットにアップされています。そして、当協会にて把握している違法アップロードサイトの一覧というものがございますが、我々が把握しているだけでも31ございまして、大体ゲームROMとか携帯のクローンゲームとか、そういったものが中心に違法にアップロードされているというのが実態です。24番目にTシャツという内容が盛り込まれているのですけれども、これはTシャツに静止画がプリントされて違法に販売されているサイトだそうです。少し違和感を感じるかもしれませんけれども、そういう意味では24番目のTシャツというのは例外的なサイトかと思われます。
 最後になりますが、このようにインターネット上にはさまざまな種類の著作物が違法に流通しておりまして、また、現行法制では公衆送信権侵害の責任追及が非常に困難な中、このような状況を勘案していただき、あるべき法制度について議論を行っていただきたくお願い申し上げます。また当協会では、著作権保護の実効性を確保していくためには、法制度、保護技術、教育・普及啓発のバランスが大変大切だと考えておりますので、本議論をしていただくことに当たっては、この点もぜひ御考慮いただきたいと存じます。
 以上でございます。

【中山主査】

 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告を踏まえまして意見の交換をしたいと思います。何か御意見あるいは御質問ございましたらお願いいたします。
 どうぞ、道垣内委員。

【道垣内委員】

 全くファイル共有ソフトのことがわからないという前提でお伺いします。
 ハイブリッド型であれば、収益は広告などで得られるのではないかと思うのですが、そうでない形、ピア・ツー・ピアですと、お金目的ではないんでしょうか。これが1つの質問です。もう一つは、ピア・ツー・ピアのソフトウエアというのは、こういうこと以外にもっと何か有益な使い方といいますか、全部禁止されては困るような使い方もあるのでしょうか。質問はその2点です。

【久保田氏】

 わかりました。
 それでは、まずお金が目的ではないのではないかという件なのですけれども、おっしゃるとおりでありまして、収入構造みたいなものはないと言っていいです。とりわけWinnyについてはないということです。
 それから、有益な使い方はないのかということなのですけれども、もともとファイル共有ソフトと言われるように、だれもが知っているファイル名ということを前提にファイルが共有されることから考えますと、まずファイル共有ソフトという以上、著名なファイルが共有されるということからいうと、どうしても著作権法のほぼ保護期間内にある著作物というようなことがまずメインになるのではないかというふうに考えます。それ以外につきましては、著作権の保護期間を終えたものや、そのほか著作物ではないものといったものがファイル共有されることについては、私は問題がないと考えています。ですから、有益な使い方というのは、著作権の保護期間が切れたものや著作権の保護の客体にならないもの、その他、法益としてパブリシティーの問題やいろいろ別の法益から、ファイル共有されては困るものもたくさんあろうかと思いますが、そういうもの以外であれば有益な使い方も十分に考えられますし、現にこのピア・ツー・ピア技術それ自体が違法だというふうには当協会は考えておりません。

【中山主査】

 よろしいですか。
 ほかに何かございましたら。
 どうぞ、松田委員。

【松田委員】

 資料の確認ですが、資料4の6ページですけれども、先ほどプログラム関連の中にはゲームプログラムがあるように言われていましたが、それは映像関連との関係ではどうなのでしょうか。ゲーム用プログラムは、みんなこのプログラム関連3パーセントの中にしか入っていないというふうに考えていいのでしょうか。随分少ないように思ったものですから。

【梅澤氏】

 それでは、今御質問いただいた点につきまして御報告いたします。
 まず、ゲームROMデータの取り扱いにつきましては、プログラム関連という中にすべて入っております。先ほど久保田より御説明申し上げましたとおり、ゲームROMというのは容量が、ファイルサイズが小さいという関係がありまして、1つの流通しているファイルの中に多数のゲームの種類が詰め込まれている形になっております。その関係がございまして、集計の上では1つの1ファイルごとに数えていくのですが、実際の中を見てみますと多数のゲームが含まれているということから、ファイルの数自体は3パーセントなのですが、実際タイトル数というところを見ると、もう少し大きな数になろうかということでございます。

【中山主査】

 よろしいですか。
 苗村委員、どうぞ。

【苗村委員】

 今の質問の続きで、資料4の6ページの表について質問いたしたいのですが、かなり現実のファイルの内容などをごらんいただいて、それでこういうデータを集められたということから、多分実際に担当された方は、少なくとも感触としては経済的な価値がどの程度これによって被害を受けているのかというのがわかるのではないかと思います。例えば先ほどのお話のように、プログラム関連が全体の3パーセントであっても、それは全体のある種の経済的価値の中では何パーセント程度に相当するといったような感触があるのではないかという感じがするのですが、そういうことは中では議論はされていませんでしょうか。といいますのは、やはりこれだけ見ると3パーセントで、大したことないという印象をまず持ってしまうのですが、恐らくほかのものと比べて比較的価格の高いものがコピーされているということを主張されたのだろうと思いながら伺っていたのですが、何かおわかりでしょうか。

【久保田氏】

 ゲームソフトのタイトル数を考えていきますと、この3パーセントといっても、ほとんどのゲームソフトが上がっている、とりわけ任天堂のDSのように、今、外貨を獲得している著作物という中では、非常に重要な価値のあるものがこの中にしたためられていると。ほとんどコピーされて上がっていると言っても過言ではないと思います。そういう意味では、ダウンロードして利用されることになれば、一般のパッケージの商品も含めて、またモバイルに置きかえたソフトウエアという提供の仕方も出てきているわけですが、そういった正規のビジネスもこれによって非常に抑制されてしまうということは言えるかと思います。

【苗村委員】

 続けて関連の質問をさせていただきたいのですが、この資料4の1ページの1の中で、コンピューターソフトウエアに限らず、著作物全般について議論していただきたいというふうにお書きになっているわけですね。一方、お配りいただいた中で参考資料3−2は、これは著作権分科会で議論されたときの内容の要約だと思いますが、音楽・映画のみならずゲームソフトやビジネスソフトなどのコンピューターソフトウエアについても権利者の不利益が顕在化していることが明らかだということが明確に書かれてあって、それで録音録画だけではなくてすべての著作物をと書いてあります。この録音録画以外にコンピューターソフトウエアについても違法な複製物がファイル交換ソフトを介して流通しているというのは広く認識されていると思いますし、先ほどのデータにもあったわけですが、それ以外すべてということになると、これは特にゲームの著作物については大変難しい議論になって、そこまであわせて実態調査をし、またさらにこの30条の範囲から除くのがよいか悪いかという議論をするのは、大変難しいのではないかというのが私の感じなのですが、ここであえて著作物全般と書かれたのは、例えばこれ以外に何と何を含めるべきだというようなお考えがもしあれば、それを言っていただいたほうが。とにかくすべて全般というのは何か議論がしにくいような感じがするんですが、いかがでしょうか。

【久保田氏】

 おっしゃるとおりなのですけれども、逆に著作権法制度を考えていくときに、我々著作権の保護をやる中で、著作物というそれぞれ特性が違うものをデジタル化しているものもありますよね。そういう意味では、今は携帯小説なんかも出てきていますし、電子出版物もどんどん今ビジネスにしようとして動いております。そういう関係からいうと、今はたまたま音楽と録画物ということなのかもしれませんけれども、少なくともソフトウエアという範疇に入ってくるものは全部この違法なコンテンツ流通に巻き込まれるという観点がございます。そういう意味では、特定するほうが法制度的には書きやすいのかもしれませんけれども、ビジネスの実態や著作物の流通から考えると、この先考えれば、例えばクリエイティブ・コモンズ等の一般の人たちがつくったものというのも同じように巻き込まれていくだろうというふうに考えます。そういう観点からいうと、すべてのというのは言い過ぎでしょうけれども、少なくとも現状を考えまして、電子出版物なんていうのは今後大量にファイル交換されるのではないかと考えておりますし、現実に、ラジオ放送とかそういったものもファイル共有されていくという結論からいいますと、すべての著作物がと言わざるを得ないのです。ですから、逆に言うと、法制度をつくるときにこの著作物に特化してこういった具体的な例外規定というようなことよりは、やはりこの場ではかなり幅広く議論していただくことが必要かと思って、このような提案をいたしました。

【中山主査】

 ほかに御意見、御質問はございますか。
 どうぞ、茶園委員。

【茶園委員】

 2点質問があるのですけれども、1点目で、Winnyのファイル共有ソフトは、みんなが使ってどんどん広がっていくといいます。今後もいろいろ新しいものが出てくると思うのですけれども、新しいものはどういうように広まっていくのでしょうか。口コミというのか、だれかがそれをアップして、それを徐々に人が使っていって、いいという評判が立って広まっていくという、そういうことになるのですか。

【久保田氏】

 まず1つ目の御質問につきましてですけれども、雑誌もたくさん出ていますし、このファイル共有ソフトの利用者が昨年に比べて3倍にふえていると。ネットワーク利用者の9.6パーセント、約10パーセントがファイル共有ソフトを利用しているという状況が出ているのですけれども、これはもう雑誌はばんばん出ておりまして、もちろん口コミ等もありますし、我々自身は一昨年の段階では、啓発活動をきちんとやっていれば多少は数字が下がってくるのではないか、もしくは現状維持だというふうに考えて啓発活動を一生懸命行ったのですけれども、やぱり雑誌等のWinny等の利用の仕方とか、そのほか一般の雑誌までこういうものがあると便利だよというような書きぶり、もしくはもっと大きな形で、もうそうなったほうがいいではないかというような、著作権保護制度なんかなくて自由に情報が流通するのだったらそれでいいじゃないかというような大きな流れの中で、こういったファイル共有ソフトのコマーシャルといいますか、広告をいろんなところでされていると。口コミでもあると思います。高校生など、逆に若い人たちほどよく知っているという状況だと思います。

【茶園委員】

 もう一点なのですけれども、これは私的複製、30条との関連において御報告されたと思うのですけれども、例えばWinnyで複製物が作成されることは、これはネットにつながっているわけですから、私的複製ではなくて、単なる複製権の侵害ではないか、30条の範囲を狭めるかどうかという問題以前の問題ではないかというように思うのですけれども。そして、仮に30条の問題としてこれを除くとしても、御報告では、仮に情を知ってという要件を設けるとすると、その規制は極めて難しいということでした。これも規制対象にすると考えられているということは、例えば一旦警告をして相手方を情を知ってに陥らせて、それで権利行使という、何かそういうことになるのではないかと思いますが、それでよろしいのでしょうか。

【久保田氏】

 今の問題は非常に難しくて、まず私的使用の観点からいったとき、私的使用の問題にならないのではないかということなのですが、技術ですからその利用者についてもどこまで、要するに私的なダウンロードというふうに思ってソフトウエアの機能を使っているかという故意の問題と言ったらいいですかね、認識認容の問題からいって、どういう状況かというのは非常に難しい問題があろうかと思います。要するに、きょうここで御説明した簡略化したファイル共有の実態であれば、ファイル共有システムに参加すること自体が、もう私的な領域ではないだろうというというようなことも言えると思うのですけれども、パーミッションといいますか、自分だけにダウンロードできる機能をこのファイル共有ソフトをダウンロードした後に設定するとか、その辺はファイル共有ソフトをつくっている人も、そういう言いわけができるようにちゃんとつくる部分もありまして、なかなかそこのところを明確に、このファイル共有ソフトというのを使っていれば私的な領域ではないというふうに言い切るのは難しいです。そういう機能を追加されてもそういう理由が立ちますから。これが一点あります。
 それから、もう一つのほうは情を知ってですが、これについては、まだ我々は何も検討しておりませんで、先ほど冒頭の部分で言いましたように、そういうことを勘案していただいて、実効性のある手続なり環境みたいなものを整備していただきたいと、そういうお願いです。

【中山主査】

 どうぞ、土肥委員。

【土肥委員】

 茶園委員の権利行使の関係の質問になるのですけれども、結局ハイブリッド型ですと、おっしゃったように情報管理サーバーがあるので、ここを押さえておけば、例えば所在情報というのですか、これを削除してもらうとか、そういう手があるので、アップロードについての対応についてこれはできるけれども、ピュア型というのですかWinny型、これについては所在情報がバケツリレー型でサーバーがない関係で権利行使ができないということで、ぜひこの対応ということなのですけれども、仮に対応したときに、30条の外に置くということは実際問題としては権利行使をするということになるわけですよね。つまり、アップロードではなくてダウンロードした人に対して権利行使をするということは、ダウンロードをした人にはどこからダウンロードしたということは当然当該行為に関しては捕捉できるのではないかと思うのですけれども、そういうふうに理解することはできませんか。

【久保田氏】

 具体的に説明させます。

【梅澤氏】

 先ほどの御質問につきましてお答え申し上げますと、まず先ほどより権利行使につきましての御質問を皆様からいただいておるのですが、先ほど久保田が御説明申し上げていましたとおり、権利行使というところにつきましては踏み込んで検討を、申しわけございませんが、まだ検討しておりませんので、私のほうではとにかく本日報告させていただいたのは、インターネット上で流通しております違法コンテンツの実態について皆様にぜひとも広く知っていただきたいというところが目的だということでございます。
 先ほど御質問いただいた件につきましては、Winnyの場合ということに限って御説明申し上げます。Winnyの場合、資料でいいますと資料4の3ページ目になろうかと思います。Winnyの類似のファイル共有ソフト、これはShareと呼ばれるものもほぼ同様のシステムなのですけれども、コンテンツがネットワーク上に流通するに際しては、キャッシュと呼ばれる暗号化されたファイルが作成されまして流通されます。実は一番ポイントと考えられるのは、下の1から3の部分だと思われます。キャッシュだけからですと、その人が自主的にアップロードしているのかどうか、ファイルをダウンロードして送信可能化状態なのか、中継されたことによって送信可能化状態になるのかというのがWinny類似の場合は一切判別できないのです。これは開発者が仕組み上そのようにつくっております。実はこの3番の中継と呼ばれる機能によって自動的に複製されるというのも、つくった人のソフトの仕組みの設定で一定の確率でこの中継というふうなものが発生するのです。そのようにしますと、Winnyを使用している人も実際、先ほど久保田より認識の話をさせていただきましたが、知らない間に中継者となってファイルの流通に参加しているというようなことになる場合がございます。その点からすると、非常に匿名性が確保されているソフトウエアだという、これはこちらから申し上げられることでございます。

【土肥委員】

 ありがとうございました。

【中山主査】

 ほかに。
 どうぞ、末吉委員。

【末吉委員】

 くどいようで申しわけないのですけれども、2つ質問させていただきます。
 1つは、ハイブリッド型ということを前提に、あるいは机上配付資料を拝見すると、ハイブリッド型であってもアップロードの実態とかサーバーの所在とか、まだ検討なさっていないということを言われましたけれども、差止めをしようとする侵害行為の特定は実際に裁判をする場合には難しいのではないかと弁護士としてひとつ思ったのですけれども、ハイブリッド型についての権利行使について、何か御意見を伺いたいというのが1点です。
 それから2点目は、3パーセントがやっぱり少ないかなという感じがするので、逆にこの点について、プログラム関係というか広い概念だと思うんですけれども、このマーケットにとって無視し得ない影響があるんだということが何か言える材料とか、要するにコンピュータープログラムとかゲームであるとか、そういうマーケットから見て無視し得ない損害というか、そういう実情があるのだということを何かお示しいただけないかと、この場でなくとも何かそういう考え方はないかと思ってあえて伺うのですが、この2点をお願いいたします。

【久保田氏】

 まず、その3パーセントのところは、逆に言うと、先ほど御説明したようにファイルの中に、例えば今までの違法行為を見ても100in1とか、要するにゲームソフトでファイルサイズが小さいとたくさんまとめて1ファイルとしてカウントされるということになると、この3パーセントというところの、それと同時にゲームソフトと言われる著作物の数の総体を比べたときに、私は決して数字として少なくないのではないかと思います。

【末吉委員】

 すみません、その数字が出せないかということです。お言葉は理解しています。

【久保田氏】

 要するにファイルの中身を全部チェックして。

【末吉委員】

 全部というより、何かやりようはないかということです。この場じゃなくても結構です。お願いということで。

【久保田氏】

 努力します。本当にゲームソフトについては、海外で唯一アニメと一緒に頑張っているところで、今こういったファイルがたくさん違法アップロードされたりファイル共有されたりすることによって、今後モバイルの形態にもどんどん入ってきている中で、これが放置されると、本当にソフトウエアというのは、それだけでしか収入が上がらないのです、ゲームソフトもそうですが。ほかの例えば実演家の方がいたり、映画ということは銀幕から入ってきたり、パッケージでと、たくさんの流通形態があって、何とかカバーのしようもビジネスモデルも立てようがあると思うのですけれども、コンピューターのソフトというのはそれだけでしかビジネスができないという意味も込めると、かなりこれは厳しい状況だろうというふうに考えます。
 それは努力するということで、次のもとの権利行使については、残念ながら権利行使につきましては我々もたくさんの弁護士さんやそのほか実務家の方と考えて、その難しいところを実は刑事手続等も行っておりまして、知恵は常に出しておりますので、やれるだろうというふうに考えております。

【中山主査】

 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、時間も大分過ぎましたので、この辺で終わりにしたいと思います。
 今日はありがとうございました。
 それでは、次回の小委員会では、本日のヒアリングの結果を踏まえまして議論を整理したいと思います。まだ若干時間もございますので、今期の法制問題小委員会において検討すべき課題につきまして、これまでに挙げられているもの以外も含め、幅広に自由討議を行っていきたいと思います。
 まず、本小委員会の検討課題に関するこれまでの議論の状況及び最近の政府の知的財産戦略本部の状況等につきまして、事務局より説明をちょうだいしたいと思います。その後、全体を通じて御意見、御質問をお願いしたいと思います。
 それではお願いします。

(4)その他

【黒沼著作権調査官】

 それでは、まず資料の5を御覧いただければと思います。今後の本小委員会として優先的に取り扱っていくべき審議課題は何かということで記載させていただいたものでございます。御覧のとおり、私的使用目的の複製の見直し、デジタルコンテンツ流通促進法制、機器利用時・通信過程の蓄積、検索エンジンなど、それから次期知的財産推進計画に盛り込まれた課題、こういったものを、当面の、ということで掲げさせていただいております。この趣旨といたしましては、今期の法制問題小委員会は前期からの継続課題が多々あるわけでございますけれども、まずは、その引き続きの検討課題の中で、アクティブに検討が続けられている課題から順次検討を進めていったらどうかということで、これらを掲げたわけでございます。それがいいのかどうかという観点で後ほど御審議いただければと思うのですが、そのご議論に資するよう、参考資料の4から7で、これまでの検討状況について若干御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、参考資料4でございますけれども、こちらは昨年の法制問題小委員会の開始に当たりまして、検討課題として掲げられた事項でございます。ワーキングチームのものをとりあえず除外しまして、法制問題小委員会の部分で掲げられていた検討課題としましては、デジタルコンテンツ流通促進法制の課題、海賊版の拡大防止のための取組として2番目と3番目がございました。それから4番目として、障害者福祉関係、教育目的などの法制上の課題、いわゆる権利制限と呼ばれるものでございます。それから通信・放送の在り方、それから私的使用目的の複製、こういったものを検討課題として御審議をいただいていたわけでございます。
 それが、昨年1年間でどのように議論されたかというのが参考資料5でございます。こちらは前期の1月30日に、今年度の審議経過として取りまとめをいただいたものでして、全体としてすべての課題が引き続き検討ということになっているものでございます。ただ、進捗状況としては多少濃淡ございまして、そのまま引き続きさらに検討すべき課題があるものと、概ね検討結果が得られて、あとは微調整をすればいいものなどあります。この中でその後も検討途上になっているものについて御紹介いたしますと、例えば2ページのデジタルコンテンツ流通促進法制につきましては、前期の小委員会では、状況分析といいますか検討課題の背景についての分析という段階まで行っておりまして、デジタルコンテンツ流通促進法制は主に2つの課題から成っているということで整理をしてございます。
 1つ目は、過去にインターネット以外の流通媒体での利用を想定して製作されたコンテンツ、例えば放送番組などでございますが、そういったものをインターネットで二次利用するに当たっての著作権法上の課題、それともう一つは、インターネットを活用して創作が行われるなど「制作」や「流通」の概念で分けることが困難な形態ですとか、不特定多数がかかわって創作、利用が行われるような形態、こういったものに関する著作権法上の課題。大きく2つ中身があるのだろうと整理をいただきまして、前者につきましては、過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会と審議事項が重なる部分がございますので、そちらの進捗状況を踏まえてさらに検討するということにされておりました。それから、後者の課題につきましては、まず実態がどうなっているのかよくわからないということもございまして、まず実態調査をしてからその結果を見てさらに検討すると、そういった状況で前期は審議を終わっておりました。
 それから、権利制限の部分につきましてはいろいろと濃淡ございまして、取り扱った課題としては1薬事関係、2障害者福祉関係、3ネットオークション関係、4その他、いろいろあるのですけれども、障害者福祉関係につきましては比較的結論に近いということで、さまざま速やかに措置をすべきだなどという御意見もありましたし、1薬事関係につきましては、いろいろと基本的な論点から対立があるということもあり、さらに検討すべきというような状況になってございます。
 それから、検索エンジンに係る法制上の課題につきましては、検索エンジンが行うウェブサイトの収集などの行為につきまして、日々いろいろなウェブサイトをめぐってそれを収集して蓄積をしているのですが、それが著作権法上複製に当たってしまうのではないかというような懸念があって検討されていたものですけれども、まず、この検索エンジンの安定的な運用に配慮する観点から権利制限を講ずることが適当という結論の一方で、一部残された論点がございまして、権利制限の対象範囲、つまりどのような検索エンジンを対象とするのかという点ですとか、権利者が検索対象となることを拒否した場合の対応、それから違法複製物をいろいろ収集してしまっている場合の対応などについて、まだ結論が得られていないというような状況になっております。
 それから、機器利用時・通信過程における一時的固定ですけれども、こちらはデジタル機器などを使うときに必然的にできてしまうような機器内部での電子データの蓄積などにつきまして、これを著作権法上複製として取り扱うべきなのかどうかなどについて御議論が行われていたもので、平成17年度の御議論では、平成19年を目途に結論を得るということとされていたものでございます。昨年以来デジタルワーキングチームで検討を続けられておりまして、機器利用時における蓄積と通信過程における蓄積と分けて検討して、平成18年1月の報告書の要件を再精査するというような作業が続けられております。
 その他もろもろ引き続き検討となっている課題があるところでございます。
 また、参考資料7で、知的財産戦略本部で今どのような検討が行われているのかにつきまして、若干御紹介をさせていただきたいと思います。こちらは、3月に知的財産戦略本部に置かれました各専門調査会の報告が行われておりますけれども、そこから著作権関連部分を抜粋したものでございます。非常に盛りだくさんでございまして、特に法制度にかかわる部分だけ御紹介をしたいと思います。
 なお、こちらはまだ専門調査会の段階の検討でございますので、これがこの後、大体5月、6月ぐらいに決定される知的財産推進計画にどこまで盛り込まれるかは、まだ確定をしているものではございませんし、引き続き知的財産戦略本部の中で検討されるものもあるのかもしれませんが、現時点での御参考ということで御紹介をさせていただきます。
 まず1ページ目の2(3)のところで、検索サービスが普及している中で、ウェブサイトの収集等についての著作権法改正についての所要の措置を講じるという指摘ですとか、それから、新しいビジネスの展開に当たって著作権法等の法制度が過度の制約にならないよう、フェアユース規定などを参考としつつ、権利行使に関して調整する包括規定の導入の可否などについて検討するというようなことが言われております。
 それから、3ページ(2)ア(ア)1のところで、図書館に存在する学術情報へのアクセスの改善ということで、国会図書館などを初めとする図書館の蔵書をインターネット等を通じて国民が容易にアクセスできる環境を整備することが重要ではないかという御指摘が出ております。それから、その下の3、学校によるインターネットを利用した遠隔授業が可能となるような措置を検討すべきではないかというようなことが言われております。
 また4ページにまいりまして、研究開発目的の情報利用の円滑化ということで、映像・画像解析、テキスト解析などの技術開発をするためには、いろいろ研究素材がなければいけないという観点から、映像、テキスト等に関する膨大な情報を蓄積して研究目的で利用することについて、これを円滑化するための方策を検討すべきだという御提言です。
 それから2でも、同じように研究開発目的というところから、既存ソフトウェアの解析を行う際の著作権法上の取扱いについて検討を行うべきではないかと言われてございます。
 それから、先行技術文献についての利用を円滑化するための方策も検討すべきだと言われてございます。
 7ページに移りまして、今度はコンテンツ関係の専門調査会の御提言でございます。7ページ(1)1の一番下のところで御説明すると、コンテンツ共有サービスなどを介しまして著作権侵害のための「道具」や「場」などを提供したサービス事業者の法的責任を明確にするということが言われてございます。
 それから8ページ(2)1、通信・放送の垣根を越えた新しいサービスへの対応ということで、サービス事業者の社会的影響力や新たなコンテンツの創作への寄与等を考慮しつつ、利用者から見たサービスの形態に応じて、権利関係の規定の見直しや著作隣接権の在り方を検討するということが言われてございます。
 それから2につきましては、また先ほどと同じように、ネット検索サービスについての法的措置ですとか、情報の検索解析技術の開発の支援について言われております。
 その次の部分は、端末やサーバーにおける一時的蓄積についての問題について法的な課題を解決するための検討を行うものでございます。
 それから9ページ(3)1の部分、個々の法的課題について整備を進めるということではなく、新たなビジネスモデルの開発、コンテンツの利用形態の出現を視野に入れて、より迅速かつ柔軟に対応できる制度を目指すべきではないかというようなことを言われております。
 さらに、11ページ(2)1ですが、過去に放送された番組について積極的に二次利用を行うべきという観点から、権利者が所在不明となっているような場合についても利用可能とするような法制度を検討すべきということで、著作権同様、著作隣接権についても裁定制度を設けることを検討するということが言われております。
 それから、2、多数の権利者のうち少数でも反対があった場合には、なかなか流通が難しいということもあって、複数の権利者がかかわる場合に、コンテンツの円滑な利用を促進するための権利行使の在り方について検討すると言われております。
 それから、12ページから13ページにかけての部分で、また国会図書館の関係について言われておりまして、一定の範囲内で図書館が権利者の許諾なしに蔵書をデジタル化できるような方策、他の図書館や利用者にコピーを提供する際のファクスや電子メールの利用などについても検討を行うなどなど、たくさんの提言がされております。
 今、既にこちらの法制問題小委員会で検討している課題もございますし、また、どの課題が今後知的財産推進計画2008に盛り込まれるのか、あるいは、盛り込まれたもののうちどこまでが文化庁で検討すべしということになるかわかりませんけれども、こういったことが検討されているという状況を踏まえまして、資料5に戻っていただきまして、当面どのような審議事項を検討していくべきか、あるいはこちらに書いていない引き続きの検討課題なども含めまして御意見などいただければと思っております。
 よろしくお願いいたします。

【中山主査】

 ありがとうございました。
 それでは、全体を通じまして、御意見あるいは御質問ございましたらお願いいたします。
 余り盛りだくさんで、どこから質問していいかわからないかもしれませんけれども。
 では、村上委員、どうぞ。

【村上委員】

 先ほどの説明を聞きますと、私的使用目的の複製の範囲が真っ先にやるべき大きな議論という気はいたします。それで事務局から資料3−1で、既にほかの国ではいろいろ対応した事例もあるということで、ドイツ、フランス、スペインではということで紹介がございました。そのときに先にやった国の経験なり知識というのをできる限り利用するのがいい。ファイル交換ソフトを利用したダウンロード、そういうものも録音録画のほかに法律改正で手を打った場合、その内容に含まれているのかどうか。ほかの国では結局どの範囲までを対象として法改正をやったのかという点をわかれば教えていただきたいというのと、もう一つは、そういう場合どういう措置を講じているか。違反があった場合に、例えばどういう措置をとって違反抑止をするとか侵害がなくなるようにするという、その場合の措置みたいなこともどういうふうに考えられているかという、そういう外国の事例がもしわかりましたら、教えてもらうのが一番早いのかなという気がいたします。
 以上です。

【中山主査】

 室長、どうぞ。

【川瀬著作物流通推進室長】

 私も詳細に各国法制を承知しておりませんので、例えば例としまして、昨年の9月に法案が国会を通過しましたドイツ法でございますけれども、この1月1日から施行されていると聞いておりますけれども、ドイツ法では特に著作物については限定をしているとは聞いておりませんし、また利用行為について録音録画に限定をしているとは聞いておりません。この取扱いは各国によってそれぞれ考え方があるだろうと思います。例えば、私的録音録画小委員会では罰則の適用については、従来30条の関係は罰則の適用はありませんでしたので、その延長線上で考えていけばいいのではないかという議論があるわけでございますけれども、ドイツ法は罰則の適用があるということでございます。
 なお、運用面についてはそれぞれ各国とも関係団体等にいろいろとお話を聞いたりしておられて、実行可能かどうか、その点については確認されているというふうに思いますけれども、まことに申しわけございませんけれども、詳細は承知をしておりません。

【中山主査】

 ほかに何かございましたら。よろしいでしょうか。
 もし御意見、御質問ないということでしたら、本日はこのぐらいにしたいと思います。
 最後に、事務局から連絡事項ございましたらお願いいたします。

【黒沼著作権調査官】

 それでは、次回の法制問題小委員会でございますけれども、資料5のような課題を念頭に準備させていただきたいと思います。日程につきましては、今4月中旬ぐらいで調整をしておりますが、確定し次第また御連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

【中山主査】

 それでは、本日はこれで文化審議会著作権分科会の第1回法制問題小委員会を終了いたします。
 本日は長時間ありがとうございました。

(文化庁著作権課)