参考資料7

知的財産戦略本部における検討状況

知財フロンティアの開拓に向けて(「分野別知的財産戦略」)(2007年11月21日 知的財産戦略本部知的財産による競争力強化専門調査会)−著作権関連抜粋−

2.知的財産を活用して新たな市場・ビジネスモデルを切り開く

(3)新技術の事業化に係る制度的問題を解消する

 ネット上に存在するウェブサイトから必要な情報を検索するビジネスモデルとして検索サービスが普及しているが、ウェブサイトの収集等に当たり事前に権利者からの許諾を得ることが現実的には不可能であり、著作権侵害に該当しかねないとの問題を解消するため、早急に著作権法改正等の所要の措置を講じる。また、この問題を契機として、新しいビジネスの展開に著作権法等の法制度が過度の制約とならないよう、米国著作権法におけるフェアユース規定等を参考としつつ、権利行使に関して調整する包括規定の導入の可否などについても検討する。

(4)新たなビジネスモデルに係る知的財産上の問題を払拭する

 ソフトウェアの機能をオンデマンド方式でユーザーに供給する新たなサービスであるASP(Application Service Provider)やSaaS(Software as a Service)においては、ユーザーが提供したデータをサービス提供事業者が処理した上で蓄積することとなる。この場合、当該処理を行うソフトウェアに係る著作権が侵害されるおそれがあることを理由に当該サービス提供事業者が他の事業者へのデータの移管を拒むことにより、ユーザーが特定のサービス提供事業者と固定的な取引を余儀なくされてしまうといった問題が生じている。ASP、SaaS事業の円滑な発展を図るためには、知的財産権に関する契約ルールを整備することが急務である。このため、契約の雛型や知的財産の取扱いに関するガイドラインを早急に作成し、その普及を図る。

(5)OSSへの円滑な取組を確保する

 OSSは、調達の透明化、コストの低減等の観点から有意義であるとされているが、GPLver.3では当初著作権管理機能の使用禁止条項が盛り込まれていたところ、このような条項があるとコンテンツビジネスや組込みソフトウェアを扱う企業のビジネスモデルが成立しない可能性も指摘されている。このため、GPLver.3の文言解釈に係る問題を早期に解決するとともに、新しいOSSやライセンス方式の作成に関して、組込みソフトウェアを始め競争力を有する産業分野に混乱が生じないよう、ビジネスの実態を踏まえつつ積極的に関与していくべきである。我が国がリーダーシップを発揮して新しいOSSや新しいライセンス方式を提供できるよう関係者による一層の努力を促す。

5.国際展開を促進する

(6)模倣品・海賊版拡散防止条約の早期実現に向けた取組を強化する

 我が国は、2005年のG8グレンイーグルズ・サミットにおいて模倣品・海賊版防止のための法的枠組み策定の必要性を提唱し、その後も米国等と連携しつつ早期実現に向け精力的に取り組んできた。今般、米国、EC、カナダ、スイス、ニュージーランド、メキシコ、韓国等知的財産の保護に関心の高い国々と緊密に連携を図り、本条約において実現すべき内容について集中的な協議を開始することとなった。今後も関係国との協議において方針や見解を迅速かつ明確に示し議論をリードし、本条約の早期実現に向けた取組を一層加速する。