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学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議(第3、4回)議事要旨・配付資料

1.日時

平成20年6月26日(木曜日)10時〜15時35分

2.場所

文部科学省東館10階第2会議室

3.議題

  • (1)関係団体からのヒアリング
  • (2)その他

5.議事

【委員】

 定刻になりましたので、第3回、第4回の教職調整額の見直し等に関する検討会を開催したいと思います。
 審議の内容は関係団体からのヒアリングを行いたいと思います。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 私どもは義務制の学校に勤務をする事務職員で構成をされた全国組織であります。教育を通じて子どもの豊かな育ちを願い、さまざまな取り組みをしております。本日は意見発表の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 私どもは学校現場におきまして、日々子どもたちと接し、子どもたちを見続けております。子どもたちをめぐる生活環境、家庭や地域、社会の変化は激しいものがあり、学校では子ども一人一人へのきめ細やかな教育が求められています。さらに、保護者や地域から信頼される学校づくりとして地域へ開かれた学校経営の実現と説明責任が求められています。これらに対応するためには、学校教育目標達成に向けた学校運営の改善、学校裁量拡大や特色ある学校づくりを実現するための学校組織の運営体制の確立、そして教員が子どもと向き合う時間の確保や学校現場の教育諸条件の整備が必要です。
 今回は事務職員の立場から日ごろ気づいたことなどをもとに、意見を述べさせていただきます。
 学校の組織運営の在り方についてですが、組織として問題解決にあたる体制の構築、地域の人材や外部の専門家の活用などの2つの観点から申し上げます。
 まず、学校をめぐる環境はますます複雑化をし、問題が解決できる体制が求められています。これには校内組織の整備、学校運営を支える機能の充実、事務処理体制の整備を行うことにより、学校運営を円滑にする体制が構築されると考えております。
 次に、校内組織としまして、支援部門の長である事務長を設置にすることにより、教育活動部門の長である教頭とともに校長を補佐する体制となり、学校組織運営の強化を図ることができます。近年は地域支援組織との連絡調整、地域の人材や外部の専門家の活用など、外部との調整に係る業務が増大しています。渉外部門の明確な位置づけも必要と考えます。何よりも教員が子どもと向き合う時間の確保や効果的・効率的な指導のための条件整備には、事務処理体制の確立が有効な手段であると考えます。
 学校裁量が拡大をし、財務・情報管理・施設設備管理などがさらに高度化をしており、加えて地域との連携など渉外や学校評価などの新たな業務が多々発生をしております。学校における事務部門を強化することによって学校の組織力の強化、ネットワークの強化、ひいては教育活動部門の強化にもつながります。
 事務処理の効率化を進めるためには、学校現場で迅速で的確な判断、決定ができるように、学校裁量権限を拡大し、同時に校内組織体制の中での内部委任を進めていくことが必要です。そのためには行政サービスの安定性を確保し、効果的な学校教育環境整備を図るための事務処理体制を整備することが必要であります。さらに、小中学校連携や中学校校区単位での教育活動や教育支援が進むにつれ、それを支える事務組織の構築も必要です。もちろん校務のICT化を推進することで、情報の共有化が進み、事務の効率化が図られると考えております。
 次に、教員の勤務とその処遇についてですが、今回は教員の勤務時間管理、時間外勤務の評価、能力・実績に応じた処遇、教員の専門性を反映した処遇の在り方の4点を軸に意見を述べさせていただきます。
 まず、同じ学校現場で働く同僚としまして、私ども事務職員も教員の時間、また心身に及ぶ負担に心を痛めております。よく言われることですが、教員は子どもにかかわることであれば、大変だとは言ってもしんどいとは決して言いません。私たちもそういう教員とともに働くことに喜びを感じています。
 教員の残業時間の増加の実態につきましては、平成19年3月の「今後の教員給与の在り方について」の答申にありますように、社会が学校に対する期待や学校教育が抱える課題の複雑化・多様化に対応する業務の増大が原因であると考えられます。
 今必要なのは、教員が教育に専念できる組織を構築し、適正な評価が行われ、教員としての使命感や誇りを持てるような勤務内容を精査することだと考えます。
 教員みずからが本来行うべき職務以外の職務を丸抱えしてしまうことが教員の勤務時間増につながっているとも考えております。
 まず、教員の勤務内容を分類し、事務職員や教員以外の職員の活用が可能な業務を、教員の職務内容から移行することで事務量を軽減します。その上で改めて勤務時間を把握することが必要であると考えます。勤務時間管理につきましては、校務分掌により推測できる時間と、児童生徒にかかわる予測不能な時間を区別することにより、可能となります。
 現在、日常的に行われている持ち帰り業務や常態化している時間外に及ぶ勤務についても、管理職の承認や把握が必要であると考えております。
 教員が抱える事務負担を軽減するために、教育活動部門と支援部門を学校運営組織の中で職種ごとに職務内容を明確にし、教員が子どもに向き合う時間の確保をすべきであると考えます。
 次に部活動の実態ですが、部活動指導のために過重な勤務となっている教員もいます。社会体育の指導者や外部指導者との連携と協働体制が今後ますます必要であると考えます。
 教員の勤務時間管理は、線を引くような管理は難しいところもあるのでしょうが、管理職による勤務時間の管理は現在も有効に行われていると考えます。さらに、適正な勤務時間を算定するためには、より一層の校務分掌の適正配置が求められます。
 次に、教職調整額について意見を申し上げます。
 学校にいて感じますことは、小学校などで特にそう感じると思いますが、子どもたちは先生が大好きです。ひとときも傍から離れない子どももたくさんいます。本校の場合、教員は子どもたちが登校してくる8時ごろから下校する4時ごろまで、職員室のいすに座ることはありません。子どもたちは1日中先生と触れ合うことによって、日々成長しています。教員の表情やしぐさはまさしく教育だと感じさせられております。教員もまた、そういうみずからの仕事にやりがいも誇りも感じています。
 後顧の憂いなき処遇であってほしいと思いますが、メリハリある給与体系の実現は学校を取り巻く内外の要望であると考えられます。教員それぞれの職責や職務、実績などにより、給与面に反映させることは必要であると考えます。仮に教職調整額の一律支給の見直しをする場合も、校務分掌や対外的な職務・職責を考慮し、優秀な人材の確保につながる給与になるような配慮が必要であると考えております。
 また、給与体系のメリハリを実現するためには、時間外勤務手当の導入も一つの方法であると考えます。
 次に、教員の勤務時間の弾力化につきましては、教員はその一人一人が子どもたちと向き合い、きめ細かな指導する時間を確保し、習熟度別・少人数指導や特別支援教育などの充実を図ることが欠かせません。そのためには公的・自主的を問わず研修による資質能力の向上の時間確保は重要です。また、長期休業中でありましても、補充学習や保護者との懇談などが実施されている現状から、変形労働時間制の導入についてはさらなる検討が必要であると考えます。
 最後になりますが、私ども事務職員は学習指導要領に基づき教育課程を編成し、学校現場に応じた効果的な教育活動を展開する、そのためのさまざまな学校教育条件整備に責任を持ってあたり、安全・安心で質の高い教育環境を整備し、子どもの豊かな育ちを支援していきたいと考えております。
 教育課程を実施するのは確かに教員グループですが、教育課程を運行管理するのは経営スタッフです。私ども事務職員は経営スタッフの中心的な一員であるという自負と覚悟を持ち、全力で子どもたちの教育にあたり、支援をするための責任を果たしていきたいと考えております。

【委員】

 校内組織の整備、学校運営を支える機能の充実について、どこをどのように整備する必要を感じておられますか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 学校の中での事務分担に関しましては、なべぶた型の構造であると言いまして、それぞれが職務の重い軽いにかかわらず全員が等しく分担をするような構造になっておりますので、これはそれぞれの職務負担というものを考えながら、学校の中での分担を具体的に考えていくべきだろうというふうに思っています。例えば生徒指導とその他の業務が、これは校務分掌にふさわしいかどうかという議論は残ると思いますけれども、全く同じように1人1役というふうになっているとすれば、それはやはり重きを置くほうにもう少し人数を割り当てるとか、軽くてもいいようなものは複数のものをまとめて一つの分担とするとかいうようなことが考えられると思っています。
 私ども事務職員に関しましては、今、私ども事務職員が全国的に進めております共同実施のような組織を校内にも持ち込んで、1人ですべてを負うというのではなくて、状況に応じては、何人かの事務職員が一堂に集まって事務処理をするということも積極的に考えていっていいのではないかというふうに思っております。

【委員】

 事務職員から見て、教員が本来行うべき職務以外の職務を丸抱えしているという話がありましたけれども、どういうところをもう少し分けられるというふうに思いますか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 一般論として話をさせていただきたいんですけれども、例えば先生方は子どもと接することがまず第一の仕事だと思いますけれども、実は机の上で書類を整理しているということが大変多いというふうに私たちは実感しております。その書類が例えば会計であるのか、あるいは調査の報告であるとか、そのものはたくさんあると思います。そういうものを私たちは事務職員の仕事とすることができるというふうに思っています。今、具体的に私たちは会計は少なくとも事務職員がするべきだろうというふうに考えていますし、そのように進めさせていただいております。少し進んだところであれば、学籍事務も事務職員ができるところから手がけようというふうに今始めております。さらに進めば、カリキュラム編成は先生方が行うのが望ましいのかもしれませんけれども、それに付随する時程管理であるようなことであれば、私たちが十分対応できるのではないかというふうに思っています。年度当初の忙しい時期に先生方がカリキュラム編成、時程管理にまで及んで、すごく長い時間をかけられている。私たちがそれを肩がわりすることによってかなり変わってくるのではないかと思っております。

【委員】

 事務職員さんは1人しかいないですが、そうなると事務職員の仕事が増えるわけですけれども、それは事務職員の中では基本的には合意されていることなんですか。自分たちの仕事は増えるけれども、教員が子どもと向き合う時間をつくっていこうという方向性では共通理解できているんでしょうか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 個々の意見はさまざまであると思いますけれども、事務職員全体の流れとしては理解をいただいているというふうに私どもは思っております。

【委員】

 このお話いただいた中で、校務分掌によって推測できる時間と、それから児童生徒にかかわる予測不能な時間が区別できるのではないかということでした。いわば事務職員さんがやられているのはある意味で推測できる時間が主であって、教員が本来やるべきことは児童生徒にかかわる予測不能な時間というふうにしていった場合、例えばそこでご提案としては教員に対する時間外勤務手当も一つの選択肢だというのは、いわば現状で教員の方が校務分掌によって推測できる時間もある程度やっていると。そこのところは把握できるけれども、児童生徒にかかわる予測不能な時間というのは時間外勤務手当ではちょっと難しいと。そのような感触だというふうに理解してよろしいでしょうか。むしろ逆ですか。児童生徒にかかわる予測不能な時間のほうが時間外勤務手当によって、要は長くなったら長くなった分に対して支払うべきであって、校務分掌によって推測できる時間というのは、これはむしろ教職調整額的なもので定額で払うべきだと。要は校務分掌に応じて手当ないし一律の金額で決まる。そのような感覚ですか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 はい。ご指摘のとおりにそのように考えさせていただいて、教職調整額をあくまでも前提として、さらにそこから超えてしまうような突発的な子どものことというのは結構ありますので、そういうことに関しては校長先生のご指導のもとということになると思いますけれども、何かの手当でカバーができるとよいなというふうに考えさせていただきました。

【事務局】

 学校の中で教員の時間管理ということについて、今、どのような形で行われていると思いますか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 全般的に申し上げまして、教員の時間に関する感覚というものはやや緩慢というか、寛大なものがあるなというふうには思っています。私どもの勤務校では先生が何時に来て何時に帰って、どのような仕事をしていたということは大まかには把握ができているというふうに思っています。持ち帰り業務につきましても、個人情報を持ち出すということは非常に難しいところがありますけれども、学校もある程度の時間になると閉めざるを得ないということになると、そこからはみ出た部分については、多分、校長先生なりは持ち帰って業務をやっているということを黙認されているというケースはあると思います。

【事務局】

 事務職員の方は今でも時間外勤務手当という形になっていますね。その場合にもやはりそういった承認という形で行われているのですか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 はい、もちろんそのようにさせていただいております。

【事務局】

 あらかじめの承認を受けてというような形ですか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 基本的にはそうですけれども、その辺の状況によって多少事後処理になることもあると思います。

【委員】

 変形労働時間制の是非についてもちょっとご意見がありましたけれども、事務職員の目から見て、長期休業中における教員の働き方を見ていると、現状ではかなり慎重であるべきだというふうなご意見として伺いましたが、ただ、超過勤務の今の実態に即して、すべてを時間外手当で対応するということは、きっと財源確保の面でもかなり難しいということを考えると、時間の代替措置で超過勤務のある部分については時間外手当ではなくて、時間を確保して、休日を代替させることで対応するという措置も考えざるを得ないと思っています。
 そう考えたときに、例えば夏休みにそういうふうに集中して休暇をとるところについては、例えば上限を設定して、かなり制限しながら夏休みのある部分を活用するという運用の仕方であれば、変形労働時間制の運用の可能性ということについてはどうお考えですか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 私の勤務校の例で申し上げますと、例えば昨年の夏休みの期間に先生方がどれほどの年休というか、学校に勤務をしないでいた日が何日かという、正確な日数は把握しておりませんけれども、今、例えば5日であるとか、6日であるとか、その程度の日数ではないかと思います。これも個人差が大きいところでありますけれども、ほとんどふだんと変わらず出勤をしてくる教員もおりましたし、多少長い休みをとる教員もおりましたが、特に夏休みのことですけれども、夏休みには非常にたくさんの研修とか、プールとか、補充授業とかをやっておりますので、まず7月は通常どおりの勤務とほとんど変わりはありません。8月の上旬と下旬については同様のことが繰り返されます。ちょうど中旬のあたりにやや休みがとれる時期があるかなというぐらいで、これは全国平均ではないかもしれませんけれども、そう考えると、1年単位の変形労働時間制になじむほどの大きな時間はとれないのではないかと思います。

【委員】

 小学校では部活はあまりやってないわけですから、休める人は結構休めると思うんです。ところが、今、自宅研修が認められないので、大して仕事もないのに学校に出てきて、1日過ごすという人もいるわけで、もっとメリハリをつけて休ませる方法を考えるべきじゃないかと思うんです。夏休みはそれほど週休日の振り替えはできないかもしれませんけれども、冬休みはもちろん休めるし、いろいろ工夫すれば、上限をつければ可能だと思っています。ふだんもサービス残業をやっているという実態があるわけですから、その分を夏休みに休ませるという発想はどうですか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 工夫の余地はあると思いますけれども、先生方の研修も今は多種多様なものがありますので、大して用もなく学校に来ているという教員は今あまりいないような気が私はしています。何かしら子どもが学校に来ていて、教員が対応していたり、学校に来ないでも、地域の研修センターなどで研修をしているというケースも非常に多いので、工夫の余地はあるとは確かに思いますけれども、どの程度の時間がそれによって振り替えられるのかは今のところはよくわからないというのが現状です。

【委員】

 都道府県によって大分違うみたいで、私も幾つかこの件で調べてみたら、きちんと夏休みに集中して休暇をとらせているような県もありますし、有給休暇取得の基準日を9月1日から始めてというふうな運用の仕方で、夏休みに休暇をとりやすいような仕組みにしている県も幾つかありますので、その辺は今後調べながら私たちとしても検討していきたいと思います。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 もしきちんと休めて、教員がリフレッシュできるのであれば、それはそれにこしたことはないと思います。

【委員】

 例えば小学校というのはほとんど全員の先生が担任を持っており、限られた時間の中で集中的にやらなければいけないし、子どもとかかわる時間は離れられません。また放課後という時間は、中学校とか高校と違って若干余裕があるということで、考え方として定数を増やすというのはなかなか難しいのですが、勤務を割り振るというか、分担をするという考え方はあるのかどうかですね。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 今も非常勤講師の先生方が来られて、担任の補助的な指導をしているというケースはありますけれども、担任そのものの時間をフレックスにするというのはちょっと今のところ考えられません。

【委員】

 担任そのものは難しいと思いますが、担任の先生がやっている中で、非常勤代替でできるのではないかという業務の内容があるとお考えでしょうか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 いや、難しいのではないでしょうか。ちょっと正確なお話はできませんけれども、もし教員がそのようにして非常勤講師の方とかで、ある程度担任の業務の幾分かを受け持っていただいたとしたら、その時間は必ず授業研究とか、そういうものに充てようとされると思いますので、実質的には学校にいる間目いっぱい働こうとされると思います。

【委員】

 事務職員の方は時間外勤務手当という制度のもとにあると思いますが、どれだけサービス残業が実態として起きているのかということ、それから命じるほうとしては残業手当がないから、結局命じられないということがあるのかということ、時間外勤務手当制度のためのお金は十分とれているのかということなどはどうですか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 私の個人的な感触で申し上げますと、非常に予算は不足しているというふうに思っています。教員とは違って行政職員として学校に配置されておりますけれども、そういいましても先生方と似たような動きをしますので、この時間になりましたから帰りますというふうにはなかなかいかないので、どうしても決められた時間、年間であれば80時間とか100時間という時間ではとても済まないという現状は確かにございます。

【委員】

 時間外勤務手当は80時間分くらい割り当てられているんですか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 それは都道府県によってさまざまだと思います。

【委員】

 実態の勤務時間は予算の範囲内では全然おさまらないというのは、事務職員にとっても同じであるということですか。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 はい。

【委員】

 学校とか教員の業務の負担軽減をするために、学校事務職員がいろんな取り組みをしているというのは、私もそれなりに知っているのですが、その中でも特に学校事務の共同実施が、教員の負担軽減の上でとても効果を上げているような取り組み事例というのはあるんでしょうか。もう一つは全事研の場合は共同実施を推進されていますが、文科省のほうから学校支援地域本部を全中学校区に設置するという動きもありますよね。そのことと共同実施というのは今後どういうふうな形で、共同してやれるものなのか。やはり役割分担が違うということで、学校支援本部と学校事務の共同実施というのは別々の取り組みとして取り組んでいくべきなのかどうか、全事研の考え方という形で何かありましたらお願いいたします。

【全国公立小中学校事務職員研究会】

 まず、共同実施で、実際に教員の事務負担の軽減としていろいろ調べておりますのは、例えば宮崎県小林市の取り組みは非常によく知られておりまして、大なり小なり宮崎県小林市の例を先例として、それぞれの共同実施の組織は実績をあげていこうというふうにしていると思っております。
 それから、共同実施は学校支援地域本部と学校との連携機能、あるいは、学校支援地域本部の事務局機能の一部を担っていくことなのではないかと思っていますので、積極的に私たちも情報を集めて進めさせていただきたいというふうに考えております。

【委員】

 では、次は全国公立学校教頭会のほうからご意見をお伺いすることにしたいと思います。

【全国公立学校教頭会】

 全国公立学校教頭会としましては学校のかなめとして、これは非常に大きな問題であるということの意識を持って、全国公立学校教頭会の意見として持ってまいりました。
 まず、この話を全国公立学校教頭会でしたときに、簡単に言えば、どうせまたこれで給料が下がるんだろうと。要はこの4パーセントを何だかんだ言って削って、最終的にはみんな減るんだろうと。実際に今、現場では給与がどんどん削られていく中で、これに対しては非常に敏感であるということを感じました。ですから、こういう制度をきちんと現場に説明するというのはすごく大変な作業になるというのが、まず最初に感じたことです。これの理解を図るには、お金の面というのはなかなか一筋縄ではいかないなという感じがしました。
 まず、学校の組織運営についてですけれども、確かに主幹教諭や指導教諭を置くと、校務分掌的には非常に有効に見えます。しかし、実際に今、全国に置かれている主幹教諭の状況を見ますと、担任を兼ねながらやっているというのがほとんどだと思います。そうすると、担任の職務プラス主幹教諭の職務ということで非常に負担が多い。ですから、ある都道府県においては、主幹教諭のなり手がだんだん少なくなってきている。せっかくの制度でありながら、それに対する現場の希望者が少ないと。職務内容は正しいんだけれども、それに伴う人的な担保が欠けている部分が、大きくこの職務がこれから上手に回っていかない一つの原因になっていくのではないかと思います。ですから、基本的には定数外配置していただいて、その中で主幹教諭を配置するのがベストではないかという考えです。
 2つ目、学校現場で負担感を感じているのは、全国公立学校教頭会で例年全国調査を行っていますが、保護者対応、生徒指導です。また、その次に来るのが調査です。中学校においては部活動の指導というのも、負担感を増す大きな要因になっています。あと、この次に来るのが、何かというと学校に何々教育という形で、どんどんいろんなものが押し寄せてくる。そして、削られるものは何一つない。ですから、持ってきたら、どこかで削るものもあっていいのではないかという声が上がっておりました。
 あと、委嘱できる主な業務は、保護者対応、生徒指導という視点から考えますと、学校弁護士やカウンセラーの配置、これは保護者へ直接対応というより、教員、もちろん担任が教育相談、保護者対応もかかわるんですけれども、専門家にきちんとしたアドバイスをしていただけると。考えたり悩んだりする時間が非常に多いわけですから、それに適切なアドバイスをしてもらえる。これは大きな軽減になると思います。それから、あとは人材バンクによる学習ボランティア。それから、会計事務、それから図書館業務、こういうものがお願いできるのではないかと考えております。
 ただ、給食の準備と後始末や清掃活動等は教育活動の一環というふうに言われております。日本の教育は、さまざまな場で子どもと担任が触れ合うことによって成立してきたという部分がたくさんあるので、現場の声としてはこういうものまで業者に任せたりすることはできないと。やっぱりきちんと指導していきたいという声がありました。
 2番目の教員の職務とその処遇についてですが、教員はあしたの授業をどう行うか、または来週どう行うかという、つまり次に持ち越せないということが結構あります。その中で、ここに書いてありますが、特に小学校においては、家庭の都合によって仕事を自宅に持ち帰る女性教員が非常に多いです。実際、小学校、中学校もそうですけれども、優秀な女性が教員になって教育界を支えているという部分も多々あると思います。ですから、その方たちの様子を見ますと、家庭の仕事を行ってから、家事ですね、その後、夜または深夜に及んで仕事をこなしているという現実があると思います。
 ですから、家庭を持つ女性の働きということでは、今、社会的にも評価をされているわけですから、学校においての残業だけを評価して、家庭での取り組みを評価しないというシステムはそぐわないと思います。ただタイムカードで学校にいる時間で処理をして、それで勤務時間これだけですから、手当はこれだけというのはそぐわないし、今やるべきものではないと考えております。
 あと、教員の処遇についてです。頑張る教員を認めてくれるのは大いに結構なことだと思います。しかし、能力や実績の評価基準をきちんと作らないと、逆に現場に不信感を抱かせると同時に、逆にモチベーションを下げることになりかねないと思います。
 持ち帰り時間、これは持ち帰り業務ですけれども、下に簡単に表をつくっておきました。本来であれば、勤務時間内に仕事が終わるようにということが望ましいのですが、現実では今のままでは持ち帰り業務というものは絶対に減ることはないと思います。小学校においては4時近くまで子どもとずうっと一緒に過ごします。そうすると、その後、会議や、打ち合わせ、または事務処理等を行うわけですから、実際に教材研究、あしたの授業の準備、また保護者対応等もこの中に入ってきます。ですから、実質的には不可能です。そうすると、これは教員数を増やす、または空き時間を増加させる以外には、勤務時間内で行うということは不可能です。どうしても持ち帰って仕事をせざるを得ないというのが、日本の教育界の現状だと思います。
 教職調整額ですが、大きな問題として、管理職が教員の時間外勤務は妥当性を持ったものなのか判断するのが非常に難しい。職員室でずっと仕事を行っているわけではございません。ですから、頻繁に確認したりチェックをしなければいけない。そうすると、業績評価だけでも非常に大きな現場では負担となっているところにこういうものが重なってくると、副校長、教頭の負担と時間外労働というのは今以上に増加すると思います。
 中には手当が欲しくて、学校にずっと残る教員もあらわれる可能性もございます。また、これからの高齢化社会では、お年寄りの面倒を見なきゃいけないから、帰って仕事をするケースもあるでしょう。そういう人たちにどう対応していくのか。やはり血の通った評価をしていかなければいけない。これは非常に難しいと思います。
 あと2番ですけれども、働かないものには払う必要はない。これは当然だと思います。不適格教員という認定を受けて、研修を受けている方にも現在は払っていると思います。そういうものは大いにカットしていいのではないかと考えています。
 3番ですけれども、結局、副校長は、職員が帰るまで学校にずっと残っていかなきゃいけない。朝も職員よりも早く来なければいけない。これは非常に難しい。また、ここで業務が終了で、ここからは業務ではないとどう判断するか、また職員が確かにその判断は公正・公平であるというふうに認めるか。そういう部分では非常に難しいものがあると考えております。
 あと、これを行うための準備ですが、資料に書いてあるとおりです。
 そして、最後になりましたけれども、教育の質の高さ、教員の質の高さを維持してきたのは、今の日本の教育システムであるというふうに私たちは考えております。ですから、私たち教頭も今の日本の教育の給与システムは高く評価しておりますので、そこを十分に考慮していただいて、新しい制度を考えていただければと思っております。

【委員】

 主幹教諭が実際は定数外配置になっているということが非常に大きな問題であるということですが、逆を言いますと、一つは主幹教諭を含めたような形で定数措置していくということが可能になれば、この点は一つ解決の道があり得るのではないかと考えます。義務教育費国庫負担金の積算とか定数改善の問題として、主幹教諭を入れ込んだ形で定数を割り振った上で、各府県で主幹教諭を置くかどうかの判断は自由にしておけば、ある程度成り立つのではないかということについて、どうお考えですか。

【全国公立学校教頭会】

 それが最善の方法だと思います。

【委員】

 それからもう一つは、持ち帰り業務は正面から制度的に認められているわけではないので、それを正面から認めるためには何か手当みたいなものが必要でしょうか。
 家に帰って仕事しているのかどうかわからないから、そこまでお金が払えないと言われたときに、なかなかつらいと思うんですけれども、実態としては、ワーク・ライフ・バランスということが社会的に求められていて、むしろ教員の世界はそれを先取りしてやっていたと思うんです。家に持ち帰ってやっているということは正当であるということを、住民に理解してもらう必要があるのですがどうしたらそれはできそうでしょうか。

【全国公立学校教頭会】

 今、一般に住民の方たちは、そういう仕事が家でなされているというのは理解していないと思います。大体、学校の中で処理しているんだろうと。ただ、1人教員が学校に増えることによって、例えば主幹教諭が1人増えることによって、業務を大きく軽減する、持ち帰りを非常に少なくするということは可能だと思います。
 あとは、やはり均一的にある程度、例えば成績処理の時間などは、学校のほうではきちんと午後の授業をカットして確保しております。ですから、何日か、何時間かきちんとできる会議等を精選して、現場の中である程度対応することは可能ではないかというふうには考えております。ただ、成績処理のとき、あとは研究授業についての教材研究というのは、ある意味これはサービスであると考えます。これは限界がありませんので、人によって全然違います。ですから、それをここまでは勤務時間だと推し量ることはなかなかできません。ただ、テストの処理とか、そういう部分においてはここからここまでの日にちには均一で、1日2時間は家でやるだろうという基準をつくることは可能じゃないかなと考えております。

【委員】

 仕事はどんどん学校に入ってくるけれども、スクラップできるものがないと。現実に何をスクラップできるかというと、なかなかないのです。自分たちが考えても削るわけにいかない。
 そういうことで、例えば副校長先生の立場で、今の仕事がこれだけあって、新しい課題がこれだけ入ってきて、スクラップできるものはこういうものがあると、そういう対照表のようなものができるのかどうかということが1つ。
 先生の仕事ってそんなに簡単に人に振れないので、教師として教えること以外は、例えば事務的な仕事で、こういうものは外部に委託できるよという、その辺の線引きがなかなかできないように思っているんですが、その辺の線引きができるようなシステムが学校としてつくれるのかどうか、教えていただきたい。

【全国公立学校教頭会】

 まず単純に言えば、これは家庭でやることだろうという部分が学校に来ていると。例えばしつけの問題とか、あとは生活習慣の問題とか、それをそこまで学校でやる必要はないのではないか。これは家庭にしっかりお願いすると。そういう部分は整理できると思います。
 ただし、親も自分のところでできないから、学校の先生にお願いするという逆の視点もあると思います。教員と保護者が一緒になって子育てをしていくという視点から考えると、簡単にはこれは家庭の問題だから、私は一切関知しませんということはまず心情的にできない。ですから、およその線引きはできると思います。ただ、そこはグレーゾーンが相当入ってくる。これは致し方ない。教育というのはそういうものだというふうに考えております。
 会計事務とか、あとは図書館業務なども、例えば読み聞かせ一つにしても、今、地域の方に入っていただいております。地域の有力な人材がたくさんいますので、それをどう学校に引き込んで協力していただくかという部分をきちんと精査していけば、学校に地域の方が入ってきていただける部分というのはたくさん見えてくると思います。
 うちでもほとんど毎日のように地域の方が来ております。例えば外国語しかできない子どもたちへの対応、そういうものを教員がやるととても煩雑ですし、ましてそれを教える地域の方がつきっきりで授業を後ろでサポートしてくださっている。こういう部分では非常にまだまだお願いできる部分はもっともっとあると思います。

【委員】

 学校が大変だとか、先生方が大変だということが国民とか社会にわかってもらえていない。要は学校の大変さというのは、教育関係者の方だけの話で、社会から見たら厳しい目が今あります。このことに関して、国に対して、あるいは教育委員会に対して先生が期待されるようなことはありますか。

【全国公立学校教頭会】

 何よりもこれは現場の問題です。子どもたちをきちんと育てていく中で保護者との信頼ができるわけですから、地域の方たちが学校の多忙さ、教員の多忙さをわかっていく基本というのは、保護者の方々に学校というのはこういうことをやっているんだと理解していただくことだと思います。それがコミュニティにだんだん広がっていくと思うんです。
 学校現場が意識改革をして、さっきのように、どんどん地域の方も来ていただくことによって、学校の様子をわかっていただく。あとはもっともっと地域に学校が出ていって、それで学校の様子を見ていただくという、地域に開かれた、地域との風が学校の中に行き交うような教育現場にしていけば、わかっていってもらえるのではないかと思います。

【事務局】

 いただいた資料で2点教えていただきたいのは、(2)の2で、教員の処遇について、努力や実績に応じた処遇はもっともだけれども、能力や実績の評価基準があいまいな状態では、逆にモチベーションを下げかねないというご指摘なんですけれども、管理職の立場で評価をされる立場として、具体的にどういうふうな仕組みが整えば、むしろ先生方のモチベーションを上げていけるような評価につながるかということがもしおありでしたら、教えていただきたいというのが1つ。
 それから、(3)の3で、勤務時間の終了の認定がなかなか難しいと。時間外勤務になればなおさらだというご指摘だと思うんですけれども、これは実は現行の仕組みの中でも、一応は管理職の方々がそれぞれの教員がどれぐらい働いているのかといったようなことは、労務管理としてしっかり把握をしておかなければならないというスキームにはなっているわけですけれども、現状はどういう形で最初と最後を認知されている、あるいは認知するための工夫をされているということがあれば、教えていただければと思います。

【全国公立学校教頭会】

 (2)の2ですけれども、現場のほうとしてみれば、業績評価というのが今行われております。そことの連携というのが考えられるんじゃないか。ですから、そこがリンクして初めて一つの評価の基準が生まれるのではないかというのが、私の個人的な、教頭会ではないですけれども、考えでございます。
 それから、管理職の時間外勤務の認定ですけれども、現実では教頭が朝早く来てかぎをあけ、最後、職員が帰るのを確認して締めるというのが、全国的には基本になっていると思います。ただ、実際の話、教頭は職員室にいて、9時や10時まで残っている教員にずっとつき合っているわけですね。早く帰れというようなことも体調等を考えて指示を出すんですけれども、彼らもあしたの子どものためにということで一生懸命頑張っています。
 そうすると、現状では、それで最後終わらせて帰るのですが、教頭もそんなに体がもちません。ですから、最後、だれがいつ、何時に帰ったか、それは必ず確認しております。そのときにだれが残っていたか。ただ、正直な話、残っていても、8時までは仕事していたけれども、教頭が帰った9時から10時までの間は、職員室で日曜日どこに行こうかとか、そんな話をしている可能性もあるわけです。ですから、おそくまで残っていたから、つけてやろうというのができない厳しさというのはあると思います。
 ですから、そこまで全部見ろというのならば、教頭は非常に多忙になってしまうということでございます。

【委員】

 次に、全国特別支援学校長会からのご意見を伺いたいと思います。

【全国特別支援学校長会】

 全国の特別支援学校は大体校長950名程度、この会員で組織した校長会でございます。
 平成19年4月から学校教育法の一部を改正する法律が施行されて、これまでの盲学校、聾学校、養護学校が特別支援学校というふうになりました。そういったことで、全国の特別支援学校の校長の組織ということでございます。
 また同時に、この法律の中で、小中学校等に在籍する発達障害等のある児童生徒に対しましても、小中学校等に特別支援教育をすることになったその支援といいましょうか、助言・援助するセンター的機能も持ち、なおかつ障害種を超えた学校というふうな位置づけになったところです。したがって、児童生徒の増加、そして過密化、大規模化、そういった学校も多くなっているところです。
 そういった状況を踏まえて、今回、意見を発表させていただくということでお話をさせていただきます。
 特別支援学校について少しお話をさせていただきますと、学校の形態として幼稚部から高等部の専攻科まであるという学校もありますし、障害もここ2年ぐらいですか、特に法律が変わってから複数の障害に対応する学校も増えてきております。また、学区域がかなり広いので、寄宿舎を設置している学校、そういった学校組織が相当違うという現状の中でとらえていただければとありがたいと思います。 児童生徒数に比べて教職員数がかなり多いという実態もあります。校長をはじめとした管理職の管理スパンが大きいと。また、幼児、児童生徒一人一人に応じた教育を進めるために、個別指導計画や教材等も個に応じたものを手づくりで用意するといったような状況があるということです。新たな学習指導要領にも個別の教育支援計画等の策定や、一層活用が求められる見込みですし、センター的機能の発揮についても、現在施行されている改正学校教育法に明記され、取り組みが進められているところでございます。
 こういった中で、地域や関係機関との連携を含めて、業務量や学校に求められる役割がかなり増加しているという実態があります。これらの要望を踏まえて、まずは十分な定数改善が必要であるということですが、加えて教員だけですべてに対応するのではなくて、地域住民やボランティアの活用を図るなどの工夫ができればよいと今考えているところです。具体的には指導にかかわることなど、あるいは学籍の関係や就学奨励に関することはかなり個人情報が多いので、学校が直接対応することになろうかと思いますけれども、教材作成や施設の管理、あるいは簡単な調査への対応などの援助、また障害のある子どもたちの放課後活動や部活動等への援助を行う人材は、地域からぜひ応援をいただきながら行うことによって、学校にとって教員の勤務時間を軽減することにつながるのではないかと考えているところです。
 また、問題はちょっと離れますが、一般的な範囲を超える苦情処理に対して、法的に対応できる専門員の配置、あるいは相談できる体制等が必要になってきていることもあると思われます。
 教員の職務とその処遇についてということでは、教員の時間外勤務については、教職員の勤務実態調査の結果を見ますと、昭和41年には1カ月当たり8時間であったものが、平成18年の調査では約34時間というふうにされている。これは教員の扱う業務量が大幅に増えているということは間違いないと思いますが、その増え方についてはかなり尋常ではないというふうに考えているところです。
 しかし、教員の業務の特殊性を考えると、単純に勤務の時間を管理して、業務量に応じた超過勤務を命じるという対応は、学校現場ではなじまないのではないかと思っているところです。
 単純に物理的な時間だけで管理できないことによって、教職調整額という考え方がとられてきたのではないかと思いますし、さまざまな工夫をしながら教員の業務を縮減することは、子どもに向き合う時間を確保する上でも非常に大切なこととは考えますが、さらに教職調整額については、この制度が制定されたころと比べて時間外勤務が4倍以上に増えていることを考えると、この4パーセントということについても検討が必要なのではないかというふうに思っているところです。特に、特別支援学校においては、個別の教育支援計画の策定やセンター的機能が義務づけられ、関係機関との連絡や関係機関への訪問等、また卒業生の活動や地域活動への支援、部活動や障害者スポーツ等への支援によって、休日の勤務、あるいは教員がボランティアで出ることも含めて、時間外勤務を含めた教員の業務がかなり増えていると思います。
 繰り返しになりますが、さまざまな人的支援を含めた工夫によって教員の業務の縮減を図らなければ、なかなか子どもに向き合った教育はできないのではないかと思っているところです。
 また、教員の処遇についてですけれども、学校教育法に示されたように、教員の中に幾つかの職を設けて、職に応じた責任や業務、給与体系を設けることは、教員のモチベーションを高めていく上でも効果的であると思いますし、さらに業績の評定を行って、能力や実績に応じた処遇を実施することも有効だと思います。
 教職調整額の見直しについて意見を求められているわけですけれども、時間外勤務については、確かに時期や個人による実態に大きな差があることは調査からわかりますが、教職調整額の支給という一律の処遇を見直していくというのも、これも一つ実態が違うという意味では大事なことではないかと思っているところです。しかし、時間外勤務の必要性や内容をどういうふうに管理職として判断していくか、管理面でやはり難しい課題があるのではないかと思っているところです。
 時間外勤務手当を導入する場合の課題として、単に出退勤の時間の管理だけではなく、どのような勤務を命じて、どのような職務に手当を支給するかといった基準を明確にすることが重要ではないかというふうに思います。
 一方、現在、時間外勤務手当を支給している職種においても、ある程度予算の枠があって、無制限に手当があるわけではなくて、サービス残業が全くないとは言えないような実態もあるわけですが、このことについてもあわせて考えていく必要があるというふうに思っております。
 特に、特別支援学校については大規模校が多くて、校長の管理スパンが大きいため、これらの時間外勤務の管理を個々の教員について行っていくことは非常に難しい課題が多くあるのではないかと思っているところです。
 現状においては、多くの教員は誠実かつ献身的な勤務をしていますし、持ち帰り仕事をしている教員も多くおります。教職調整額を廃止して時間外勤務手当を支払うという制度に変更する場合には、その基準づくりを学校種による相違も含めて、丁寧に実施することが必要だと思います。
 そのほか学校の教員の業務量が増える中で、学校は長期休業中にやれることはかなり計画的に設定して、長期休業中に教員の業務は、例えば研修ですとか、部活動の指導ですとか、あるいはふだんの学期中にできない会議等を計画的に設定しているということも考えましても、長期休業中の業務は増えておりますし、1年間の変形労働時間制の導入についても、これは意識の問題だと思いますけれども、現状ではかなり長期休業を活用しつつ業務の縮減を図っているというのが実態だと思います。
 特別支援学校における特別支援教員免許状の取得率は、平成19年度で67パーセントというふうになっております。ここ数年、国や県、学校の取り組みによって、特別支援学校教員免許状の保有率は向上しています。さらに保有率を上げて、専門性の向上を図るために、特別支援学校に勤める教員については、特別支援学校教員の免許状の保有を義務づけることが大切だと考えます。また、保有率の向上を図り、専門性を高めるために、特別支援学校教員免許状保有者に対して、給与面での優遇を図るなどの措置を検討することも大切であるというふうに考えます。

【委員】

 最後で特別支援学校の特別な免許があると、それに対して給与面でプラスアルファすべきではないのかというご意見だと思うんです。一種の能力等級的な考え方で、非常に重要かなと思うんですけれども、現状ではそういうものはなく、ただ、指導によって取ったほうがいいという形で、これだけ保有率が上がっているということなんです。能力等級的な考え方は一般的に職の任務に割り当てるのではなくて、教員の中にも何段階か、何種類かの免状を増すことによって、能力の段階によって処遇を変えていくということです。こうした考え方は、十分現場のいろんな先生方の理解は得られそうかという、そのような感触というのはあるんでしょうか。

【全国特別支援学校長会】

 実は特別支援学校教員免許については、最近、特別支援学校というふうに総合的な免許になったわけですけれども、これまでは盲学校・聾学校、養護学校というそれぞれ障害種別に応じた免許状になっていたわけです。
 ただ、これも教員養成機関の中で、そういった免許取得を大学として実施できる機関が非常に少なかったものですから、十分に特別支援学校の教員をそこで養成していくということが間に合わないという現状の中で、本来、基礎免許と特別支援学校教員免許を持って、この特別支援学校の教員として指導に当たるわけですけれども、当分の間は持たなくてもできるという規定がありまして、これをできればなくしていきたいというのは、私ども特別支援学校長会がずっと望んでいたことで、今回についても直接的な調整額との話ではないわけですけれども、何らかの優遇措置を設けることによって、さらに専門性を高めるようなことをご検討いただきたい。そういった意味で書かせていただきました。

【委員】

 (3)の教職調整額の見直しについてで、「教員の時間外勤務については、時期や個人により実態に大きな差がある」。こういうふうな記述があるんですけれども、時間外勤務に限らず、平常の勤務の中で免許状のある程度質の高い保証された教員と、そうでない基礎免許状しか持っていない場合とあるだろうと思うんですが、その辺で特別支援学校の校長、管理者として実態に大きな差があって、その中で教職調整額も含めて差をつけられる可能性があるのかどうかというのは、いかがなものかなと。通常の学校でなかなか勤務が難しい、そういう可能性がないわけじゃない。特別支援学校へ来れば、それなりにきっちりと仕事がこなせるんですよということなのか、それとも見ていてやっぱり難しい部分があるのか、その辺についてはどうでしょう。

【全国特別支援学校長会】

 これは最近は特別支援学校教員免許をとるための養成機関がかなり増えてきておりますので、先ほど67パーセントの保有率というふうに言いましたけれども、多くは都道府県が実施している認定講習で免許を取ってきているんですけれども、最近、新採の方を見ると、かつての採用された先生方よりは保有率がずっと高いです。ですから、その新採の方々の中で比べると、当然特別支援学校免許を保有している方のほうが、特別支援学校の児童生徒の指導には知識も技術も持っているというのが実態です。
 ただ、中高年の先生方に関しては、この方々が採用されたころというのは、当然、特別支援学校教員免許の保有率というのはもっとずうっと低かったわけですので、むしろこの方々にはずうっとその教育をやってきて、かなり自分なりに専門性を高めている方と、普通の学校の教員を長くしていて来た方とではすごく力の差があります。本来であれば、免許を持っているか持ってないかだけではないんですけれども、これからのことを考えると、そういったことも一つの考え方として前面に出していけば、今後さらに、ちょっとおっしゃっていた通常の学級でうまくできないから、特別支援学校へというふうなこと、これは我々にとってはあってはいけないことだというふうにずっと言ってきましたし、そういうことが少なくなるのではないか。
 それからもう一つは、県によっては特別支援学校が少ないものですから、特別支援学校の中だけで教員の異動というのはかなり難しいと。そういう中で当然、免許を持ってない方がおいでになるケースもたくさんあるし、実際、専門性を次々引き継いでいくことが難しいという実態のあるところもあるんですけれども、少しずついろんな県の中で採用についても特別支援学校枠を設けるとか、そういうふうにはなってきているのが実態です。だから、県によってもかなり相違があると。

【委員】

 学校種によって先生方の勤務の形態とか、職務の中身は多分大分違うと。時間外勤務が多いといっても、例えば中学校の場合には部活がかなり大きな原因を占めているし、小学校の場合には学級担任制ということで、子どもが帰らないといろんな授業以外の仕事ができないとか、学校種によって時間外勤務の時間が多いといっても、その原因とか理由というのはかなり違ってきているという話がこの間あったんですね。
 特別支援学校の仕事のやり方とか、求められている教師の仕事のありようというのは、ほかの公立学校と比べて一番大きな違いというのはどの辺にあるのでしょうか。例えば時間外勤務が多いといった場合に、特別支援学校ならではの理由というのはあるのかどうかというのを少しお聞きしたいと思います。
 もう一つ、変形労働時間制についてはかなり否定的ですけれども、これについても、例えば特別支援学校の場合における長期休業の働き方と、ほかの公立学校の先生方の長期休業の働き方というのは、大分違うのではないかと思うのですが、実際はいかがなんでしょうか。

【全国特別支援学校長会】

 中でも少し触れましたが、特別支援学校といってもほんとうに学校によってすごく違うということがあります。ただ、特別支援学校全体として時間外勤務にかかわるところといえば、これは特別支援学校に義務づけられている個別の教育支援計画というのを、すべての幼児児童生徒に策定をする。策定をするということは、つまり関係機関と連携をとりながら、その一人一人の障害に応じた支援機関、ここと連絡をとりながら、本人、保護者を含めた支援会議を設定していくことになります。
 だから、こういったことも夏休みに集中的にやっているところもあるのですが、緊急的な対応というのは、福祉とか医療とかやる場合には日常的にかなりやっているケースが多いです。学校の場合はどうしても勤務時間内にそういう会議を設定しようとするのですが、連携をしていくとなると、勤務時間内にやるというケースはむしろ少なくて、およそ時間外にやることが多いということも含めていくと、個別の教育支援計画の策定、一人一人の支援というあたりのところは共通して言えることかなと。
 それから、幼、小、中、高、高等部専攻科ということがありますので、それぞれに対応した小学校や中学校、高等学校と似ているところがあるかと思いますが、高等部を持っているところは大体中学校等に似ている部活動や、そういったことがかなり多く行われておりますし、あるいは小学部、中学部になるとスクールバスでぱっと一斉に下校してしまうので、放課後子どもたちが帰った後、子どもにかかわるということはすごく少なくなっているというのが現実です。
 それから、長期休業中については、特別支援学校が夏休み中は暇だとか、そういうことは今はほんとうにないと思います。長期休業中でなければできないことというのは、かなり今年間計画の中で入れておりますので、できるだけお盆の時期はみんな避けて計画は入れてありますけれども、全体としてかなり予定は埋まっているというのが実際のところだというふうに思います。

【委員】

 特別支援学校は専門職としての教員だけでなくて、さまざまな方がかかわっておられ、事務系の介護員の方とか、あるいは寄宿舎のあるところは寄宿舎指導員とか、普通の小、中、高とは違って、いわゆる教員が主体になっている学校組織とは違って、事務系の方も入っておられますが、校長先生として時間の管理とか、そういったことについて特に工夫をされているとか、それと先生方の勤務と今言った事務系の職員が、他の学校とは違ってたくさんおられるようなところでの違いなどをどのように感じておられるかを教えていただければと思います。

【全国特別支援学校長会】

 寄宿舎指導員の勤務というのはいわゆる宿直勤務ですので、全く一人一人ばらばらに勤務時間が設定されていて、要するに週で40時間になるように組んでいるので、これはなかなか管理するといっても、担当者がその勤務表をつくるわけですけれども、それを確認するぐらいで、寄宿舎がさらに離れていたりすると、実態の確認は難しいと。いわゆる舎監が管理職で置かれているところは、その舎監が中心に管理をしていくというふうになろうかと思います。
 それから、事務に関しては、わりと大規模校が多いので、管理職の事務長が置かれているところについては、当然そちらのほうが中心になってやっていきますけれども、多くは校長がやっているので、校長が実際にこれは勤務時間の管理だけではなくて、業績も含めてすべて事務系、教員系別々な流れで管理していくとなると、これはかなり厳しいことがあると思います。片方は教職調整額で、片方は時間外勤務を命ずるという形になっていますが、時間外勤務を命ずるといっても、毎日9時、10時までやっていますけれども、月の時間外勤務は7時間とか8時間とかっていう書類が回ってきて、それに判子を押しているというのが現実です。

【事務局】

 平成18年に小中学校で勤務実態調査というものを行いました。このときは、特別支援学校については対象とはしていないところです。そのときに、今公表されておりますのが月平均34時間の時間外勤務、1日平均すると大体2時間程度、長い方は5時間以上という方もいらっしゃいますが、特別支援学校の実態としては大体、どのように見ていらっしゃるのかお聞かせいただければと思います。

【全国特別支援学校長会】

 感覚でいえば、実態としては同じような感じではないかなというふうに思います。5時間を超えるような方も現実にいますし、特に高等部あたりで現場実習とかにまいりますと、外回りをずっとして、土日も現場実習に出ている生徒の見回りということもあります。あるいはほんとうに時間どおり、これは帰らざるを得なくて、多分、仕事は持ち帰っているんだと思いますけれども、子育て中の方とかはそういう方もいらっしゃいます。

【委員】

 全国国公立幼稚園長会、よろしくお願いします。

【全国国公立幼稚園長会】

 全国国公立幼稚園長会でございますが、全国の公立幼稚園は約5,300で、公立、私立と比較しますと、公立が40パーセント、私立が60パーセントといった状況の幼稚園の実態でございます。その実態を踏まえまして意見をお伝えしたいと思います。
 はじめにでございますけれども、教育基本法の改正以降、学校教育に関するさまざまな法令改正を含めた教育改革の中で、幼児教育の重要性がクローズアップされました。このことを私どもは大変大きな喜びとし、その役割の重要性を改めて認識しているところでございます。幼稚園というのは、子どもにとりましては初めて学校教育に出会う場でありますけれども、それと同時に、保護者にとっても初めて親として学校組織に出会う場でございます。その意味で、幼稚園が地域の幼児教育のセンターとして期待されております。このことは今回改訂されました幼稚園教育要領にも、教育内容ではないけれども、子育て支援についての記載が多く書かれていることからもわかるかと思います。
 幼稚園は、これまでも子育て支援を行ってきているわけですけれども、改めて教育要領に大きく書かれ、さらなる充実を目指して実践が求められているわけですので、その成果を上げるためには学校運営上の課題が極めて大きいと思います。とりわけ小規模な学校組織でございますので、教員数に限りがあります。そういったことに配慮して、取り組みの内容を検討する必要がございます。今回のこの組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討、これについてもぜひ実効性のある取り組みとなるようにお願いしたいところでございます。
 まず、学校の組織運営についてですけれども、幼稚園は小中学校と異なる状況がたくさんございます。まず、小規模で教員数が少なくて、専門の事務職はほとんど配置されておりません。しかし、学校組織としての事務、これはすべて学校としてあるわけで、文科省からたくさんの調査がまいりますが、こういったことはすべて大規模の小学校等と同じようにございます。事務的な仕事は園の運営に関するものと学級に関するものと両方あるわけですけれども、1人の教員が幾つもの事務を担当しているといった現状がございます。こういったことは、教育内容充実に向けた業務に携わる時間を勤務時間内に確保することを難しくしております。また、非常勤講師の対応も近年増えておりますが、教育時間だけしかいない幼稚園もございますので、そうしますとますます事務が少ない人数に負担される形になります。
 幼稚園の子育て支援ですけれども、未就園児、まだ幼稚園に入ってこない子供たちが親子で遊びに来る、あるいは保護者の子育て相談に対応する。あるいは預かり保育と申しまして、幼稚園の教育時間が終わった後に、なおかつ保育所的機能を求められていて、預かり保育を実施している実施園も近年増えております。こうした預かり保育も教員が中心になって担当するとなりますと、本来、教育にかかわる業務である保育室の清掃あるいは環境整備、教育環境を含めてですけれども、日々の教育計画の立案、指導案、それとか教材準備等を行う時間が十分にとれません。
 幼稚園においては、子どもと向き合うということはもとより、近年、保護者もいろいろな方がいらっしゃいますので、そういった対応にも多くの時間が必要ですし、そういった保護者に子どもの成長とか、あるいは発達の見通しについて具体的に話し、丁寧に対応することが必要です。また、先ほど特別支援学校のお話がありましたけれども、特別支援のための会議、あるいは連絡調整に係る会議も多くございます。こういった教育活動の後にその時間を確保することはとても難しくなっております。
 教育に専念しつつ、こうした業務に携わる時間を確保するためには、学級担任の補佐的な職員、あるいは事務補助の職員の配置がぜひとも必要でございます。もっと言いますと、教員の加配こそがほんとうに求められているところでございます。
 預かり保育や未就園児の親子登園等にかかわる業務、これにつきましてはある程度外部の専門家、あるいは地域のボランティアを要請して、補助的な役割を担っていただくことは有効かと思われます。しかし、この方法を有効に、教育的内容が充実するようにするためには、細かい連絡調整が必要です。担任とそれを担当するボランティアとの連絡調整が必要になりますので、とても勤務縮減にはつながらない。ボランティアで外部の方を入れる、開かれた学校組織としての役割は有効かと思いますが、そういった課題があろうかと思います。
 続きまして、教員の勤務とその処遇についてです。これにつきましては勤務時間管理と教員の職務遂行への意識バランスが重要だと思っております。そのためには園長、管理職のリーダーシップ、効率よい事務処理についても園長のリーダーシップが必要であり、私どもの責任であることは感じております。
 しかし、幼稚園の降園時刻は、うちの場合には14時15分ですが、大体14時前後でございます。保育している間は、ずっと働きづめですので、休憩時間45分とりますと、残りの時間は2時間程度でございます。そして、さらに近年は安全・安心な場として園庭開放を保護者がとても活用しておりますので、16時までは親子で園庭にいます。事故への対応、保護者への対応、こうしたこともかかわってきます。そうしますと、2時間といっても実際には1時間のような残り時間になってしまいますが、この中に先ほど言ったような毎日の教育内容にかかわる業務、こういったものに加えまして職員会議あるいは諸会議への参加、教材準備等を行っておりまして、さらに事務分掌、研修等に出かけていっているのが現状でございます。
 教員は、よりよい教育活動を目指して努力しておりますけれども、それをみずから求めて、勤務時間を過ぎても教材開発にいそしむ者も多くございます。しかし、時間管理を優先させますと、こうした努力をどう受けとめていけばいいのか、勤務時間外の業務と認定して、退勤を促さなければいけないのか。こんなことをしますと、おのずと質の低下につながることが懸念されます。私ども管理職といたしましても、こうやって頑張っている教員を目にしているわけですけれども、その内容がほんとうに職務遂行に必要不可欠な業務である場合もあります。人によっては、もっと勉強すること自体が大事なこともございますけれども、そういったものなのか否か判断することはできにくい現状がございます。
 一人一人の能力、実績に応じた給与体系については、必要であるとは考えておりますが、検討の趣旨の理念は理解しておりますが、その場合にも次のような課題があろうかと思います。
 教育活動は、幼稚園全体で行うものですので、教育活動の計画、指導の方針、あるいは一人一人異なる子どもへの対応については、教員同士で共通理解する必要がございますので、その時間が必要です。とりわけ幼稚園では子どもが小さいものですから、その理解、専門的な対応の時間が必要です。
 また、個人情報の観点からは、業務をできる限り職場で行い、持ち帰らないように注意しているところでございますが、教員の中には子育て中の人もおり、そういった方については勤務時間を終えると直ちに退勤して、そして残った業務を持ち帰ってこなしているといった状況がございます。これは子育てに限らず、介護の方もいらっしゃいますし、家庭のいろいろな状況もあります。ワークシェアの発想をまず浸透させることが必要かと思っております。
 繰り返しになりますが、教育の内容はこれでいいということはございませんので、いろいろな状況がございます。そして、いろんな人が工夫しながら、朝早く来て勤務をこなしてみたり、土日に自宅でこなしたり、それぞれありますけれども、教員としての使命感がそういうことをさせていると思っております。
 教職調整額の見直しにつきましては、教育職員の職務・勤務の特殊性から調整額が措置された経緯を踏まえて、一定程度の一律支給というのは必要ではないでしょうか。幼稚園の場合には小中学校と違いまして、教育職給料表ではなくて、市町村職員としての給料表のほうが多いかと思います。また、幼稚園に義務教育等教員特別手当が支給されているところはレアケースでございます。そういった現状はありますけれども、こういった現状を踏まえた上で、教員の時間外勤務は個人によって大きな差が出ている現状、こういったことに対しては次のような実効性のある改善策を求めたいと思います。
 全く、あるいはほとんど時間外勤務をしていない人に、一律4パーセント支払うことは適当ではないと思います。しかし、実際に職務についている職員が時間外に業務を行っている状況について、どこまでを時間外とみなすか、これが最大の課題だと思います。
 教材研究などは際限なく必要でありますので、学校長としてはこの教育を充実させるために教員が努力している、あるいは指導力向上のために努力しているといったことについて、そのことは時間外勤務に相当するのか否か、職員に納得のいく基準が必要になるかと思います。同時に、この努力が教職調整額の所以であると理解しています。
 時間外勤務の命令を出すということについても、ここに書いてありますような課題がありますし、時間外勤務手当の予算との関係で、市町村の職員として給料表を使われているところについては、時間外勤務手当が出されておりますけれども、その時間外勤務手当もほんとうに働いている時間の一部、わずかしか出ないというのが実態でございます。
 そういったことを考えますと、教職調整額がなくなるということは、こういった行政職の方々の時間外勤務手当が基準となると考えますので、そういった手当がつかなくなる可能性がある。結局実質的にこんなに働いて、縮減を努力はするけれども、この改革が給与のカットだけに終わってしまうということのないように、ぜひ実効性のある改革にしていただきたいと思いますし、実効性がなく課題が多ければ、現状維持のほうがいいのではないかというのが私たちの思いでございます。
 その他ですが、変形労働時間制につきましては、ある意味現実的なような気がいたしますが、どこの学校でもそうだと思いますが、少し風邪でも、38度ぐらい熱があっても職員は出てまいります。結局、幼い子どもですので、補充の教員が足りなければ出てこざるを得ない状況もございます。そういった中で、年休をとっているのは長期休業中がほとんどでございます。これは管理職としてはこの期間にとってもらうほうが、学期中にこんなに頑張ってくれていることに、ほんとうにありがとうと言っているような気持ちでございますので、この期間にとってもらうほうが経営上は有効かなと思います。
 ただ、そんなこともこのごろできなくなってきております。幼稚園においても夏季保育やプール指導を行っておりますし、認定こども園が促進されている今の時代でございます。預かり保育、あるいは認定こども園で長期休業中も幼稚園で保育を行っているところが増えておりますので、そういった変形労働時間制についても課題が大きいと思っているところです。

【委員】

 幼稚園の場合は手づくり教材が多いので、結構時間外勤務をやっているのかなというふうに推測をするんですけれども、給与カットにつながるようであれば、現状維持でよいというご意見ですけれども、そういう時間外勤務の実態があるならば、その時間外勤務の実態を踏まえて、時間外勤務手当を導入した場合、その手当を増やしてもらう方向に動くとすれば、どうお考えになりますか。

【全国国公立幼稚園長会】

 実態に見合った分の時間外手当が出るならば、それは労働基準法的な観点からも望ましいことだと思います。しかし、どこを勤務時間外と認めるか、そこが一番難しいことかなと思います。

【委員】

 確かに時間外勤務手当制度を導入した場合に、どうやって時間外勤務を命じるか、それが難しいと思うのですが、教員の場合は時間外勤務の長短で支給額を決めるのは非常に不公平だと思うのですが。

【全国国公立幼稚園長会】

 ええ、思います。

【委員】

 そうですよね。そうであるならば、職務の負荷、職務内容によって決めるというのはどうでしょうか。学級担任ならば同じことを求められるわけですから、ここにも書いてありますけれども、一定程度の一律支給は必要と考えると書いてありますけれども、学級担任ならば一定のレベルの学級経営であるとか、学習指導であるとか、生活指導であるとか、そういうものを求められるわけですから、同じレベルで。だから、同じ時間数時間外勤務を命じるという考えはどうでしょうか。いずれにしてもやった分だけ全部予算はつかないと思うんです、限られた予算の中で命じるとすれば。そういう考え方はどうでしょうか。

【全国国公立幼稚園長会】

 幼稚園の場合には学級担任か園長か、あるいは教頭、主任、それしかありません。それでも学級担任の仕事に差がありますのが現状だろうと思います。

【委員】

 その差があるというのは、職務内容に差があるということですか。実績に差があるということですか。

【全国国公立幼稚園長会】

 学級担任に求める職務内容は同じですので。結局仕事の効率のいい人、悪い人がおりますし、またすごくこだわってやる人と管理職が見てもそこまでというより、もっとこっちをやってもらいたいということもあります。
 そして、幼稚園の場合には教職調整額すら出ていない実態を考えますと、時間外勤務手当だけでいくとなりますと、勤務時間外手当の予算がつくかつかないかで変わってしまう。それからまた、多くの職員がその手当がついているから、使命感を持っているというものではございませんけれども、幼稚園の場合には義務教育等教員特別手当等がついてないのが多いものですから、教職調整額がついているということでまた使命感が保たれている実態があるので、あなた方は教職として求められているという何がしかのアピールを残してほしいという思いもございます。

【委員】

 行政職の給料表を使っていて、時間外勤務手当が制度上は出ているということですけれども、時間外勤務手当が先ほどの教職調整額4パーセントを一つの基準にしているということは、大体4パーセント分くらいの時間外手当というのが予算上措置されているということなのでしょうか。
 また、幼稚園というのは教育職としての処遇をしている場合と、一般行政職的な処遇をしている場合があるわけですが、違う制度が適用されていることによって、どのように働き方に影響を与えているというふうにお感じでしょうか。

【全国国公立幼稚園長会】

 1つ目の金額につきましては、私どもが調べているのは義務教育等教員特別手当を支給しているのかどうかと、教職調整額があるかないかという調査で、金額までは調査してないのでわかりかねます。そして、私たちはずっと行政職対応ではなく、教育職給料表対応をしていただきたいと要望しているところでございます。
 もう一つ、行政職と教育職給料表を使っているところと対応がどう違うかと言われますと、難しい、お答えしにくいところがございます。ただ、公立幼稚園が1つの自治体に1園しかないところも多くありますので、そのために給料表をつくるということを難しくしているかなということがございます。

【委員】

 時間外勤務手当、行政職の給料表を使っているところでの時間外勤務手当の出し方というのはどうなっていますか。

【全国国公立幼稚園長会】

 実際に私の知っているところでは、勤務実態はばらばらだけれども、つけられている予算を均等につけざるを得ないというのが、認定こども園のようなスタイルの幼稚園でも、あるいは行政職給料表のところでも、同じ答えでした。

【委員】

 そうすると、例えば認定こども園のもともと教育職でない人も時間によって違うはずだけれど、むしろ教員のほうに引きつけられて、時間の長短に変わりなく時間外勤務手当が出ているのでしょうか。

【全国国公立幼稚園長会】

 給料表は別ですので、認定こども園のスタイルのところのように保育士と幼稚園教諭が一緒に働いているところでは、給料は別です。出し方は別で、時間外手当が出るのは保育士だけです。幼稚園教諭の場合には調整額4パーセントが出る。

【事務局】

 一般の先生方の意識として、教職調整額というのを払われてはいますが、それについて自分たちが時間外に働いたことについて、教職調整額はその部分を含めて評価しているんだというふうに認識されているのか、それとも我々は時間外で働いているけれども、それについては給与上何も出てないんだというふうにお感じになっているのか。一般的にはどんな受けとめ方なんでしょうか。

【全国国公立幼稚園長会】

 ほんとうに人によると思います。私が見ているところは、時間外に仕事をしても損だという気持ちがあまりありません。子どもたちの教育の充実のためにという意識でやってしまっているので、これのために4パーセントが出ているということを意識するように、私のほうが言っています。
 行政職給料表と何が違うかと言われて、どちらも働いた分に見合った手当はいただいていないわけです。ですけれども、教職調整額がついているということが、質を高めるために頑張ろうとする気持ち、使命感、そういったものをまとめることができる糧になっているのかなと思っています。

【委員】

 幼稚園の場合は教職調整額が出ているから、オーバーするのはいいと思っている。これから認定こども園が増えていったときに、結局その辺のところをすっきりさせるには時間外勤務手当にしたほうが、すっきりするのかなと思うのですが、その辺はどう思われますか。

【全国国公立幼稚園長会】

 すっきりするといえば、すっきりするかもしれません。でも、これが時間外勤務手当に相当するか見分けられない実態ですっきりするということは、結局はみんな一律にしましょうということになるのか。実効性のある、ほんとうに使える時間外勤務手当制度が構築されれば、それは意味のあることかなとは思いますが、ただ、時間外手当のほうにシフトするということは、教育職としてよりよいものを求めようよという意識づけをするときには難しくなってくると思います。
 今、既にそういう兆候も見られないではありませんが、そこのところを求める立場としては、私としてはそこはどういう制度になろうと、教育の内容を充実させ、今、子どもたちも多様になってきて、保育士も多様になって、その中でなかなか簡単に成果が見えなくなって、教員は悩んでおります。そういったことに対しても、あなた方は教員なんだから頑張ろうよっていう社会のある意味リーダーとしての意識、使命を持たせていくことなしに、計算と給与だけでは説明ができないと思います。

【委員】

 午後の最初は、全国市町村教育委員会連合会からのご意見を伺います。

【全国市町村教育委員会連合会】

 今の現状、特に小中学校の先生方の現場は非常に多忙であることは踏まえていただいているということを前提にして話をさせていただきたいと思います。
 意欲的な教員ほど、いわゆる仕事量が多くて多忙を極めているということであります。特に小学校の場合、担任する学年のほとんどが教材研究とか準備とかにかかっております。組織として問題解決に当たるために具体的にどのような条件整備が必要とされるかというのは、学校教育法の改正によって、副校長や主幹教諭等が設置されることになりました。その配置をできるだけ早く実現できるようにしていただきたい。そして、副校長や主幹教諭が会議の運営や打ち合わせ等々を取りまとめて会議を効率化することによってこういう整備が必要ではないか。
 あと、ICT環境の整備だとか教員の定数につきましては、言わずもがなのことでありますので、その点は省かせてもらってよろしいですか。
 それでは、外部人材の活用ですけれども、学校は一体何を重点的になすべきかということをまず考えたいと思います。いわゆる学校のなすべきプライオリティーといいますか、優先順位が一体何であるかというのを理念にしながら、特に中学校においては放課後のクラブ活動に時間をかなり費やされていますので、なかなか実現性が難しいと思うのですけれども、できるだけ外部あるいは地域と結びついたような形にされたらいかがかと思います。
 そのほかに最近非常に目立っているのは、いわゆる学校に対するクレームがほんとうに頻繁に起こっていて、これを1人の教諭で解決するのは非常に難しい問題になっています。こんな現状もあるということをご理解いただきたいと思います。
 それから、教員の勤務とその処遇についてであります。一般民間企業と同様に勤務時間の管理をするという考えがほんとうにいいのだろうかと考えております。教員の仕事には特殊性があり、自発的、創造性に基づく勤務が期待されております。また、勤務時間は外ばかりでの問題ではなくて、内外にわたっての勤務がある。そして、正規の勤務時間を超えた部分については、時間的に計測をすることの難しさがあるので、一般民間企業と同じような超過勤務手当制度とした場合に、この制度はほんとうになじんでいくのだろうかという疑問を持っております。
 課題のところでありますけれども、校長が全教員の時間外勤務を把握することは不可能ではないかと考えます。したがって、教員からの自己申告を認めざるを得ない。また、何を校務と見るかのマニュアルづくりをしていかなければならないというところが課題になってくるのではないかと考えます。元来、教員の仕事は残業という概念が非常に少ない。残業というのは、一般の企業でいいますと、上司が部下に残業を命じてするというのが通常ではないかと思うのですけれども、教員の場合は自発的、意欲的な仕事であり、しかもそのことが教員からなくなれば、私はもう教員ではないのではないかというふうにすら感じております。
 次に、部活動についてということですけれども、社会のシステムを変革していく必要が出てくるので、現状では極めて難しいと思います。特に、中体連というような連盟組織がありますから、その辺もどうしていくかということで非常に難しいのではないかと考えます。
 いわゆる持ち帰りについては、教員間の差が非常に大きいと。時間外勤務と見なすとなると、教員個々の自己申告によるしか把握のしようがないのではないかと思います。
 続きまして、小学校の対応ですけれども、そのためには、やはり教員増という話になってくると思います。現実に実現することは、現在の財政状況、国の財政状況等々を考えると非常に難しいことであります。
 教職調整額の見直しについてですが、個々の人によって、その実態は非常に大きな差がある。一律の処遇を見直すとすれば教員の教職という特殊性を考慮しなければならないと思います。自発的、創造性に基づく勤務が求められるし、時間外の勤務を計測し切れないということがあります。
 仮に教職調整額を廃止した場合にどのような課題がありますかというところですが、子どもたちにとって何が一番大切かというと、やはり学校の教師が元気で意欲的であるということです。生き生きとした教師の顔がいつも子どもたちに向けられていてほしい。そのためには教員は意欲的に取り組まなければならない。そうした自発的な時間外勤務に対して、例えば残業手当を支払うというのは、果たしてほんとうになじむのかなという思いがします。先生は自発的に放課後もずっと勤務時間を超えていて、自発的な残業に対して公費支給をすることがほんとうに理にかなったものなのかどうか。勤務意識に大きな変化が生じる可能性が課題として挙げられると思います。
 勤務時間外手当の制度に対して抵抗感があるのは、意欲的、自主的にやっていることに対して公費の支給はどうなのかということがあります。そうした場合には、財源をどうするかということが出てきますから、時間勤務手当についてどこまで国費で超過勤務の財源を見てくれて、どこから地方が持つのかというような問題も出てくるのではないかと思っております。
 勤務の明確化と書いていますけれども、そもそも教員の職務とは何かなどを考えなければなりませんし、制度設計にも非常に課題が多いのではないかと思います。例えば、仕事を持ち帰るケースについて、校長が把握できるのか、その職務は時間外勤務に相当する内容なのか、公平性・公正性をどうするかということがあります。
 また、超勤4項目の見直しにつきましては、教職調整額を一律引き上げていくのか、あるいは時間外勤務の実態がない場合、支給対象外とする。例えば長期休業中とか、あるいは長期の研修中の場合の超勤4項目を見直しするかどうか、そんなことが出てくるのではないかと思います。
 その次に、仮に、時間外勤務手当とする場合にどのようなことが必要であるか。これは理念の問題になってくると思っています。何をもって時間外勤務とするのか、教員の自己申告を認めるかどうか。

【委員】

 例えばICT環境の整備とか、第三者による法律相談窓口とか、いろんな学校の先生を助けるようなものを措置するというのも一つの手だと思いますけれども、その場合のお金を負担するのは、基本的に市町村だと考えてよろしいのでしょうか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 基本的には市町村ではないかと思うのですけれども、それに耐えられるだけの財源が今の市町村にあるかどうかというと非常に難しい部分で、国の補助とかそういうものがあればいいとは思いますが。

【委員】

 結局、県費負担教職員であるため、教員をこき使おうと市町村は懐が痛まないので、財源の出どころの違いがこういうキャッチボール状態を生んでいるということは実感としてありませんか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 それはそうですね。

【委員】

 市町村でやろうと思ったら、自分で措置すると金がかかりますけれども、教員に沢山働いてもらえば、どうせ都道府県の負担だからということに市町村当局はならないかということなのですが、例えば教育委員会から財政当局に予算を要求するときとか、そんな感触というのはありますか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 例えばICTの整備なんかにしても、全部丸々市町村で負担するというのは、今の地方の財政状況というと、それはなかなか難しいですね。

【委員】

 だから、市町村当局としては、どうしても教員にやってもらったほうが得だという考えが働くのではないかと。

【委員】

 部活の件でお尋ねしたいのですけれども、外部に部活を移譲する方法については困難だというご意見が先ほどあったのですけれども、私、昨年度、全国の小学校、中学校の校長先生を対象にして、この問題についてのアンケート調査をやりましたら、部活については、特に中学校では負担がかなり多いし、教員の時間外勤務の主要な原因にもなっているから、社会教育に移管するという意向を持った校長先生方というのは大体6割ぐらいだったのです。ですから、校長先生の率直な意見とすれば、地域や社会教育にそういう受け皿があった場合には、部活を学校からそちらのほうに移行することについては、それほど抵抗がないというアンケートの結果も見ていたのですけれども、社会教育で部活の受け皿云々という話は、市区町村の主要な仕事にもなるかと思うのですけれども、そのあたりのお考えがございましたらお願いいたします。

【全国市町村教育委員会連合会】

 私は、部活は理想的に言いますと、学校でやらなくてもいいのではないかと思っております。しかし、先ほど、近い将来、全部生涯学習として、いわゆる地域で指導者を措置してというのはかなり難しい。なぜかというと、例えば学校の施設設備を使うのはいいんですけれども、現在、先ほど言いました中体連とかそういう組織が、組織解体とまではいかなくても、どこまでそれに協力、理解ができるかということがあると思います。部活を教員の教育活動から離してしまう、部活は教育的な価値があるんですよということでずっと続いてきたのですけれども、それは私は否定しません。やはり我々の年代のときに仲間意識をつくったり、学校の教育活動だけではなしにそこでつくったりするということは否定しませんが、私は先ほども言った、学校の持っている教えるべきことのプライオリティーということを考えたら、先生はもっとしなければならないことがあると思います。

【委員】

 仮に、教職調整額を廃止して、時間外勤務手当という仕組みに移行すると仮定した場合に、部活の業務というのは時間外勤務手当の対象とすべきなのか、時間外勤務手当の対象の枠の外に置くべきなのかという問題については何かご意見ございますか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 当然対象とすべきでしょう。

【委員】

 最後のページに変形労働時間制の問題で、課題として「特に小学校においては無理では」と書いてあるのですけれども、普通に考えると中学校のほうが無理なように感じられるんですけれども、「特に小学校においては無理では」というのはどういう意味でしょう。

【全国市町村教育委員会連合会】

 これは、中学校でも無理といえば無理なんですけれども、やはり小学校のほうが無理である、厳しいのではないかと。なぜならば、義務標準法でも随分小学校と中学校と違いますから、そういう意味で、例えば勤務日の振りかえが得られた場合、小学校では教員も少ないからぎりぎりいっぱいでやっているわけですから、変形労働時間制でやられると学校運営自体が、学校の会議とかそういったことも非常に支障が出る。これは単純にいって教員数の問題です。

【委員】

 今ここで検討しているのは、1年単位の変形労働時間制ですので、振りかえの週休日は夏休みとか冬休みにとるという前提なんですけれども、ふだんの授業日は休めないですよね。

【全国市町村教育委員会連合会】

 そうですね。だから、今のほとんどが夏休みにゆっくり休めたと、ほとんどが勤務の振りかえになっているのではないかと思います。

【委員】

 今ここで書いてあったのは、授業日に休むというふうに想定していたということですか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 授業日に休むということです。

【委員】

 わかりました。

【委員】

 任命権者である都道府県の教育委員会と服務監督権者である市町村の教育委員会で権限の移譲がどんどん服務監督権者である市町村にいろいろな部分に入ってきていると思うのですが、そういう中で、学校に勤務する教員の勤務状況等については、本来は学校がやるべきですけれども、例えばこういう部分については市町村で幾つかの学校を束ねて管理できるのではないかといったものがある中で、そういう考え方について何かご意見はありますか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 今のところ、その考えで各市町村の事例というのは全然把握していませんけれども、今おっしゃられたようなことは可能性はあると思うのです。しかし、それをするためには各学校で校長が教員を把握した上で数校の管轄を市教委でするわけですから、そこから上がってくる校長の時間というのがかなり費やされると思うのです。そうしますと、校長の勤務する時間というのは増える可能性もありますので、これは十分考慮していかなければならない問題ではなかろうかとも思います。事務管理の面で、そういう一括管理はできそうですよね。しかし、そのためにはいろいろなデータを集めるのにどういう作業がかかわってくるか、その辺はまだ調査していませんのでわからないのですが、そういうこともかなり出てくるのではないかと考えるところです。

【委員】

 一番最後のところのフレックスタイム制の導入に伴う教員定数の改善というのが対応策として書かれているのですけれども、これを説明していただけますでしょうか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 これは書きながら、ほんとうにこういうことができるかなと思ったのですけれども、やはり一般企業ともちょっと違うかなと。現に子どもたちは8時半になったら出てきていますので、教員が3時間だけでもできないかなと思ったのですが、教員の定数増につながっていく問題が出てきますので、非常に書きにくいところがあったんです。

【委員】

 書きにくいところは、例えばフレックスタイム制としたときに、例えば朝の6時から4時までとかいうふうな勤務もあるし、お昼からという勤務もある、そういうことを想定をされているのでしょうか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 そうです。

【委員】

 超勤4項目の拡大のときに、校長が時間外勤務を命ずることができるというふうになると、何でもかんでもできるようで、むしろ自発性とかと衝突しかねないような気がするのです。ぎりぎり時間外勤務を命ずることができるというのは何でもできるということではないので、具体的にどういうものを優先的に命ずるべきだと考えられそうでしょうか。

【全国市町村教育委員会連合会】

 それは難しいと思います。例えば管理職が勤務時間外を指示した場合は、公平性とか公正性というものが問われるし、校長先生の判断だけでは認められない。それから、どういう根拠で勤務時間を命ずるか、いわゆる教職員組合とのいろいろな摩擦が出てくると思うのですが。超過勤務手当を支給する場合だと、そういうことを考慮しておく必要があるのではないかと思うのですけれども。

【委員】

 ただ、具体的にこれをというのは特にはないということでしょうか。現状の4項目に限定されたら出せるものがないじゃないかというのはそのとおりだと思うのですけれども、何でもかんでも時間外勤務命令を出せると言われても現場も困ってしまうと思うのです。

【全国市町村教育委員会連合会】

 むしろそれのほうが非常に困難を来しますね。校長はどこで線を引いて勤務時間とぶつからないようにするのか、これが非常に大きな問題となるので、よっぽどここのところをしっかり取り入れていないと、校長の個々の考えでやるというと、またいろんな問題が発生しますので、そういう問題も絡むかなということは会長とも話ながら来ているのですけれどもね。

【委員】

 では、次に、全国中学校長会からのご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

【全日本中学校長会】

 まず、全日本中学校長会は平成18年9月、文部科学省とほぼ同時期に教職員の勤務実態調査を行っています。2枚目に簡単にまとめたものがございます。後でご説明いたします。
 文部科学省の結果と大きな差はないと分析していますが、休憩時間中の業務も時間外勤務として集計している関係もあり、1日平均の時間外勤務は3時間17分と文部科学省の集計より長時間となっています。文部科学省の集計でも月34時間となっており、4パーセントの教職調整額、1日当たり20分相当とはかけ離れた時間外勤務の実態が明らかになっています。この実態は、労働管理、健康管理上大きな問題であることは明らかです。また、この実態が教職調整額を見直すに当たって大きな障害となっていることは論をまちません。文部科学省が学校現場の負担軽減にご尽力されていることは多としますが、教職調整額の手当化やメリハリのある処遇等、見直しの実現には定数増による教員1人当たりの仕事量の軽減が必須と考えます。
 また、通常に勤務している教員の時間外勤務の実態は、ほとんどすべての教員について4パーセント相当の時間、先ほどの20分ですが、はるかに超えています。したがって、休職者等一部の者を除き、現行の4パーセントの教職調整額より減額されることはぜひとも避けなければならないと考えます。
 以上を前提としてご質問にお答えしてまいります。
 まず、学校組織運営についてですが、学校が組織として問題解決に当たるための条件整備については、主幹教諭の早期全面導入・定数増・処遇の優遇。処遇の優遇については、例えば東京都等についてなり手がいないという現状もございますので、ぜひ手厚い処遇をということがございます。それから、副校長・教頭職の複数配置。副校長1人、教頭職1人ということでももちろん構わないということでございますが、これは昨今の苦情処理、それから今回話題にもなっております時間管理、人事管理他で副校長の仕事が多くなっておりますので、よろしくお願いします。
 外部専門機関への業務の委譲。部活動、これは指導員、コーチ等です。図書館司書。給食指導。給食指導については、先ほど前文のところで触れましたが、文部科学省の勤務実態調査の集計の中では、休憩時間の仕事は超過勤務として取り扱っていらっしゃらないと思いますが、そういうことでしたら、給食指導、すなわち昼食の時間は教員が昼休みとして休憩がしっかりとれるような対応がぜひ必要ではないかと考えております。
 校外学習の契約、予算執行業務、集金・出納・督促、これは事務職員の複数配置ということでも解決できると思います。
 次に、教員の勤務とその処遇について。
 勤務時間管理の課題。時間管理は管理職の仕事である。これは論をまたないところでございますが、スクラップ・アンド・ビルドの考えがないまま大きく膨れ上がってきた学校教育の実態があります。学校の全許容量をはるかに超えた業務量がある中で、時間管理は極めて困難であります。新規の業務内容、例えば総合的な学習――もう大分前ですけれども――を導入するときに、どの業務をカットして、その時間、準備等に充てるかというトータルの仕事量の管理が行政に求められます。
 学習指導要領――これは現行でもそうですが――に基づく教育内容を実施するための教員の全体数が不足しています。仕事量と定数とがかけ離れている。
 同じことを3つ、定数はぜひというのがありますから書かせていただきました。
 メリハリという件ですが、基本的には賛成でございます。ただ、メリハリのつけ方は、主幹教諭や指導教諭の処遇の充実ということで行っていただきたい。人事評価によるメリハリは困難であろうかと思います。これは、特に校長会のほうでは、地方の校長から、給与に反映させるのは難しいという意見がかなり出ております。東京でももう始まっているわけですけれども、開示請求、苦情の申告が認められております。その関係で、校長が評価根拠となる記録をしっかりとっておかなければならない。面接や授業観察と、トータルで管理職の業務がこの件で大きく膨れ上がっています。したがって、なかなか難しいという現実がございます。
 マイナス評価については、根拠のはっきりしているものに限る。つまり、例えばあなたはあまり残業していないから4パーセントはやれないねというようなあいまいな言い方はとてもできないということでございます。
 部活動指導の負担軽減。これは外部指導者を多く配置できるように予算措置をお願いしたい。外部人材による大会運営ができる予算措置をお願いします。自分のチームが出ていなくても、土日、大会運営に駆り出されるのが負担になっています。
 持ち帰り業務について。校長としては、情報管理等もあり、当然持ち帰らせたくはないのですが、一人あたりの業務が1日8時間分の量を大幅に超えている限り、解決は困難です。持ち時数の軽減を視野に入れた定数改善が必須と考えます。
 教職調整額の見直しの方策について。超過勤務時間にふさわしい手当。これは基本的に賛成でございます。
 時間外勤務がほとんどない教員は4パーセントは適当ではないということ、これも妥当であります。
 後に勤務実態調査のところで申し上げますが、時間外勤務がほとんどない教員というのはほとんどいないというのが実情かと思います。
 時間外勤務手当の課題と対応。時間外勤務の管理については、認定などいろいろな問題があるだろうと思います。それから、平均実労働時間に即した手当の上限の設定が必要です。今の実労働時間に即したと申し上げると、1日当たり、4時間、5時間、下手すれば6時間という上限になってしまうと思いますので、そこのところをどうにかしてからでないととても無理だと思います。
 時間外勤務手当の準備。労働条件の整備、勤務態様の明確化、認定基準、周知等がございますが、ここまでにも何回か申し上げましたが、トータルの時間外勤務がある程度に抑えられてこないと手当化はかなり無理があると考えます。どうしても定数増が必要です。それから、最終的な管理の方法として、タイムカードあるいは管理職が最後までつき合うのかなど、細かい問題も出てくると思います。
 超勤4項目については、教職調整額を時間外勤務手当化した場合には基本的に廃止。現状では超勤項目に入れる項目としては、家庭訪問、研究発表準備、それから生活指導等は当然入ってくるかと思います。
 これについては、かなり難しい問題もあるので検討を慎重にしていただけるとありがたいと思います。
 (4)のその他、変形労働時間制ですが、中学校の場合、夏季休業中に部活動、研修、学習補充教室、面談、私の学校は臨海学校もあるのですが、多くの中学校教員にとって、長期休業中に振りかえて休みをとれる実態はない。また、新学習指導要領による授業増によって、夏季休業の短縮や土曜授業の導入などを計画している教育委員会、あるいは校長もいますので、さらに夏休みに振りかえをとることが困難な状況になってきているかと思います。そういった関係で、できる規定等しかないと思いますが、前述のような状況が変われば別ですが、現状では実施を躊躇する校長が多いと考えます。
 現在、中学校においては休憩時間など全く確保できない状況にあります。行政職員のように昼休みに外食するようなことは全くできません。また、長期休業中であっても時間外勤務をせざるを得ない現状もあります。管理職も土日であっても施設管理、地域行事、各種大会へ参加している生徒の指導や職員への対応のため休めない状況にあります。さらに、教育職は免許の必要な専門職、この辺が一般職とは違うということを言いたいところなのですが、その上、免許の更新制の導入により、時間的、経済的負担が増えることになります。こうした現状に目をつむり、一律に行政職員の給与をもとにした制度に合わせたり、時間外に当たる経費の削減を考えたりすることは教員の士気を失わせ、教職から有能な若者を遠ざけることにもなります。既にご承知のことと受けとめておりますが、外部委託などによる負担軽減はほんの少しの負担軽減にしかならないと考えています。一人でも多くの教員を配置することが学校全体のゆとりにつながり、時間外勤務を少なくしていく最良の解決策と考えます。
 一昨年全日中で行った勤務実態調査について、ごく簡単に説明をさせていただきます。
 全日中で行った調査の中では、1日平均11時間17分の業務という結果が出ております。8時間を引いて、3時間17分、それが超過勤務と考えます。
 3時間17分には、自宅での仕事は入っておりません。部活動は入っております。
 それから、先ほど4パーセントの関係で申し上げました教諭の平日一日平均勤務時間でございますが、4パーセントは20分に当たるかなということで申し上げましたが、1日平均の超過勤務時間が30分以下の教員は、0.1パーセントでございます。ですから、4パーセントの教職調整額が支給し過ぎだと思われる教職員は、通常に勤務している教員については0.1パーセントしかいないというのが現実です。以上です。

【委員】

 対応のほうで言われた、結果的に手当等が少なくなることは教員の士気を失わせて、有能な人材を遠ざけるというか、若者を遠ざけるというようなお話もあったように、そういう考え方もあるんですが、厳しい言い方をすると、一方に、もう少し職場環境がすっきりすることによって教員を目指そうという人もいると思うのです。今のようなかなりのことを担ってやらなければいけない、それで教職員には向かないのではないかというのもいると思うのです。そういう点から考えると、今の勤務状況を、こういう点をもう少し改善したほうがいいのではないかという考え方はどうなのでしょうか。

【全日本中学校長会】

 なかなかうまい手は難しいんですけれども、例えば本校の場合ですと、大体朝7時から部活動が始まるので、6時半ぐらいには教員が来る。そして、夜は9時、10時といるわけですけれども、これはどっちが先かという問題は難しいですけれども、朝の7時から夜の9時までは保護者から電話が入ります。いろいろな対応を要望してくるわけですから、そのような実態の中で、まずそこら辺をどう整理するかということは難しいですね。

【委員】

 今申し上げたのは、教員を採用する立場で私もそういう役をやったことがあるのですが、一方で、今教員を目指す若者が減ってきているんですね。あるいは教職課程を持つ大学への進学者数が減っているという状況があって、それは我々が教育を考える上で、一つ教育環境を整えるとかいろんな意味で考えなきゃいけない。どんどん膨れ上がっている仕事を対処することだけが教育の役割ということではなくて、みずから精選する努力も必要ではないかと思います。

【全日本中学校長会】

 教育の中身の精選はひとまず置いて、やはり社会的認知といいますか、大変さだけが目立ってしまっているところがあると思います。苦情の問題もそうですし、いろいろなところからたたかれているというのがあると思います。あとは、学校のどこをどうしたら希望者が増えるかというのは現場としてもなかなか難しいですね。もちろん、いろんな部分ですっきりさせたいというのはあるんですけれども、昔はすっきりしていたのかというと、決してそういうことではなくて、そんなに変わっていないけれども、ただ量だけが増えてきているということがあります。

【委員】

 私もわかります。もともとは子どもが好きだから教員になりたいという人が集まることが一番望ましいんですね。そういう使命感とかを期待するんですけれども、そうばかりは言っていられないような状況があるような気がします。

【全日本中学校長会】

 もう一つは、すっきりという言い方でいいかどうかわかりませんけれども、どちらかというと情の世界ですから、情というのはなかなか個人差がある。そういう中で組織化を図っていくことが一つすっきりしたものに通じていくのかなと。私も東京都の人間ですけれども、実際に人事考課制度が始まる前は不安感、時には不信感もありましたけれども、やってみると組織という形での整理はかなり効果もあることは事実であろうと。そういった教職調整額等の話も絡んでくるところは、ご指摘のところは確かにあると思います。

【委員】

 今のスクラップ・アンド・ビルドにかかわって、私は変則的なことをお尋ねしたいのですけれども、例えばその一つで、中学校においては部活が超過勤務等々に一番大きな影響を持っているんですけれども、この部活を考えたときに、例えば教職調整額を廃止した場合に、部活を時間外勤務手当の対象にするのか、時間外勤務手当の対象外にするのかというのは、一つの精細な判断が求められるかと思うのですけれども、例えば時間外勤務手当にするということであれば、部活動は基本的に勤務時間内でやることを原則として、それをオーバーした場合には時間外勤務手当を支給するとか、休日の振り替えをきちんとするということで対応するのが原則ですけれども、ただ、休日の振り替え一つとっても、今の現状からするとかなり難しいというのを考えれば、やはり思い切って部活については時間外勤務手当の対象外にするという選択肢だってあるのではないかと思うんですけれども、その辺は中学校長会としては、ある意味では当事者としての意向を求められた場合は、その辺はどうお考えでしょうか。

【全日本中学校長会】

 校長会として正式に全国的に問いかけをしたことはございませんが、やはり手当は必要だと思うのですが、部活動以外の超過勤務手当と同一にして同じ制度の中で扱うのはかなり無理があるだろうとも考えます。市区町村で1日ごとの手当を出していたり、昔はもっと出していたところもございましたが、そういう形もあると思います。
 つまり、勤務時間内にやるというのは、それこそ実際には無理がありますし、いずれにしても勤務時間内外にまたがってということになると思うのです。そういう中では、やはり時間外勤務手当と一緒にしてしまうのはどうかと思いますが、部活指導後に授業準備等をしている教員もおりますし、時間外勤務手当自体を前提としたこちらの討議というのもあまりないものですから、はっきりは申し上げられないのですが。

【委員】

 仮に時間外勤務手当にした場合、超勤4項目の拡張が必要になるということで、家庭訪問、研究発表準備、生徒指導というお話があったのですけれども、非常に慎重に検討しなければならないというご意見もあったのです。どのくらいまで拡張できるのか。それとも、とりあえず家庭訪問、研究発表準備、あるいはその他の超勤4項目に時間外勤務手当を出すぐらいからやっていったほうがいいのか。広いほうがいいのか、狭いほうがいいのかというのは、勤務命令を出す立場として考えた場合、どうお感じでしょうか。

【全日本中学校長会】

 時間外勤務手当化するとなれば、4項目の縛りはかなり無理がありますよね。
 多少広げても、家庭訪問とかに広げてもまだまだ無理があるだろうと。それこそ一般の業務の授業準備であるとか、授業は勤務時間内でするようにとは言えるかもしれないけれども、例えば行事の準備であるとかいろんなものが入ってきてしまうかと思います。

【委員】

 相当拡張せざるを得ないということですか。

【全日本中学校長会】

 そうですね。廃止か拡張か。そこに廃止というのも書いてあるんですが。

【委員】

 超勤4項目の廃止という場合は、ただ出せるというふうに漠然とした規定になりますよね。

【全日本中学校長会】

 そうなってしまいます。

【委員】

 現場としては、それは大丈夫ですか。漠然と出せるというと、公平性が必要になり、どのように超過勤務命令を出していいのかという線引きが欲しくなるとは思うんですけれども。

【全日本中学校長会】

 そうですね、すごく難しいと思います。もうちょっと細かくせざるを得ないかなと思います。
 やっぱり、小さいほうがいいんですよね。人も少ないほうが。だけれども、手当化すれば当然それだけではやっていけませんから、その辺の調整の仕方というのは非常に頭を痛めるところであるんですよね。

【委員】

 一方で、教員の質の向上というか、やっぱり教員は絶えず研鑽しなければいけないということは考えているんですけれども、実際にはそういう時間すらとれないという。定数増とかいろいろ言っても、結果的にこれは教員の業務を見直さざるを得ないんですね。個人としての教員、あるいは組織としての教員の資質の向上、改善を図るということになってくると、膨大に膨れ上がった学校教育の中での業務がある、それをどういう精選の仕方があるかといったようなことについても、中学校長会でのいろんな感想、あるいは個人的な見解でもいいのですが、なにかご意見はありませんか。

【全日本中学校長会】

 いろいろな場面を考えるんですけれども、正直に申し上げて、いろいろなものを抱えてきてしまって精選するのは非常に難しい。ですから、せめて部活動に手当をつけてほしいとか、そういう処遇の問題でついつい私どもは考えるくせがついて、それを整理するのはなかなか難しいのが現状です。
 例えば、今回学習指導要領が新しくなります。現場の声を結構聞いていただきまして、年に何回も時間割を変えないで済むような形をとっていただきまして、いろんな形で現場の意見を聞いていただく中で、そういう部分については多少負担が減ってくるかなということは思っております。
 ニュージーランドの方が視察訪問で本校に来たときに、給食指導を見てびっくりしていました。なぜ日本はこういうことをやるんだと。日本はすべて学校の先生が対応する。そこは全然違う人を入れて、そこに例えば準教師みたいな形で入れて、そこの成果を見て上げていくシステムが他の国にはある。少し業務を、給食指導なんかは離してもらうとかなり違ってくるという部分はあります。

【委員】

 ちょっと私のほうから。これは、この検討会議の中でも議論があったことなんですけれども、時間外勤務手当とした場合に、実際の時間外勤務の時間に合わせて、すべてそれに手当を支給するというのは、今の財政事情を考えるとかなり厳しいと。例えば、時間外勤務手当にした場合には、一般公務員並みの7パーセント、8パーセント前後で例えば上限を考えた場合に、時間外勤務手当を支給する額自体が限定される中で、現場の校長先生とすると、優先して手当を支給する時間外勤務というのは、大体どの辺を重視して認定することになるのでしょうか。

【全日本中学校長会】

 一言で言うと、通常の勤務以外の部分ということになってきますかね。通常というのは、授業準備であるとか、あるいは普通の校務分掌であるとか。でも、校務分掌についても、例えば時間割制作とかそういうことになってくると、当然時間外の勤務が多くなりますので、そういう形になりますかね。
 ただ、最終的には、休職者とかは別として、通常に勤務している中での加減というのがある程度できてくるかなと思うのです。それは、例えば介護であるとか、そういうことで担任を外しているような方で、ほんとうに毎日定時に帰る方とか、そういうようなことで下を設けて、あとは、自己申告の中でこちらがどうにかしていくしかないかなということで、上限がそんなに高くなるわけはないので、大部分の教員については、その上限に張りついた形での査定ということになってしまうかと思います。なかなかしっかりと段階をつけてメリハリというのは難しい。

【全日本中学校長会】

 ちょっと関連いたしまして、本校は実はことしの4月に統合したのです。統合前と統合後で教員が残る理由というのが大きく変化いたしました。統合前には、研究とか統合の準備に多く時間を使っていたんですけれども、統合いたしましたら、連日生活指導が起こり始めまして、したがいまして、学校によって重点的に超過勤務を命じるというのは変わってくるのではないかと、またそういうふうにするほうが効果的ではないかと思います。

【委員】

 では、次は、全国都道府県教育長協議会からのご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

【全国都道府県教育長協議会】

 まず、学校の組織運営ですけれども、資料の中で、学校を取り巻く環境の複雑化に伴い、学校運営に係る業務が増大と記載しておりますが、これはすべてに通じる課題でもありますので、ここで説明させていただきます。
 教員の多忙感についてはずっと言われて久しいのですが、いじめ・不登校のほかにも、例えば児童虐待等かつてはなかったような問題が、今の社会では大きくなっています。児童虐待については、件数で申し上げましたら、平成3年から18年で約30倍になっており、そういった大変困難な状況にある家庭・地域のしわ寄せが、学校現場にかなりきていると思います。
 また、給食費の問題、授業料の未納など様々な問題に対して、副校長を配置する、あるいは教頭を複数配置するなどの工夫をしておりますが、やはり教職員の定数改善、あるいは研修の強化、それから教育委員会自身や専門家による学校支援対策の強化が必要であるというのが1番目の問題意識です。
 外部人材、専門家について説明させていただきます。まず、過度な負担を強いる保護者等、学校に持ち込まれるさまざまな課題を解決するために、臨床心理士、弁護士等を含む支援チームをつくって、外部に人材を求めているケースもあります。例えば特別支援教育に対しては補助的な人材も入れておりますし、児童生徒の直接指導にかかわらない業務についても外部人材等をお願いしているというのが現状でございます。
 そうした中、次の「教員の勤務とその処遇について」が本日のヒアリングの中心になってくるかと思いますが、労働法制上、教員については超勤という概念が現在ありません。勤務時間管理を適正に行うという前提のもとに取り組んでいますが、国の調査によりますと、昭和41年では8時間ぐらいの超勤が、現在では34時間程度になっております。学校現場をあずかる我々としては、かなりの多忙感があり、次に出てまいりますが、中には、仕事を家に持って帰らざるを得ないという状況にある教員もおります。そのための対応としては、教員の本来業務を改めて明確にすることが必要と考えます。また、事務職員等との分担、あるいは、過度な負担を強いる保護者への対応をはじめとする教育委員会自身によるサポート、それから、業務軽減、効率化、定数改善、人的な支援、この辺は不可欠だと考えております。
 次に、メリハリのある給与体系、頑張る教員への処遇について、当然ながら、教員は子どもを預かりますので、士気を喪失しないように、特に頑張る教員をきちんと処遇していく必要があります。また、これから団塊の世代がどんどん退職をしていきます。大阪府の数字で申し上げますと、今、小・中・高、支援学校トータルで約5万5,000人の教員がいますが、毎年約2,000人を新規採用するという状況になっており、やはり優秀な教員を確保するためには処遇改善が必要です。
 そのためには、個々の能力、実績に見合った処遇、それから職務内容、職責等に基づいたメリハリのある給与体系が必要であると。既に全都道府県が教員評価制度を導入済み、あるいは導入する予定で、大阪府を含む5県で評価結果を給与にあるいは勤勉手当等に反映させるという取り組みをしております。
 ちなみに、大阪府ではS、A、B、C、Dと5段階の評価基準を持っており、勤勉手当部分では3万円から6万円ぐらいの差をつけて、頑張る教員をきちんと応援をする仕組みをとっておりますが、全国的にはまだそこまで普及していないのが現状でございます。
 それから、部活動指導について、教員の勤務負担を改善するために、どのような対応が必要かという点についてですが、学校教育活動上、部活動というのは、今、学習指導要領に記載がなく、教員の自主的・自発的な取り組みによりなされているという状況にあります。やはり部活動も教育の一環だということであれば、その辺を明確にするということと、団塊の世代の構成比が高くなるに伴い、運動部等を中心に、教員がなかなか指導し切れない部分があります。この点について、大阪府では360人ほどの外部人材を招聘することによって維持しています。
 それから、中体連・高体連の試合等の部分ですが、今、学校の小規模化が進んでいますので、学校間連携で試合に出るということについて、中体連は一部6種目を認めていただいていますが、高体連はそうなっていませんので、その辺も工夫することによって教員の負担軽減につながると考えております。これらの状況を含め、やはり勤務時間の中で部活動をどう組み込んでいくのかを検討すべき時期ではなかろうかと考えます。
 先ほども申し上げました、多忙化の関係で持ち帰りが常態化している教員もおります。この中で我々が現場で一番悩んでおりますのは、持ち帰る途中で生徒の個人情報などを紛失をするケースがあることです。今、USBで大量のデータの持ち運びができ、残念ながら大阪府では、昨年24件について教員を処分しました。意識啓発をはじめ、今後、そういうことがないようにしないといけませんが、やはり多忙化という課題が根本にあると考えております。
 続いて、教職調整額の見直し方策についてですが、やはり長時間労働が常態化している状況の中で、今の教職調整額4パーセントは昭和41年調査時の8時間相当という過去の経緯があります。これについては検討すべき時期にきているとこ考えております。
 教員にも時間外勤務手当を支給することとしてはどうかという点について、日本の労働法制の中で超勤ではなく、教職調整額4パーセントで対応するというのは、多分教員の世界特有の制度だと思います。特に国立大学附属小学校・中学校は、国立大学法人になることによって超勤という概念が入っています。あるいは、私学はもちろん超勤という概念が入っています。これは全都道府県共通ではないですが、時間外手当の導入も視野に入れた議論をすべき時期に来ていると考えております。その場合、超勤単独でやるのか、あるいは現行の教職調整額プラス超勤でやるのか、そこは制度設計等の議論になるだろうと思いますけれども、そういう時期であるという認識をしております。
 次に、教職調整額を廃止し、時間外勤務手当を導入した場合の課題です。これまでも言われてきております自主性、自発性、創造性、教員の勤務の特殊性と労基法上の趣旨を整理し、業務の位置付けの再検討が必要と考えております。
 勤務時間の管理について説明させていただきます。当然ながら、事前に超勤届を提出させるとか、そういった勤務の確認など、現場の管理職等における対応が必要だと考えております。
 また、時間外勤務手当を導入する際には、財源の確保が一番重要と考えております。特に義務教育の世界は、国として位置づけていただきたい。地方財政について、大阪府ベースで申しわけございませんが、我々は1,100億の予算削減に向け、事業の精査だけでなく、現行の8割から9割になるぐらいの給与抑制を教員も含めて行う予定です。そこはやはり地方ではとてもこなし切れない問題になると思いますので、国において確実な財政措置を行っていただきたい。
 続いて、準備期間についてですが、当然ながら、国による考え方の整理後の法整備、予算整備があるかと思います。それから我々都道府県ベースでは超勤の管理方法や関係条例の改正、職員団体との協議が必要と考えております。資料には相当の準備期間と記載しておりますが、国で方針を決めていただいた後、約1年は準備期間としていただけたらと思っております。
 次に、いわゆる超勤4項目についてですが、拡大する場合、どのような項目を追加すべきかという課題があります。例えば時間外の保護者会というのが結構あります。生徒の情報が漏れた、なくなってしまったといった場合には、緊急保護者会を開く必要があります。また、朝の登校指導、これは我々としても非常に力を入れて取り組んでいますが、そういう部分についても勤務という概念の整理をきちんとやっていく必要があると考えております。
 次に、変形労働時間制については、夏休みの勤務を一定少なくして、その他にシフトをするという考え方自体は、あり得るとは思います。ただ、そのことによって、もともと多忙な教員が休むに休めないといったことになっては困りますので、仮に議論をする場合は、休養をきちんと入れられるということを手当てをしていただく必要があると考えております。

【委員】

 教職調整額と時間外勤務手当の併用というアイデアもあると思うのですけれども、その場合、考え方をどういうふうに立てられるか、アイデアがあればお願いします。
 それから、超勤4項目を超えて、どの勤務に対して超過勤務を命じられるかということで、具体的に上がっている、朝の登校指導と時間外の保護者会ということでした。これ以外にも、これだけは少なくとも入れてもらわなければならない項目があれば教えていただけますでしょうか。

【全国都道府県教育長協議会】

 最初のご質問は、まず、教職調整額の概念に基づく勤務内容をどこまでのエリアで整理するかだと思います。もともと、教員には自発的、創造性に基づく勤務が期待されているからこそ、超勤という概念ではなくて教職調整額で対応しています。そうすると、その概念に基づく勤務内容をどこまでのエリアで入れるのか、その入ったエリアの部分は、やはり平均という考え方が成り立つならば、4パーセントがいいかどうかは別の議論としまして、その処理の中でやっていただくという組み立てができるのではなかろうかと。それを逸脱する勤務に対しては、やっぱり超勤という概念でケアをする、それは一つの考え方だろうと思います。

【委員】

 例えば、感覚として朝の登校指導は教員の自発的指導というよりは、組織としてやらなければいけないという意味で超勤になじみそうですか。例えば授業準備というのは自発性に基づくという意味で、教職調整額の方に入るのではないかという感覚でしょうか。

【全国都道府県教育長協議会】

 例えば校長、教頭が職務命令を出してやる必要がある職務ならば勤務命令を行い、職員はその時間帯は必ず勤務をしなければならない。そして、それが8時間を越えれば超勤手当としてケアするべきと考えます。また、授業準備については、1時間の授業を担当する以上、一定時間は自ら努力をするものであり、それが多分教職調整額のベースとなる考え方だろうと思いますので、その中で整理をしていただければありがたいと思います。
 それから、どういう業務を超勤4項目に加えるかという先ほどのご質問について、今のところ、超勤4項目に当たらない業務として、例えば生徒指導、登校指導、進路指導、あるいは不登校等、そういった生活面での指導があります。それから、部活動が学習指導要領上まだ位置づけられておりませんので、これをどうするのか。それから、職員会議という概念は超勤4項目にありますが、それ以外にも学年会議、地域を巻き込んだ学校協議会、校内研修、授業向上に向けた研究会、PTA活動、そういった色々な要素が現在の超勤4項目には含まれていません。その中で、例えば先ほど申し上げたように、校長が職務命令を出して、これは学校の業務だから一緒にやりなさいということを言う必要があれば、当然ながら、そこは超勤という概念の中でケアしていく必要があるのではないかと思っております。

【委員】

 部活動のところですけれども、基本的に全国都道府県教育長協議会のスタンスは、「部活動については、教育活動上の位置付けを明確にした上で、勤務時間制度の中にどのように組み込んでいくか検討すべき」というところで、実際問題としては勤務時間の中で部活動をおさめるとか、勤務時間内でおさまらなかった場合には、それは時間外勤務手当の対象にして休日の振替で行う措置で考えられているかと思いますけれども、実際の今の教員の定数、配置等々を考えると、休日への振替等も難しい中で、このスタンスでいくと、結局、部活動に関する負担の重さというのは大して変わらないのではないかという思いもあります。思い切って社会教育に移行するという措置も考えられるし、また外部指導者を学校の中に取り入れるといっても、やはり外部指導者が指導責任とか指導管理責任等を負わなければ教員の負担改善にはつながらないということも事実で、このあたりも学校が教育活動の一部として部活を位置づけて、そのために外部指導者を取り入れてという仕組みのもとでは、なかなか教員の負担軽減につながらない面もあると思うのですが、どうでしょう。

【全国都道府県教育長協議会】

 まさしくおっしゃるとおりで、記述に入れておりますけれども、仮に外部人材を求めるとしても、外部指導者が指導責任、施設管理責任といったものをきちんと負っていただくと、教員は安心して任せられることができると思いますが、今はそこまでの責任を外部人材に求めるわけにはいきません。やはり学校教育の一環上、外部指導者と教員とが協力する必要がありますが、そうすると教員にやはり拘束性が働いていてきます。部活動自体が否定できるのであれば別でしょうけれども、やはり部活動と学習等が連携し、一体となって子どもたちを育んでいくという意味では非常に重要だと思います。部活動が土曜日や日曜日に及ぶ点については、一部手当によってケアできます。また、場合によっては勤務の振替でもケアできますが、期限的な理由からケアできないケースもあるかと思います。

【委員】

 思い切って部活動を学校ではなくて教育委員会の直轄にして、外部指導者や手を挙げている教員と教育委員会が直接契約関係を結んで、教育委員会の責任のもとでやるというような、それも少し社会教育の分野にも移管するとか、そういうステップを踏みながらという見通しは、あまり現実的ではないですかね。

【全国都道府県教育長協議会】

 子どもという観点で考えたときに、昼間の授業だけその子どもを見ていていいのか、部活動における活動も見るのかという点があります。全人格的に子どもをとらえようとしたときには、理念論で恐縮ですが、教員にとってみたら、学習面における子どもの様子、部活動における状況、それをトータルで把握したいという思いが強いと思います。やはり、学習面ではこういう特性を持っている子だけれども、部活動でこういうことをやらせればこんな能力を持っているとか、その能力があるから、逆に学習面でもこういうところをちゃんと伸ばしてあげてと、個に応じた教育をやろうとすれば、両方とも教員が関与できる仕組みがベストかと思います。ただ、それによって教員が非常に多忙感を感じて倒れてしまうみたいなことになってしまうと何をしているかわからなくなりますが、現実にそういう思いが教員には強いだろうと思います。

【委員】

 教員が本来行う業務の中で今問題になっているのは、いじめとか不登校とか、それは学校だけでは解決できなくて、家庭にも及ぶということで、大阪府では以前から、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の体制ができているということですが、全国的には非常に少ないと思います。教員だけではできないようなことについて、他にも何かできるものはあるのではないかと思いますが、それについて何かございますか。

【全国都道府県教育長協議会】

 おっしゃっていただいたように、今、大阪府は政令指定都市を除く289のすべての中学校にスクールカウンセラーを週1回派遣しております。外部性、専門性と我々は言っていますが、そういう人材を入れることによって子どもたちの確かなはぐくみにつながっている。それをもっと広げていきたいと考えております。
 他には、学校支援地域本部を順次広げていく予定ですが、そこで考えておりますのは、ひとつは、例えば子どもたちの放課後における学習支援です。それは教員も当然関与しますけれども、外部の人材、ボランティア等によってサポートしていただければと考えております。2つ目は、例えば図書室の機能です。これは専門的な知識がなくても学校を支援してやろうというボランティアがおられれば、図書室を開放して子どもたちに親しんでもらえる。3つ目が、例えば学校の子どもの安全です。これも登校指導は教員がやってほしいと先ほど申し上げましたが、大阪には1,016という小学校があり、その小学校すべてにボランティアの組織ができており、登校時にきちんと子どもたちの安全を見守ってくれています。また、校庭に芝生を張ることによって、子どもたちに伸び伸びと遊んでもらう、運動してもらう、そして芝生を地域人材によって管理を担っていただくことで学校と地域の連携をさらに深めていくことができないかと考えております。その他にも工夫できるものはそういう外部のボランティアなどの人材を入れることによって、教員の多忙感を少しでも少なくしていきたいと考えております。
 ただ、例えば、子どもが不登校になってしまう、あるいはいじめでなかなか家から出てこないといったときに、教員が家に出向いて子どもや親と話し合いをするように、教員でなければできないという部分もあります。そして、そこの部分は、現状では教職調整額の枠の中でということになっております。教員の多忙感や34時間という超勤の状況をみますと、できたらそういったものも含めてケアしてあげたいと考えます。やはり家庭に入るときに、ボランティアだけでは家庭に入れません。子どもの担任の先生だから、家に行って子どもや親と話ができる。そこの部分は外部の人材にお願いするわけにはいかないので、やはり学校という看板を背負うといったら語弊があるかもしれませんが、その中でケアしなければならないという実態があることもご理解いただけたらありがたいと思います。

【事務局】

 ちょっと確認的なことになりますけれども、勤務実態を分析し、時間外勤務手当を支給する業務を限定する。あるいは、教職調整額との併用も法的に可能か検討すべき、もしくは、すべての業務を時間外勤務手当の支給対象とすることも考えられるとあります。また、超勤4項目のところで、具体的な項目については自発性・創造性に基づく業務や部活動指導などの扱いを含め今後十分な議論が必要であるというのは、仮に時間外勤務手当を導入する場合は、慎重に検討すべきであるというのがおっしゃっている趣旨で、必ずここはこうすべきというところまで示されたわけではないという理解でよろしいでしょうか。

【全国都道府県教育長協議会】

 全都道府県の共通点の考え方としてはそのとおりです。個人的な考え方としては、例えば授業準備ならば、教職調整額で対応し、全教員が出勤して、朝7時半から登校指導をする場合に、教頭、校長が命令でやらせるのならば、超勤という概念でフォローすべきではなかろうかと思います。線引きの基準としては、申し上げたような授業準備などの個々の業務は教職調整額で、登校指導など教員が一体となって取り組むものは超勤で手当する等の考え方があるかと思います。ただ、それをもっと割り切って労働者という立場で物を見れば、国立大学法人、私学と同様に、学校現場で勤務している状態で、8時間をオーバーすれば、それが授業準備であれ、部活動の指導であれ、何であれ超勤とするという観点で、そろそろ議論いただくべき状況だろうと思います。
 我々教育委員会として、できるだけ学校現場を支える体制を整えていきたいと考えていますが、どうしても学校でやらなければならない部分がありますので、それをそろそろ議論していただけたらありがたいと思います。

【事務局】

 学校外における業務の取り扱い、それから学校内の出退勤管理システムの整備というお話について、もうちょっと具体的なイメージがあったら教えていただきたいと思います。
 それから、勤務時間の管理方法等について、各都道府県として条件整備しなければいけないと書いておられますが、これも具体的にどういう作業が出てきそうかというのを、イメージで結構ですので教えていただければと思います。

【全国都道府県教育長協議会】

 一番わかりやすいイメージで申し上げますと、大阪府の高校現場では、磁気データ付の職員証をスリットすることで出退勤システムを導入しています。それによって出退勤時間が明確に把握でき、その間の学校にどれだけいるのかがわかります。ただし、これは単なる在席時間であり、それだけをもって時間外勤務を管理するわけにはいきません。教員から校長、教頭に対して、事前にこういう業務で残業しますと申請した上で、承認、事後確認するというシステム整備が必要と考えております。
 校長、教頭だけでなく、副校長、主幹教諭、複数教頭制など、学校現場の管理体制はかなり充実してきています。そういう管理職等が一般の教員をきちんと管理する、そういう中で超勤という概念も導入できるのではなかろうか、また議論していただきたい時期だということでお願いします。

【委員】

 例えばタイムカードみたいに機械で出勤時間、退勤時間を把握しても、今は教職調整額で払う額は一律ですから問題ないんですけれども、時間外勤務手当になると、実績に応じて払えとか、払わないとか、予算がどうのと、そういう新たな火種が生ずることになる心配はないですか。

【全国都道府県教育長協議会】

 あります。だから、先ほど申し上げたとおり、単に学校にいる時間をとらえるのではなくて、管理職が業務を把握しなければいけないと思います。時間外勤務命令を申請した上で、校長が承認し、その時間はきちんとしたケアをする超勤システムと連動させる必要があります。ただ漫然と残っているだけの場合もありますので、そこはきちんとしたシステム構築が必要であり、それにふさわしい管理体制が校長、副校長、教頭、主幹教諭というシステムが大体でき上がりつつあるので、物理的には可能な時期になっているのではなかろうかという趣旨です。

【委員】

 では次、全国都市教育長協議会からのご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

【全国都市教育長協議会】

 まず、学校の組織運営について、4つ抜き出してございますけれども、一番中心になりますのは、学校経営に対する適切な支援体制の整備ということであろうと思います。
 一番最初に学校支援体制の確立ということで、市町村教育委員会の役割というのは、こういった体制をつくるのに非常に重要であろうということで挙げてございます。また、今は管理部門と指導部門というふうにお話が進んでおりますけれども、実際は指導部門ははっきりしていますけれども、管理部門というのを分析する必要があるのではないか。そこで、総合部門と書きましたけれども、要するに今まで想定していなかった、今まで学校では施設の管理とか人的管理とかですけれども、それ以外の非常に複雑な要件が入ってきているのが学校ではないかと思います。
 一方で、組織力の向上ということで、副校長とかミドルリーダー、こういう中間的な管理職、主幹等と書きましたけれども、そういうものも必要であろうと感じております。
 外部人材の活用のところでは、ここに挙げてあるとおりでございます。特に学校ではいろいろな費用の徴収、例えば給食費の問題といったものもございまして大変苦慮しております。また、外部者とのトラブルといったことに時間を割かれる。学校長は特に苦労をしているわけでございます。
 続いて、教員の勤務とその処遇についてということでございますが、そこに挙げてありますように、調査等事務量の軽減ですとか、あるいは教科指導等の準備時間の確保。よく教材研究と申しますけれども、こういった点では教職員定数の改定、教職員の増員というようなことが必要ではないかと。現在では休憩時間もなかなかとりにくいという状況でございます。
 そうした考え方でいいますと、やはり教員の職務内容の明確化ということで、とかく職務の量ということが話題になりますけれども、教員の創造的な働きですとか、そういう質の検討をすることが必要ではないかと思います。
 メリハリのある給与体系についてはここに書いてあるとおりでございます。人事評価システムとかいろいろ研究されておりますけれども、こういったことはぜひ必要だと思います。
 部活動の指導で、部活動というのは非常に重要であるということでございますけれども、現在では、地域のスポーツクラブとかが徐々にではありますけれども盛んになってきておりますので、今までの学校体育中心の、そういう部活の意味を認めながらも、そういった点に切り込んでみる必要があるだろうと。対外試合等で費やされる時間も非常に大きいと感じております。
 持ち帰り業務につきましては、学級編制基準の見直し等、教職員定数の増とかが必要であろうと思います。
 教職調整額の見直し策でございますが、一律の処遇を見直すということは賛成でございます。ただ、総合的に果たしてこの4パーセントという総額を考えた場合にこれでいいのかどうかということは、やはり時間外勤務の実態をよく見きわめて検討していただくことが必要であろうと思います。
 時間外勤務をしていない人については、勤務実態に応じた処遇を行うべきであると考えます。
 教職調整額を廃止した場合のことでございますけれども、やはり時間外勤務手当支給基準の作成ということが前提でございまして、現状では職務命令を出しにくいという、ほんとうは超勤ですから職務命令に基づいてやるわけですけれども、横浜地裁の判例を見ますと、この調整という考え方はまずいと感じております。
 それから、必要な準備ですが、勤務実態の調査ですとか、法的な整備とかが大事だということと、労働安全衛生法でも言っておりますけれども、勤務時間の管理体制ということで、タイムレコーダーですとか、あるいは超勤の実態を表記する帳簿の整理のようなものも重要だと考えます。
 超勤4項目については、これは特に支障がないということでございますけれども、この教職調整額廃止の方向での項目拡大ということ、これについてはいかがなものかと思います。むしろ業務手当のようなものを設置しまして、現在の勤務に見合った処遇をすべきではないかと思います。
 続きまして、変形労働時間制の問題ですが、これは私どもでは高等学校がこれに似たようなことをやっていますけれども、義務制の場合には、1年なり半年なりでやるということは、なかなか超過勤務を命ずる予測が立ちにくい状況では、義務教育の現場では難しいだろうと。現在も1ヶ月単位の変形労働時間制というのは行っておりますけれども、1年単位というのは難しいかと思います。
 最後、その他、教員給与や勤務条件の見直しに関しての意見でございますけれども、端的に申し上げまして、人材確保法、こういう現行を堅持してほしいということ。それから、教育の分野を経費節減の対象として考えるのは、我が国の将来を考えると過ちではないかという強い危惧を持っております。教育は最重要課題であるということでございますので、ぜひ教員の増員、学級編制基準といったものを見直していただきたいと思います。

【委員】

 おそらく基本的には教職調整額制度のほうが時間外勤務手当よりはよいというご意見だとは思うんですけれども、仮に時間外勤務手当制度に移した場合、超勤4項目をどうするのかということを今お伺いするとしたら、それでもなお教職調整額廃止の方向で項目拡大には不適当ということでしょうか。現行4項目しか超勤命令が出せなくて、それ以外では超勤手当も出せないということになるのですが、そういうことなのでしょうか。

【全国都市教育長協議会】

 緊急やむを得ざる場合ということで非常に足かせがございます。しかし、現実には、例えば保護者会を地域ごとにやるとか、バザーですとか、いろんな超勤に相当するだろうと、学校長が非常に苦しんでいることがございます。そういったものについては、これとは別に、超勤4項目を制定した当時も話題になったと思うのですが、業務手当のようなものを、拡大というよりも、そういうものを改めて特設したらどうかと考えております。

【事務局】

 時間外勤務の見きわめが難しく、職務命令を出しにくいというところ、もう少し具体的にお話を聞かせていただければと思います。

【全国都市教育長協議会】

 例えば1日何時間とか、教材研究とか、研修ですとか、さっき申し上げましたような、生徒指導で不審者が出たとか、そういうようなことは起きてまいりますので、それをしっかりと見きわめて、これは超勤ですよと事前に命ずるということがなかなか難しい。やはり超勤を命じるからには、本人とよく話をして、これについては超勤が命じられません、内容的にこれはだめですということを管理職ははっきり言う必要があると思いますので、超勤というのは教員の勤務実態からいうと出しにくいという意味でございます。

【委員】

 実際問題としては社会でなかなか学校が忙しいとか、ある特定の先生がもう少ししっかりすべきではないかとか、そういう人たちに対して一律に出すことはおかしいのではないかという批判が非常に強くあるわけでございますけれども、その辺に対して、私自身も学校現場にいながら非常にじくじたる思いを持ってはいるんですが、そういうことに対してどういう対応を打っていけば一般の方々に理解を得られるとお考えになっているかお聞かせいただければと思います。

【全国都市教育長協議会】

 私は、やっぱり学校現場の教員はよくやっていると思います。非常に限られた時間、予算、そういう中で積極的に取り組んでいる。それから、私ども教育委員会でいろいろなお願いをしますけれども、それについても非常によく取り組んでいて、私は外部で批判されている、これは実態をよく理解していないのではないかという感じがいたします。
 しかし、一方で、いろいろな不祥事が起きたりいたしまして、これは別な事件で対処すべきことであって、こういった処遇の問題というのは、現在の超過勤務の実態から言えば、4パーセントというのは低いと思います。
 では何パーセントがいいのかと言われると困りますけれども、おそらく超勤の制定時の4パーセントという勤務実態と、今のとにかくいろいろな状況が入ってきていますね。こういう状況を私どもは肌で受けとめてみた場合に、それらに見合う、もし超勤の支給をしないで教職調整額でやるんだとしたら、教職調整額に段階をつけようが何しようが、そして一律4パーセントでなくて差がついても結構だと思います。しかし、総額を4パーセントの中でではなくて、増やしたらどうかと思います。これは実際に学校現場をよく知れば、そういう思いになるだろうと思います。

【委員】

 学校の支援体制の確立で、市町村教育委員会の役割ということで、市町村教育委員会としてできる部分があるということでここに幾つか挙げられているんですけれども、もう一つ、事務局の中でのある意味では行政当局と教育委員会当局の力関係、それがどんどん教育部門のほうへ入ってくる、県でいうと知事部局の部分がどんどんこっちへ来る可能性があります。それに対して、いや、これは本来向こうでやるべきではないかという、例えば社会全体で考えるべきことで、行政側の対応に、本来ある意味では押し返すこともあると思うのですが、その辺について何かご意見はありますか。

【全国都市教育長協議会】

 私はまさにそのとおりだと思います。ですから、県であれば、知事部局と教育委員会、それから、市町村であれば教育委員会と市長部局、こういうことなんですけれども、今はどちらかといいますと、子どもに関すること、例えば居場所づくりにいたしましても幼稚園の問題にいたしましても、これは別々にやっている時代ではないんですね。ですから、私は、一言でいえば地教行法の今の精神をしっかりと受けとめまして、教育行政の独立性といいますか、そういうものをしっかりと行政担当者が持っていくと。例えば耐震の問題が急遽国のほうから出てまいりました。これにどう対応するかといったときに、やはり補正予算を出したわけなんですけれども、9月予算を待たずに補正予算を出した。そのときにこれを通してもらうためにはどうしたらいいかということですね。そうしますと、やはり教育委員会のしっかりした今まで5校ずつやっていたものを10校ずつにするとか、そういう明確なビジョンを示すということですとか、あるいは議会への働きかけ、これはもう各会派を回ってお願いをして、議会のほうから市長への質問も出ました。私どもは、ですから誠実にぜひこれをやってほしいということを訴えていくということですね。
 ですから、私は財源とか人事は教育委員会で決定したものを市長部局へ送るというふうにしています。もちろん事前協議はしますけれども。そういう教育行政の地教行法の精神をしっかりと受けとめて、多少抵抗があってもやり通していく、そういう構えが必要であるし、そういった意味で、私は学校の支援体制、予算をとるのもそうなんですけれども、予算も学校長にかなりの部分を渡していくというようなこと、あるいは学校長がここが壊れた、あるいはこれが割られたといったときには、すぐそれに対応できるような職員の動きといったものをしっかりとさせていく、そういうことがないと、私は絵にかいたもちになってしまうと思います。学校の支援組織体制が副校長やミドルリーダをいかに設置しても、これが働けない。教育委員会が後押ししてくれているんだと。ですから、安全安心の部分なんかは痛切に感じますね。警察のOBとか、心理士とか、そういうものを組織して教育委員会が持っている。そのことは学校が動けるということにつながるのだろうと私は思います。

【委員】

 1点なんですけれども、「現在の教職調整額は実情に合わないので法整備をした上で見合う調整額を支給すべきである」と書いてあるんですけれども、この法整備というのは時間外勤務をしていない者には払わないということでしょうか。それとも、何かほかにお考えが。

【全国都市教育長協議会】

 結果的にはやらない人には払わないということですね。先ほどから申し上げているように、こういう業務については超過勤務を命じて、そして払っていいですよと。学校長がこれを事前に超過勤務として認めていいですよという項目を設定してもらえるとありがたい。そうすると学校長は苦しまないで済みますね。例えば、地域と連携しましょうといいますけれども、当然教員が地域に出てほしい。環境整備なら環境整備に出てほしいけれども、だれかぜひ協力してくれる人は出てほしいというのではなくて、これについては学校の連携という点で重要だから、2時間なら2時間出てほしいと職務命令ですね。ですから、時間の調整や何かを考えない。

【委員】

 超勤4項目以外をもっと増やせということですか。

【全国都市教育長協議会】

 超勤4項目ではなくて、業務手当。それだと、この4項目はそのままにしておきながら違うことができるだろうと考えております。

【事務局】

 1年単位の変形労働時間制を導入する場合の仮にというところなんですが、義務教育の現場では導入は難しいという話について、超過勤務を命じる予測が立ちにくいのでというお話があったんですけれども、この場合の1年間の変形労働時間制だと、仕事が非常に多い時期は1日8時間のところを9時間にするとかいうふうに正規の勤務時間を増やして、その分、例えば長期休業期間中の勤務時間を短くするとか、そういうことをあらかじめ設定するという制度ですけれども、それと、先ほどの命じる予測が立ちにくいという話で、それはいつそのぐらいに長くなるとかいうのはなかなかわかりにくいという意味ですか。

【全国都市教育長協議会】

 これは、例えば埼玉の場合ですと、進路指導というか、受験指導でしょうか、そういう関係で土曜日に授業をやっています。義務制のほうはほとんどやっておりません。そういう流れも幾らかあるんですけれども、私は全国的に調査なさったらいいと思いますが、土曜日に授業をやると、要するに完全5日制になる前の状況、夏休みに調整しましたね、あれと同じに戻ってくるんじゃないでしょうかね。小中学校義務制の場合には、やはり子どもの状況や何かを見ますと、せいぜい1カ月ぐらいの間に勤務の振りかえをするとか、そういうことで処理ができるんじゃないかと。実は、今言った、週を延ばしているところを見ますと、大体が土曜日の受験指導ですよ。それで夏休みとか16週のうちまでに何とかするとか、そういう苦肉の策というのでしょうか、これは私は正常ではないと思っております。
 ですから、今の週5日、週休が土、日とある、こういう状況を法で決めてあるのであれば、やはりこういった考え方は、ある高等学校なんかの一部については成立するかもしれないけれども、だんだん公立が私立の高等学校に近くなっている状況ですね。これを国はどういうふうにとらえるかということと私は非常に理念的なところでどうかなと思いますし、実際は小中学校では時間外勤務というのはそんなに長いスパンで予測はできない、そういう意味で申し上げました。

【委員】

 では、全国高等学校教頭・副校長会のご意見を伺いたいと思います。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 お話をちょうだいして、まず、7月の初旬でないと全国の総務部会が開けないということで、それから、7月末に全国の理事研究協議会を予定しておりますので、お示しいただいたことについては総務部会に諮った上で7月末の理事研究協議会で全国の先生方のご意見を集約する形で、後日、文部科学省のほうにお届けしたいと考えております。
 ということで、要するに機関としての協議をしておりませんので、今日はあくまでも私は全国のほうの会長を務めております。随行員として一緒に来ていただいたのは東京都ということで、そういう前提でお話をさせていただきたいと思っております。
 基本的には、公立学校の教頭会のほうからお出しになられているレジュメと原則としては私どもの立場は変わりません。そういう中で考えていったときに、実際に現在の学校の状況というのは、管理職を含めて大変多忙感にさいなまれているという実態があります。教員が子どもたちと向き合うという時間を大原則とするならば、まず授業というのが大前提としてあるだろうと。ところが、実際の学校現場は、それぞれの学校が置かれている状況が異なりますので一概には申し上げられないのですが、進学を基本とする高等学校は進学指導ということも入ってきますし、部活動を重点的に指導している学校は部活動ということが入ってきます。生活指導で課題を抱えている学校は生活指導ということが入ってきています。授業以外の場面で極めて多忙であるという実態はあるかと思います。
 たまたま私は最初に勤務した学校が、いわゆる教育困難校という学校でした。そのために、逆に教員の組織というのは生活指導を充実させるという意味で大変結束力が高くて、いわゆる上司と部下の関係、管理職と教員との関係というのはある意味では確立されていたと思います。ただ、それはあくまでも危機管理を図っていくという大前提があった上で成立していたものだと思います。
 それから、2番目に赴任した学校は伝統校ですが、いわゆる中堅の進学校ということで、生徒の自主性・自発性という言葉をよく使いますけれども、その自主性・自発性にゆだねているところで、部活指導を一生懸命にやる教員、それから進路指導を一生懸命やる教員、その垣間に見えてくるのが、いわゆる何もしない教員という存在というのは確かにあることは認めざるを得ないと思います。
 例えば典型的な例では、朝1時間年休をとって、帰り1時間年休をとると。年休の条件からいえば特に違法ではないわけで、ただし、それは部活指導や進路指導をやっている教員からすると、何か違うんじゃないかという率直な声は聞こえてくるんですね。ですから、働く教員と働かない教員という観点からすると、我々が見ているよりは現場の教員の視線のほうが極めて厳しいという実態があるかと思います。
 今いるのは、進学校と呼ばれる学校でして、併設型の附属中学校を持っております。そのスタートの年に当たって着任したわけですけれども、中学校の教員も高校の教員も非常に忙しい思いをしていると。当然、進学指導を充実させるために土曜日に授業をやっております。中学校は授業ではなくて講習という形で実施をしております。そうすると、1週間の勤務という実態を考えると、果たしてその勤務の振り替えとかという問題点が出てきて、制度上は可能なんですが、実際にこれから休業期間に入っていったときに、当然夏休みの補習や講習というのが入ってきます。それから、部活指導が入ってきます。ということで、そういったことを一つの特色として挙げている以上やむを得ないんですが、ただ単に労働条件、勤務条件という点から考えますと、実際はそういう週休の振りかえ等を行っても現実的には週休は確保できていないという実態があります。
 1日の勤務の条件を見てみますと、大体8時ぐらいには教員は帰っていきます。ただ、教務を担当している教員は、我々と同じような時間帯ですから、早くて10時ぐらいでしょうか。朝は大体30分から1時間前ぐらいに学校へ来て、保護者からの連絡も含めて対応をしていると。
 先日、東京都の副校長60名ぐらいに簡単なアンケートをとりました。教職調整額の見直しそのものについては、比率から申し上げますと2対1で見直すことに賛成であるという意見のほうが数的には多かったです。ですから、おそらく全国的にお聞きしても6対4ぐらいで見直しは必要ではないかという意見は出るだろうと思います。一方で、4割の慎重派の意見の基本となる考え方は、では、時間外勤務というふうに割り振った場合に、時間外勤務の確認を誰がするのか、あるいはどこでするのか、何を基準としてするのかという点に課題があるのだと考えている意見が多いかと思います。
 東京の場合は、基本的に校長の下に副校長があって、主幹教諭があって、現在導入を検討していますが、指導教諭という制度があって、新たな職として主任教諭を置いて、その下に教諭を置くと。いわゆる鍋蓋方式から組織としての職階制度に移行しつつあるわけですけれども、現実の問題からすると、それが完成するまでにはかなり時間を要するだろうと。実際に手を挙げて受験をしてくださいという制度だけですと、残念ながら主幹教諭も毎年受験の人数を確保することが極めて難しい状況が続いていると。一方で、教育管理職を目指す主幹教諭や教諭の数も実際は減少しているという。その多忙感の原因というのは、情報化が進展した結果、瞬時にして情報を入手するという制度は活用できるんですが、残念ながら調査等については、やはりこれも莫大な調査が送られてくると。実態から申し上げますと、今まさにその時期に当たっているわけですが、業績評価制度を導入しましたので、当然授業観察と自己申告の面接を行わなければならない。今の学校ですと五十五、六名の教職員を直接対応しますので、そうすると1学期相当の期間でその2倍の110時間はそれで費やさなければならないと。
 現実の問題からすると、朝は1時間目に服務上の書類の処理をいたします。2時間目から5時間目、6時間目にかけて、学校での打ち合わせの1時間と授業観察とか面接で4時間ということで、学校の時間の6時間はそれで過ぎてしまうんですね。放課後に会議が入ります。そうすると、諸調査、教育委員会関係の調査等に答える時間というのは当然夜になるわけです。ということで、これは教務関係の主任層も同じようなパターンに入ってしまいます。そういったことで教務関係の教員は同じような退勤時間になってしまうという構造があるわけです。
 一方で、部活動を一生懸命やりたいという主幹層からは、実際にはこのパターンの中では部活に出ていく場面が、現実の問題からすると職員会議と企画調整会議と主幹会議がありますので、5日間のうち3日間は放課後はそれで消えてしまうんですね。そうすると、残り2日間しかないわけで、2日間で部活指導をしろということになりますと、そこに対する複雑な思いというのは日常的にかなりこちらに向けられてくる場面が多いと思います。
 といったところで、現実の問題からすると、我々もそう見ていますし、教員のほうもそう見ているわけですが、一律的な教職調整額の支給ということについては疑問を感じている教員も非常に多いと。ただし、実際にそれは誰がどこでどういう基準で目安として決めるのかということについては、管理職側としても、教員側としても疑問を持っていると。そういったところから、なかなか今回の問題というのは日常的に常々感じている問題ではありますけれども、答えを出すまでにはなかなか難しい課題を抱えている事柄をお聞きになられているのかなと思っております。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 東京都の現実として部活動をほんとうに一生懸命やる教員は少なくありません。私も2校目の学校は進学重視型の学校でございました。部活をやっています。当然、授業を大事にしますから振り替えはとりません。初めから手当のほうでやります。
 なぜ教員が振り替えをとりにくいか先ほど会長のほうからありましたけれども、やはり1つは、教員同士お互いに迷惑をかけるという意識が働きます。すべての曜日に時間割を割り振るという原則があります。ということで、振り替えをとりにくい環境であることは、私も今、服務処理をしていてそう感じることでございます。東京都の場合は後ろ4カ月というのがありますけれども、夏休み中にかなり集中するかなという感じがいたします。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 あとは地域、今、部活動という話が出たのですが、教師がもし授業ということを大原則として子どもたちと向き合うということであれば、部活指導のところで地域の力が入ってくるところは検討の余地があると思います。それが充実すれば、必ずしも部活指導に忙殺されることは解決されるのかなという思いはあります。

【委員】

 東京都は、校長、主幹、指導教諭という形でどんどん層ができてきて、その意味では職務に応じた軽重といいますか、メリハリがついてきている。ただ、職務の負担に応じた処遇になっていないがためになり手が不足しているのだろうと思うんです。けれども、仮にそのような職層を増やす仕組みが整えば、残された教員に一律支給をしても全体としてのメリハリはついているので、それなりに十分なのではないかという考えもあり得るかと思うのですけれども、いかがですか。職層がたくさんできれば、それなりに一生懸命やる人は上のポストについて、より大きな仕事をしてもらうけれども、その分処遇もできるという体制になれば、その他の人は一律支給でも全体としては一律ではないので十分なのではないかという気もするんですが、いかがでしょうか。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 それは職層が完成すればご指摘のとおりだと思うんです。ただ、先ほど申し上げましたように、職としての魅力が上位職にあるかといえば、残念ながら教諭職からはそういう魅力を感じている教員というのは実感からすれば非常に少ないです。ですから、あとは人材発掘という観点と育成という観点から個別に声をかけて受験をさせていくと。受験をさせるというところで、また一つのエネルギーを使わなければならなくて、ある程度の経験年数を踏まえたところで昇任試験を受験するというような制度が確立すれば職層を充実していくことはできると思いますけれども、現在のように自発的な受験制度という体制では充足するのは非常に時間がかかるのではないかと思います。

【委員】

 実際には職層が大きくないと時間管理もできないわけですね。だから、ある意味、職層がたくさんできれば教職調整額というか時間外勤務手当で時間管理をする必要もないといえばないのですが、結局、どちらかを先にやるしかないんじゃないかという印象を受けるんです。できるとすれば、先に時間外勤務で差をつけるほうなのか、職層を拡充していくほうなのか、どちらがやりやすいですか。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 基本的には職層の充実だと思うんです。

【事務局】

 高等学校も規模の小さいところから大きいところ、それから専門高校のように学科が幾つもあるところとか、そうでないところとかいろいろあるかと思うんですけれども、今、特に副校長とか教頭の皆さんがかなり教職員の時間管理とか服務管理のところで重要な役割を果たしていらっしゃると思うんですが、現行制度のもとでも勤務時間についての管理であるとかは今も求められていると思うんですが、高等学校の場合、大きいところとか、実際どういうふうに行い、またどういったところが課題だと思っていらっしゃるか教えていただけますでしょうか。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 東京の場合は、まず出退勤のところで、出勤についてはカードリーダーで、ところが退勤がないわけです。出勤と退勤をカードでやるという方式は棚上げにされているんです。ただ、学校現場としては、出勤と退勤をカードでやっていただいて、それがコンピューターに連動して自動的に記録されるということのほうがありがたいことはありがたいです。そのほかの年休とか勤務の振り替えとか旅行命令とか、そういったその他の服務上の処理がいまだに前の様式というか、紙ベースなんですね。ということは、それを処理するのにすごく時間がかかって、また、教員のほうも同じことを以前と同じようにやっているので、機械化されたといっても、ただ単に赤の判子がカードになっただけで、あとは全然変わっていないという実態があるんです。その辺がコンピューターですべて本人が申告して処理されるという制度になれば、かなりそこの部分のロスはなくなると思います。
 ですから、当然勤務の振り替え等もそういった形できちんと記憶されれば問題はないわけですけれども、実際には振り替えするところから始まって、振り替えを承認して、それを経営企画室の服務担当者がまた手入力をしていく、そういう段階ですので、事務方のほうもかなりのロスを抱えていますし、申請する側もロスを抱えている。ですから、その辺が解決すれば、かなりほんとうは自動化されるんじゃないかと思いますけれども、なかなかそういうところまで踏み切れていないという実態があります。

【事務局】

 例えば、仮に時間外勤務手当のような制度になると、より時間外勤務を命ずるか命じないかというところについての判断をしてやるということですけれども、高等学校の場合に、そこら辺の実際の処理というのは、先ほどの職層の話もございましたけれども、そういった中でそういうものが整えばそれはやっていけるような形になっているということでしょうか。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 何をもって超勤という対象にするかという定義をした上での話だと思うんです。ですから、東京の場合は部活指導も本務になりましたので、本務だという前提で考えていったときに、ある一定の時間を超えて部活指導をする場合については超勤だという定義があれば、今の体制ですと、必ずその教員が帰るまでこちらが見ていなければならないという課題が残ってしまうわけですけれども、それが定義された上で、外であれ、あるいは中であれ、きちんと申告制に基づくということであれば、それは可能だと思うんです。

【委員】

 先ほどのお話の中で、教職調整額の見直しといいますか、6対4で賛成の意向だろうという予測。それは、一律に支払われているものよりは、むしろ業務手当的な、あるいは職務手当的な方向ではなじむだろうということだと思うのですが、高校は小中学校に比べて教員の定数上は多少余裕があるというところもあると思うんです。そして、その中で一部の教員に著しく業務は偏っているという現実もあるのではないかと思います。そういう意味で、やっぱり業務を見直す必要性とか、その偏っているということについては改善しなければいけないということについて、何かお感じになっていることはありますか。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 多分その発想のところから職層の問題が出てきていると思うんです。主幹教諭を導入して、いわゆる単なる主任ではなくて、監督職としての主幹制度と。そうすると、そこに仕事が集中する。集中すると、それが一つの魅力として感じていただければいいのですが、主幹職の実態としては授業軽減というのがまずないという前提があるんです。そうすると、いわゆる今時間軽減しているのは通常の生活指導主任、進路主導主任、教務主任としての軽減ですので、主幹職としての軽減というのは入っていないんです。したがって、学年主任は当然時間軽減がありませんので、実際は東京都の場合は標準を18時間として計算をしていますので、18時間プラスその他のもろもろの時間が入ってくると、18時間より多くて、授業をやっていると、当然その授業に対しての予習等も入ってくる。あるいは、生徒の問題演習等のチェックも入ってくる。もちろん主幹職ですからベテランですので、初任者とか中堅の教員に比べれば、当然今までの知識等の積み重ねの上で授業に対する準備というのは少なくて済むはずなんですが、それでも授業をやっている以上は、教員として授業に対する態勢を整えるという前提が入ってきますので、そういう職層をつくっていっても、基本的に授業をやっている限りにおいて、授業に向かう姿勢ということにおいては、これは初任者から主幹職まですべて教員は変わらないと思うんです。
 ご指摘のとおりで、中学校がたまたま併設でありますので、中学校のほうは24時間です。24時間と18時間の間で6時間差があるんですが、基本的に、そうするとそこは1日1時間ぐらいの差で、その1日1時間の差が大きいといえば大きいんですが、日常の学校生活の中では、実際にはその1時間というのはほとんど差がない時間として映っています。

【委員】

 例えば部活動を一生懸命やっている先生は、授業時間数を18時間と言われたんですが、多少軽減するとか、そういう対応をしているのでしょうか。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 それはないです。あくまでも授業がベースです。

【委員】

 小学校1年生あたりだと、生活指導ということが非常に重点的に取り上げざるを得ない、もちろん学習指導もあるんだけれども、生活習慣を基本的にきちんとしていかなければならない。五、六年生になれば出口をちゃんとやらなきゃならない。中間といってもとても大事なんだけれども、なかなかそこまで全部が教員を割り当てられないということがあって、そこのところが、中堅校の教員にいかにメリハリをつけた給与体系にするかというのが一番ポイントなんだと思うんです。私も校種によってつけるというよりは、その学校の中で、学年によるとか校種によるとか、同じ高校の中であるレベルによって変えるということはなかなか難しいと思うんですけれども、現実問題としては、そこが一番批判の対象になっていくところではないかと思うんです。何とかそこのところにメリハリをつけられるような給与体系というか、手当というか、そういうことができないかと常々思っているんですが、何とかそういうところにうまい手だてがないかどうか。それこそ、何もしない教員がいると、これにはじくじたるものがあるけれども、違法ではないわけだから手を下せないという部分ですよね。ここのところに何とかメスを入れられないかというのが今回の教職調整額の問題につながってくるところではないかと思うのですが、これについて何でも結構ですので何か個人的なお考えがあればお聞かせいただければと思います。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 困難校とか、あるいは進学重点を含めた進学校、授業も実際にその3つのパターンを見ていますので、全然授業の質が違うんです。質が違うんですが、やはり困難校にもよく頑張ってできている子がいますし、中堅校にもできる子がいます。進学校でも大丈夫かなというレベルの子もいるわけですね。そこのところの、恐らく子どもたちの将来に対する、あるいは生き方に対する意欲の持ち方だと思います。トップの進学校に入ってきたわけですから、さらにその上を目指してもっと強くて高い意欲を持っているはずだと思うんですが、実際は学校生活が1年過ぎてしまうと、いわゆる中だるみに入っていると。1年生を見ていますと、今ずっと授業を見ているんですが、40名の定員に対して1名とか2名若干多いんですが、四十一、二名が全員起きて授業を聞いているんです、当たり前の話なんですが。ところが、2年生とか3年生にいくと、2年生は先生がどんなにこちらが見ていて、すごいなこの人の授業はと思っていても寝ている子がいるわけです。当然、そうするとあとは指導技術の問題ですから、すごいなと思う人はちゃんと起こすんです。そういうことをしない教員には、あそこで起こしたほうがいいんじゃないと声をかけるんですが、要するに寝ているのは本人が損をするだけと。そこは違うんじゃないかなという議論はするんですけれども、これは共通なんです。教育困難校でも中堅校でも進学校でも共通していて、逆に寝ているんだから授業の妨害はしないんだ、だからほっておいたほうがいいんだというのは困難校でよく出てくる言葉ですし、中堅校だと、もういいんじゃないですかと。ともかく学校に来ているだけで十分ではないですかという反応が返ってきますし、それがトップの進学校だと、先ほど申し上げたように、損するのは自分ですよと。
 ですから、その辺のところで授業観察というのは意義はあるんですが、そういうこととうまく連動させられないのかなと。あくまでも私は、基本的には授業が教師の仕事の第一だと思っていますし、面接をやっていましても、自分の将来像というので、今、東京都はキャリアプランでチェックするようになっているわけですが、その他というのがありまして、その他というのは本人が決めて書く記述式になっているんです。そうすると、生涯一教師と書くわけです。似たような表現でたくさん出てきます。ですから、その生涯一教師と言っている方の考え方がわからなくはないのですが、生涯一教師と言っている方々の部分がまだかなりの層としていて、40代、50代ですけれども、その人たちが残念ながらある意味では学校を改善していく上で一つの障害になっていると言わざるを得ないんです。
 30代以降ですと、かなりこちらが言ったことに対して素直に意見は聞くと。教材をつくっている努力は認めるけれども、あなたが授業で言っていた双方向の授業をしたいという言葉ときょうの授業が違っていましたねというと、そうですねというふうに素直にうなづいたり、50分の授業の中で40分ぐらいたつと生徒は疲れてくるわけです。そのときに、じゃ、テストをやるよといっていきなりテストを始める教員がいるわけです。そうすると、その瞬間生徒はどよめくんですけれども、やっぱり視点を変えてやるということで、その後10分間の小テストに夢中になって集中してやるわけです。それは技術だと思うんです。だから、そういったところで努力をしている教員に対しては、やはり何らかの手当をしてあげるべきなのではないか。
 ただ、はっきり言って、それはどこでというのはなかなか難しいですね。だから、現行制度の授業観察というものを生かしていくということであれば、その観察した結果が場合によっては、その教員の1年間の教職調整額に反映するようなやり方がもしできるのであれば、一つは可能だと思うんです。
 部活動というのはなかなか難しいです。もともと本来的に技術を持って教員になっている者と、残念ながら技術を持たないで教員になっている者と両方いますので、そこの部分は教職調整額にはあまりなじまないで、むしろやっぱり手当的なところで技術手当みたいなものが可能であるのであれば、外部指導員に対して謝礼を払うわけですから、そこでの軽重というのはあってもいいのかなと思います。単なる部活動手当の支給と技術を持った教員に対する手当の額に差があってもいいのかなとは思います。

【委員】

 人事考課制度とか業績評価というものをうまく取り入れて体系をつくっていく、こういうことはいいのではないかと。

【全国高等学校教頭・副校長会】

 業績評価のことで、私は現在中堅校に勤めているんですが、昨年度の業績評価で評価がC以下の教員には、学年の担任が多かったんです。それは、やっぱり保護者とのトラブル、生徒とのトラブルがあると、我々が手助けするわけです。手助けされると評価が下がるわけです。そういう場合に、モチベーションが下がった事例はございます。何か子どもたちとかかわれば当然あつれきがあって、それがマイナスになるんだったら担任はやれないと。モチベーションをどうやって維持していくか。むしろ生徒といい関係でいたほうがマイナスの面は出てきません。ですから、業績評価のほうも授業のこととか公務のこととか、部活動も公務ですから評価の対象になりますけれども、そこのウエートが非常に難しいなと。ですから、今、昨年度の不満を今年度は修復する形でとっていますけれども、業績評価もストレートにいくのかなというのも私は心配します。

─了─

(初等中等教育局財務課)