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資料4

全国特別支援学校長会 提出資料

平成20年6月26日

学校の組織運営の在り方を踏まえた
教職調整額の見直し等に関する検討会議 御中

全国特別支援学校長会
会長 三苫 由紀雄

 検討会議の委員の皆様におかれましては、精力的なご検討をされておられることに心から敬意を表します。また、今回このように意見発表の場を頂いたことに感謝いたします。
 全国特別支援学校長会として、特別支援学校の実態や運営組織を踏まえ、以下のとおり意見を述べさせていただきます。

(1)学校の組織運営について

 特別支援学校においては、新たな学習指導要領にも個別の教育支援計画等の策定や一層の活用が求められる見込みであり、またセンター的機能の発揮についても昨年度から施行されている改正学校教育法に明記され取組が求められているなど、地域や関係機関との連携を含めて、業務量や求められる役割が増加している。これらの多様な業務や学校への要望があることを踏まえると、まずは十分な定数改善が必要であるが、加えて、教員だけが全てに対応するのでなく、地域住民やボランティアの活用を図ることが大切である。また、一般的な範囲を超える苦情処理等に対して、法的に対応できる専門員の配置、あるいは相談できる体制が必要である。そして、放課後活動や部活動等への援助を行う人材の確保が必要である。

(2)教員の職務とその処遇について

 教員の時間外勤務の増加は、教職員勤務実態調査の結果明確である。これは教員の扱う業務量が大幅に増えていることによるものであると考えられる。しかし、教員の業務の特殊性を考えると単純に勤務時間を管理し、業務量に応じた超過勤務を命じるという対応はなじまない。
 単純に物理的な時間だけで管理できないことにより、教職調整額という考え方がとられてきたと考える。様々な工夫をして、教員の業務量を縮減するとともに、教職調整額については、この制度が制定された頃と比べ、時間外勤務が4倍以上に増えていることを考えると教職調整額の割合についても検討が必要である。特に、特別支援学校においては、個別の教育支援計画やセンター的機能が義務付けられ、関係機関との連絡や訪問等により、さらに時間外勤務が増えている。
 教員の処遇については、教員の中にいくつかの職を設け、職に応じた責任や業務、給与体系を設けることは、教員のモチベーションを高めていく上でも効果的であると考える。さらに、業績の評定を行い能力や実績に応じた処遇を実施することも大切である。

(3)教職調整額の見直しについて

 教員の時間外勤務については、時期や個人により実態に大きな差がある。一律の処遇を見直し、時間外勤務には、手当てを支払うというのも一つの考え方であるが、時間外勤務の必要性や内容等をどのように判断するか、管理の面で難しい課題がある。
 時間外勤務手当を導入する場合の課題としては、単に、出退勤の時間の管理だけでなく、どのような時間外勤務を命じて、どのような職務に時間外手当を支払うか等の基準を明確にすることが重要である。
 特に、特別支援学校は大規模校が多く、校長の管理スパンが大きいため、これらの時間外勤務の管理を個々の教員について行っていくことは非常に困難である。
 現状においては、多くの教員は誠実かつ献身的に勤務をしているし、持ち帰り仕事をしている教員も多い。教職調整額を廃止して時間外勤務手当てを支払うという制度に変更する場合には、その基準作りを学校種による相違も含め、丁寧に実施することが必要である。

(4)その他

 長期休業中における教員の業務が増えてきている。学期中に指導に集中できるよう、長期休業中に研修や会議等を集中的に取り組んでいる学校が増えてきている。したがって、変形労働時間制の導入については、難しいと考える。
 特別支援学校における特別支援学校教員免許状の取得率は、67パーセントである。ここ数年国や県、学校の取り組みによって、向上している。さらに、保有率をあげ、専門性の向上を図るため、免許状の保有を義務付けることが必要である。また、特別支援学校教員免許状保有者に対し、給与面での優遇を図るなどの措置を検討することが大切であると考える。