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資料2

学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する意見

平成20年6月26日

学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議
座長 様

全国公立小中学校事務職員研究会
会長 木村 信哉

 このことにつきまして、下記のとおり意見を提出いたします。

はじめに

 現在、学校は、「生きる力」「確かな学力」の育成とともに、子ども一人一人へのきめ細やかな教育が求められています。さらに、保護者や地域から信頼される学校づくりとして地域へ開かれた学校経営の実現と説明責任が求められています。これらに対応するためには、学校教育目標達成に向けた学校運営の改善、学校裁量拡大や特色ある学校づくりを実現するための学校組織の運営体制の確立、そして教員が子どもと向き合う時間の確保や学校現場の教育諸条件の整備が必要です。
 今回、学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等における検討会議で教員とともに学校教育目標を実現する事務職員を代表し全国公立小中学校事務職員研究会として意見を述べさせて頂くことに感謝申し上げます。

1 学校の組織運営の在り方について

  • 今後、学校においては、どのような組織運営が求められているのか。
    • 1組織として問題解決にあたる体制の構築
    • 2地域の人材や外部の専門家の活用など
    • 現在、学校をめぐる環境はますます複雑化し問題解決にあたる体制整備が求められています。中教審「学校の組織運営に関する作業部会」でも述べられているとおり、校内組織の整備、学校運営を支える機能の充実、事務処理体制の整備を行うことにより学校運営を円滑にする体制が構築されると考えます。
    • 校内組織として、支援部門の長である事務長の設置により、教育活動部門の長である教頭とともに校長を補佐することにより、学校組織運営の強化を図ることができます。
    • 地域支援組織との連絡調整、地域の人材や外部の専門家の活用など、外部との調整にかかる業務が増大しています。渉外部門の明確な位置づけも必要です。
    • 教員が子どもと向き合う時間の確保や効果的・効率的な指導のための条件整備には、事務処理体制を確立することが有効な手段であると考えます。
    • 学校裁量が拡大し、財務・情報管理・施設設備管理等がさらに高度化するとともに、地域との連携など渉外や学校評価などの新たな業務が発生しており、学校における事務部門の強化が必要です。事務部門の強化は、学校の組織力の強化、ネットワークの強化に、ひいては教育活動部門の強化にもつながります。
    • 事務処理の効率化を進めるためには、学校現場の判断で迅速かつ的確な決定ができるように、学校への権限委譲を含めた学校裁量権限を拡大するとともに、校内組織体制の中での内部委任を進めていくことが必要です。そのためには、行政サービスに安定性を確保し、効果的な学校教育環境整備を図るための事務処理体制を整備することが必要です。さらに、小中学校連携や中学校区単位での教育活動や教育支援が進むにつれ、それと合致した事務組織の構築も必要となると考えます。また、ICT環境を整備し校務のICT化を推進することで、情報の共有化が進み、事務の効率化が図られます。

2 教員の勤務とその処遇について

  • 今後求められる学校の組織運営の下で教員の勤務はどうあるべきか。
  • 教員の勤務時間管理について、現在どのような問題があるのか、また、今後どのようにしていくべきなのか。
  • 教員の時間外勤務の評価について、現在どのような問題があるのか、また、今後どのようにしていくべきなのか。
    • 1勤務時間管理の在り方
    • 2時間外勤務の評価の在り方
    • 3能力・実績に応じた処遇の在り方
    • 4教員の専門性を反映した処遇の在り方
    • 教員勤務実態調査による教員の残業時間の増加の実態については、平成19年3月の「今後の教員給与の在り方について」(答申)で述べられているとおり、社会が学校に対する期待や学校教育が抱える課題の複雑化・多様化に対応する業務の増大が原因であると考えられます。
    • 教員が教育に専念できる組織を構築し、適正な評価が行われ教員としての使命感や誇りをもてるような勤務内容を精査することが必要であると考えます。
    • 本来行うべき職務以外の職務を丸抱えしてしまうことが教員の勤務時間増になっていると考えます。
    • 教員の勤務内容を分類し、事務職員や教員以外の職員の活用が可能な業務を教員の職務内容から移行することで事務量を軽減し、その上で時間総数を把握することが必要であると考えます。
    • 勤務時間管理については、校務分掌により推測できる時間と、児童生徒に関わる予測不能な時間を区別することにより、可能となります。
    • 現在、持ち帰り業務や日常的時間外勤務についても管理職の承認や把握が必要であると考えます。
  • 今後求められる学校の組織運営の下で教員の処遇はどうあるべきか。
     教員が抱える事務負担を軽減するために、教育活動部門と支援部門を学校運営組織の中で職種毎に職務内容を明確にし、教員が子どもに向き合う時間の確保をすべきであると考えます。
    • 部活動の実態
       部活動指導のために過重な勤務となっている教員もいます。社会体育の指導者や外部指導者との連携と協働体制が必要であると考えます。その際、教員の意識改革の必要もあると考えます。
    • 教員の勤務時間管理
       管理職による勤務時間管理は、現在も行われていると考えます。適正な勤務時間を算定するためには、より一層の校務分掌の適正配置が求められます。

3 教職調整額の見直し方策について

  • 教職調整額をどういった考え方からどう見直すべきなのか。
  • 仮に、教職調整額を時間外勤務手当とする場合にはどのような課題があるのか。また、その課題を克服するためにはどのようにしたらよいのか。
    • 12教職調整額を見直す考え方
    • 34時間外勤務手当とする場合の課題
    • 5超勤4項目について
    • メリハリある給与体系の実現は、学校を取り巻く内外の要望であると考えられます。職責や職務により給与面で評価することは、必要であると考えます。教職調整額の一律支給の見直しをする場合も校務分掌や対外的な職務・職責を考慮し、優秀な人材の確保につながる給与になるような配慮が必要であると考えます。
    • 時間外勤務手当とすることも上記の実現のための一つの方法であると考えます。

4 その他

  • 教員の勤務時間の弾力化について
    • 1変形労働時間制の導入について
    • 2その他 教員給与や勤務条件の見直しについて
    • 教員の一人一人が子どもたちと向き合い、きめ細かい指導をする時間を確保し、習熟度別・少人数指導や特別支援教育等の充実を図るためには、研修による資質能力の向上の時間も確保しなければならないと考えます。
      また、長期休業中に行う補充学習や保護者との懇談などが実施されている現状から変形労働時間制の導入については更なる検討が必要であると考えます。

おわりに

 全国の義務制諸学校に配置されております事務職員は、学習指導要領に基づき教育課程を編成し学校現場に応じた効果的な教育活動を展開する、そのための様々な学校教育条件整備に責任をもってあたり、安全・安心で質の高い教育環境を整備し、子どもの豊かな育ちを支援していきたいと考えております。
 教育委員会等の支援のもと、教育課程を実施するのは教員グループですが、教育課程を運行管理するのは経営スタッフであり、私ども事務職員はその中心的な一員であるという自負と覚悟をもち、全力で子どもたちの教育にあたり支援するための責任を果たしていきたいと考えます。