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資料7

学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直しに関する意見

平成20年6月26日

学校の組織運営のあり方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議様

全日本中学校長会
会長 壷内 明

 全日本中学校長会は平成18年9月、文部科学省とほぼ同時期に教職員の勤務実態調査を行っています。(別紙)文部科学省の結果と大きな差はないと分析していますが、休憩時間中の業務も時間外勤務として集計している関係もあり、1日平均の時間外勤務は3時間17分と文部科学省の集計より長時間となっています。文部科学省の集計でも月34時間となっており、4パーセントの教職調整額(1日あたり20分相当)とはかけ離れた時間外勤務の実態が明らかになっています。この実態は労働管理・健康管理上大きな問題であることは明らかです。また、この実態が教職調整額を見直すに当たって大きな障害となっていることは論を待ちません。文部科学省が学校現場の負担軽減にご尽力されていることは多としますが、教職調整額の手当化やメリハリのある処遇等、見直しの実現には定数増による教員一人あたりの仕事量の軽減が必須と考えます。
 また、通常に勤務している教員の時間外勤務の実態は、ほとんどすべてについて4パーセント相当の時間を遙かに超えています。従って、休職者等一部の者を除き、現行の4パーセントの教職調整額より減額されることは是非避けなければならないと考えます。
 以上を前提として、ご質問にお答えいたします。

(1)学校の組織運営について

  • 1学校が組織として問題解決に当たるための条件整備
    • 主幹教諭の早期全面導入・定数増・処遇の優遇
    • 副校長・教頭職の複数配置
  • 2外部専門機関への業務の委譲
    • 部活動
    • 図書館司書
    • 給食指導
    • 校外学習の契約、予算執行業務、集金・出納・督促(事務職員の複数配置)
    • 校外生活指導対応

(2)教員の勤務とその処遇について

  • 1勤務時間管理の課題
    • 時間管理は管理職の仕事である。が、スクラップアンドビルドの考えがないまま大きくふくれあがってきた学校教育の実態がある。学校の全許容量を遙かに超えた業務量がある中での時間管理は極めて困難である。新規の業務内容(総合的な学習など)が導入されたときに、どの業務をカットしてその時間に充てるかというトータルの仕事量の管理が行政に求められる。
    • 学習指導要領(現行でも)に基づく教育内容を実施するための教員の全体数が不足している。
    • 仕事量と定数とがかけ離れている。
  • 2教員の処遇とメリハリ
    • 基本的に賛成
    • 主幹教諭や指導教諭の処遇の充実
    • 人事評価によるのは難しい
    • マイナス評価については根拠のはっきりしているものに限る
  • 3部活動指導の負担軽減
    • 外部指導者を多く配置できるよう予算措置をする
    • 外部人材による大会運営
  • 4持ち帰り業務について
    • 教員定数の改善による一人あたりの授業持ち時数の軽減

(3)教職調整額の見直し方策について

  • 1超過勤務時間にふさわしい手当
    • 基本的に賛成
  • 2時間外勤務がほとんどない教員に4パーセントは適当でない
    • 妥当である
  • 3時間外勤務手当の課題と対応
    • 時間外勤務の管理(認定など)
    • 平均実労働時間に即した上限の設定
  • 4時間外勤務手当の準備
    • 労働条件の整備、勤務態様の明確化、認定基準、周知、
    • 2年程度
  • 5超勤4項目
    • 時間外勤務手当を導入した場合、超勤4項目は廃止
    • 家庭訪問、研究や発表準備など
    • さらに検討が必要

(4)その他

  • 1変形労働時間制
    • 部活動、研修、面談など夏季休業中は多くの中学校教員にとって振り替えて休みを取れる実態はない。また、新学習指導要領の授業増により、夏季休業の短縮や土曜授業の導入を計画している教育委員会や学校もあり、さらに、大きな効果を期待できない状況になる。
    • 「できる規定」とするしかないと考えるが、実施を躊躇する校長が多いと考える。

 現在中学校においては、休憩時間など全く確保できない状況にあります。行政職員のように昼休みに外食するようなことは全くできません。
 また、長期休業中であっても時間外勤務をせざるを得ない現状もあります。管理職も、土日であっても、施設管理、地域行事、各種大会へ参加している生徒の指導や職員への対応のため休めない状況にあります。
 さらに、教育職は免許の必要な専門職であり、その上、免許の更新制の導入により、時間的負担・経済的負担が増えることになりました。
 こうした現状に目をつむり、一律に行政職員の給与を基にした制度に合わせたり、時間外に当たる経費の削減を考えたりすることは、教員の士気を失わせ教職から有能な若者を遠ざけることにもなります。すでにご承知のことと受け止めておりますが、外部委託などによる負担軽減はほんの少しの軽減にしかなりません。一人でも多くの教員を配置することが、学校全体のゆとりにつながり、時間外勤務を少なくしていく最良の解決策と考えます。