特別支援教育について

参考資料1障害の発見にかかわる主な制度

 我が国における障害の発見にかかわる主な制度としては、母子保健にかかわる施策として、母子保健法に基づき市町村が実施している「乳幼児健康診査」や、就学事務の一環として、学校保健法に基づき市町村教育委員会が実施している「就学時の健康診断」があり、ここでそれらの概要を紹介する。

(1)乳幼児健康診査

 乳幼児健康診査は、疾病の異常や早期発見(二次予防)の機会として重要であり、また、リスクの早期発見による疾病等、発生予防(一次予防)のための保健指導に結び付ける機会としても重要な意義を有する。
 乳児(1歳に満たない者をいう。)については、市町村が定めた方法で健康診査を受けることができ、必要に応じて、精密検査が行われている。
 幼児(満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者をいう。)については、1歳6か月児健康診査と3歳児健康診査の実施が、市町村に義務付けられている。

ア 1歳6か月児健康診査

 1歳6か月健康診査については、満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児を対象としている。幼児初期の身体発育、精神発達の面で歩行や言語等の発達の標識が容易に得られる1歳6か月児のすべてに対して健康診査を実施することにより、運動機能、視聴覚等の障害、精神発達の遅滞等、障害のある幼児を早期に発見し、適切な指導を行い、障害の進行を未然に防止するとともに、生活習慣の自立、虫歯の予防、幼児の栄養及び育児に関する指導を行い、もって幼児の健康の保持及び増進を図ることを目的としている。
 健康診査の種類は、一般健康診査、歯科健康診査及び精密健康診査である。一般健康診査の項目は次のとおりである。

  • 1身体的発育状況
  • 2栄養状態
  • 3脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
  • 4皮膚の疾病の有無
  • 5四肢運動障害の有無
  • 6精神発達の状況
  • 7言語障害の有無
  • 8予防接種の実施状況
  • 9その他の疾病及び異常の有無
  • 10その他育児上問題となる事項(生活習慣の自立、社会性の発達、しつけ、食事、事故等)

 一般健康診査の結果、心身の発達異常、疾病等の疑いがあり、より精密に健康診査を行う必要がある場合、各診療科別に専門医師による精密検査が行われる。また、精神発達面については、医療機関又は児童相談所において、精神科医及び児童心理司等による精密健診が行われる。

イ 3歳児健康診査

 3歳児健康診査については、満3歳を超え満4歳に達しない幼児を対象としている。幼児の健康・発達の個人的差異が比較的明らかになり、保健、医療による対応の有無が、その後の成長に影響を及ぼす3歳児すべてに対して健康診査を行い、視覚、聴覚、運動、発達等の障害、その他疾病及び異常を早期に発見し、適切な指導を行い、障害の進行を未然に防止するとともに、う蝕の予防、発育、栄養、生活習慣、その他育児に関する指導を行い、もって幼児の健康の保持及び増進を図ることを目的としている。
 健康診査の種類、精密検査の対応は、1歳6か月児健康診査と同様である。一般健康診査の項目は次のとおりである。

  • 1身体発育状況
  • 2栄養状態
  • 3脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
  • 4皮膚の疾病の有無
  • 5眼の疾病及び異常の有無
  • 6耳、鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無
  • 7四肢運動障害の有無
  • 8精神発達の有無
  • 9言語障害の有無
  • 10予防接種の実施状況
  • 11その他の疾病及び異常の有無
  • 12その他育児上問題となる事項(生活習慣の自立、社会性の発達、しつけ、食事、事故等)

(2)就学時の健康診断

 就学時の健康診断は、小学校等への就学予定者を対象に行われており、その実施が市町村教育委員会に義務付けられている。市町村の教育委員会が就学予定者の心身の状況を把握し、小学校等へのはじめての就学に当たって、治療の勧告、保健上必要な助言を行うとともに、適正な就学を図ることを目的としている。
 就学時の健康診断における検査の項目は、次のとおりである(学校保健法施行令第2条)。

  • 1栄養状態
  • 2脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
  • 3視力及び聴力
  • 4眼の疾病及び異常の有無
  • 5耳鼻咽喉疾患及び皮膚疾患の有無
  • 6歯及び口腔の疾病及び異常の有無
  • 7その他の疾病及び異常の有無

 就学時の健康診断後の対応として、市町村教育委員会は、担当医師及び歯科医師の所見に照らして、治療を勧告し、保健上必要な助言を行うこととなる。また、義務教育の就学の猶予、免除、又は特別支援学校(盲学校、聾学校、養護学校)への就学に関する指導を行う等、適切な措置をとることとなる。

-- 登録:平成21年以前 --