障害のある子どもに生涯を見通した適切な支援を行うためには、早期にその障害を発見し、子どもやその保護者の相談に応じ、適切な支援を行うことが最も重要です。
このことは、子どもの支援者の一人としての保護者の不安や負担を軽減することになり、子どもの障害の状態の改善・克服や望ましい成長・発達、自立や社会参加を促すためにも必要なことです。
障害のある子どもやその保護者に対して適切な相談・支援が行われるようにするためには、地方自治体を中心に、乳幼児期から学校卒業後のそれぞれの段階にわたって、医療、保健、福祉、教育、労働等の支援が適切に受けられるよう、関係部局・機関あるいはそれらの関係者が連携して、一貫した支援体制を整備する必要があります。
現在、医療、保健、福祉、教育、労働等の機関においては、概ね、下記のような相談・支援の取組が行われているところです。
しかし、障害のある子どもやその保護者の側からみると、どの機関に相談すればよいか分からなかったり、支援を受ける機関が変わるたびに障害の状態やこれまでの支援の状況やニーズを説明しなくてはならないなど、十分連携した対応ができていないとの指摘もなされています。
このような現状を踏まえ、文部科学省では、厚生労働省と連携しながら、教育委員会を中心とした地域における連携に関する事業(注3)を実施し、関係部局・機関の連携体制が構築され、全国で様々な連携方策が展開されるなどの成果をあげてきました。
また、政府全体としても、障害者の支援のための計画の策定が行われました。
平成14年12月には、平成15年度からの10年間に講ずべき障害者施策の基本的方向性を定めた新しい「障害者基本計画」が閣議決定され、その中には次のことが明記されています。
さらに、「障害者基本計画」に基づき定められた「重点施策実施5か年計画」(平成15年度からの前半の5年間において重点的に実施する施策及びその達成目標並びに推進方策を定めた計画(いわゆる新障害者プラン))の中にも、より具体的に次のことが示されました。
これらの経緯から、文部科学省において、厚生労働省と連携協力しつつ、上記の事業の成果等を踏まえ、平成15年8月からガイドラインの策定に着手しました。
その間、「発達障害者支援法」、「障害者自立支援法」、「教育基本法」及び「学校教育法」等の制定・改正及び施行が行われ、障害のある子どもや障害のある人々に対する施策が転換され、地域における相談・支援体制が大きく変わりました。
このガイドラインでは、これらの制度改正を踏まえた最新の情報を盛り込み、試案としてとりまとめました。
本ガイドラインは、都道府県や、支援地域(注4)、市町村などの各地方自治体において、医療、保健、福祉、教育、労働等の関係部局・機関が一体となって、障害のある子どもやその保護者に対する一貫した相談・支援体制が整備されることを目的として作成したものです。
すでに、地域により関係部局・機関が連携して相談・支援のための体制整備が進められているところもありますが、こうした取組が全国各地域で展開されるよう、各地方自治体及び相談・支援にかかわる関係部局・機関及び関係者においては、本ガイドラインを積極的に活用して、相互の制度や施策の現状について共通理解を深めつつ、地域の実態等に応じて適宜工夫を凝らしながら、責任ある相談・支援体制を整備してください。
本ガイドラインは、次のような内容となっています。
本ガイドラインは、今後、各地域における本書の活用状況を把握し、その有効性や課題等を検証しつつ、必要に応じて、その内容等について改善を加えていくこととしています。このため、今回このガイドラインは、試案という形での公表としています。
-- 登録:平成21年以前 --