文化審議会
2003年9月3日 議事録文化審議会著作権分科会 契約・流通小委員会(第4回)議事要旨 |
文化審議会著作権分科会 契約・流通小委員会(第4回)議事要旨
1. | 日 時 | : | 平成15年9月3日(水)10:30〜13:00 |
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2. | 場 所 | : | 文部科学省分館201・202特別会議室 |
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3. | 出席者 | : | ||
( | 委員) 紋谷主査、安念、飯田、石井、今川、上原、大森、加藤、北川、児玉、佐々木、渋谷、寺島、土肥、生野、橋本、森田の各委員 |
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( | 文化庁) 素川文化庁次長、森口長官官房審議官、吉川著作権課長、吉尾国際課長、川瀬著作物流通推進室長、他 |
4. | 配付資料:
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5. | 概 要: |
「著作権等の登録制度の見直し」について
○プログラムの登録について、登録の申請や内容の問い合わせに時間がかかると聞いている。そういう観点で言えば、一つの機関に登録したプログラムを確認する場合に、複数の登録機関にそれぞれ問い合わせるというのは効率が悪い。ここを上手く調整すれば使い勝手の良い制度になるのではないか。
○登録制度はどの程度利用されているのか。
△プログラムの登録については、平成14年度は577件、13年度は466件、12年度は469件。内訳だが、平成14年度の577件のうち、創作年月日の登録が438件。活用されているのはほとんど創作年月日の登録である。移転の登録については67件。
○利用されていないということに本質がある。もっと登録をするメリットがなければ、登録機関を増やしたとしても利点はないのではないか。そういう意味において、民間に開放することにより、保護されるべきプログラムの登録を促すことは有意義であり、そのための事務を民間が行うことも意味がある。
○登録を積極的に行って問題をあらかじめ回避できることはプラスだと思うが、今の仕掛けのままでは行われにくい状況にある。やる気を起こさせる側面を考慮することにより、民間の方が違った視点で取り扱えることで動き出すのではないか。せっかく政府全体の中で検討しているのであれば、担保する仕掛けを作るのと同時に、プラスになる余地を打ち出すことで、新しいフィールドを開拓する事業者が出てきても良いのではないか。
○日本の制度の中では、絶対に必要な制度だと思う。指定機関制度については、横の連携ができるような形で東京だけでなく地方にも作って欲しい。
○記録を取っておくだけの事務であるから、実施主体は誰がやっても良いのではないか。登録した事実に対しての効果は法律が客観的に決めること。そもそもお金にならない話であるから民間は参入しない。しかし、事実参入する人がいるかどうかということと、規制改革は関係ない。まず開放すべきであり、変えることができるというシステムをつくることが重要ではないか。担保措置はこれで十分であり、今後は不必要なものを除くという方向での検討になる。登録制度が使われていないのは、プログラムの場合は見ず知らずの人に転々流通しないことと、抵当権の設定をしないために使う必要がないからである。しかし、知的財産の担保化が進めば、登録制度は意味を持つかもしれない。
○プログラムの複製物とは、マイクロフィッシュ全部の複製物を指すのか。立法の時に、ある種のOSの部分などはブラックアウトで塗り潰してもいいという議論があったが、実務的にどういう扱いになったのか。
△実務的にはプログラム全部の提出となっている。マイクロフィッシュに限るかどうかについては、他媒体でも良いのではないか、という形での検討を進めているところ。
○現在、データベースマネジメントが注目されており、その点からすればビジネスのチャンスがあるのではないか。指定機関の数の問題よりも、国としては巨大なデータベースの末端が色々な形で存在していることが効率的だという印象。方向性として、一つの巨大なデータベースを作るか否かというようなことの方が議論が刺激されて良いのではないか。
○半導体の集積回路について、来年の3月から民間委託になるが、機械的に事務を行うのであるから民間委託でも構わないということ。プログラムの著作権も似たような状況であるのならば、バランスを取って同じ方向にいかないとおかしい。
新たな登録を設けることについては、流通促進という観点から、現状においては必ずしもプラスにならないと考える。
○コンテンツ流通の問題と規制改革会議における規制緩和の問題の二つがある。現状を考えると、ほとんど使われていない登録制度の上に、公示や利用許諾契約の登録制度を設けることは、流通の促進にはならないのではないか。プログラムの登録については、開放するという方向性とともに、複数機関ができた場合には、データベースを一つにまとめられることを要件にして可能性を探らないと、流通阻害要因にしかならないのではないか。登録原簿については、コンピュータの時代なので、帳簿式ではなく検索し易いように変えることを、事務的な問題として早くやった方が良いのではないか。登録の却下については、著作者は誰かというようなことを審査することになり、無方式主義の原則が崩れる心配がある。現状では却って問題が煩瑣になり、流通上、実務上の障害になるのではないか。
○最近の著作物のトラブルで、質権の制限を担保して裁判をしたり、色々な交渉をするという事例が増えているので、その意味において強化する必要があれば強化すればよいし、十分であるならば、わざわざ創設しなくてもよい。
○プログラム以外の著作物の創作年月日の登録については、団体名義の著作物が創作された時、映画の著作物が完成した時に、今後どうなるか分からないことを考えると、創作年月日の登録を申請する動機が働くか疑問。著作権者であることを公示するための登録については、著作権者であることを公示することに特段の意味があるかどうか疑問。著作権者であることの公示の登録に何か動機付けがないと、あるいは動機付けられる状況にないと制度だけが膨らむことになる。
利用許諾契約の登録については、ライセンシーの対抗の問題で、対抗の範囲を明らかにして議論する必要がある。
○登録実務の実施主体の問題としては、実施主体のあり方を変更した時に、ユーザとの関係でどうか、ということ。登録することは公示の意味を持ってくるが、その公示が複雑になるのは困る。一元的にサーチができる仕組みは必要であろう。利用許諾契約の登録制度については、従来からのライセンシーの第三者対抗要件を認めることの議論と一体的に考えていくことではないか。
「著作権等の信託管理のあり方」について
○金融審の答申を読んだが、意味のない規制が必要であると、色々書いている。特に密接関係型についてだが、密接関係型というのは要するにグループ企業の特許等の知財権を別会社で管理したいというだけの話。そのようなものに規制は不要。全体としては規制緩和だが、著作権の関係では規制強化をしようとしているのであれば全く改正の意味がない。今自由なものは自由でいい。これ以上規制をする必要がないのは、自由にしたことによってあるいは登録制にしたことによって、現在困っている人がいないから。それを他の横並びで規制するというのはナンセンス。
○昭和14年に仲介業務法が制定された理由も含めて、著作権の管理には歴史がある。何ら不都合無くやってきて、管理事業法への転換もうまく行われ、現状は誰も困っていないと理解。ユーザの利便あるいはコンテンツの流通を考えたときに、うまくいっているところに二重規制をかけるかのようなことはやるべきではない。今の管理事業法で何の不都合もないのだから、今は金融庁の改正の中身がはっきりしていないが、明らかにされた法案に問題があるようであれば反対の意見を表明したい。
○信託業法が金融庁の専管ということ自体が問題。日本の営利信託は事実上金融業しか行うことができなかったところに抜本的な問題があると思う。金融庁は著作権の信託管理については全くの素人。債権の流動化その他で信託を使うことは当然あるのでその部分についての金融庁の専門性を否定するわけではないが、それ以外の一切の信託について何ら見識のない金融庁が信託業全体を統括する法律を専管するというのはいかがなものか。信託というのは、財産の活用を考える人にとっては大変おもしろい手段。金融庁の下で信託というのが非常に限定的に理解されてきたため、この国は信託の発展というものを知らない。そういう意味で著作権等管理事業法が成立したことの意味は大きいし、そのような特例が未だ特例として立派だと言われることが、日本における信託がゆがめられていることを証明している。これを機会に、金融庁がやるべきことを金融信託業務みたいなものに限定して、信託に関する業法は著作権等管理事業法のように、必要性に基づいて定められればよい。それが日本の信託自体の発展につながると思う。
○取次ぎ代行としての非一任型の管理を行っている実例は若干ある。しかし、団体を維持できるような金額を得られているかは厳しいところであるが、全くないという状況ではない。その団体が困っていることがあるわけでもないのに、自由度をつぶす必要はない。また、現在取次ぎ代行を行っている非一任型の管理を行っている団体も、信託譲渡についても考えている。
○この場で要望するのは適切ではないかもしれないが、情報財を信託的に譲渡して活用するという場合に、それは必ずしも著作権だけに限られない。プログラム特許で保護されていたらそれと同時にプログラム特許の対象であるし、ノウハウ的な側面もある。商標が非常に重要であれば商標の利用許諾も含めて、権利の束として活用するということになる。信託する際にそれぞれの権利毎に制度が違うというのでは、活用する側にとって非常に使い勝手が悪い。その点も含めて検討をいただければありがたい。
○非一任型の問題については、利用者側の今後の問題として必ずしも全く問題無しとはしないが、それは管理事業法の問題として扱えばよいことであり、信託業法で扱うべき問題ではない。極めて適切に行われているかはともかくとして、金融庁には現行の管理事業法の枠というものはキチンと残すような方向での検討をお願いしたい。
△著作権の信託といっても、信託活用のスキームは色々とある。映画の著作物やコンピュータのプログラム等の資産価値の高いものについては、管理事業法のの中で一定のルールが出来れば、資金調達の手段として信託を活用するのは問題ない。しかし、信託管理については平成13年に当時の大蔵省と協議をして出したルールを維持したい。
○信託して受益証書を発行しそれを投資家に売るというのが、金融でいう信託の一番活用されている仕掛け。著作権の場合は、著作物の財産価値を担保に資金調達をするという限定的活用になろう。その部分は信託業法というよりは有価証券取引法でカバーされるべき話。見直しの方向としてディスクロージャー等が当たり前のように出てくるのは、金融にからむ信託の概念の派生であって、金融庁の見直しの方向性はそのような姿勢が強く見られる。事業分野として著作権に関する信託が成立しているのに対し、今さら信託業法を見直して規制するというようなことがあってはいけない。
○今回の信託業法の改正の趣旨そのものに反対しているわけではなく、資産流動化など信託活用の幅が広がること自体は結構なこと。しかし、少なくとも現在何の問題もなくやっている事業者に規制をかけるということだけは、最低限やめていただきたい。
○管理事業を行っているのは権利を守るためであるから、株式会社で出来るものではない。そもそも、信託業法で考えていることと、我々が管理事業を行っていることとは目的が違い、初めからそぐわないのではないか。
以上