特別支援教育について

平成27年度特別支援学校のセンター的機能の取組に関する状況調査について

平成29年3月7日
初等中等局特別支援教育課

   本調査は,学校教育法第74条に規定されている「特別支援学校のセンター的機能」の取組に関する状況を把握し、今後の特別支援教育の推進に必要な基礎資料を得ることを目的とするために実施したものである。

1.調査対象期間

平成27年4月1日~平成28年3月31日(平成27年度)

2.調査対象

国立の特別支援学校(45校)
公立の特別支援学校(947校)
私立の特別支援学校(13校)

3.調査項目

1.基本情報
2.センター的機能の取組の実際
3.センター的機能実施上の課題

4.調査結果

別紙のとおり。

5.調査結果の概要

(1)調査項目別の概要

集計結果について、主な項目をグラフ及び表にまとめた。<別紙1-1参照>

1.基本情報

1 特別支援学校における校内体制の整備 <図1参照>
・国立及び公立において、「センター的機能を主として担当する分掌・組織(例えば「地域支援部」など)を設けている」学校は9割を超えている。

2 特別支援学校と都道府県・指定都市(以下、都道府県等)との連携 <図2参照>
・公立において、「センター的機能に関わり都道府県等から指導助言を受けたり、必要な情報を得ている」、「センター的機能に関わり特別支援教育センターや教育事務所等と連携している」学校が8割を超え、前回調査からその割合も増加している。

3 特別支援学校と市区町村との連携 <図3参照>
・公立において、「センター的機能に関わり市区町村と情報交換の場を設けている」、「センター的機能に関わり市区町村と連絡調整等を行っている」学校が8割を超え、前回調査からその割合も増加している。

4 特別支援学校と他の特別支援学校等との連携 <図4参照>
・公立において、「他の特別支援学校と連絡調整等を行っている」学校は9割を超え、また、「近隣の小・中学校等と連絡調整等を行っている」学校も8割を超えている。
・私立においては、「他の特別支援学校と連絡調整等を行っている」学校は約4割、「近隣の小・中学校等と連絡調整等を行っている」学校は約3割に留まっているが、いずれも前回調査からその割合は増加している。

2.センター的機能の取組の実際

1 小・中学校等の教員への支援機能 <図5、図6、図7参照>
・学校種別の相談件数を見ると、公立では小学校からの相談件数が最も多く、全体の約5割を占めている。一方、国立では幼稚園(保育所、幼保連携型認定こども園を含む。)が最も多く、私立については中学校(中等教育学校の前期課程を含む。)からの相談件数が最も多くなっている。<図5参照>
・相談者別に見ると、公立では特別支援学級担任から、国立については通常学級の担任から、私立については管理職からの相談がそれぞれ最も多くなっている。 <図6参照>
・相談内容別に見ると、国公私立全体では「指導・支援に係る相談・助言」が最も多く、次いで「障害の状況等に係る実態把握・評価等」、「就学や転学等に係る相談・助言」となっている。<図7参照>

2 特別支援教育等に関する相談・情報提供機能 <図8、図9、図10参照>
・子供及び保護者からの相談件数を見ると、国立及び公立では、「幼稚園等の幼児(3~5歳)」及びその保護者からの相談件数が最も多く、「乳児(0~2歳)」及び「小学校の児童」及びその保護者を含めると、全体の約4分の3以上を占めている。<図8参照>
・子供及びその保護者からの相談の内容については、国立及び公立では「就学や転学等に係る相談・助言」が最も多く、次いで「子供との接し方に係る相談・助言」、「障害の状況等に係る実態把握・評価等」となっている。<図9参照>
・小・中学校等への情報提供機能については、「小・中学校等の教員を対象に特別支援教育に関する内容の通信や印刷物等を配布している」学校は、国立及び公立で6割を超え、また「センター的機能のPRや特別支援教育に関する内容をWebページで公開している」学校は国立及び公立で8割を超えており、情報提供に関しては、国立及び公立でほぼ同じ割合程度の実施状況となっている。<図10参照>

3 障害のある幼児児童生徒への指導・支援機能 <図11-1、2、3参照>
・国公立において、(自校以外に在籍する)子供への直接的な指導を実施している特別支援学校が3割を超えている。子供への直接的な指導の内容は、「特別支援学校へ来校してもらい、教育課程外で個別指導を行っている」が最も多い。

4 福祉、医療、労働などの関係機関等との連絡・調整機能 <図12参照>
・公立において、「特別支援連携協議会等機関間の連携の仕組みに参画している」特別支援学校が8割を超えている。また、国立については7割を超え、前回調査からその割合も増加している。
・公立において、「医療・保健機関とのネットワークを地域の小・中学校等の支援に活用している」、「福祉機関とのネットワークを地域の小・中学校等の支援に活用している」特別支援学校はそれぞれ半数以上あるが、「労働機関とのネットワークを地域の小・中学校等の支援に活用している」特別支援学校は約2割5分に留まっている。
・私立においては、「特別支援連携協議会等機関間の連携の仕組みに参画している」特別支援学校は約4割5分に留まっているものの、全ての項目において、前回調査から実施割合は増加している。

5 小・中学校等の教員に対する研修協力機能 <図13-1、2参照>
・特別支援学校が協力した研修の件数については、国公私立全体では、約1万1千件となっており、前回調査から国立及び私立での件数が増加している。
・研修協力の内容は、国立及び公立において「学校や地域で、特別支援教育に関する研修会・講演会を実施」が最も多く8割を超えているが、「学校の校内研修会を地域の小・中学校等の教員に公開して実施」及び「地域の小・中学校等の校内研修会に講師として参画」についても、6割以上の実施率となっている。
・私立においては、「学校の校内研修会を地域の小・中学校等の教員に公開して実施」の割合が最も多く、約4割となっている。

6 障害のある幼児児童生徒への施設設備等の提供機能 <図14参照>
・公立において、「障害のある子供を対象とした教材について情報提供・貸出を行っている」が最も多く、約6割の学校が実施している。次いで、「障害のある子供を対象とした教材を作成し、情報提供・貸出を行っている」、「障害のある子供を対象としたプール、作業室や自立活動関係教室等についての情報提供・貸出を行っている」が、それぞれ約3割の実施率となっている。

7 教員及び子供・保護者からの相談(障害種別)<図15参照>
・国公私立全体で「主として知的障害に関連する相談」、「主として自閉症に関連する相談」及び「主としてADHDに関連する相談」が上位3つを占めている。

8 障害のある高校生の職業教育・就労に関するセンター的機能の取組<図16参照>
・公立において、「高校の教員への職業教育・進路指導についての助言」が最も多く、次いで「高校の生徒・保護者からの直接的な相談への対応」、「高校の教員への実習先や就職先、障害者就労支援機関に関する情報提供」及び「特別支援学校が行う職業教育・進路指導に関する研修会・講演会の公開」が同程度の実施率となっている。

2.センター的機能実施上の課題

1 特別支援学校における課題 <図17-1、2参照>
・国公私立全体において、「地域の相談ニーズへ応えるための人材を校内で確保すること」及び「多様な障害に対応する教員の専門性を確保すること」が特に課題と考えられる事項の上位2つであり、いずれもセンター的機能を推進する人材に関するものである。

2 小・中学校等における課題 <図18-1、2参照>
・国立及び公立において、「全教員が特別支援教育の重要性について理解していること」、「特別支援教育実施のための校内体制を構築すること」及び「特別支援教育コーディネーターの専門性の向上を図ること」が特に課題と考えられる事項の上位3つを占めている。
・私立においては、「全教員が特別支援教育の重要性について理解していること」が特に課題と考えらており、次いで「全教員がセンター的機能の活用の仕方を理解していること」が課題事項となっている。

(2)年度別推移(公立の特別支援学校のセンター的機能の取組)

公立の特別支援学校について、前回までの調査項目より一部変更・追加等を行い調査を実施したが、共通の質問項目については平成19、21、23、25、27年度の結果を表にまとめた。<別紙1-3>

・「特別支援学校と都道府県・指定都市との連携<図2>」、「特別支援学校と市区町村との連携<図3>」、「福祉、医療、労働などの関係機関等との連絡・調整機能<図12>」及び「小・中学校等の教員に対する研修協力機能<図13-1、2>」の実施割合については、概ね増加傾向にある。特に、都道府県・指定都市及び市区町村との情報交換や連絡調整については8割以上の特別支援学校で実施されており、連携体制の構築が維持されている。
・「教員からの相談<図5>」及び「子供及び保護者からの相談<図8>」の件数は、年々増加している。特に、教員からの相談延べ件数及び1校あたりの平均件数は年々増加傾向にあり、特別支援学校において、小・中学校等の教員からの相談に対する支援のニーズが高まっている様子がうかがえる。
・「障害のある幼児児童生徒への施設設備等の提供機能<図14>」の実施割合については、概ね横ばいで推移しており、同程度の水準で施設設備等の提供が維持されている。

 6.その他

・今回の調査より、各調査項目における「その他」を選択した場合等について、内容の記述を求めた。その内容については、<別紙1-1>に一部を抜粋し、掲載している。    

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

Adobe Readerのダウンロード(別ウィンドウで開きます。)

PDF形式のファイルを御覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、まずダウンロードして、インストールしてください。

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成29年03月 --