特別支援教育について

平成19年度特別支援学校のセンター的機能の取組に関する状況調査について

平成20年9月12日
特別支援教育課

調査の概要

  • 本調査は、今後の特別支援教育推進に必要な基礎資料を得ることを目的として、特別支援学校のセンター的機能の取組に関する状況を全国的に把握するために実施したものである。
  • 平成20年2月22日に調査用紙を配付し、3月7日までに平成19年度中の状況について回答を求めた(記入日以降の状況については予想されている分を記載)。相談件数等については、年度末までの実施予定数を含めた回答である。平成19年度の全国の特別支援学校927校(分校を含まず)中、868校から回答があった(回答率94パーセント)。
  • 一部データについては、平成19年3月に特別支援教育総合研究所が行った同種調査(「小・中学校における特別支援教育への理解と対応の充実に向けた盲・聾・養護学校のセンター的機能の取組に関する状況調査」、以下「特総研調査」という。)との比較を行った。同調査は、平成18年度の全国の特別支援学校998校(分校を含む)中、739校(うち分校を1校含む)から回答があったものである(回答率74パーセント)。

調査結果の概要

1 都道府県教育委員会の取組〔表1

  • センター的機能に関する研修には多くの都道府県が取り組み、7割を超える都道府県が旅費を予算化するなど、センター的機能を担う教員の専門性向上や条件整備に取り組んでいた。都道府県としてガイドラインや要項等を整えているところはおよそ半数であった。
  • ほとんどの都道府県では、広域特別支援連携協議会、巡回相談員、専門家チームなど特別支援教育体制の構築を進めており、特別支援学校との連携も強めていた。

2 特別支援学校と教育委員会の連携

  • 特別支援学校からの回答においても、教育委員会との連携が進んでいる様子がうかがえた。都道府県教育委員会から指導助言や情報を受けているとする学校が8割にのぼっており、1年前の特総研調査から2割ほど伸びている。〔図1〕
  • 市町村教育委員会との連携も進んでいる。特別支援学校は、その多くが都道府県立であり、市町村立の小・中学校とは設置者が異なることから、小・中学校への支援を進める上で市町村教育委員会との連携が課題とされていた。情報交換の場を設けている学校が18ポイント、連絡・調整を行っている学校が22ポイント伸びていることは連携が進んでいることを示していると推察される。〔図2〕

3 特別支援学校におけるセンター的機能の取組

(1)相談の対象となった子どもの状況
  • 特別支援学校が実施した相談等について、どのような障害種別に関する相談であるか聞いた。その結果、LD・ADHD・高機能自閉症等の相談を扱った学校が最も多く688校であり、調査に回答した学校の8割にのぼっていた。ついで、知的障害の相談を扱った学校が626校、情緒障害が475校、重複障害が450校、肢体不自由が413校、言語障害が262校であった。〔図3〕
  • 特別支援学校が相談の対象とした障害種別数で見ると、半数以上の学校が4種別以上の障害種別を対象にしており、9種別を対象にしている学校も17校あった。3種別を対象にしている学校が最も多く172校であった。〔図4〕
(2)子どもを担任する教員や学校からの相談
  • 子どもを担任する教員や学校からの相談の総件数は、87,685件にのぼった。調査に回答した868校で単純平均すると、1校あたり101件となる。
  • 学校別の相談件数を見ると、25件以内の学校が266校と最も多く、しだいに件数が多くなるにしたがって学校数も減っているが、相談件数が300件を超える学校も58校となっている。〔図5〕
  • 相談の対象については、通常学級の担任を対象とした特別支援学校が89.2パーセント、特別支援学級の担任を対象とした学校も87.6パーセントと、多くの特別支援学校が学級担任を対象とした相談等を行っていることが示された。ついで特別支援教育コーディネーターを対象としている学校が79.7パーセント、管理職を対象にしている学校が60.1パーセントとなっていた。〔図6〕
  • 相談の内容についてみると、指導・支援について94.9パーセント、障害の状況の実態把握等について85.7パーセント、就学や転学等について82.3パーセント、進路や就労について66.6パーセント、他機関への橋渡しについて64.4パーセント、個別の指導計画の作成について60.5パーセントの順になっている。〔図7〕
  • 平成18年度特総研調査と比べると、ほとんどの相談内容で増加しており、多様な内容の相談に対応する学校が増えている。ほとんどの相談内容で増加する一方、支援体制に対する相談が15ポイント程度減少していることは注目に値する。小・中学校の支援体制がある程度整備されてきていることが反映されたものと推察される。また、他機関への橋渡しが約15ポイント伸びているが、これについては機関間のネットワークが構築されてきていることに対応した変化であると考えられる。〔図7〕
(3)小・中学校の教員に対する研修協力・研修会等
  • 地域の小・中学校等の校内研修会に講師として参画している特別支援学校が約8割に及んでいた。そのほか、特別支援学校や地域で公開の研修会等を行っている特別支援学校が8割弱、校内研修会を地域の小・中学校等教員に公開している特別支援学校が7割近くになっていた。〔図8〕
  • 上記のいずれの取組も平成18年度に比較して伸びており、研修協力に取り組む特別支援学校の増加と協力方法の多様化をうかがわせる。〔図8〕
(4)小・中学校等への情報提供
  • 小・中学校等への情報提供にあたって、通信・印刷物を配付している特別支援学校が約半数程度、Webを活用している学校が7割程度であった。〔図9〕
  • いずれの取組も平成18年度に比較して伸びており、情報提供に取り組む学校が増えている。〔図9〕
(5)小・中学校等への施設設備・教材教具の提供
  • 小・中学校等へ障害のある子どもを対象にした教材についての情報提供を行っている学校は7割強にのぼっていたが、教材を作成して提供している学校は2割強程度、教材ライブラリーをつくっている学校は1割程度にとどまっている。また、施設・設備を提供している学校は3割であった。〔図10〕
  • 教材提供に関する取組はいずれも平成18年度と比較すると伸びている。特に、教材についての情報提供は17ポイント増加している。ほとんどの特別支援学校が指導・支援に関する相談に取り組んでおり、指導・支援に伴う教材教具の提供にも反映しているものと推察される。〔図10〕
(6)子ども及び保護者からの相談
  • 子ども及び保護者からの相談は、111,405件にのぼった。調査に回答した868校で単純平均すると1校あたり128.3件となる。
  • 学校別の相談件数を見ると最も多いのは25件以内で約3割にあたる。一方、300件を超す学校が92校あり、学校によって相談件数に大きな開きがあることが明らかになった。〔図11〕
  • 相談の内容についてみると、就学や転学について相談を受けた学校が85.7パーセント、子どもへの接し方、指導・支援について84.0パーセント、障害の状況の実態把握等について72.1パーセント、進路や就労について66.1パーセント、子どもへの直接的な指導52.3パーセントの順になっている。それぞれの相談内容を実施した特別支援学校の割合は18年度の状況と大きな違いはなかった。〔図12〕
(7)センター的機能の充実のための医療・保健・福祉・労働等との連携
  • 特別支援連携協議会等機関間の連携の仕組みに参画している学校が4分の3に達している。医療・保健、福祉機関とのネットワークを小・中学校等支援に活用する学校が半数を超え、労働機関とのネットワークを活用する学校も増えていた。〔図13〕
  • 医療・保健・福祉・労働等との連携は平成18年度と比較すると伸びている。教育委員会等が中心となる連携協議会等の仕組みが整備されている状況がうかがえるとともに、医療・保健・福祉・労働等多様な機関とのネットワークが支援に活用されてきているものと推察される。〔図13〕

4 センター的機能を実施する上での課題

  • 8割近くの学校が人材確保の困難さをあげていた。次に多い課題は、多様な障害に対応する教員の専門性、小・中学校等への支援のノウハウであり、上位3つの課題がセンター的機能を推進する人材に関するものであった。〔図14〕
  • 半数の学校が旅費の確保をあげている。また、小・中学校における特別支援教育の理解やセンター的機能の活用の理解も半数の学校が課題としていた。〔図14〕

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