特別支援教育について

早期からの教育相談・支援体制構築事業

1.趣旨

 障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに応じた支援を保障する就学先を決定するため、また、本人・保護者、学校、教育委員会が円滑に合意形成を図るため、医療や福祉の関係部局等との連携を図りながら、教育相談・支援を乳幼児期を含め早期から行うことが必要である。
 本事業は、改正障害者基本法(平成23年8月5日公布・施行)を踏まえ、障害のある子ども(特別な支援が必要となる可能性のある子どもを含む。以下、「子ども」という。)及びその保護者に対し、各市町村が早期から情報の提供や相談会の実施等に取り組み、柔軟できめ細やかな対応ができる一貫した支援体制を構築するとともに、各都道府県は、市町村の取組や体制の構築を総合的に支援するものである。また、その取組の成果を、その他の地域が参考とすることで、都道府県・市町村の早期からの教育相談・支援体制の構築の促進に資することを期待するものである。

2.事業の内容及び実施方法

 本事業は、都道府県・指定都市が事業主体となる。都道府県が事業主体となる場合は、推進地域を原則一つ指定し、推進地域と連携して事業を実施する。推進地域の範囲は、原則一市町村とするがいくつかの市町村が連携して一つの地域単位として取組を行う場合も含む。指定都市が事業主体となる場合は、市内全域を推進地域とする。また、本事業は、推進地域における支援体制の構築の過程等がその他の地域の参考となることを期待するものであることから、推進地域を指定する際は、(2)に示すような職員を既に配置している地域は支援体制が構築されているものとして、今回推進地域として指定しないなどの配慮を行い、当該事業を実施することにより一定の成果を期待できる地域とすることが望ましい。
 なお、以下に挙げるような取組等を参考とし、「5.その他」にある通知等の内容を踏まえ、各地域の実状に応じた事業を計画・実施すること。

(1)都道府県・指定都市教育委員会は、子どもやその保護者への早期からの教育相談・支援に関わる教育、保育、福祉、保健、医療等の関係部局・機関等と、連携協力のためのネットワークを構築する。また、子どもの教育的ニーズに対応した支援や教育についての市町村からの相談に対して助言できる仕組を構築したり、市町村の就学事務担当者等のための研修会等を実施したり、市町村の取組を総合的に支援する。

(2)市町村教育委員会(指定都市教育委員会を含む。以下、同じ。)は、教育、保育、福祉、保健、医療等の関係部局・機関等や地域と連携し、情報を共有するなどして必要な支援を行うことが必要であることを前提として、本人・保護者への情報提供や学校への指導・助言等の支援を適切に行うために、子どもの教育や就学について専門的な知識を持ち、関係部局・機関等や地域との連絡・調整、情報収集等を行う職員(早期支援コーディネーター(仮称))を配置するなどの体制を整備・運用する。

(3)市町村教育委員会は、乳幼児期を含め早期から成人に至るまで一貫した支援ができるように、早期から個別の教育支援計画を作成し、活用するとともに、就学期における個別の教育支援計画の作成に当たっては、本人・保護者、幼稚園等も加えて、医学、心理学等の専門家の意見を聞く。また、子どもの成長記録や生活の様子、指導内容に関するあらゆる情報を記録し、必要に応じて関係機関が共有できる相談支援ファイル等を活用する。

(4)市町村教育委員会は、幼稚園等を通じて子育て支援・教育関係の情報を提供するほか、様々な機会において相談会を開催するなど相談体制を構築する。また、学校見学・体験入学等の機会を設けるなど就学移行期等における支援を行う。

(5)市町村教育委員会は、専門家等による巡回相談を実施し、幼稚園教職員等への指導・助言・理解啓発や保護者からの相談を行う。

(6)就学先決定後も、継続的な教育相談を行い、個別の教育支援計画を見直す中で、柔軟に就学先の見直しを図るなどの支援を行う。

3.委託期間

 委託事業の実施期間は、委託を受けた日から当該年度の末日までとする。

4.その他

(1)本事業の実施に当たっては、下記の通知等の内容にも十分留意し、効果的な事業の実施に努めること。

  • 「障害者基本法の一部を改正する法律の公布・施行について(通知)」(平成23年8月5日23文科初第626号文部科学省初等中等教育局長通知)
  • 「中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会論点整理」(平成22年12月24日中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会)
  • 「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議審議報告」(平成22年3月24日特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議)
  • 「特別支援教育の更なる充実に向けて~早期からの教育支援の在り方について~(審議の中間とりまとめ)」(平成21年2月12日特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議)

(2)本事業の実施に当たっては、次の資料も参照すること。

  • 「障害のある子どものための地域における相談支援体制整備ガイドライン(試案)」(平成20年3月文部科学省・厚生労働省作成)

(3)本事業の実施に当たっては、必要に応じて厚生労働省の実施する障害児関連施策・事業等と連携して実施することが望ましい。

(4)本事業の実施に伴い、発生した著作権(著作権法(昭和45年法律第48号)第21条から第28条までに規定する全ての権利を含む。)については、原則として文部科学省に所属させるものとする。ただし、広報用に作成したポスター、パンフレット、DVD等の著作権については、この限りではない。
 上記に拠らない場合は、別途文部科学省と協議すること。
 なお、作成物があるときは、文部科学省が行う本事業の一環として行われている旨、表記することを原則とする。

(5)本事業により、研修やイベントなどを開催する際には、文部科学省が行う本事業の一環として行われている旨、関係者に周知することを原則とする。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成24年11月 --