特別支援教育について

福岡県 西日本短期大学附属高等学校(私立)

都道府県名 福岡県
学校名 西日本短期大学附属高等学校
学校所在地 八女市亀甲61
研究期間 平成21~22年度

1.概要

1 研究課題

 高等学校におけるLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症、アスペルガー症候群等の発達障害を有する生徒及び、その他特別な支援を必要とする生徒の多様な教育的ニーズ、個性に対応し個に配慮した教育課程、指導内容・方法についての研究

2 研究の概要

 「発達障害児の理解や思考の特性に配慮して、弾力的に教育課程を設定することにより、学力の向上のみならず、学校生活への適応や精神的社会的自立を促進せしめる」という仮説の立証を目的とした研究である。教育課程に関しては、これまでの試行錯誤の結果「国語、数学、理科、英語」の4教科に絞られた。これら4教科において必履修科目を中心にそれぞれに既存の科目を合科し、仮に「国語領域、数学領域、理科領域、英語領域」の4科目とする。合科とし弾力的な科目内容の設定の余地を認めているのは、個々の対象生徒の特性に応じた個別的な対応の必要からである。対象生徒の在籍する「発達支援クラス」及び、「普通科2.類」で新設教科を含む教育課程による授業を実施する。「発達支援クラス」においては初年度から全学年で実施する。「普通科2.類」においては第2年次に第1学年から順次実施する。

(1)現状の分析と研究の目的

 本校においても少子化に伴う生徒数の減少のため、全入に近い状況で多数の発達障害児が入学している実状がある。入学後、コミュニケーション、対人関係等の社会性の困難さや創造性の欠如が引き起こす適応上の問題やトラブルが発生するようになった。障害の本体的症状に起因する問題・課題のみならず、学業面での自信の喪失や不当な評価・批判に晒されることによる二次的情緒的問題も発生している。そのため情動の不安定さに対応できる場、多様な居場所、学習の場の確保や社会性の獲得、自己実現を図る生きる力の養成を保障するところの個に応じた教育課程の編成が、社会的自立を目前に控えた高等学校の教育課程上に具現化される必要を感じている。
 本校は、「個々の生徒の多様な個性やニーズに柔軟に対応する学校づくり」を標榜してきている。在籍中の安定した高等学校ライフの担保のみならず、卒業後の自立的な進路保障の獲得を目指してきた。発達障害児を中核に特別な教育的支援を要する生徒に対する弾力的な教育課程の運用や指導システムの必要性を痛感し、それらのあり方を本研究の目的としている。

(2)研究内容・方法・検証方法

○実態把握「専門家チーム」会議を実施し、本校の取り組みの評価や支援のあり方について指導・助言を仰ぎ、「ケース会議」で検討の上、生徒のつまずき・困難等の実態の把握や理解を深める方法の研究に活用し、「発達支援クラス」で支援を行う。
○個別的な支援「校内研究委員会」で論議の上、「個別の指導計画」を立案・作成し、社会的自立に向けた個々の生徒の学習、社会性、職業に関する指導及び評価方法の研究に活用する。
○教員の障害理解と意識の変革
○研究成果の評価方法学力検査及び認知能力、その他発達の関する心理検査を実施する。学力検査の内容については、準備期間中に国語領域、数学領域、理科領域、英語領域の4領域に関する調査研究を行う。

3 研究成果の概要

○「発達支援クラス」における4領域(国語・数学・理科・英語)の「基礎学」のカリキュラム化‐現国・古典、数1・2、理総・化学・生物、英1・2の各教科の枠を残しながらも境界知能以上を想定して、基礎から系統的に本校普通科2類の教科指導につなげた。
○通常クラス(2類)におけるカリキュラムの見直し‐選択授業(コミュニケーション講座・ビジネス講座)の体系化を図りと共に、コミュニケーション基礎講座のカリキュラムを策定し、「生き抜く力」をつけるキャリヤ教育プログラムを実践し、成果を上げた。
○発達障害に関連した「不登校対策」の強化‐不登校の原因別に教務部と保健部で分担し、不登校対策委員会を中心に保健部では、「適応(指導)教室」「別室登校指導」を設置し、長期化した発達障害を有する生徒の通常クラスへの復帰を図かり、一定の成果を収めた。
○「個別の教育支援計画」の策定‐一件ではあるが、中学校から同支援計画を中学から持ち上がって来たケースについてなんとか策定することができた。(内容は、非公開)
○「専門家チーム」の活用‐本校独自の専門家チームの委員の方々は、2年目で本校の事情に精通されいる。教員、保護者とも面識があり継続的に教育相談を通して、日常の指導に結びつくご指導をいただいた。また、臨床心理や精神医学に関する理解も向上した。
○教員の意識改革‐実践的研修を充実し、通常クラスにおける授業作りや生徒への対応の具体的な取り組みに結びついた。学校長、交流クラス担任、発達支援クラス担任が、本校の取り組みの実状や生徒のかかわりなど積極的にとりまとめを行い、情報を発信するに至った。部長、主任らによる視察研修を通じて、校内に広く見識の輪を広げることができた。
○基礎学力調査の実施(結果は非公表)‐普通科2.類を対象に国・数・英について2回実施したが、対象生徒は平均的ではあったが、教科間に大きなばらつきが見られた。

2.詳細報告

1 研究の内容

(1)発達障害のある生徒に対する指導方針

 本校には普通科の特進進学グループ、普通総合グループ、健康スポーツコースのほか、特別のカリキュラムを組んで指導を行う「発達支援クラス」がある。「発達支援クラス」の原型は29年前に重度の脳性小児麻痺の生徒が入学したことに始まる。それから9年後、発達支援クラスの前身である情緒クラスが設置され、毎年4、5人ほどを受け入れている。
 「発達支援クラス」では17年前より、実技教科に加えて社会(地歴・公民)や、そのほか生徒が希望する教科の交流授業が開始された。近年はこれに加え、LHRにも出席している。基本的には一般クラスで他の生徒と一緒に授業を受け、問題が生じたときに戻ることが可能なシェルター的な機能と個に応じた環境の調整機能がこのクラスにあると位置付けている。
 本校は統合教育の推進を教育の主柱に置いている。さまざまな能力・個性をもつ生徒が一堂に会し、そこで切磋琢磨することである。輪切りの教育では、この変化の激しい社会を生き抜くことはできない。生徒諸君がお互いに影響し合う環境こそ、教育行う環境にふさわしいと感じる。
 これまで身体に障害のある生徒や、弱視の生徒、外国籍の生徒なども受け入れてきた実績があり、社会的弱者に対しては、それを守り抜くという姿勢が教師間の暗黙の了解であり、生徒たちも先生方の姿勢を理解していた。しかしながら、このような生徒が無事卒業に至るのは、身近にいるクラスメートや友人の力によるところが大きい。
 長年、発達支援的な取り組みを実践し、地域社会に一定の評価を得ることになった。問題は経営の根幹にかかわる財政である。発達支援クラスの10人足らずの生徒に対して、専従の教員が2、3人では当然赤字となる。私学として今後継続させられるか、難しい判断が迫られるため、財政的な支援が必要になる。また、発達支援を必要とする生徒を各学校で広く受け入れることも今後の課題だろう。そのための啓発・啓蒙と研修が不可欠となる。(校長:森田修示)

(資料参照)→(資料編)「車椅子の女子生徒とともに」

1.対象生徒の実態(平成21年度)‐全員:男子、「発達支援クラス」在籍


生徒 障害名 特徴(困難やつまずき)
a 3年 f 高機能自閉症 真面目。自主性が出てきた。(社会性、対人関係)通所
b g 軽度自閉症 明るい性格。要領が良くなった。作業を頑張る。(学力)
c 境界知能 運動部(同好会)を3年間やり通した。(学力、社会性)
d 2年 h アスペルガー 第三者との対応は、常識的な言動(不登校、うつ)入院
e i アスペルガー 言動に反して根は素直な性格(対人関係、自信がない)
f j 高機能自閉症 開放的で多彩な才能の持ち主(情緒、対人関係)
g 1年 軽度自閉症 真面目で記憶力がよい。絵を描くことが得意(社会性)
h アスペルガー ADHD/LD傾向有り。バイク免許取得(情緒、対人関係)通所
i 境界知能 対人関係は良好。家の農業の手伝いをよくする。(学力)

○対象生徒の実態(平成21年度)‐全員:男子、「通常クラス」在籍

  生徒 障害名 特徴(困難やつまずき)
j 1 n アスペルガー 学校を休まないで頑張る。(対人関係)通院
k 2年 l アスペルガー マイペースで積極的に取り組む。(対人関係、情緒)
l m アスペルガー 学校では安定して、集団にも入れる。(不登校、認知)通院
m o アスペルガー 安定した学力。多少情緒も安定(情緒、対人関係)
n p ADHD 極端な言動で母親を困らせる。ことが少なくなった。通院
o 境界知能 情緒が安定してきた。(学力、対人関係、社会性)
p アスペルガー 不登校を克服し、行動的になった。(進級)通院
  生徒 発達支援クラスでの支援の概要
j 1 n 通級指導(適応教室から)
k 2年 l 生活指導(昼休み)教育相談・学習会
l m 通級(別室)教育相談・学習会、入学前相談、「あおぞら」と連携
m o 生活指導(行事)教育相談・学習会、入学前相談、「あおぞら」と連携
n p 教育相談・学習会、入学前相談
o 生活指導(行事、昼休み)
p 通級(別室)‐終了→生活指導(行事、昼休み)

「あおぞら」:福岡県発達障害者支援センター

実態把握、つまづき・困難の原因の発見と分析

(ア)発達障害の心理アセスメントの調査(WISC‐3.知能検査)‐対高機能

言語性 1.知識2.類似3.算数4.単語6.理解7.数唱
動作性 8.完成9.符号10.配列11.積木12.組合13.記号
・言語理解・知覚統合・注意記憶・処理速度

(イ)社会生活能力の調査(S‐M社会生活能力検査)

SH:身辺自立、L:移動、O:作業、C:意志交換、S:集団参加、SD:自己統制

(ウ)視知覚運動能力の調査(フロスティグ視知覚発達検査)‐対LD

1.視覚と運動の共応2.図形と素地3.形の恒常性4.空間の位置5.空間関係

(エ)言語コミュニケーション能力の調査(ITPA言語能力検査)‐対広汎性発達障害

表象水準 聴覚・音声 1.ことばの理解4.ことばの類推8.ことばの表現
視覚・運動 2.絵の理解6.絵の類推10.動作の表現
自動水準 聴覚・音声 5.数の記憶9.文の構成
視覚・運動 3.形の記憶7.絵さがし

(オ)作業能力の実態調査(厚生労働省「一般職業適性検査」)

G:知的能力V:言語能力N:数理処理Q:書記的能力S:空間能力
P:形態知覚K:運動共応F:指先の器用さM:手腕の器用さ
イ 指導方針

 (校長)「前進となる情緒クラスを設けたのが20年前。たとえば、計算はトップクラスでも証明問題が解けないなど、発達のアンバランスさが目立つ生徒が増えてきた。こうした子どもたちを支援し、自立させる教育へのニーズが高まっている。」
 (発達支援クラス担任)「生徒の診断名も障害の程度もバラバラだし、たとえば、同じ診断名がついても個々に抱える課題は異なることが多いので、生徒が困っていることに対して実質的な支援をすることを心がけている。」「発達障害とそうでない子を分離するのでなく、なるべく同じクラスで共にに学ぶ統合教育を目指している。トラブルを一つひとつ解決していった経験が、社会に出てからの自立につながる。」「中学校では、周りが本人に合わせて、できないことがあっても誰かしらが手伝ってくれていたかもしれない。しかし、子どもたちが卒業後、生活する広い意味での“世間”は発達障害をもつ者を受け入れる土壌が整っているわけではない。そうであるならば、マイペースな子どもたちが、周囲の人や環境に歩み寄る“ユア・ペース”の姿勢を学ぶ必要がある。それができないと自立は難しい。そのためにも統合教育に力を入れている。」「『どうしても通常学級で卒業証書を受け取りたい』」と最後までこだわる生徒は、生きる堅さが取れていないかもしれない。というのも、発達障害を抱える子どもたちが生きる上で必要なこと一つは、必要な場面で援助を受けられる柔軟性を持つことではないかと思うからである。“こだわりを捨てる”ことも生きる上での重要なスキルの一つかもしれない。」

(ア)新たな障害を生み出さない指導を周知徹底する。

  • 障害理解の欠如により、対象生徒が不当に責められ「情緒障害」を新たに生み出さないような指導を徹底すると共に、過去の不当な扱いによるトラウマの解消を図る。

(イ)学校生活を円滑に行えるように必要な支援は行うが、自主・自立の精神を養うために、過剰な支援に陥らないように留意する。

(ウ)特別ではない「特別支援教育」に基づいた指導を目指す。

  • 特別なことではなく、一般的な学校生活を可能な限り自力で取り組む。
  • 最終的には、生徒自身の課題として、自らの責任で取り組ませる。
  • 精神的に支える、必要な人的物的環境を整備する等必要最小限の支援を行う。

(エ)生徒の個性、ニーズに柔軟に対応した弾力的な指導を目指す。

  • 生徒の困難やつまずきの早期発見による学校生活に適応させる個別的指導を行う。

(オ)生徒の将来の困難やつまずきを見越した最終学校としての指導を目指す。

  • 進路に応じ、将来を想定した課題の要素となる事象を体験する機会を作り指導する。
    ※対象生徒の多くが、周囲の無理解からいわれのない責めや不当な扱い、更にいじめや疎外を受け、トラウマとなって戦々恐々として入学してくる対象児も少なくなくすぐに指導に入れる状況ではない。まずは、対象生徒に安心感を持ってもらう、自分の居場所を感じてもらうことから始めなければならない。そのためにも、少なくとも入学当初は、リソースルーム機能を活用した心のケアから始めなければならない。
ウ 成果と課題

実態把握、つまづき・困難の発見と分析
※外部者に検査を依頼するときは、検査時の状況を記載してもらうと共に、検査集計後、個別に詳細に状況について情報交換を行い、日常の様子とのすり合わせが重要。
(平成20年度・平成21年度)

(ア)発達障害の心理アセスメントの調査(WISC‐Ⅲ知能検査)

      言語理解 知覚統合 注意記憶 処理速度
b
IQ:全検査71
(言語性60
動作性89)
53
×
67
68
66
d 出席が常ならず、登校してもな一日もたない。授業が精一杯のため未検査
e
IQ:全検査107
(言語性108
動作性106)
88
90
112
69
×
f 検査を受けたがらない。(理由は不明-こだわり?)保護者の希望は有り
g IQ:全検査79
(言語性72
動作性90)
71
77
62
×
75
h IQ:全検査90
(言語性101
動作性88)
108
89
73
64
×
i IQ:全検査79
(言語性75
動作性87)
67
×
66
×
76
97
     高機能になるほど、アスペルガーの特徴に見られるように言語性が優位である。反面、処理速度の低位の傾向が見られるが、共応動作や巧緻性に共通したできにくさが見られる。学力の成果とは、必ずしも相関が見られない。成績には当然のことながら取り組みの姿勢、処理速度、記銘の違いが表れている。また、高校レベルの理解、思考には、言語能力との有意な相関が見られる。下位項目の群指数70以下の項目においては、普段のプロフィールと重ね合わせて考察するとADHDあるいは、LD傾向を疑わせる兆候が見られる。

(イ)社会生活能力の調査(S‐M社会生活能力検査)
(◎:優れている○:問題なし△やや困難困難(幅あり)※かなり困難)

    SH:身辺自立 L:移動 O:作業 C:意志交換 S:集団参加 SD:自己統制
a




×
×



×


b






×
×

×


c ×
d




×
×

e
×


×


f



×
×
×
g × ×
h
i ×
  所見  社会生活能力は、年次に従って着実に改善されている様子が伺える。多くが「集団参加」につまずきが見られるが、境界知能のc、iに関しては、定義通りの主たるつまずきが学習面に限定されていることが分かる。eを除くと、他の生徒では、決して集団参加の欲求はありながらも、自己肯定感が低く自分に自信が持てないことによって積極的な参加の要素の評価が低いと思われる。「意志交換」の困難さにはばらつきが見られる。機能レベルの相関が想定さてる。「作業」の困難さは、一般的機能レベルが一定高い場合、経験値の低さの影響と思われる。「移動」は、経験を積み上昇している。苦手な分野であっても経験や指導で改善の可能な項目(身辺自立、移動、作業)は改善が見られる。

(ウ)視知覚運動能力の調査(フロスティグ視知覚)‐対LD

    視覚と運動の共応 図形と素地 形の恒常性 空間の位置 空間関係
g 9:04 ○ 8:02 △ 5:03 × 8:00 ○ 8:00 ○
h 9:04 ○ 8:02 △ 9:03 ○ 8:00 ○ 7:04 △
i 9:04 ○ 8:06 ○ 5:03 × 8:00 ○ 7:04 △
  所見  gは、形のイメージ力に問題があるのか、指示を聞いていないので、イメージできないのか不明。iは、明らかに形の記銘に問題があることを伺わせる。hは、IQの高さから診ると視知覚の発達が十分ではないことを伺わせる。いずれも注意力や学習能力につまずきがあるのかは、現時点では判断できない。

(エ)言語コミュニケーション能力の調査(ITPA言語能力検査)‐対広汎性発達障害

  表象水準 自動水準

 

 

言語学習
年齢
受容(理解)連合(類推)表現(表現)
(言葉・絵)(言葉・絵)(言葉・動作)
構成 配列記憶
(文・絵探し)(数・形)
b g
6‐11
×
9‐08
9‐10
8‐06
8‐02
5‐04
×
5‐02
×
4‐11
×
5‐07
×
6‐06
×
6‐10
×
d h 出席が常ならず、登校してもな一日もたない。授業が精一杯のため未検査
f j 検査を受けたがらない。(理由は不明‐こだわり?)保護者の希望は有り
g
h

7‐00
×
9‐11
9‐08

9‐08
9‐06

9‐06
8‐06

9‐07
7‐03

9‐05
3‐07

7‐07
5‐08
×
9‐06
6‐00
×
7‐07
6:07
×
9‐04
9‐02

9‐02
9‐02

9‐02
 
 gは、学力的に高くhに近い高機能ではないかと推測していたが、bに近い軽度の自閉症であろうと思われる。記銘力に偏った本校の学力の評価在り方に問題がある。gの口癖は「部句の気持ち分かってください。」からも分かるように言語、運動共に表出に重篤な困難を抱えていることが伺える。自動水準においても言語、運動共に構成力の弱さが表れているが、やはり思考や理解に特徴的な言語機能の課題を抱えていることが伺われる。逆に、hは、他の心理検査の結果を総合すると、学力の達成率が引くなっている。能力、機能に起因するというより、社会性、対人関係のもろさが、原因となっているのではないかと、日常の様子からも推測される。十分に力を発揮し切れていないようだ。

(オ)作業能力の実態調査(厚生労働省「一般職業適性検査」)
(◎:優れている○:問題なし△やや困難困難(幅あり)※かなり困難)

    G:知的 V:言語 N:数理 Q:書記 S:空間 P:形態 K:共応 K:指先 M:手腕
a f










×

×
×
×

×
×

×
b g
×
×
×
×
×

×
×
×

×

×
×
×
×

×

c × × × × ×
d h 出席が常ならず、登校してもな一日もたない。授業が精一杯のため未検査
e i





×




f j ×? △? × △?    
g × ×
h × ×
i × × × × ×

 全員が「形態の認知」「共応動作」「手指の機能」に経験不足と生来の困難さを相乗的影響が見られる他項目は、全て機能レベルに相関が見られる。著しい困難は、注意力・集中力の欠如とLDによる不器用さによると思われる。学習経験による改善が見込める項目(書記、空間、形態、共応)では、改善の跡が見られる。?印は、取り組みの姿勢に疑問が見られ、信頼性に欠ける。※印は、著しい機能の低さを示している。個別指導による訓練を実施している。

(カ)基礎学力テスト(学研、ベネッセ)‐2.類1・2年全員に実施(詳細は、不記)

基礎学力以前に機能、能力につまずきを抱えた生徒が見られた。

(キ)課題

・機能、能力と適応の相関を図るスクリーニングの実施(通常クラス)

  1. 具体的かつ、日常的な支援に関する教職員の研修、事例研究等が不十分である。
  2. スクリーニング(クラス担任、教科(国・数)担任)の実施の検討
    ‐現在、高等学校を対象とした発達障害に関する標準化されたスクリーニング指標は作成されていない。本校では、平成19年度に中間報告書に試作を掲載しているが、未だに実施検証していない。理由として、・チェックリストの記入者に客観的、専門的資質が求められ、負担が大きい。・項目、評価の指標に信頼性・妥当性の疑問が残る。・学習障害をもスクリーニングの対象としているので、かなりの数の対象者がリストアップされた際、必要な支援・指導の十分な体制が現状では構築されていない。等が上げられる。
  3. 対象生徒判定機関がバラバラで、信憑性に疑問が残る。
  4. 対象生徒の確認行う校内研究委員会専門家チームの会合が十分には開けない。
(2)発達障害のある生徒に対する授業やテストにおける評価方法等の工夫

 f君の試験と評価は、交流授業と発達支援クラスで異なる。交流授業で受けた教科については、通常の試験を受け、単位を取得する。
 そのため、試験の1週間前には、発達支援クラスで補習の時間を設け、担当とともに試験勉強をする。それでも、規定の点数に届かなかった場合は、救済措置として、追試を受けたり、レポートを提出する。救済措置は、f君に限らず、他の生徒も対象にしたものである。
 本校では、教師を対象に障害の理解啓発のための研修をしており、「理解はすれども、支援・配慮は最小限に留める」を信条としている。これは、学級運営はもちろん、試験の際も同様である。
 私が担当する発達支援クラスでは、マンツーマン、もしくは少人数でじっくりと学ぶ。普通科の各教科の教員の協力を得て、国語、古典、数学、理科、英語、体育の授業を開講している。f君の場合は、数学、古典、体育を発達支援クラスで勉強し、進度に合わせた試験を受ける。
 また、発達支援クラスでは生徒の基本的生活習慣の定着や情緒の安定などの役割を担っている。隔週土曜日や定期考査後1週間にはソーシャルスキルトレーニングを行う。また、生徒の希望に合わせて、就労に向けた指導も積極的に行っている。
 f君の高校生活は、残すところ1年あまり。進路に対応するため、O君の保護者とは、新年度からは発達支援クラスでの授業時数を増やす方向で話を進めている。
 学校を半社会だとすれば、f君は現在、プールで泳法を習得するようなものである。プールには、水が張ってあるが、水の流れや深み、波はない。自立した生活のためには、自分からアプローチし、挑戦する必要がある。
 「一人前の男になりたい!」という思いを抱き、f君は本校に入学した。学校には、世間の荒海を泳ぎ切るだけの術を身に付けて卒業させる責任がある。同時に、教育行政から労働行政へのよどみない移行が、国家の今日的重要課題の一つだと感じている。(発達支援クラス:福島)

ア授業の際の配慮事項等

(ア)促進授業(土曜日、定期考査終了1週間、3年次の進路補習)
‐国語・数学・英語を中心に通常クラスでの授業のフォロー

(イ)少人数授業(発達支援クラス)‐希望により選択(資料参照)→授業形態
‐通常クラスにおいて授業を受けることが困難な教科(国・数・理・英領域)
‐通常クラスに在籍する対象生徒(2.類2年)にも必要に応じて実施。
‐基礎学:中学からの復習(資料参照)→少人数・個別授業「基礎学」

(ウ)選択授業(キャリア教育)‐コミュニケーション講座、ビジネス講座等
(資料参照)→キャリア教育年間計画と2.類選択A講座、「コミュニケーション基礎講座」実践カリキュラム
(資料参照)→(資料編)「2学年特別講座(抜粋)」

(エ)交流授業(資料参照)(資料参照)→時間割

(オ)「発達支援クラス」指導体制(資料参照)→「発達支援クラス」担任・担当割

(カ)適応(指導教室)開設
※本校において、発達支援クラス、通常クラスを問わず、入学してくる対象生徒の多くは、隣接した地区にある「発達障害者支援センター」を経由してくることから、入学後、情報交換を行い把握されている。その他の広汎性発達障害が明らかになるケースは、不登校の場合がほとんどであった。1学期間の指導の結果、在籍クラスへの復帰ができずに残るケースのほとんどが、適応教室の利用等の必要から専門医の診断を受けた結果、アスペルガーとの診断を受けることになる。そのため、本校においては、発達障害支援との関連に置いて、不登校の指導・支援を受ける場合が多い。
‐必要に応じて、発達支援クラスで開講されている授業を受けることができる。
‐在籍クラスの授業に入れない場合、「別室登校」として期限を切って、発達支援クラスの管理下で過ごすことができる。
(資料参照)→適応教室内規案、別室登校生徒の臨時的措置について

授業形態(月曜日~金曜日)‐少人・交流・選択交流‐

授業形態(月曜日~金曜日)‐少人・交流・選択交流‐

※土曜日は、特別時間割‐「発達支援クラス」;補習、交流促進授業、職業指導、ソーシャル・スキル・トレーニング等

時間割(発達支援クラス)

「発達支援クラス」担任・担当割

教科担任 クラス担任 モデル事業担当
坂田(13);国語総合、現代文、古典
坂本(4)、富山(2);数学1、数学A
室園(7);理科総合、化学1、生物1
武原(4)、福島(4);英語1、英語2
小川(2);体育
(担任)(副担)
1年:福島・小川
2年:小川・武原
3年:小川・坂田
保健部長:福島
福島(特別支援教育コーディネーター、不登校対策)
江上(補助員)
小川:適応教室
庶務分担 武原‐交流教科の点数管理、坂田‐出欠管理、福島‐会計
学年会議 1年‐福島、2年‐武原(小川)、3年‐坂田(小川)

少人数・個別授業「基礎学」
‐4領域(現国・古典、数1・2、理総・化学・生物、英1・2)‐

国語領域(坂田・福島)

学期 国語総合
現代国語 古典
1 漢字演習(同音異義語、同音異字、送りがな、部首、画数、筆順、成り立ち)
語句・文法(文の組み立て、単語の種類、枚子、動詞、接続詞、副詞、単語の意味、単語の用法、敬語)
仮名遣い
1.読み方のルール
2.古語の意味
2 熟語演習(組み立て、類義語、対義語、四文字熟語)文学作品表現(詩・短歌・俳句) 古文の特徴1.省略(主語・述語・助詞)2.已然形3.助動詞「けり」4.助詞「ば」5.助詞「の」
3 語句演習(慣用句、ことわざ、故事成語、和語、漢語、外来語) 係り結び
和歌の基礎知識

数学領域(坂本・富山・福島)

学期 数学1・2
1 計算演習(小数)図形(内角の和、垂直・平行、平行四辺形・台形、面積)
数量(割合、百分率、グラフ)
正負の数
平面図形
2 計算演習(公倍数、通分、公倍数、約分)
図形(円の面積)
数量(単位量、密度、仕事量、早さ)
文字式
立体図形
3 計算演習(分数)
図形(立体の体積)数量(比)
方程式
比例・反比例

理科領域(室園・福島)

学期 理科総合
地学・物理 化学 生物
1 バネ・浮力てこ・振り子流水と土地地層と化石 燃焼(固体・気体)
熱と物体の変化(体積、三態)
植物(光合成、蒸散・呼吸)
2 電池と回路
電流と電磁石
天気
物の溶け方
水溶液の性質(金属反応)
動物(消化・吸収、循環、骨格呼吸、排泄、人類、分類)
3 光と音
太陽と月星と星座
熱の伝わり方(伝導、輻射、対流) 生物と環境(四季、暮らしと環境)

英語領域(武原・福島)‐基本文型

学期 英語1・2
1 This(That)is~.These(Those)are~.疑問文、or疑問文、What・Who疑問文、否定文代名詞所有格、三人称単数、形容詞、一人称複数
2 have(has)~.Do(Does)~?do'nt(does't)~
Howmany(much)~?一般動詞の疑問文・否定文
Whose・What・Which・When・Where疑問文some(any)、代名詞目的格
3 命令文、Don't・Let's~.進行形、過去形の疑問文・否定文助動詞、前置詞

キャリア教育(進路保障)年間計画と2.類選択A講座
‐発達障害支援関連(抽出)‐

ガイダンス・セミナー 就労・進学体験 検定 基礎学力
4 ・進路室実習
5 ・新入生合宿(進路)
・福祉・健康系ガイダンス
・ふれあい看護体験
・西短大訪問
・高大連携講座(福祉
保育) ・常識テスト
・SPI説明会
6 ・就職支援セミナー ・認知症サポート養成研修 ・漢字・英語・理科・日本語 ・新基礎学力テスト
・SPI2基礎テスト
7 ・就職準備セミナー
・就職説明会(保護者)
・介護福祉体験
・保育体験
・高大連携講座(福祉
・数学・販売士保育) ・就職試験対策講座(SPI)
・職場見学・オープンキャンパス
8 ・漢字 ・SPI2対策講座
9 ・進学説明会(保護者)
・西短大特別入試
・常識テスト
10 ・理科・漢字
・販売士
・ワープロ・情報
11 ・日本語
12 ・就職合同説明会 ・理科・数学
・ワープロ・情報
1 ・英語 ・学研Vステップ・テスト
2 ・社会人準備講話
・カードローン講話
・理科・漢字
3 ・進路保護者会
・就職準備セミナー
ビジネス講座(2年) コミュニケーション講座(2年)
1.一般就職対策講座(就職・進学)‐各教科
2.SPI2対策講座‐各教科
3.「自ら考え実践する」講座‐外部講師
ビジネス・コミュニケーション合同講座(3年)
1.マナー・心構え講座
2.自己分析講座1・2
1.コミュニケーション基礎講座‐進路部長
2.表現(俳句、小論、漢字等)‐国語科
3.コミュニケーション実践講座‐外部講師
3.就職環境と働き方講座4.社会人準備講座
2.類選択B講座(2年生)
1.ビジネス講座(情報リテラシー)情報処理検定(ワープロ、ホームページ作成他)‐情報科
2.保育・福祉講座講義、実習、見学・体験等‐西日本短大・他協力施設指導員
3.伝統文化講座(茶道)茶道指南、法話等‐茶道師範、梅林禅寺住職
「コミュニケーション基礎講座」実践カリキュラム
‐発達障害を念頭においた指導のポイント‐
第1章「成長する」について考える
 自己を見つめる、認識することが苦手な彼らが、好きなこと、得意なことを周囲の環境や社会と関連付けながら、果敢にポジティブに挑戦する姿勢を身につけてほしい。
(1)夢をつかむ
1.夢とチャンス‐かたちにする
「○○があったらいいな」→「どうしたらできるかな」→「こうすればできる」
2.「好き」を見つける「好き」→「チャンス」→「チャレンジ」
(2)社会生活
1.社会と自分‐社会との関わり合い
2.学校の中の自分‐集団生活
3.自立‐自分で考え、規範に従って行動する
(3)プラス思考(ポジティブな考え方)
1.ハプニングに対処する2.課題に対する意識3.知識と技術4.本質を理解する‐ハウツー、マニュアルからの脱却
※彼らにとって、ハウツー、マニュアルからの出発はやむを得ない。次の理解や般化の段階にステップアップするかどうかの判断が迫られる。より高度な思考に至るためには、今完成している行動様式を崩さなければならない。決断と忍耐が本人、指導者の両方に求められる。
第2章「コミュニケーション」について考える
 自分の意思を表現すること自体が苦手であるか、または、よく話すけれども相手の気持ちや場の状況を理解することなく一方的に話すなど、いずれにしても言葉のキャッチボールとしての会話は困難である生徒が多い。コミュニケーションの概念を包括的に理解することは困難であるから、一つひとつ体験または、模擬体験を通して具体的に体得して行かなければならない。また、実体験にあるいは、模擬的な言語活動の中での誤りを正して行かなければならない。非言語性のコミュニケーションに及んでは、更に専門的な指導が必要になることだろう。
(1)コミュニケーションはキャッチボール
1.コミュニケーションは「聴く」と「話す」が基本
・相手が考えていることや望んでいることに気づき、発言や行動をとる
・相手に対して関心を持ち、相手の話の興味を持つ
2.話を聞くためのポイント
・相手の話に興味・関心を持つ ・相手が何を伝えたいのかを考えながら聞く
・相手の立場に立って聞く ・適度に相づちをうちながら聞く 
3.分かりやすい話し方 ○5W2Hとは?
(2)世代を超えたコミュニケーション
1.コミュニケーションてなんだろう
「あるひとの考え、気持ち、見たこと、聞いたことなどさまざまな情報」を「口頭や文書、電話、メールなどのそのときもっとも適した手段」を用いて「伝え手と受け手が互いにそれらを伝え合うこと」
2.言葉で伝わることと態度から伝わること
3.いろいろなコミュニケーション4.いろいろな人と話そう
(3)タテとヨコの人間関係
 1.コミュニケーションの相手2.社会の中のタテとヨコ3.タテ、ヨコ以外の人間関係
 4.良い人間関係を作るコツ
 ・相手を敬う気持ちを持つ ・相手の話をよく聞く ・挨拶、おじぎ、敬語などマナーを欠かさない ・人の良いところを探す・自分からコミュニケーションをとる 
(4)外国語のコミュニケーション
※本校は修学旅行においてハワイ大学附属高校と交流している。英語で挨拶や簡単な日常会話程度はできるようにしておきたい。
(5)あいさつとマナー・ルールを守る
 1.挨拶はコミュニケーションの基本
 2.会話は心のキャッチボール
 3.マナー・ルールを守る
 ・マナーとルールはどう違うか「ルール」は規則「ルール」は気配り、思いやり
 4.マナーの基本
 ・人に迷惑をかけない ・人に敬意をはらう ・人の好感を与える  
○感謝された笑顔と挨拶
※望ましい行動を形成するためには、強化子が必要である。相手の感謝の言葉と表情によって、笑顔で返す、挨拶をして良かったという行動変容を期待したい。
第3章「社会と社会性」について考える
 社会性と言っても多岐にわたっている。身近な学校や地域と言った限定的な社会から、職場や同好のグループや社会全般になると、彼らの成長・発達に伴う段階的な広がりを具体的に想定しなければならない。個々に獲得した社会性のアイテムをより広範な場で適切に試行錯誤を通じて修正を加えながら使用していかなければならない。そのために必要なのがモデリングではないかと考える。年齢的にも環境的にもより身近で行動の目標となるモデルの存在が不可欠ではないかと考える。信頼できる、目標として尊敬できるモデルとの出会いを求めて行かなければならない。
(1)社会のルールを守る
 1.身近なルールを考える
 5.携帯電話のルールとマナー
 ・場所に配慮する ・マナーモードを電車の中などでは、有効に利用する
 ・時間に配慮する ・メールと電話を上手に使い分ける
 ・カメラつき携帯などで人物をとるときは、了承を得てから撮影する 
 ※携帯電話やEメールは、彼らのコミュニケーションツールとしての活用は、今日的課題である。最低限のルール、マナーの獲得するとともに、こだわりや依存につながらないように十分見守ると同時に、普段の指導が不可欠となるだろう。
(2)チームワーク
 1.チームで活動する
 2.チームワークの効果
 ア 互いの協力が活かされる(協力効果) イ 互いの弱点が補完される(補完効果
 4.チームワークの発揮
 ア 全体の目標を理解する イ 自分の役割を果たし、仕事は責任を持って果たす
 ウ 周囲の人と協力する エ 報告、連絡するオみんなの話をよく聴く
(3)様々な社会体験 1.社会体験 2.様々な体験が財産になる 3.インターンシップ
 ※職場体験実習もタイミングの問題が、彼らには重要であると思う。心から目的や意思確認されていない段階での実施は、ねらいが達成されないだけでなく、必要以上に負担感が残る、あるいは逆に安易な取り組みの姿勢が生まれるなど誤った認識を植え付けてしまうケースが見られるので注意しなければならない。
(4)ことばづかいと名詞の頂き方
 1.こどばづかい2.敬語尊敬語・謙譲語・丁寧語
(5)目標を持つ
 1.目標を持つ過去の延長上に未来を描くのでなく、未来から逆算して現在を描く3.人は納得しないと動かない
(6)「PDCAサイクル」と「目標達成」
 1.「PDCAサイクル」
 ・Plan(計画)Do(実効)Check(確認)Action(改善)
 2.目標いつまで(達成期日)・何を(達成項目)・どのレベル(達成水準) 
(7)仕事のマネジメント
 1.指示を受ける 2.仕事は正確に行う 3.報告・連絡・相談
○報告のポイント
 ・気づいたことはすぐ伝える・悪い情報、いつもと違う情報はきちんと伝える 
○相談のポイント
 ・相談事項はあらかじめ整理し、自分なりの考えをまとめておく
 ・相談するタイミングや、相談相手の都合を考える
 ・「結論」ではなく、「ヒント」を求める
(8)多様化する働き方
 2.働き方、いろいろ正社員、契約社員・アルバイト・パート、派遣 3.働き方と給与
(9)給与明細の仕組み
 1.求人広告を見てみよう 労働時間・休憩時間・休日・給与・退職など
 ※発達支援クラスので唯一の学習としてのSSTの取り組みに「マネーじゅく」がある。マネーとは本来、不労所得(オイルマネーのマネーのような)であり「お金」とは本質的に異なるので、「金銭管理」としておく。しかし、目的は彼らに金銭出納帳をつけさせることではない。記帳の不可は経験の有無の差であって、彼らにはさほど難しい作業ではない。金銭管理のねらいは、就労意欲の向上にある。まず、余暇を楽しむための物を購入するまたは、活動費を生み出すための方策の術を獲得することにある。給与は、辛い、気に沿わない仕事や労働や、その苦労や汗に対する対価であることは認識することが、最も勤労意欲を生み出すことは万人に否めない事実であろう。
(10)税金と社会保障の仕組み
○社会保障制度‐社会福祉‐障害者福祉
 ※進路指導の段階で社会生活をスムーズに送るための手立てを獲得できることが理想ではあるが、現実には、特に本人が障害の認識のない場合など、指導に至らないケースが一般的である。その場合、可能かつ最低限の指導は、社会的援護機関に関する知識とそれらの利用法の周知であろう。困難に直面した時、活用すべき社会資源を可能な限り障害に触れることなく、いかに紹介できるかであろう。
第4章「健康管理」について考える
 健康の問題は、社会適応など精神の領域も包括し、かつ、セルフコントロールの必要な分野でもある。生きることの基本でありながら、彼らにとって具体的なマネージメントが、非常に厄介な把握しづらい課題であることを認識しなければならないと考える。同時に自己の健康状態を多角的な観点から捉え、個々の実生活の管理に活用していくことは至難の業であるかもしれない。そこで重要なことは、信頼できる支援者、相談者を獲得しなければならないという点である。彼らが、彼らからの健康情報を巧みに引き出し、理解してもらえるお互いに通じ合える関係を構築できる人物を出会わなければ一応の完結を見ないことだろう。主治医を始め、身近にかかわりを持てる人が複数必要かもしれない。
(1)健康がすべての基本
 1.健康とは・精神、肉体、社会適応‐規則正しい生活習慣、健康管理
 2.健康な社会 ア 生活習慣病 イ 睡眠 ウ 食 エ 喫煙 オ 飲酒
 3.生活習慣病 ア 食生活 イ 過食・偏食 ウ 不規則な食事 エ 運動不足 オ 寝不足 カ 喫煙・飲酒
 ※特有の偏食傾向や食生活の偏りは、彼らの生活上の特徴の一つでもある。引きこもり的生活と相まって、若くして生活習慣病に見舞われるケースも少なくない。飲食を唯一の楽しみとすることなく、身体活動を伴うリラクゼーションの良き習慣を身につけることが、悪癖から遠ざかる最良の方法ではなかろうか。
5.体重と体脂肪
(2)睡眠と食の問題
 1.睡眠時間‐7~8時間
 2.良い睡眠
 ア 適度な運動 イ カフェインを控える ウ 入浴 エ 明かり オ 起床時間 カ 朝の光
 3.食の問題 ○メンタルヘルス‐ストレスマネジメント‐ストレスのコントロール
(3)生活のバランスを阻むもの 1.喫煙‐副流煙 2.飲酒
第5章「ITリテラシー」について考える
 相対的に機械操作の得意な生徒も多い。そう言った意味では、情報リテラシーは同様に得意分野でもある。しかしながら、情報ツールを巧みに操れり、ネット上の情報に容易にアクセスできるいうことと、収集した情報を正しく管理し、活用できるということは別の機能である。反面、近年IT端末をコミュニケーションツールとして、発達障害児のコミュニケーション能力の向上に活用しようと言う試みもある。有用性と危険性を併せ持った課題であることを念頭に置いて、ケース毎に慎重に活用して行かなければならない領域であることの確認が重要であると思われる。
(1)情報リテラシー
 1.メール、インターネット、ホームページ・ブログ、その他
 2.セキュリティ‐パソコンウイルス、個人情報の保護
 3.ネチケット
最終章コミュニケーション基礎講座の経過と課題
 コミュニケーション講座の総体と相まって、すなわち、体験や模擬活動を挟みながら、学習することにより、最初は、単に知識としての情報、ノウハウが、日を追う毎に実生活に般化されていく様子が見られるようになった。知識を実感することにより、行動の変容につながって様子が、学習の進行と共に見られるようになった。発達支援クラスにおいては、ある時から黒板への落書きが急増した。以前のような感情のはけ口としてだけでなく、日常のあるいは、マスコミ上の各々の生徒に関心ある社会現象が、黒板を埋めることとなった。学習の積み重ねとともに徐々に社会の変化や関心事に目が向けられようになったようだ。まだ、選択講座を未受講の1学年まで、黒板を使っての表現活動は波及してきている。同時に様々な情報紙媒体が日毎黒板を賑わすようになった。講座導入前の学年には見られない行動であり、これらのバラバラな視覚情報が、朝のホームルームでのやりとりのの契機となって話題満載の朝を迎えるのが日々の日課となりつつある。
 しかしながら、本講座の有効性の検証は、彼らの進路、予後の長期的な経過の分析を待たなければならない。本講座の成果は、在学中においても望ましい言動の形成に役立つものでなければならないだろう。しかしながら、コミュニケーション総体は有機的なものであり、簡便な手法で評価できるものではないと思われる。現状においては、学校内外における人や社会とのかかわりの中で発現する様々なエピソードの中に求めなければならない。同時にコミュニケーション能力の向上は、本人は当然のこと、彼を取り巻く隣接社会にも良き関係の輪が広がるに違いない。周囲の環境、状況の変化、評価を捉える手立てが今後の課題となる。

 適応教室内規(暫定)案(変更・追加箇所にアンダーライン

A 適応教室における教科出席の取り扱い

  1. 週毎に単位数に該当するレポート課題を課す
  2. レポートの内容は生徒の能力を考慮する
  3. 実技授業についても同等の扱いをする
  4. レポートの提出がなされた場合はその週の授業は出席として取り扱う

B 成績の評価

  1. クラスの定期考査は受験しない ※学力を考慮して別問題を作成し受験することも可
  2. 教科の評価はレポートの提出状況で評価する

C 出席の取り扱い

  1. 出欠のについては特別には考慮しない
  2. カウンセリングへの通院は公欠とみなす
  3. 遅刻・早退に関しては教室に5時間以上在室した場合を出席とする
    ※生徒個人にあわせた時間設定を行う(保健部・管理職で設定)
    ※少しずつ時間数を増やしていく(教室に戻すことを前提)

D 入室について

  1. 教室に戻ることを前提に受け入れる
  2. カウンセラー等に定期的に相談に行くこと(保護者を含む)
    ※定期的に保健部・教務部・管理職で保護者会を開く

E 卒業・進級について

  1. 三年間で卒業が可能となっても他の生徒と同時には卒業式は行わない
    ※生徒の希望を考慮
  2. 最低の単位取得の形で卒業(卒業式は延期の形態)
  3. 進級は日数・最低取得単位で行う

F 交流について

  1. 生徒と面談の上交流授業を可能な限り行う
  2. 必要に応じて発達支援クラスでの授業に参加することを認める。

G 適応教室への入室の手順

  1. 担任が生徒・保護者と面談の上、適応教室入室についての理解・意思を確認する
  2. 担任より学年会に提案してもらう
  3. 学年主任より不登校対策委員会に提案し了解を得る
  4. 不登校対策委員会で認められた生徒・保護者・保健部・教務部・管理職で面談を行う
  5. 校長に報告後保健部に依頼する

H 附則

(1)入級条件

  1. 在籍クラスでの指導では進級・卒業が困難であると思われる者
  2. 医師の診断等を受けている者または校長が適応教室への入級が必要であると認める者
    ※入学試験時に保留面接で入学条件を付けて入学を許可された者については、不登校対策委員会で利用を認めるか否かを協議する

(2)指導について

  1. 担任及び学年主任は時間の許す限り適応教室での指導に参加する
  2. 各教科毎に定期的に時間を定めて適応教室において進度を確認する
  3. 必要に応じて発達支援クラスと合同で指導・管理を行う場合がある

(3)その他

  1. 1学期の間学級復帰のための指導を行い、2学期からの入級を原則とする
  2. 指導を継続する必要がある場合は校長が入級の継続を認める場合がある
  3. 指導体制に応じて定員を年度毎に定めることができる

 別室登校(保健室)生徒の臨時的措置について(場所の提供と経過観察)
 保健室登校の下記の生徒について、樋口、土田教頭、教務部長、各学年主任、各担任と相談の上、学期の間、臨時的に下記の措置(配慮)を行うことと致しました。

  1. 理由 複数のの生徒を保健室(養護教諭)で、通常業務の傍ら、保護することは困難である。
  2. 措置
     1.発達支援クラス(個別学習室)において場所を提供し、保健部で安全管理と経過観察を行う。
     2.今後の措置・指導については、不登校対策委員会において検討する。
  3. 対応在籍クラスに復帰させることを前提に対応する。
  4. 授業現在、期末考査に向け、自学自習を行っているが、今後については、教務部と連携を取り、課題の準備等も考える。
  5. 対象生徒3名+1名(2類))
  6. 措置場所(保健室または、個別学習室)の決定
    本人・保護者、担任と相談の上、保健室(養護教諭)において決定する。

1学年「不登校」追跡調査結果(入学時との比較)

氏名 中学校での状況 入学後の状況
男・女 住所 中学校での状況 欠席 判断 指導の結果
1 女子 筑後市 相談室登校(心身症) 139
女子 筑後市 登校不安、 フリースクール 353 × 入学式のみ登校→退学
女子 みやま市 欠席が目立つ 66 生活面に問題を残す
女子 久留米市 フリースクール   病弱傾向
2 男子 八女市 不登校 230 留年後、適応教室在籍
女子 八女郡 欠席が多い  
男子 八女市 欠席が多い 157
女子 八女市 別室登校 184
3 女子 広川町 不登校、 フリースクール  
女子 広川町 アスペルガー 、不登校 、体調不良
女子 久留米市 不登校  
女子 八女郡 問題行動、 フリースクール 70 風紀上の問題を残す
4 男子 筑後市 別室登校(友だちとの トラブル ) × 1.類預かり
イ テストにおける配慮事項等

(ア)補習(定期考査前1週間)‐少人数授業、放課後等
 ‐通常クラスに在籍する対象生徒(2類)にも必要に応じて対象を拡大した。

ウ 評価における配慮事項等

(ア)欠点レポート(欠点追試で合格が困難な場合)‐学期毎に実施(短縮期間中)

(イ)欠点レポート指導(「発達支援クラス」)‐少人数授業、放課後等(短縮期間中)
 ‐通常クラスに在籍する対象生徒(2.類)にも必要に応じて実施
 ‐レポートさえ書けばという安易さを払拭するため、丁寧な取り組みを指導

(ウ)到達度絶対評価(少人数授業のみ)
 ‐50%に達するまで繰り返し補講と再試を行い、全員の合格を目指す。
 ‐競争意欲に欠ける傾向が見られるが、学習以外で意欲的な課題設定を実施

エ 入試に関する配慮事項

(ア)発達支援クラス‐別入試(資料参照)→「発達支援クラス」生徒募集要項
(イ)中学からの要請があった際には、対応をしている。(配慮依頼書の提出)

平成21年度「発達支援クラス」生徒募集要項

平成21年度の募集について

(1)対象生徒 高機能自閉症、アスペルガー症候群等の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する障害を有する者(発達障害者支援法)
 ※専門機関で診断等を受けていること

(2)入級基準 ※保護者が説明会に出席した上、本人が入級を希望していること。

  1. 自主通学が可能なこと
  2. 基本的生活習慣が自立していること
  3. 対人関係における問題行動を有しないこと
  4. 本クラスの指導に適応できること

(3)募集人員 若干名

(4)入試日程

  1. 出願期間 平成21年1月13日(火曜日)~15日(木曜日)
  2. 入学試験日 平成21年1月20日(火曜日)
    受付9時30分~10時立志館1F(16時終了予定)
  3. 合格発表 平成21年1月23日(金曜日)までに通知

(5)入学試験

  1. 学科‐国語、数学
  2. グループ面接(生徒)
  3. 適性検査(作文、視知覚・運動協応、集団参加等)
    ※保護者面談(支援のあり方について)を実施

(6)出願書類

  1. 入学願書 (本校願書に一部朱線のもの)
  2. 調査書 福岡県私学統一用紙及び、調査書2(発達支援クラス)
    ※郵送の場合は、「発達支援クラス入学願書在中」と封筒に朱書き

(7)その他 本校「生徒募集要項」の記載内容に準ずる。

(8)問い合わせ 八女市亀甲61 西日本短期大学附属高等学校 発達支援クラス 0943‐23‐5662(福島)

オ 前年度の課題に対する取り組み

(ア)指導のための時間や教職員の確保のため外部の協力を得て負担を軽減した。
(イ)自学自習のための基礎的理解、能力の強化を図り、家庭学習につなげた。
(ウ)自学自習の自覚や習慣化のための支援の在り方の工夫に努めた。

カ 成果と課題

(ア)基礎学・交流促進授業‐昨年度までの45分授業7校時制から、50分授業6校時制に戻った関係から、1日時間の基礎学の時間が廃止された。その結果、基礎学は、少人数授業の中で、交流促進授業は、隔週土曜日の特別時間割の中で取り扱われることとなった。

(イ)少人数授業‐通常クラスの授業に準じた内容の学習を少人数で実施するケース(学力的には通常クラスでの交流授業が可能であっても本人が交流授業を希望しない場合など)、基本的な内容を中心に、自分のペース、能力、特性、必要に応じた個別的指導が求められるケースなど、無理なく確実に学力の向上に結びついた。
 教担任体制の強化を図り、国・数・理・英の四領域制の確立を目指した。毎年、生徒の学力に応じて見直しを図らねばならないが、各領域の学力向上のための基礎からの単元構成の洗い出しに取り組み、一応の基本的カリキュラム作成にまでこぎ着けた。

(ウ)補習‐苦手な教科を中心に、生徒の能力、個性に応じて指導できるので、苦手教科の克服を初め、考査の評定、学力の向上につながった。

(エ)欠点レポート及び、指導‐状況に応じて精神的、物理的負担を考慮して進級に結びつけられた。

(オ)到達度絶対評価及び、補講‐他者と比較することなく個人内評価が行われ、個に応じた学習指導に結びつけられた。

(カ)通常クラスの対象生徒に対象を拡大‐1名3学期から通常クラスに復帰させた。反対の昨年度復帰した生徒が、学校での状況は順調だったにもかかわらず、家庭での状況から不登校傾向が見られるようになり、2学期中頃から再び、発達支援クラスでの指導を受けるようになった

(キ)家庭学習‐自学自習を可能にするための基礎的理解、能力の獲得につながる指導を教科担任と発達支援クラス担任との連携で行えるような体制ができ始めた。

(ク)自学自習‐自覚や習慣化のための授業形態の改善、工夫に努め、まだ一部には課題を残すものの成果を上げた。

(ケ)課題‐上記のような成果を上げてきたにも拘わらず、今年度から、7限から6限授業に戻り、基礎学の時間の確保が困難になった。次年度、2.類を含む抜本的な教育課程の見直しの再検討が必要となった。

(コ)不登校対策‐復帰困難な事例に発達障害が関係しているケースがほとんどをしめる状況は本校独特の傾向だろうか?その対策として、今年より、適応(指導)教室及び、別室登校の制度化に踏み切ったが、初年度としては一定の成果を収めた。
 来年度より、指導体制の見直しを始め、多くの強化改善策を試行が必要となる。

(サ)選択授業‐2類を中心とする通常クラスのカリキュラムの見直しの一環として、本年度、選択授業の拡大強化を図った。特に選択Aにおいては、コミュニケーション講座、ビジネス講座を中心に発達障害を中核に据えた学習を構築することができた。コミュニケーション講座においては、通常の学習内容の系統化が図られ、外部講師による多くの特別講座や国語科による表現活動などと相まって、対象生徒のコミュニケーション能力の向上に多大な貢献をした。今後、それらの客観的評価を可能にする方策について研究する必要を生じた。

(シ)入試制度‐別入試制度については従前から実施されてきたものではあるが、近年、対象生徒の高機能化に伴い、入試内容の見直しを始め多くの改善が求められた。入試の緊張に伴う不合格者の精神的負担を考慮すると、不合格者を最小限に留めなければならない。しかし、現実には多くの希望者と限られた受け入れ枠を考えると志願者の事前の受験相談のサービスの取り組みの必要性に迫られ、急遽実施した。その結果、以前のように多数の不合格者を出さずに対応できるようにはなった。

(3)発達障害のある生徒に対する就労支援

ア 支援の方策と内容

 学校生活の日常の中にソーシャル・スキル・トレーニング(SST)の必要性を感じる事象が多々目につく。時間を置かず、その都度、対象生徒に分かり易い形で指導・支援を提供していくことを基本に取り組んでいる。進路キャリア教育との連携強化。
 特に校則に関して、守れなければ何が何でも守らせるという従来の生徒指導の手法だけでは、解決に至らない事例が多く見られるようになってきた。生徒の実態、必要に応じて、特別支援教育の視点をもって生徒理解や指導に当たらなければならないと考えを強くするに至った。

(ア)基本的生活習慣(生来の困難さやつまずきとの関連を注視しながら取り組む。)

  • 自己管理‐欠席の連絡。遅刻。体調不良を訴える。衣服の調整。相談の申し出。
  • 生活習慣‐整理整頓。服装・身だしなみ。清掃
  • 学習体制‐忘れ物をしない。学習の準備。必要な物と不要な物を分別
  • 不登校対策‐不登校対策委員会への特別支援教育コーディネーターの参加

(イ)情緒の安定

  • 〔校内〕保健室、教育相談(専門家チームとの連携)、コミュニケーション・ルーム、適応教室、別室登校を実施
    ‐シェルター機能(落ち込み・興奮の沈静)問題の解決と人間関係の修復
    発達支援クラスと通常クラスとの連絡調整(特別支援教育コーディネーター)
  • 〔校外〕診療クリニック、発達障害支援センター、障害者地域支援センター、
    ‐連絡調整(特別支援教育コーディネーター)

(ウ)不適応行動の軽減

  • 少人数S・H・Rでのグループ指導‐課題・目標の設定と反省
  • 日々の連絡体制の強化‐コーディネーターへの一本化(迅速対応)
  • 教育相談での指導・支援と保護者との連携(カウンセリング・ルーム)
  • 専門機関との連携(診療クリニック、発達障害支援センター等)

(エ)社会性・コミュニケーション能力

  • 選択授業‐コミュニケーション講座(進路指導部、国語科、外部講師、T.T.)
  • 即時指導‐トラブル、問題発生時に関係生徒・教職員による素早い対応と指導
  • 部活動‐軟式野球、演劇、美術等(部員または、準部員)
  • 合同体育(交流体育のシュミレーション授業)‐集団参加の促進
  • 社会体験学習‐公共交通機関の利用、卒業生職場見学、レクリエーション体験等
  • 進路体験学習‐大学・短大・専門学校体験、工場見学等
  • 進路ガイダンス・特設‐進学:模擬授業、体験学習等
  • 各種行事参加(事前の学習・訓練→当日の支援→事後の反省、学習)
    (資料参照)→1(2)キャリア教育年間計画と2.類選択A講座、「コミュニケーション基礎講座」実践カリキュラム

(オ)基礎学の時間を活用(国・数・理・英の各教科の合科授業)+個別指導

  • 障害部位の改善(個別学習‐各種心理検査、視知覚、運動共応、書字・読字等)
  • 職業教育(通常クラスでの進路指導、ガイダンス、進路合宿等を除く特別指導)
    作業学習(分解・組み立て、電子回路・ロボット組み立て、家具の組み立て等)
    もの作り学習(パン作り、漬け物製造、織物、園芸等)

(カ)資格・検定補習(ヘルパー2級講座、数研・漢研・英検、運転学科講習等)

(キ)進学(四年制大学、短期大学、専門学校)指導、補習(通常クラス分以外に)

(ク)各種校内・校外進路ガイダンス、大学・専門学校・職場社会体験学習

(ケ)その他
 ・企業訪問(先輩の就労先等)、職場体験実習(長期休業中)
 ・卒業予定者特別指導(自宅学習期間中)‐校内実習、面接指導

(コ)教育相談 ・カウンセリング(コミュニケーション・ルーム)

(サ)就労移行支援事業所、障害者職業センター、障害者就労支援センターとの連携

(シ)金銭管理‐金銭出納を習慣化することは、対象生徒にとっては難しい学習ではない。何のために金銭管理をするのかと言うことは、労働意欲を高める手段として書くことのできない最重要課題である。勤労報酬によって、必要な物品を獲得し、余暇、レクレーション活動を充実させることが可能になる事実の確認は、多くの困難を排して就労を継続してためには不可欠の要素である。
 具体的には、「マネーじゅく」との連携によって、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)にの一環として取り組んでいる。(第1段階)ゲーム化によって、金銭出納、貯蓄の必要性をじかくする。(第2段階)専用のこづかい帳を活用して、日常の金銭管理を行う。(第3段階)模擬通帳を活用して、貯蓄を伴う金銭管理を体験する。(街4段階)実際に通常の金銭管理を行う。

体験実習計画書

1.目的 本クラスの進路指導、職業指導の授業(特別活動)の一環として、職業能力の向上を図り、進路選択(就労移行支援事業所入所)の一助とするために体験実習を行う。

2.実習者 3年6組b(療育手帳B2)

3.場所 社会福祉法人社会福祉事業団

4.期間 平成21年10月13日(火曜日)~16日(金曜日)

5.内容 クッキー製造作業等(要、検便)

6.日課 時間 活動

~9時 登園・更衣
9時~9時30分 朝礼
9時30分~12時 作業・訓練
12時~13時 昼食・昼休み
13時~14時30分 作業・訓練
14時45分~15時45分 作業・訓練
14時45分~16時 終礼、更衣、降園

7.費用 無料(但し、交通費・食費等の実費については、保護者負担)

8.文書類 実習依頼書(学校長)、実習計画書(担当者)、誓約書(保護者)

9.担当者 発達支援クラス進路担当福島文吾 

平成21年度「教育相談会(第1弾)」のご案内

 下記の要領で「教育相談会」を計画しておりますので、ご活用いただければ幸いです。
発達障害に限らず、特別な支援を必要とする全ての生徒を対象としています。
◇通知「特別支援教育の推進について」(平成19年4月1日)文部科学省
 特別支援教育の理念
 これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害を含めて、特別な支援を必要とする生徒が在籍する全ての学校において実施されるものである。

○第1期「教育相談会(教員、保護者、生徒)」 ‐希望生徒の心理検査を含む

1.日時 11月6・13・20日(金曜日)
 1.10時05分~ 2.11時05分~ 3.13時40分~ 4.14時40分~

2.講師 九州看護福祉社会福祉学科大・専任講師 水間宗幸先生

平成21年度「教育相談会(第2弾)」のご案内

○第2期「教育相談会(教員、保護者、生徒)」 ‐希望生徒の心理検査を含む

1.日時 11月11日(水曜日)
 1.9時05分~ 2.10時05分~ 3.11時05分~

2.講師 福岡県発達障害者支援センター「あおぞら」・臨床心理士松尾伸一先生

平成21年度「教育相談会(第3弾)」のご案内

○第3期「教育相談会(教員、保護者、生徒)」 ‐希望生徒の心理検査を含む

 1.日時 12月14日(月曜日)15日(火曜日)
 3.13時40分~ 4.14時40分~ 1.10時05分~ 2.11時05分~

2.講師 山口大学教育学部・准教授(臨床心理士) 木谷秀勝先生
※第4弾として、久留米大学医学部・助教(臨床心理士) 木谷有里先生を予定

平成21年度「教育相談会(第4弾)」のご案内

○第4期「教育相談会(教員、保護者、生徒)」 ‐希望生徒の心理検査を含む

1.日時2月22日(月)~26日(金曜日)
 3.13時40分~ 4.14時40分~

2.講師 ヒューマンアカデミー福岡校・講師 江上猛先生

イ 成果と課題

(ア)過去4年間の軽度発達障害児(全員男子)の進路状況

  • 平成18年度
    1:[アスペルガー]専門学校(コンピューター系)3年生
    2:[軽度自閉症]職業訓練(就労移行支援)→就職
  • 平成19年度c:[高機能自閉症]専門学校(コンピューター系)2年生
    a:[アスペルガー]職業訓練「雇用支援センター」→就職
    b:[アスペルガー]ひきこもり自宅治療中
  • 平成20年度d:[LD.ADHD]専門学校(コンピューター系)1年
    e:[軽度自閉症]職業訓練「雇用支援センター」→就職
  • 平成21年度f:[アスペルガー]専門学校(コンピューター系)
    g:[軽度自閉症]職業訓練「社会福祉事業団」
    h:[LD(境界知能)]職業訓練「雇用支援センター」

(イ)課題

  • 保健室との連携を図る。
    1.発達支援クラス・適応教室:教務部→保健部に一本化
    2.コーディネーターの保健部長兼務
  • 生徒自身が発達障害の認識のない生徒に対する就労支援
     生徒自身に認識があれば、療育手帳がなくても「福岡障害者職業センター」等の就労困難な対象の判定により、既存の障害者窓口でのサービスが受けられるが、認識がなければ学卒求人に寄らなければならない。「若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」やジョブ・カフェ等の活用が課題。雇用企業側も療育手帳がなければ、障害者の法定雇用率にカウントされないので適応困難による料育手帳の取得に向けての働きかけが一層重要になる。
    (卒業までにできること)上記の理由から学校でできることは限られてくるが、最低限やらなければならないことは、卒業後遭遇するであろう諸問題に対して、各々適当な相談機関があることと共に、それらを活用すれば、帳面する困難に対応でき、解決を探る糸口を見い出せることを「こんな時、ここに行けばいいことがある。」と周知徹底させておくことである。
    (卒業後のケアとして)境界知能(IQ70~85)にあっては、近年各県では、就労を前提とした状況下にあっては、比較的療育手帳の交付が認められるようになってきている。これを必要に応じて活用しなければならない。
  • 近年、高機能の対象生徒が増加してきている。SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)だけでなく、カウンセリングの必要性を感じている。発達障害の指導のできる専門性の高いカウンセラーの配置が一層不可欠に思われる。来年度、導入の予定(発達障害にも対応できる臨床心理士を手配中)
  • 余暇活動の指導や仕事や給与の意味の理解の指導(仕事は自分の持ち場を果たすだけでは十分ではない。雑用や不本意な業務と言えないものまで含まれ、それが給与となって得られる。それに資金に余暇や趣味、自己啓発に活用され、働く動機付けとなる。)
(4)一般の生徒に対する理解推進等の指導の在り方

 前述した発達支援クラスに在籍する、2年生のf君の事例について、交流クラスの担任の立場から述べたい。
 昨年度、発達支援クラスは7組に入学したf君が、普通科総合グループの2組で交流をすることが決まった。クラスメートがいたずらに先入観を持つのを避けるため、f君の説明は「障害があるようです」と言うに留めた。
 f君は現在、ほとんどの時間を交流級で過ごしている。ムードメーカーであり、クラスメートはf君を通してさまざまな学びがある。
 アスペルガーのf君は、授業中に突然立ち歩いたり、歌い出すこともしばしば。当初、クラス内の「しっかり者」が面倒見てしていたが、いつの間にかf君の隣に誰が座っても、級友が進んで手を差し出す姿が見られるようになった。こうした交流によって、生徒は「誰かに役に立つ自分」を発見することができる。
 時に授業の流れを無視した、バランスの崩れた発言をすることもある。だが、f君の発言を教員が効果的に使うように心掛けることで、みんなが発言しやすい雰囲気をつくるなど、教科の学びを深めることにもつながる。他方、f君と生活することで、生徒は「『障害』とは何か」という、大きな問いを抱くようになる。
 f君は昨年のスペシャルオリンピックスのスピードスケートに出場し、3種目で王者に輝き、学外の俳句コンテストで入選した経験もある。f君の能力のでこぼこが不思議なようだ音楽の授業中、f君が突然ピアノを弾き始めたことがあった。流ちょうな指運びにクラスメートは不意を打たれ、演奏が終わった後は拍手に包まれた。そこには、普段は斜に構えている生徒指導上問題のある生徒の姿があるなど、生徒の意外な一面を見ることも多い。こうした偶然は、必然的に起こる。同じ学級で生活するため、「必然的」といえるのである。(交流クラス:竹島)

ア 指導の工夫と取り組み

(ア)啓発活動(事前の啓発は、必要最小限を原則→先入観を持たせない。)
普通に関わってもらうことを基本に、しかし、その後、必ず発生するであろう「どう理解したら、どう拘わったら良いか分からない事象、困った事象、問題と思われる事象」などを目にした場合は、いち早く連絡してもらうようにお願いする。

  • 全校集会‐人権について(同推教員)
    高校で共に学ぶ特徴的な「子どもたち」について(特別支援コーディネーター)
  • 学年集会‐新入生オリエンテーション(同推教員・コーディネーター)
  • ホームルーム‐発達障害児のいるクラスを対象(入学時等、必要に応じて実施)
  • その他必要な状況が見受けられた場合には、各段階で必要な指導を随時実施

(イ)課題・問題の早期発見(最重点)→具体的な事象(トラブル、問題)の解決過程を通して多様な存在を理解し、新たな関係を構築し、共に学び合う。‐トラブルの相手をトラブルを通して理解を深めてもらい、以後、最大の理解者、支援者になってもらう。(啓発によって知的に理解し、体験を通じて心に刻む。)

  • 課題(つまづき、困難等)の発見‐具体的なトラブル、問題事象となって顕現化
    ‐礼儀や言葉遣いによるトラブル、情緒不安定による問題、意思疎通の齟齬によるトラブル、相手の心情を理解できないことによるトラブル、場の状況にそくわない行動による問題いじめの対象となるトラブル等々
  • 問題の発見、トラブルの早期解決
    ‐問題発生の状況により指導の場の規模や方法を決定
    1.個人、グループ、対象クラス、全クラス、対象学年、全学年、全校一斉等
    2.カウンセリング、集会、討論、指導・説諭、ケースによっては処分

・エピソード1.(交流クラスの生徒と他のクラスの生徒との出来事)

 「2年生の交流クラスのAさんが、憤懣やるかたないといった表情で、担任に怒りをぶつけてきた。『他の組の生徒が、B君(発達支援クラスから交流)をからかいよったと。私のことならよくあることやけん構わんけど、B君に許せんけん、言ってやったと。どう思う?』とのこと。Aさんは、自他共に認める多少ヤンキー系。Aさんにまくし立てられた相手の生徒はびっくり!『何で、Aさんは人のことで(しかも、交流のB君のことで)、そこまでカリカリくるとやろ?』」交流の生徒のいるクラスいないクラス。いてもクラスのかかわりに温度差はある。Aさんの一件から、疑問と波紋が他のクラスまで広がった。『Aさん、なんで変わったたとやろ?』

※啓発のための講演等だけでは不十分。講演の後、「何で、あの人たちばっかり!」の声をよく耳にする。直接の触れ合い、体験を通して理解することが重要。

エピソード2.(交流クラスでの出来事を通して))

(先生方へ)「生きた啓発は、トラブルの中なら生まれる。気を遣わずに、通常通りやっていただきたい。ルールが守れないことがあっても、慣れるまではそっとして、ほっておいて構いません。教師として一般的にわかりやすい授業を心がけてください。」
(交流クラスでは)「時間が経つにつれ、彼をフォローする生徒たちが、教室に増えてきた。ある時、彼はパニックを起こし、大暴れした。男子生徒が、彼を怒って、羽交い締めにした。それを見て、女子生徒が「やりすぎじゃないの!」と主張。クラス内が騒然となったものの、皆で話し合いながら問題を収集させていった。」
(交流クラス担任)「彼の行動は、厚い鎧をかぶっている生徒たちの心を開かせることが多かった。彼を中心に、3年間かけてクラスの結束が固まっていった。いろいろな特性をもつ生徒との出会いやかかわり合いを保障するのが教師の役割であると思う。」「子どもたちは、他人に序列をつけるだけでなく、自分にも序列をつけている。日常生活ではトンチンカンなことばかりしていても、自分の持つ力を輝かせている彼の姿を見て、自分がつけている序列は、意味のないことに気づく。同時に自分の中に眠る可能性のかけらを感じて、何かにチャレンジし始める。じっと席に座って授業を受けるというクラスのルールに適応できるようになった彼だけでなく、クラスの皆も成長していった。」
(母親)「息子は『一人前の男になりたい』という気持ちが強い。苦手な集団に入り、交流授業に参加しているのが自信になっている。」
(交流クラスの生徒)「彼が変わっていく姿を見ていると、自分も頑張らなければという気持ちになる。」「彼と出会って、自分の視野や考え方が広がったように思う。」

イ 成果と課題
  • 発達支援クラス説明会大変意義深かった。中学校より、次回も生徒の参加を求められた。
  • 本校では、通常、車椅子を押す生徒はいない。しかしながら、一旦必要があれば、徹底的に協力する。対象生徒に対しても必要に応じて厳しくもやさしく対応してくれた。本年も引き続き、互いの成長権を保障し合う営みと感じられた。これらの長年の本校の取り組みが、特別支援教育を実施していくために不可欠な土壌を醸成させていく。(資料参照)→資料編「車いすの女子生徒と共に」参照
  • 指導のあり方は、アンケートでは計れないと実感した。敢えて意識させず、自然な関わりの中での個々の出来事(エピソード)によって見極めたい。
(5)教職員や保護者の研修
ア 研修会の回数・時期・研修内容等

 1.校内研修会(全教職員) 2.学習会(希望教職員)

○目的 「発達障害支援モデル事業」に基づき、高等学校における特別支援(発達障害)教育の今日的課題について教職員の研修を実施
 平成19・20年度のモデル事業の取り組みの中では、まず、「障害理解」を中心に2年間研修を実施してきた。本年度からは、2回目のモデル校指定でもあり、より身近な実践的研修に主眼を移した。そこで今年は、下記の要領で、通常学級における「わかる授業作り」及び、「カウンセリング・マインド」について研鑽を深めることとした。

平成21年度「発達支援モデル事業」研修会のご案内

1.校内研修会
1.日時 平成21年10月9日(金曜日)13時30分~15時30分
2.場所 立志館「多目的ホール」
3.講師 福岡市発達教育センター・指導係長森孝一先生
(講師紹介)※福岡市を中心に公私立の多数の高校でも講演、好評を得る。
福岡市立特別支援学校や通級指導教室等教諭、福岡県教育センター研究主事、
福岡市教育委員会主任人事主事を経て、現職に至る。発達心理学会会員(臨床発達心理士)
モットーは「わかりやすさ、あたたかさを、すべての人に」
主な著書「特別支援教育を進めるための学校変革マネジメント」(明治図書)他多数
4.テーマ 「発達障がいの理解と支援」~教育のユニバーサルデザイン~
 ‐(LD/ADHD/境界知能を中心に)わかる授業作り‐

平成21年度「発達支援モデル事業」学習会のご案内

先生方ご多忙の中、校内研修会にご参加いただきありがとうございました。
○第1回 「学習会(希望教員対象)」 ※2回目以降継続も計画中

1.日時 平成21年11月21日(土曜日)13時30分~15時30分
2.場所 発達支援クラス「コミュニケーション・ルーム」(北校舎2F)
 ※人数の関係で、変更あり
3.講師久留米大学医学部生理学講座統合自律機能部門
 ・助教(臨床心理士)木谷有里先生
(講師紹介)広川中学校他、スクール・カウンセラー 広川町「特別支援連携協議会」委員他
4.テーマ「カウンセリング講習1.」(模擬体験あり)

(資料参照)→(資料編)「発達障がいの理解と支援」
(資料参照)→(資料編)「不登校・中途退学からの自立支援」

担当者研修会参加及び、視察研修

1.県私学協会講演会「不登校・中途退学者を出さないために」
(NPO法人)教育研究所・所長 牟田武生先生
 ・平成21年10月20日 参加者‐福島文吾(特別支援教育コーディネーター)

2.視察研修1.「関東」

  • 期日 平成21年11月16・17日
  • 視察先
     (国立障害者リハビリテーションセンター)発達障害情報センター
     (国立特別支援教育総合研究所)発達障害教育情報センター
     (横河電機株式会社)横河ファウンドリー株式会社
  • 視察者 大石伸一(進路部長)福島文吾(保健部長、特別支援教育コーディネーター)

3.視察研修2.「大阪」

  • 期日 平成22年1月14日・15日
  • 視察先 (私立)千里国際学園高等部(大阪府立)枚岡樟風高校
  • 視察者 室園哲也(二学年主任)福島文吾(保健部長、特別支援教育コーディネーター)

4.研修会参加 「発達障害者就業支援セミナー」

  • 期日 平成21年12月15日・18日
  • 研修場所 障害者職業総合センター(千葉市幕張)
  • 研修者 福島文吾(保健部長、特別支援教育コーディネーター)

(資料参照)→(資料編)「不登校・中途退学者を出さないために」
(資料参照)→(資料編)「発達障害情報センター」、「発達障害教育情報センター」
(資料参照)→(資料編)「横河ファウンドリー」
(資料参照)→(資料編)「大阪インターナショナルスクール」
(資料参照)→(資料編)「枚岡樟風高等学校」

イ 成果と課題
  • 過去2年間は、特別支援教育くの基本からの体系的な学習の場とした研修内容であった。今年度は、講師の先生の臨床に基づく具体的な事例を通して、より実践的ノウハウを交えての講演だったので、前回に引き続き、講演後の質疑も活発で充実した研修を行うことができた。例年の通り時間内に収まりきれなかったものは、講師の先生に、後日、改めて来校をお願いし、事例研究、教育相談、カウンセリングを行うこととなった。
  • 今年度も、対象生徒保護者と担任を中心とする合同の学習、交換の場を設定した。担任と同じ土壌で研修、交流を行えたことで、保護者に安堵感と学校への信頼が生まれたとのうれしい感想を聞くことができた。また、担任・保護者の交流2年目ということで、教師には耳の痛い指摘も多数見られるようになった。それらの指摘の多くの根底には、「中学ではこうしてもらった。」というものだった。保護者の要望にも耳を傾けながらも、中学と高校の実状に違いや後期中等教育における支援のねらいや方針の違いを共通理解していく必要性を感じた次第であった。教育相談にも繋がり、関係の成熟、発展を見た。
  • 教師の障害理解が進んだことは、対象生徒の情緒の安定につながる(二次障害を引き起こさない)良い兆候であることは間違いないが、指導・支援に関しては過度の配慮はかえって自主・自立を妨げる結果にならないか危惧している。よって、今年度は、どこまで支援や介入をすべきかという実践的課題の理解、方法の習得に努めた。
  • 各種研修会参加及び、視察研修‐不登校問題に発達障害が深く関与していることが分かった。また、政府、総務省が青少年対策の主眼として、不登校、発達障害問題を取り上げている事実を初めて目の当たりにし、本研究の重要性を再認識させられた。本年度は、発達障害に関する国の情報機関を視察研修し、今度とも両機関より最新の情報を得ながら、連携して対応に当たる重要性を認識させられた。更に、民間企業において、先進的ビジョン、方針をもって就労支援をしておられる様を直に見せていただくに及んで、そのすばらしい取り組みに驚嘆すると共に目から鱗の落ちる思いだった。それらに触発され、本年初めて、本格的に発達障害者就労支援のセミナーに参加し、多くの知識と情報を得て、来年度に迎える療育手帳未取得者の進路指導に当たる備えができたことは大変な収穫であった。
(6)その他の支援に関する工夫

「発達支援クラス」関係教室の配置と機能

1.関係教室の配置(関係の校舎・教室のみ)

1.関係教室の配置(関係の校舎・教室のみ)

2.発達支援クラス教室の機能

(1)グループ学習室(HR)‐少人数授業(一斉・個別)
・希望する生徒は、国語・古典、数学、生物・化学・英語の授業を教科担任から、少人数で個に対応した授業を受けることができる。
※「適応クラス」の生徒も受けることができる

(2)個別学習室 副担任2‐個別指導(心理検査、認知・学習訓練)
相談室‐教育相談、パソコン指導、
※「別室登校(通常クラス)」にも使用する。

(3)職員室 研究室
担任2
特別支援教育コーディネーター、補助員
「高等学校における発達障害支援モデル事業」

(4)コミュニケーション・ルーム
‐談話室、カウンセリング・ルーム
‐実習室(職業学習)、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)

「発達支援クラス」教室配置図1

「発達支援クラス」教室配置図1

「発達支援クラス」教室配置図2(コミュニケーション・ルーム・実習室)

「発達支援クラス」教室配置図2(コミュニケーション・ルーム・実習室)

ア 中学校との取り組みの交流 →(資料参照)「発達支援クラス入試説明会資料」

・今年度、「発達障害支援セミナー(大変好評であったが、参加者の多くが「入試」について聞きたいとの要望であった。)継続して機会を設けてほしいという要望が多かったが、「発達支援クラス入試説明会」という形に集約して実施した。同時に、本年度も「発達支援クラス説明入学」本校行事に平行して実施した。

イ 通常クラスの在籍する対象生徒(6名中5名がアスペルガー)に対する支援

・適応教室指導、別室登校、休み時間(コミュニケーション・ルーム)、保護者(学習会・教育相談)(資料参照)→1(1)3.対象生徒の実態(平成21年度)‐「通常クラス」在籍

ウ 今年度は、施設設備の環境の整備、とりわけ職業指導やSSTの指導空間を取り込んだ対象生徒のための談話室をかねたコミュニケーション・ルームの開設にこぎ着けることができた。(資料参照)→「発達支援クラス」教室配置図2
エ 「高等学校における発達障害支援モデル校」私学3校連絡会を開催

‐(1年目)長崎玉成高校、(2年目)長門高校、(3年目)西日本短大附属高校
初年度のねらい
 1.3校の経緯、環境、状況の違いから各々独自性を見極める。
 2.共通した課題、問題を統一した制度改革要求に集約する。
 まず、両校に西日本短大附属高校に来校いただき、ベースの共通認識のうえにたって各々取り組み、西日本短大附属高校より両校を訪問し、実践、情報の交換を行った。各校の取り組みは事業報告を待つが、共通した姿勢としては、これまでの独自に取り組みを基点として、各校にベースとなる科、コース、類を定めての取り組みであろう。私学は、公私以上に各々置かれた実状の違いが大きかったが、共通の土壌をもつことも明らかになった。私学の場合、公立に比べ、自由裁量の幅が大きく、大胆な取り組みも可能ではあるが、反面、財政的問題が大きく負担となっている。

「平成22年度・発達支援クラス入試」説明会資料

1.高等学校における「特別支援教育」について

(1)発達障害者支援法(平成17年4月1日施行)
 第一条「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害・・・第八条国及び地方公共団体は、発達障害児(高等学校に在学する者を含む)が、

(2)改正学校教育法(平成19年4月1日施行)
 第八十一条・・・、高等学校、・・・において、教育上特別の支援を必要とす生徒に対して、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上または、生活上の困難を支援するための教育を行うものとする。

(3)通知「特別支援教育の推進について」(平成19年4月1日)文部科学省

1.特別支援教育の理念
 ・・・、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害を含めて、特別な支援を必要とする生徒が在籍する全ての学校において実施

2.文部科学省指定「高等学校における発達障害支援モデル校」(2回目)について

(1)管理機関 学校法人西日本短期大学(担当:総務課長)

(2)委嘱機関 西日本短期大学附属高等学校(担当:福島文吾)校内研究委員会
 ※平成21・22年度、指定校全国14校(私学は2校)

(3)その他
 1.福岡県私学協会「(平成21年度)自主研究助成・奨励事業」指定
 2.八女市及び、広川町特別支援連携協議会委員(福島)
 3.文科省「特別支援教育高等学校ワーキング・グループ」委員(校長)

3.発達支援クラスについて‐担任2名、副担任2名

(1)普通科少人数クラス(在籍数、1年;3名2年;3名3年;2名)

(2)授業
 1.少人数での授業(国語、数学、理科、英語)‐教科担任7名
 2.その他の教科は、通常クラスでの交流授業

(3)その他の支援
 1.教科指導(交流促進授業、選択授業、補習・レポート指導)
 2.生徒指導(SST、個別指導、生活指導、進路指導)等

4.平成21年度の募集について

(6)入試説明会(保護者・中学校対象)平成21年11月6日(土)

(7)見学・相談会‐随時、実施中

‐以下、省略‐

ウ 成果と課題
  • 今年度も「発達支援クラス」説明会を実施した。大変好評ではあったが、同クラスの入試に関心が集中した。また、体制の厳しさを説明するに及んでは、「入れないなら、無いのも同じ。」との不満が例年のように噴出した。入学定員枠の拡大がはかれない原因は、本校にあるのではなく、主に財政的上の問題に起因するのであり、ひとえに地域・中学校の本校全体の学校運営に対する理解協力の体制及び、教育行政の支援にかかっていいることを強調して理解を求めた。それどころか実状は、維持継続にあったつても窮している現状を理解していただきたいと願っている次第である。
    (資料参照)→1(2)ア「発達支援クラス生徒募集要項」
  • 多くの特別な支援を必要とする対象生徒には、可能な限り支援の手をさしのべる体制が必要なことを痛感したが、。財政的負担のかからない方策で対応しなければならないことを考慮すれば、大胆な学校の枠組みの改編も不可欠になると考えられる。

2 研究の方法

平成21年度「発達障害支援」関連の組織図

平成21年度「発達障害支援」関連の組織図

(1)研究委員会(企画・運営)の設置
ア 構成
NO 所属・職名 備考
1 教頭 委員長
2 教務部長 教育課程、「わかる授業」作り
3 進路指導部長 キャリア(コミュニケーション)教育
4 生徒指導部長 「気づき」(困難、問題行動)」
5 保健部長(特別支援教育コーディネーター) 事務局、発達支援クラス

保健部(モデル事業の実施)

NO

所属・職名 備考
1 部長 「発達支援クラス」担当
2 副部長 「適応(指導)教室」「発達支援クラス」担当
3 養護教諭 保健室、「別室登校」担当
4 一学年主任 一学年担当、「中・高連絡会」担当
5 二学年主任 二学年担当、「通級(指導)指導」担当
6 三学年主任 三学年担当
7 部員 庶務担当
イ 委員会開催回数・主な検討内容
  • 第1回
    「高等学校における発達障害支援モデル事業」の経過を説明
    「4領域」基礎学習カリキュラム審議
    「キャリヤ教育・コミュニケーション講座」指導内容の審議
  • 第2回
    1.平成21年度「高等学校における発達障害支援モデル事業」研究計画の審議
    2.「特別支援教育コーディネーター」の指名‐教諭・福島文吾を再任
  • 第3回
    平成21年度「総合特別支援教育事業」説明会報告
  • 第4回
    1.「県教育委員会(特別支援教育推進室)」「県私学振興課」訪問の報告
    2.関係機関「特別支援教育連携協議会(八女市・広川町)」「県発達支援センター(あおぞら)」「八女ハローワーク」訪問の報告
  • 第5回
    「特別支援連携協議会」委員委嘱(八女市・広川町)の件の承認
  • 第6回
    「個別の指導計画」「個別の教育支援計画」の策定
    「私学協会研修(不登校対策)」の報告
  • 第7回
    「発達支援クラス体験入学会」「発達支援クラス説明会」開催の検討
    「視察研修1.(関東)」の報告
  • 第8回
    「校内研修会」「保護者・担任学習会」開催の検討
    「読売新聞・教育ルネッサンス」取材対応の審議
    「大阪府議会文教常任委員会」視察の対応を検討
  • 第9回
    「専門家チーム」教育相談会の計画
    「私学モデル校3校連絡会(長崎玉成高校、長門高校)」報告
  • 第10回
    「平成22年度特別支援教育総合推進事業」申請書の審議
    「特別支援教育総合推進事業(福井県教育庁)」講演内容の審議
    「日本教育新聞」連載記事の審議
    「発達障害者就業支援セミナー(障害者職業総合センター)」研修の報告
  • 第11回
    「視察研修3.(東京)」の報告
    「特別支援教育総合推進事業(福井県教育庁)」講演の報告
  • 第12回
    「視察研修2.(大阪)」の報告
    「国特研実践報告書」の審議
    「私学協会自主研修・奨励事業」報告書審議
    「平成21年度モデル事業」報告書の審議
ウ 特別支援教育コーディネーターの指名や個別の教育支援計画の策定等具体的な方策
  • 特別支援教育コーディネーター:教諭・福島文吾(発達支援クラス担任)、保健部
  • 「個別の指導計画」の策定、「個別の教育指導計画策定」の準備
エ 成果と課題
  • 今年度は「発達支援クラス」を中心とした取り組みから、「通常クラス」での取り組みを進めるための研究推進であった。そのため、1学期は報告と承認の協議に終始した。支援の内容に踏み込んでの論議は、今後の展開を睨んで2学期に入ってからだった。来年度に向け職員の姿勢と体制が整いつつあるので、定期開催を計画するなど研究委員会に活性化を図り、個別の教育支援計画を策定を推進する。
  • 議論の活性化のため、メンバー構成を実務者に改める必要がある。決済機能は、次年度よりコーディネーターが、運営委員となるので運営委員会に格上げする。
  • コーディネーターが、実務者となっては、下位の円滑な運営が行えない。
(2)専門家チームの活用
ア 構成
NO 所属・職名 備考
1 山口大学教育学部障害児教育学科・准教授 臨床心理士
2 九州看護福祉大学社会福祉学科・専任講師
3 福岡県発達障害者支援センター「あおぞら」 臨床心理士

「専門家チーム」委員の委嘱要領

平成21年6月22日

1.目的

 福岡県特別支援教育支援事業の一環である「専門家チーム」や「巡回指導」等の活用が、当該支援事業が、公立学校を前提として企画運用されており、私学である本校は実質的に利用できない状況にある。よって、独自に委嘱し、本事業の研究の推進に供する。

2.期間平成21年7月1日~平成22年3月31日

3.委員
○山口大学教育学部附属教育実践総合センター准教授 木谷秀勝先生(臨床心理士)
○九州看護福祉大学社会福祉学科専任講師 水間宗幸先生
○福岡県発達障害支援センターあおぞら発達支援員 松尾伸一先生(臨床心理士)

4.業務の内容

(1)生徒の実態に関する心理検査を含む調査及び、対象生徒の判定
(2)対象生徒に対する面接指導・カウンセリング等の心理学的指導
(3)保護者、教師に対する相談及び、理解・指導法等の療育に関する指導
(4)その他、本モデル事業推進に関する校内研究委員会へのアドバイス

5.費用 本校規定により、活動に応じ当該モデル事業の所用経費より支出する。

6.事務局 発達支援クラス 福島文吾

イ 専門家チームの活用状況
  • 研修会、学習会講師依頼
  • 教育相談、カウンセリング、心理検査依頼
  • 校内研究委員会に対する助言、アドバイス
     (資料参照)→(資料編)「臨床心理学・精神医学的視点」
ウ 成果と課題

(ア)発達支援クラスの授業、教室環境等の整備と担当者、教職員との懇談
(イ)正式に実働可能な委員を委任。小委員会(ケース検討等)を随時開催
(ウ)モデル事業遂行のポイント、今後の方向性について重要な示唆をいただいた。
(エ)教育相談、カウンセリング、心理検査等を実施
(オ)課題‐計画的に定例化した活動が組まれ、利用者に信頼される活動とする。

(3)関係機関との連携
ア 他の学校等との連携

(ア)他校(指定校他)視察研修

(イ)他校(指定校他)よりの視察(情報交換‐通常クラスでの指導のあり方)

  • 長崎玉成高校(長崎)・国立特別支援教育研究所(発達障害教育情報センター)
  • 東京大学教育学部・山口大学教育学部大学院・大阪府議会教育常任委員会
  • 太良高校(佐賀)

(ウ)八女地区高等学校・県立学校同和教育推進協議会‐「あおぞら」と研修と連携

(エ)筑後養護学校「人権・同和教育公開研修会」講演(森田校長)
 (資料参照)→(資料集)「特別支援教育を考える」(西日本短大附属高校・校長)

イ 発達障害者支援センターやハローワーク等の関係機関との連携
  • 発達障害者支援センター「あおぞら」‐臨床心理士を専門家チーム委員として派遣
  • 八女ハローワーク等関係機関との連携‐若年C能力要支援者就職Pの検討
  • 八女市特別支援教育連携協議会の委員の委嘱を受ける
  • 広川町特別支援教育連携協議会の委員の委嘱を受ける
  • 南筑後教育事務所(視察・懇談)‐南筑後特別支援教育連携協議会事務局との折衝
  • 障害者職業総合センター「発達障害者就業支援セミナー」参加
    ‐関係機関との連携、療育手帳を持たない生徒の就労支援
ウ 地域の教育施設や人材等の活用
  • 学校行事(社会体験学習、進路体験見学会等)を活用した計画的な取り組み
エ 成果と課題
  • 地域の関係機関と連携をとる、「個別の教育支援計画」策定のためにも「特別支援教育連携協議会」参加が前提となる。継続して、八女市、広川町の委嘱を受ける。
     「個別の教育支援計画」の策定は、中学校からの同計画書を持ち上がってきた1名に留まった。私立高校の場合、入学者の出身地域が広範囲に及び、高等学校段階からの同計画書の策定は、現実的には不可能と思われる。既策定の1例のように中学校からの継続が望ましいと考える。
  • 発達障害者支援センター「あおぞら」
     対象生徒の大多数が、本センター利用者である本校の実態から、連携打ち合わせが不可欠である。定期的にセンター長や担当の指導員を訪ね、情報交換を密に図っている。また、本年度も引き続き、専門的な対応のできるカウンセラーの不断の援助を担保するために、九州大学大学院の推薦を受けた臨床心理士に専門家チームのメンバーになっていただいき、相互に訪問し合っている。
  • 現行の特別支援教育に関する諸制度は、公立学校を対象として企画されているようで、私学の利用は困難と思われる。特別支援教育連携協議会においても、年に数回開かれる会議に参加して情報交換をする程度しかできなかった。

平成21年度主な視察来校先(発達障害関係)

・長崎玉成高校(長崎) ・国立特別支援教育研究所(発達障害教育情報センター)
・東京大学教育学部(12月) ・山口大学教育学部大学院(12月)
・大阪府議会教育常任委員会(2月4日)※入学希望者(保護者・中学校等)を除く。
 ※個別の来校者の他、「説明・見学会」、「体験入学」、「久留米市中学校特別支援教育協議会」「南筑後軽度発達障害児親の会」等より、毎年100組を超える来校者
 ‐主な報道(取材)関係‐

・学事出版「月刊生徒指導」(2008) ・読売新聞本社「教育ルネッサンス」(11月)
・学習研究社「実践障害児教育」(4月号)

・私学教育新聞(2月連載)

‐主な講演依頼‐
・福井県教育庁(2月12日) ・筑後地区解放教育研究会(2月23日)

(4)関連事業等との連携
ア 発達障害支援等・特別支援教育総合推進事業(福井県教育庁)

平成21年度高等学校特別支援教育講演会実施要項
 (発達障害支援等・特別支援教育総合推進事業)

1 目的

 特別支援教育コーディネーターをはじめとする教職員が、高等学校における特別支援教育について理解を深め、発達障害支援のための校内体制を整備する。また管理職にあっては、特別支援教育の理念を学校経営に活かし、教職員への指導力の向上を図る。

2 対象

 県立学校および私立高等学校の校長、教頭、特別支援教育コーディネーター等

3 期日 平成22年2月12日(金曜日) 受付13時30分~講演14時~16時

4 会場
 福井大学工学部1号館 122M講義室
 福井市文京3丁目9番1号 Tel(0776)23‐0500

5 講師
 福島文吾氏
 西日本短期大学附属高等学校 教諭(教科:英語)
 保健部長、不登校対策委員長
 特別支援教育コーディネーター、「発達支援クラス」担任
 「高等学校における発達障害支援モデル事業」担当
 元福岡市情緒障害児学級(通級制)教諭
 元自閉症者専門施設主任指導員
 NPO法人「障害者就労支援ネットワーク」副理事長

6 講演内容
 演題「発達障害のある生徒のニーズに応じた教育システムを目指して」~学力保障のための授業や評価方法の紹介~」
 ・生徒や教職員の発達障害への意識の変化―エピソードを中心に‐
 ・学力保障のための授業方法や評価方法
 ・社会的自立に向けた就労・進学支援の取組み

7 申込書

 講演会への参加については、平成22年1月29日(金曜日)までに申込書(別紙「申込様式」)を高校教育課特別支援教育室まで提出する。

8 本講演担当者

福井県教育庁高校教育課 特別支援教育室 主任 岩井秀夫
電話 0776-20-0571 fax 0776-20-0669 E:mail:h-iwai-tj@pref.fukui.lg.jp

(資料参照)→(資料編)「発達障害のある生徒のニーズに応じた教育システムを目指して」

イ 若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム(八女ハローワーク)
 「ジョブカフェ」「若者自立塾」「学生支援センター」等の不定期訪問に留まった。

※来年度、療育手帳がなく、発達障害の認識のない通常クラスの生徒が、まとまって卒業を迎える。就職希望者については、事前に打ち合わせ等の対策を講じる必要がある。

3.今後の我が国における発達障害のある生徒の支援の在り方についての提案等

「発達支援クラス」の沿革

  • 平成元年「情緒クラス(自閉症クラス)」開設
  • 2年県教育委員会特殊教育課より、認められる。(朝日新聞)
  • 県議会文教委員会で知事より「応分の助成」との答弁をいただく
  • 3年私学振興局より少人数クラス3学級としての認定を受ける。
  • ジョブ・コーチ方式による就労支援を開始
  • 6年グループ・ホーム(通学寮)「オレンジハウス」開所
  • 11年NPO法人「障害者就労ネットワーク」認証(卒業生保護者を中心に)
  • 19年文科省「高等学校における発達障害支援モデル事業」に指定を機に
    「発達支援クラス」と名称を変更
  • 21年 「発達支援クラス」と名称を変更 2度目の指定
  • 福岡県私学協会「自主研究助成・奨励事業」指定

 「発達支援クラス」を中心とした本校の取り組みは、支援体制や支援・指導のノウハウなど、一応は整ったといえる。
 2年前から通常クラスも対象生徒の受け入れを開始し、固定制での「発達支援クラス」は発展的解消の時を迎えようとしている。
 本校の緊急の課題は、通常クラスに在籍している発達障害のある生徒の進路保障である。
 教員と保護者との関係は築いているものの、生徒自身の障害の認知がなされていないケースや、療育手帳の取得が困難なケースもある。
 私学全体の課題としては、発達障害支援の研修のあり方が挙げられる。人材の育成は、ほんの数年前まで「高校には障害児はいない」と頑なに目をつぶってきた学校教育の歴史からみて、最も困難なハードルになると考えられる。
 現場の担当者だけでなく、全教職員、とりわけ現場の最高意思決定者である校長の理解取り組みの姿勢が不可欠である。
 こうした状況から、本校が今後果たすべき最も重要な役割は、学校内外への情報発信をするためのセンター的機能の発揮だと考える。
 共生の社会の現出が求められる時代にあっては、私学間の連帯が求められる。教育内容では、厳しい競い合いがあってしかるべきだろうが、一校生き残りに走ることなく、教育界では共生経済のモデルを構築していくことの使命が課せられている。
 そういった意味からも、特別支援教育の普遍化は、高校、とりわけ私学においては重要な課題である。この取り組みの経験は、あらゆる種類の教育活動の営みの中で、形を変え生かされていくことであろうし、教育の原点に触れる今日的課題だといえる。
 高校における特別支援教育の取り組みは立ち後れが顕著であることは否めない。本校が20年以上前からの取り組んできた支援・指導の蓄積を公共財と見なし、オープンソースとして代価なしに必要なところに情報を共有していかなければならないと考える。(福島) 

1 特別支援学級の設置と通級指導学級(リソースルーム)の導入

(1)個々の生徒に応じた多様なカリキュラムが展開できる。

ア 通常クラスでの学習の補完的授業(ア)少人数授業(イ)基礎学(促進授業)
イ 通常クラスでは行えない個に応じた授業(ア)演習(職業教育等)(イ)補習
ウ 困難・つまずきを軽減するための指導(ア)個別指導(諸検査・学習訓練等)
エ 単位認定・進級判定に拘わる指導(ア)レポート指導等

(2)常時、通常クラスの支援が行え、クラス担任、教科担任を助けることができる。

ア 「取り出し授業(通級)」により、教科担任の負担を軽減する。
イ リソースルーム担当による「入り込み授業(TT)」により、授業の円滑化を図る。
ウ トラブル発生時に「シェルター」的役割を果たし、仲介者的調整機能を発揮する。
エ 生徒、保護者、担任に対する教育相談の業務及び、連絡調整を行う。
オ 地域の関係機関の資源を活用して、指導・助言、支援を積極的に受ける体制を作る。

(3)ほぼ全交流の生徒(G)がおり、高機能ながらPDDの要素が強く持っている。

 しかし、日常的に困難・つまずきのための指導(個別指導等)が行えず、将来への課題を多く残したままであった。リソースルーム活用の必要性を強く感じている。

※本校では、「発達支援クラス(疑似リソースルーム)」での資源を活用して、上記の内容でリソースルームを目指して取り組みを実施してきた。その長年の取り組みの結果、対象生徒に多様な居場所、指導空間、指導者の個に応じた選択の機会が与えられる体制整備が不可欠であることを痛感している。

2 「発達支援クラス」の発展的解消を目指す取り組み

地域、保護者、中学校より、「入れないなら、あっても無いのも同じ!」との厳しい指摘を受けている。(平成22年度、入学希望者約100名、受験者6名、合格者4名)

(1)同クラスを解散し、新たにリソースルーム(通級指導教室)に再編し、全校共通の資源として活用する。(佐賀県立太良高校に平成12年開設される「発達支援コース(名称未定)」にも併設されるようにと進言し、計画案に取り入れていただいている。)

(2)同クラスを発展拡大させ、不登校等を含む「コミュニケーション・コース(仮称)」として再編し、受け入れ定員枠を拡大する。

(3)同クラスを解散し、「新タイプの通信・単位制高校」を新設し、学校内学校として位置づけ、平日登校制を基とし従来通り交流教育も可能にし、対象生徒の受け入れを保障する。

(4)特に地域及び、私学のセンター的機能並びに、指導者研修機関としての名誉ある位置を占めたいと望んでいる。今後の本校の最大の使命であると考える。

※来年度より、福岡県私立学校経常費助成において、画期的な特別支援教育加算が予定され、本校もいち早く名乗りを上げているところである。よって、現体制を維持しながら、上記の新体制に移行するケースも今後考えられるのではないかとも推測している。

3 普通科2類を含む教育課程の弾力的運用に基づく見直し

4.総括

・今後の課題と展望

 次の課題は、2年前から始めた通常クラスでの取り組みであろう。もちろんこれまでも交流教育として通常クラスでも取り組み、研修も重ねてきた。しかしながら、時ここに至り、固定制での「発達支援クラス」の使命を終え、これまでの取り組みの主役の座からバックアップに回り、発展的解消の時を迎えようとしている。その道筋は、周りの環境状況により幾通りも考えられる。そこで考えられる緊急の課題は、2年前から取り組み始めた通常クラスに在籍する対象生徒の進路保障である。保護者とは学習会や教育相談を通じて多少なりとも関係を築いてきたが、生徒自身の負わされた障害の認知はなされていないし、療育手帳の取得も困難である。また、今後の最も重要な役割は、センター機能であろう。これまでシェルターとしての働きや環境のコントロールなど校内において一定の役割を果たしてきたが、今後は、学校内外への情報発信が重要な課題となってくる。(一般に高等学校の置かれた環境から考えると、特別支援学校がセンター的機能を果たす状況は、3障害4障害を抱え、高校との環境・条件・土壌の違いから現実的には困難ではないかと思われるからである。)
 また、今後の私学においては、特別支援教育、中でも発達障害支援の研修の在り方が問われてくることだろう。現場の担当者だけでなく、全教職員、とりわけ現場の最高意思決定者であるところの校長の理解、取り組みの姿勢が不可欠なものであることは自明のことである。さらに人材の育成という、社会一般、また教育の現場においても常にかつ最も困難なハードルが待ち構えている。ほんの数年前までは、高等学校には障害児はいないと頑なに目をつぶってきた学校教育の歴史があるからである。
 特別支援教育という枠で考えるならば、高等学校における取り組みの立ち後れは顕著である。20年前に自閉症児を対象にして始まった本校の取り組み、否、それ以前からの蓄積は、公共財と見なさなければならないだろうし、オープンソースとして代価なしに必要なところに情報を共有していかなければならないと考える。共生の社会の現出が求められる時代にあっては、私学間の連帯が求められることであろう。教育内容にあっては、厳しい競い合いがあってしかるべきだろうが、一校生き残りに走ることなく、教育界にあっては共生経済のモデルを構築していくことの使命が課せられていることだろう。
 そういった意味からも、特別支援教育の普遍化は、高等学校、とりわけ私学においては重要なかつ、喫緊の課題である。この取り組みの経験は、あらゆる種類の教育活動の営みの中で形を変え活かされていくことだろうし、教育の原点に触れる今日的課題である。

・対象生徒の実態の把握(諸心理検査、スクーリング)、教科指導の体制の整備(指導・評価のシステムと人的配置)、教職員・関係保護者の研修・交流(特別支援教育の意義と障害理解・指導方法、研修用図書の整備)、他校視察研修(情報収集と今後の方向性の見極め)、進路保障(進学、就労)、教育相談・カウンセリングの(保護者・教員・本人)体制の整備、専門家チームの活用、発達支援クラスと通常クラスの連携(リソースルーム機能、シェルター機能の確認)、記録の整備(得られた情報・資料・研究記録等)及び、啓発活動(報告書の配付等)の準備等、事業計画書において当初予想していた成果が概ね得られた。
 事業計画書において当初予想していた成果が不十分であったと思われる項目及び、その事由は、以下のとおりである。1.個別の教育支援計画の策定が一部に留まった。地域の関係機関との連携。高等学校段階から白紙の状態から取り組む場合、人的・時間的労力の負担が大きい。高等学校入学以前の段階から特別支援教育の連携を密にしてカルテ方式で持ち上がるシステムの連携が望ましいと思われる。2.一般生徒との意識調査において、講演等による知識の注入に留まらず、日常の関わり合いの中から身をもって相互に理解し合う機会を逃ず意識改革に結びつける指導体制作りを行い、個々のエピソードの中から、意識の変遷をとらえていく方策が、データとして分析を行うことは困難さを伴うが、必要なことではないかと考えた検討したが、一部のクラス取り組みに限られ全体を網羅するに至らなかった。3.一般保護者への啓発の取り組み。対象生徒保護者の中には、特別視されることに強い嫌悪感を感じておられる者も少なくない。学校行事等の機会にさりげなく触れる程度に留まり、踏み込んだ議論、対応に至らなかった。本校の場合、長年の障害者受け入れに関する経験と土壌の成熟によって一般保護者からの本取り組みに対する疑義は、ここ20年間皆無である。反面、その結果、一般保護者関係者に対する啓蒙、啓発を行う機会が少なく、PTA役員段階では、研修等の取り組みを行うべきだったし、その中から一般保護者の反応を探ることも可能ではなかったかと実施できなかったことを反省し、次年度の課題として取り組みを継続していく必要性を感じている。
 教師の理解と対応の姿勢の問題があげられる。研修等を積み上げ、障害及び、発達障害児の理解に関して、無理解や不当な対応により対象生徒に二次的障害を負わせることの無いように配慮した指導が行われるようになってきた。反面、対象生徒の心情に理解、配慮するあまり、彼らの自立心を結果的に妨げてることになっているのではないかと思われる状況が見られるようになったことは昨年も述べた。理解はすれども、手は(必要を超えた援助)出さない姿勢が基本ではあるが、生徒指導と特別支援教育の兼ね合いが今後の課題となってくると思う。
 今後はどのような課題を重点的に進めるべきかについては、上記の反省点に加えて、3.であげた新たな具体的な取り組みが上げられる。総論から言えば、高等学校は、義務制の学校と異なり、公私の別、課程の違い、地域性など置かれている状況が千差万別であることをモデル公私学3校連絡会などから再認識させられた。結論から言えば、多様な選択肢を教育行政が制度化して事例を指し示す必要があるのではないかと結論づける。具体的には各学校に応じたシステムの構築や諸制度の整備、教育課程の改編等が、重要課題のテーマとして取り上げられなければならない。理解や指導・支援のノウハウについては、義務制の取り組みの成果の応用に高等学校固有の状況を加味していくことによってかなりの対応が各取り組み校でなされているが、本校は私学であり経営的視点も加味されなければならない。本校において考えられる今後の課題として重点的に進められるべき方向は、3.であげた通りである。

5.その他特記事項(エピソードを含む)

○エピソード1 「就労編」

 (その1)男子卒業生Aの勤務するスーパー・マーケットの近くまで行く要件がたまたまあったので、店長さんから彼の仕事ぶりを伺うべく尋ねてみると、開口一番、店長さんから出た言葉は、「先生、ご連絡しようと思っていたところでした。」「実は、問題がありまして、彼には辞めてもらおうかと話していたところでした。」仕事を辞めなければならないほどの問題とは、お客さんからのクレームの多さだった。彼が、商品を倉庫から運び、商品棚に陳列する業務をやっていると、お客さんから商品のある場所を尋ねられることが多い。しかし、彼は客を無視するとのことだった。少なくともお客さんにはそう見える。彼を呼んでもらって、話をさせてもらった。「先生は、君に嘘を教えていた。仕事が一番大切と言っていたが、スーパーでは、お客さんが一番大切だった。」「お客さんに声をかけられたら、仕事の手を休めなさい。」「商品のある場所を尋ねられたら、上手く説明できない時は、直接、お客さんを案内しなさい。」わずかな時間でのアドバイスだったが、しかして、彼はナンバーワンの店員へと大変身を遂げた。彼は広汎性の発達障害があり、記憶力は抜群であった。商品のある場所はもちろん、倉庫の在庫数から入荷日まで全て記憶している。それ以来、彼は、お客さんから引っ張りだこだと聞いている。
 (その2)清掃会社に勤務する彼Bの母親から電話があった。昨日、スーパー・マーケットのトイレ清掃で、痴漢に間違われて大変な事態になっているとのことだった。経緯はこうだった。いつもは女子トイレの清掃はしないのだが、たまたま相方がいつもの男の人ではなく女の人で女子トイレの清掃を指示されてしまった。開店前でお客さんはいないはずだが、間が悪く、トイレを借りに来られていたそうだ。そこに彼が入っていって悲鳴を上げられ、店員さんが駆けつけて来られ、広汎性発達障害で素直な彼は、動揺もしており「ごめんなさい!」を連発。翌日私が駆けつけて、清掃会社の主任さんやスーパー・マーケットの店長さんに事情を説明した。主任さんは、「彼がそんなことをするはずがないと思っていました。」店長さんは、「よく分かりました。そうでしょうね。」と言っていただいた後、「店員には説明して理解してもらえると思います。しかし、お客さんの間で広がった噂は打ち消しようがありません。客商売ですから、彼には申し訳ありませんが、しばらくうちの仕事は休んでもらって。」ということだった。何度か彼の責任ではないことを彼自身にも話したが、スーパーの仕事に行けなくなった影響から、他の場所の清掃仕事にも身が入らない状態が続いた。
 上記の2事例から分かることは、就労支援支援に関して即応体制が取れるか否かが、正否を分けるという事実である。卒業生のことではあるが、いずれにしても人的配置にかかわる問題であると思い、エピソードを取り上げた。

○エピソード2

 体育館での観劇会の開幕前に全校生を指導中、突然パイプ椅子で男子生徒を殴るという前代未聞の事件が発生した。幸い被害者の生徒は運動部生で立派な体格の持ち主で検査の結果も全く異常なかった。ことの経緯はこうであった。体育館の入り口が混雑し、押され、元々切れやすい傾向のあった広汎性発達障害の彼は、いらっときた。普段であれは、この時点で外に出てクールダウンして戻ってくるというように指導されているのだが、今回はそうはしなかったことが、おおきな事件を引き起こす原因となった。彼を外に連れ出して話を聞くが、ことの重大性がピンときていない様子だった。
 なぜ、彼はいつもの回避行動を取らなかったのかは、直前の海外修学旅行に起因していた。ぐるぐる歩き回るクールダウンのため行動は、入国審査場ではかなり怪しい行為に写るので、避けるように指導していた。彼は修学旅行を全日程を通じて、クールダウンしなくてもやれたという自信をつけていた結果の行動だった。しかし、体育館入場時に、一旦収められた感情が、再び、頭をもたげてきた時点で、なぜ、外に出なかったのか?集会の場で、突然外に出て行くという行動は、場にそぐわないと彼は初めて思ったそうだ。これらのことから分かったことは、彼にとっての成長が、新たなリスクを生じさせる原因にも成り得るということだった。
 全校生に対する指導、被害者へのケア及び、今後の理解協力をお願いしたことはもちろんのこと、彼の取った反社会的な行動が、重大な結果をもたらすことを彼自身に十分に理解してもらわなければならなかった。家族、主治医と連携して、停学を含む長期間にわたる指導を行った結果、かなりのところまで彼にも理解してもらったという感触を得ている。通常の問題であれは、繰り返し指導して改善を図るのであるが、あってはならない事柄への対処は徹底した指導が当然必要になる。平成19年度の初めて文科省のモデル事業説明会のおり、当時の担当課長の話の中に「現在だけでなく、将来、彼らが遭遇するであろう課題、問題に対しても、事前に備えておく必要がある。」とあったことを記憶している。在学中であったことは、不幸中の幸いであった。社会に巣立ってからであれば、将来を棒に振る結果に至らなかったという保障はなかった事例である。

5.モデル校の概要

1 学級数と生徒数(平成21年5月現在)

課程 学科 第1学年 第2学年 第3学年 第4学年 合計
学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数 学級数 生徒数
全日制 普通科
(1類)
(2類)
(健ス)
(発支)

1
3
1
1
6

11
101
29
3
144

1
4
1
1
7

21
130
41
3
195

1
3
1
1
6

24
101
28
3
175
   
3
10
3
3
19

56
341
108
9
541
6 144 7 195 6 175     29 541

※(健ス):健康スポーツ (発支):発達支援クラス

2 教職員数(平成21年5月現在)

校長 教頭 教諭 養護教諭 常勤講師 非常勤講師 ALT 事務職員 司書 その他
1 2 23 1 9 10   9 1   56

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成22年07月 --