宇宙航空科学技術推進委託費

政府の宇宙開発利用の指針として決定された宇宙基本計画において、「専門家にとどまらず潜在的な一般の利用者も含めた利用拡大を図る。」とされたこと等を踏まえ、平成21年度に、宇宙利用の裾野拡大を目的として「宇宙利用促進調整委託費」が創設されました。
平成26年度からは、地球観測技術等調査研究委託事業「宇宙航空科学技術推進委託費」として、さらなる裾野拡大を目的に、宇宙航空利用を新たな分野で進めるにあたって端緒となる技術的課題にチャレンジする研究開発、宇宙航空開発利用の発展を支える人材育成等、宇宙航空開発利用の新たな可能性を開拓するための取組を推進しています。
なお、本事業は、平成22年度から競争的資金制度(現在は競争的研究費制度)として運用を行っています。

更新情報

令和6年3月18日  委託費に関するFAQのページを更新しました。

令和6年3月18日  令和6年度宇宙航空科学技術推進委託費の公募についてを更新しました。

令和5年8月21日  令和5年度採択課題を更新しました。

令和5年2月24日  令和5年度宇宙航空科学技術推進委託費の公募について

令和4年9月1日  令和4年度採択課題を更新しました。

令和4年2月22日  令和4年度宇宙航空科学技術推進委託費の公募について

令和4年2月21日  平成30年度採択課題の事後評価結果を更新しました。

採択課題・公募情報・公募結果

令和6年度令和5年度令和4年度令和3年度令和2年度令和元年度以前(終了課題)

令和6年度

令和6年2月16日  令和6年度宇宙航空科学技術推進委託費の公募について
公募対象プログラム:宇宙航空専門人材育成プログラム・宇宙航空アーキテクト育成プログラム・「宇宙×人文社会」分野越境人材創造プログラム・航空脱炭素技術等創出プログラム

令和5年度

令和5年8月21日  令和5年度宇宙航空科学技術推進委託費の採択課題の決定について
提案件数:17件(うち宇宙航空人材育成プログラム【専門人材育成】1件、うち宇宙航空人材育成プログラム【アーキテクト育成】6件、宇宙航空脱炭素技術等創出プログラム3件、宇宙探査基盤技術高度化プログラム7件)

令和5年2月24日  令和5年度宇宙航空科学技術推進委託費の公募について
公募対象プログラム:宇宙航空人材育成プログラム・宇宙航空脱炭素技術等創出プログラム・宇宙探査基盤技術高度化プログラム

委託先

研究代表者

課題名

概要

予定総事業費
(実施年度)

宇宙航空人材育成プログラム【専門人材育成】

独立行政法人国立高等専門学校機構
新居浜工業高等専門学校

若林 誠

全国高専宇宙工学コース設立による実践的宇宙人材育成の展開

全国の国立高専の学生を対象とした「宇宙工学コース」の設立に向けて、単位取得が可能な「CubeSat開発基礎講座」と「企業・大学主体の社会実装講座」を導入する。これらの講座は、CubeSat開発を題材としたものづくり教育の要素を含みつつ、宇宙産業を担う企業とも連携した実践的な内容とする。また、この取り組みを海外の組織と連携して行い、幅広いものづくり教育に適用できる国際的な教育プログラムとする。これにより、宇宙業界における人材育成拠点としての高専のプレゼンスを高め、社会的ニーズに基づいた発想で衛星開発が行える次世代の宇宙人材育成を行い、日本の宇宙プロジェクトを牽引できる有用な人材を輩出する。

39百万円
(令和5年度~7年度)

宇宙航空人材育成プログラム【アーキテクト育成】

国立大学法人
九州工業大学

寺本 万里子

超小型ロケット・超小型衛星を用いた継続型早期教育プログラム

民間主導で斬新な衛星やロケットを開発、運用するニュースペースが増えてきている昨今、複雑かつ高度に統合されたシステムである宇宙機システムの開発・打ち上げ・運用までを俯瞰し推進出来る人材を多く育成することは急務となっている。本課題では、CubeSatや超小型ロケットを開発するハンズオンの宇宙教育実践科目を新設し、宇宙機の設計・打ち上げ・運用までを経験することができる「実践型宇宙教育プログラム」を学科カリキュラムとして作成する。このプログラムを通じて、ロケット・衛星開発の高度なシステムを俯瞰的に理解し、産業界を牽引できる広い視野を持った人材を育成する。

195百万円
(令和5年度~9年度)

宇宙航空脱炭素技術等創出プログラム

東京都公立大学法人
東京都立大学

和田 圭二

脱炭素化に向けた航空機電動化のためのパワーエレクトロニクスシステムの研究開発

カーボンニュートラル実現に向け、航空機の電動化の研究開発が進展している。電動航空機実現におけるボトルネックは電動推進システム(電力変換回路)の軽量化で、特にインダクタ・キャパシタなどの受動部品の体積・重量が大きな問題となっている。本課題では、この軽量化を電動航空機実現のカギと捉え、重量パワー密度を向上させる設計技術の確立を目的とする。具体的には、受動部品の小型軽量化に焦点を当て、マルチレベル電力変換回路方式の導入と受動部品の最適統合設計手法を提案し、航空機用電力変換回路の目標パワー密度19kW/kgの達成を目指す。

39百万円
(令和5年度~7年度)

宇宙探査基盤技術高度化プログラム

国立大学法人
京都大学

鶴 剛

蛍光X線による月惑星の元素マッピングを高解像度化するコンパクトX線カメラの開発

月惑星の元素分布は、天体の起源や進化に加え、宇宙資源の濃集箇所を知る上で重要である。宇宙機からの遠隔探査でそれを決定する方法がX線ガンマ線分光であり、中でも太陽を一次光源とする蛍光X線分光には月面の地質・地形情報と比較可能な高解像度のマッピング探査が期待される。本課題では、蛍光X線による月惑星の元素マッピング探査を高分解能化する、コンパクトで汎用性が高いX線SOIカメラを開発し、月周回軌道からの解像度1kmや、高速回転する小惑星の元素マッピングを可能にする。X線SOI素子自身に高機能回路を持たせ、簡素な読み出し回路とコンパクトな全体システムや、各種ミッションに対応する汎用性の確保も目指す。

89百万円
(令和5年度~7年度)

合同会社
パッチドコニックス

川口 淳一郎

小規模事業者による宇宙探査を実現させるGNSS応用の測距・時刻同期装置の開発

月以遠では地球周辺GNSS測位は不可能であるため、月近傍および近地球惑星間での測距/航法は宇宙機関設備に依存する必要がある。そのような中において、本課題では、小規模事業者であっても自律的な月以遠への飛行運用を行えるようにすることを目指し、従来の搭載装置と宇宙機関設備に代わり、GNSSを応用した全く新しい、測距および時刻同期機能をもった装置を開発する。これにより、絶対時刻を宇宙機間で中継することが可能となり、月のみならず火星などへの測位サービスを、初期投資を抑えて段階的に発展させることが可能になり、国際的地位の向上に貢献し、我が国の宇宙開発事業を強く後押しする。

78百万円
(令和5年度~7年度)

令和4年度

令和4年9月1日  令和4年度宇宙航空科学技術推進委託費の採択課題の決定について
提案件数:26件(うち宇宙航空人材育成プログラム7件、宇宙航空脱炭素技術等創出プログラム6件、宇宙探査基盤技術高度化プログラム4件、「人文社会×宇宙」分野越境人材創造プログラム3件、「AI・デジタル化×宇宙」技術革新人材育成プログラム6件)

令和4年2月22日  令和4年度宇宙航空科学技術推進委託費の公募について
公募対象プログラム:宇宙航空人材育成プログラム・宇宙航空脱炭素技術等創出プログラム・宇宙探査基盤技術高度化プログラム・「人文社会×宇宙」分野越境人材創造プログラム・「AI・デジタル化×宇宙」技術革新人材育成プログラム

委託先

研究代表者

課題名

概要

予定総事業費
(実施年度)

宇宙航空人材育成プログラム

国立大学法人
京都大学

寺田 昌弘

将来の有人宇宙活動を支える宇宙医学人材養成プログラムの創出

アルテミス計画の実現が目前に迫り、月面周回軌道上の宇宙飛行士の滞在や月面有人活動など人類の宇宙進出は今後益々活況となる。また民間人を対象とした宇宙旅行も実現していく状況である。そのような状況の中、宇宙滞在によって人体に生じる生理的変化を正しく理解し、それに対してどのような対策を講じるかを考察できる人材を育成することは、今後の人類の有人宇宙活動の根幹を支えることとなる。これまで宇宙医学的知識を体系立てて学ぶ体制は十分になかったため、本事業では、講義と実習で構成される宇宙医学教育プログラムを構築する。このプログラムを通じて、将来の有人宇宙活動において即戦力となる宇宙医学の専門知識を持った人材を育成する。

44百万円
(令和4年度~6年度)

宇宙航空脱炭素技術等創出プログラム

京都府公立大学法人
京都府立大学

宮藤 久士

CFRPの真空対応ケミカルリサイクルシステム

地球上においてCFRPは腐らない、錆びないといった高い性能を持つため廃棄されても分解しにくく、ケミカルリサイクルが困難な材料として知られている。本研究では、CFRPの航空宇宙分野での利用および宇宙空間などの真空下でのリサイクルを目的として、揮発性の低い媒体中でのCFRPの分解法と、それに適するCFRP用マトリックス樹脂を開発する。樹脂にはバイオ素材を用いることで軽量化を図り、それによる航空機などの燃費向上に加え、石化資源の使用量低減により、脱炭素効果の高い技術の構築を目指すとともに、月面の野外のような極限環境下でも活用できる新しいCFRPのケミカルリサイクルシステムを提唱する。

44百万円
(令和4年度~6年度)

国立大学法人
京都大学

土井 隆雄

宇宙木材産業の創出をめざした宇宙材料としての木材利用の探究

人類が宇宙に展開するための新しい材料・資源として、宇宙における木材利用の可能性を探求すると同時に、新しい宇宙木材産業の創出を目的とする。宇宙空間で持続再生可能な資源として木材が利用できるのかという問いに対して、木造人工衛星の開発、国際宇宙ステーション(ISS)における木材の宇宙環境曝露実験、低圧下における樹木の育成実験等を通じて、宇宙空間が木材の物性や微細構造に与える影響を調べることにより、木材の宇宙空間での利用の可能性を探究する。また、宇宙における木材利用についての研究を通した教育啓蒙活動を行い、カーボンニュートラル事業に取り組む人材の育成を果たす。

40百万円
(令和4年度~6年度)

宇宙探査基盤技術高度化プログラム

学校法人金井学園
福井工業大学

中城 智之

超小型月探査機の高度化に資するコンパクトな衛星地上局システムの開発

近年、月以遠の宇宙探査が注目され、超小型月探査機によるミッションが多く計画されている。探査機の高度化には衛星と通信を行う衛星地上局の高度化も必要不可欠であるが、月と地球の間の通信に適した衛星地上局は極めて少ない。このため、月-地球間に最適化された通信機能および、GPSを利用できない月探査機の位置決定に必須の軌道決定機能を備える衛星地上局システムを構築・開発する。JAXA超小型探査機の運用への参画を通じて、多数の小型衛星の展開に適し、かつ必要な通信・運用機会を創出できるコンパクトな衛星地上局の完成を世界に先駆けて目指す。

94百万円
(令和4年度~6年度)

「人文社会×宇宙」分野越境人材創造プログラム

学校法人学習院
学習院大学

渡邉 匡人

宇宙ルール形成に着目した文理融合×産官学連携による人材創造プログラム

宇宙分野の裾野拡大と宇宙活動を支える人材の育成においては、自然科学分野の人材のみならず、人文・社会科学分野の人材が宇宙分野に参画する機会を創出する必要がある。学習院大学では、2019年度に「地球環境の持続を目指した宇宙資源利用プロジェクト」を立上げ、文理融合の教育と研究活動を推進してきた。本課題では、学内共通科目として「宇宙利用論」や宇宙ビジネス国内外研修、宇宙法国際シンポジウム等を実施することで、宇宙ビジネスにおける宇宙ルール形成を主導する人材の育成を目指す。

41百万円
(令和4年度~6年度)

「AI・デジタル化×宇宙」技術革新人材育成プログラム

公立大学法人
会津大学

大竹 真紀子

月火星箱庭教育プログラムによる宇宙情報系人材の育成基盤構築

将来の月・火星での探査や有人活動において、宇宙機の開発・運用システムの開発等、最新のAI技術やソフトウェア技術を把握した情報分野の人材が必要となる。本プログラムでは、情報系に特化した会津大学と民間企業とが共同で、実空間・バーチャル空間を組み合わせたローバ走行による地図作成などを題材にした『月火星箱庭教育プログラム』を実施して、宇宙分野を情報技術で支える人材の育成を目指す。実習では福島県内にある福島ロボットテストフィールドを活用する。同教育プログラムを宇宙企業や一般にも開放し、3年間で10項の授業科目・実習会実施を目標とする他、教育に加えローバ等宇宙機の開発にも役立て人材育成の基盤を構築する。

43百万円
(令和4年度~6年度)

国立大学法人
金沢大学

松田 昇也

高大連携宇宙AIコンペティションを通した「インテリジェント宇宙機」開発人材の育成

Society 5.0の実現に向けて衛星コンステレーション等の宇宙技術が重要な役割を担う一方、衛星数の急増に伴う運用負荷増大や宇宙機の安全管理、膨大なデータの効率的解析方法の検討が急務となっている。AIによる宇宙ビッグデータ処理やオンボードAI技術はそれらを解決する有効な術であると期待されることから、本プログラムでは、豊富な衛星開発・運用経験を有する金沢大学とAI教育基盤の構築を推進する福井大学や石川高専が連携し、データ解析ワークショップや高大連携宇宙AIコンペティションなどの教育プログラムを整備・実践する。これらを通して、参加学生の宇宙・AIへの関心と知識を深めることを目指す。

43百万円
(令和4年度~6年度)

令和3年度

令和3年9月22日  令和3年度宇宙航空科学技術推進委託費の採択課題の決定について
提案件数:47件(うち宇宙航空人材育成プログラム11件、宇宙利用技術創出プログラム8件、宇宙連携拠点形成プログラム9件、宇宙探査基盤技術高度化プログラム7件、「人文社会×宇宙」分野越境人材創造プログラム12件)

令和3年2月25日  令和3年度宇宙航空科学技術推進委託費の公募について 
公募対象プログラム(採択予定件数):宇宙航空人材育成プログラム・宇宙利用技術創出プログラム・宇宙連携拠点形成プログラム(合計3件程度)
                        宇宙探査基盤技術高度化プログラム(2件程度)、「人文社会×宇宙」分野越境人材創造プログラム(3件程度)

委託先

研究代表者

課題名

概要

予定総事業費
(実施年度)

宇宙航空人材育成プログラム

国立大学法人
東京海洋大学

久保 信明

新しいフェーズに入った衛星測位技術を加速させる人材育成

センチメートル級の測位を可能とする低コスト受信機の登場で、高精度測位アプリケーションが広く社会に浸透しつつあり、限られたユーザにしか利用できなかった測位技術が広く一般的にも手に入る商品となり新しいフェーズに入ったと考えられる。今後、位置の精度だけでなく、位置の信頼性を担保することや欺瞞信号及び干渉波への対策、センチメートル級測位ができない要因等を自分の力で解くことのできる人材が強く求められる。例えば車の自動運転支援となると、カーナビのように精度・利便性だけでなく信頼性の担保が必須となる。本提案では、上記課題に対応すべく、衛星測位技術の中でもコアとなる受信機の仕組みや測位アルゴリズムを、自分の手で自由に改良できる人材を輩出する。

54百万円
(令和3年度~5年度)

国立大学法人
九州工業大学

北村 健太郎

大学間連携による理学工学融合実践的宇宙ミッション早期教育プログラム

宇宙科学分野での超小型衛星の本格的利用を踏まえ、宇宙開発の背景にある科学的重要性や他分野・他業種連携による新たな宇宙開発の将来を見据えた人材育成が求められている。その在り方を確立することは、現在の宇宙理工学分野の教育の在り方に関する大きな課題である。本プログラムでは、超小型衛星開発に実績のある九工大と宇宙科学の研究・教育に実績のある九大が連携し、外部の企業や研究機関の協力のもと、大学学部生を中心とした工学・理学の相補的な衛星 (CubeSat) 開発の実践的教育プログラムを構築する。これにより、将来自立して革新的な宇宙科学ミッションを柔軟な発想で企画し、国際的プログラムをリードできる人材や宇宙開発・宇宙利用分野で幅広く活躍できる人材の育成を目指す。

60百万円
(令和3年度~5年度)

国立大学法人
徳島大学

二川 健

長期宇宙滞在者を食と運動で支える“宇宙専門管理栄養士/理学療法士”の育成

21世紀は宇宙大航海時代である。人類が長期にわたって宇宙で安心・安全に活動するためには、宇宙環境に適した「食」と「運動(リハビリ)」を通した健康支援が必須である。残念ながら、我が国だけでなく先進国においても「食」や「運動」を通して宇宙飛行士の健康支援ができるプロフェッショナルはほとんどいない。本提案は、大学の学位制度と学会の専門医療人認定制度を合理的に合体させ、革新的な“宇宙専門管理栄養士/理学療法士”を育成するプログラムである。

60百万円
(令和3年度~5年度)

宇宙利用技術創出プログラム

学校法人
芝浦工業大学

中川 雅史

都市河川構造物点検における自律型船舶利用のための水上屋内外シームレス測位

CLAS利用のGNSS測位、LiDAR-SLAM及び画像計測を主として組み合わせた3D計測システムによって、自律型船舶を利用したインフラ点検システムを構築する。これにより従来型船舶による巡視による目視点検やUAVを利用した点検では困難であった日常点検の無人化が可能になり、陸空水域統合型の3D計測によるインフラ点検の高度化・効率化や水上MaaSの基盤構築に寄与する。本提案では、LiDAR-SLAM技術を活用し、インフラ点検に知見のある大学機関、自治体、土木コンサル及びゼネコンと連携し、都市河川を対象に提案システムの有効性を検証する。

51百万円
(令和3年度~5年度)

宇宙連携拠点形成プログラム

国立大学法人
東京大学

五十嵐 圭日子

バイオ有機素材の宇宙リサイクルシステム開発

2050年のカーボンニュートラルおよび循環型社会の構築に向けて、バイオ素材の高度な利用が望まれている。本提案では、限られた資源でどのように有機素材を作って利用し、リサイクルをするかという観点で、生物による有機素材作りを行う。環境性能に優れたバイオ素材の酵素合成及び微生物合成を微小重力下で行い、得られた素材の性質を詳細に調べることで、全く新しい水系反応場におけるバイオ素材生産の可能性を試すことを目的とする。現状、多くのバイオ素材は水に対する比重の大きさから、水系では沈澱を作りながら不均一な反応が起こるのに対して、微小重力下では均一で力学的強度が優れた素材生産が可能となる。そのようにして得られる新規素材は、宇宙船内で循環型素材として用いられるだけでなく、それらの性質に関する情報は新しい素材産業への応用が期待される。

98百万円
(令和3年度~5年度)

宇宙探査基盤技術高度化プログラム

国立大学法人
福井大学

青柳 賢英

(基盤技術2: 衛星実装のためのインテグレーション技術・その他主要システム技術の開発)
月面・月周回軌道宇宙機への測位・IoT通信サービスを提供する超小型衛星

今後の月探査の初期段階では、月宇宙機への測位・通信等のインフラ・サービスが整っていないことが想定される。そこで、本研究課題では、ローバー、観測器、月周回衛星などの「月宇宙機」への「測位およびIoT通信」のサービスを提供する6Uサイズの超小型衛星(月周回軌道に複数機投入されるサービス機)のインフラ構築を目指す。月宇宙機への測位サービスを提供するシステムの設計と測位手法の検討、月周回サービス機・月宇宙機間で利用可能な超小型測位信号送信機・受信機の開発・地上実証、月周回サービス機・月宇宙機間で利用可能な超低出力のIoT通信装置の開発・地上実証を行う。これらを踏まえ上記のミッションが可能な6U超小型衛星(月周回サービス機)の設計とEMの開発を行う。

140百万円
(令和3年度~5年度)

国立大学法人
京都大学

松岡 彩子

(基盤技術3: 国際競争力のある汎用ミッション機器の開発)
周回衛星による月・惑星起源粒子計測パッケージの開発

月・惑星周回衛星に搭載し電磁場環境及び月・惑星起源粒子を計測する、磁場・電場・中性粒子・イオン計測のための小型軽量パッケージの開発を行い、将来の小型探査機による月・惑星探査で使用できる、小型軽量かつ高精度の計測器を実現する。基本波型直交フラックスゲート、軽量で高剛性の炭素繊維素材、3回反射型リフレクトロン、3次元イオンドリフト速度測定等、高性能と小型軽量を両立させる独創的な技術開発を行う。製造したモデルは宇宙環境耐性の実証試験を行う。

130百万円
(令和3年度~5年度)

「人文社会×宇宙」分野越境人材創造プログラム

学校法人
東京理科大学

向井 千秋

(プログラム1: 宇宙教育コンテンツ活用人材育成プログラム)
探究学習向け「宇宙教育プログラム」の開発と実践

主体的・対話的で深い学びに基づく中高生向けの宇宙教育教材・カリキュラムを開発、実践できる大学院生・大学生を育成する。宇宙飛行士や宇宙分野の研究者・技術者らが持つリーダーシップや柔軟な思考、的確な判断力等の基本姿勢や思考パターンを宇宙教育プログラム指導要領として定式化する。これをもとに、学生に探究学習向けの宇宙教育コンテンツを開発、実践させることで、将来、教育現場で「宇宙で学ぶ」ことを通じて「生きる力」を育む教育ができる人材へと導く。また、コンテンツは、総合的な学習(探究)の時間や課外活動で活用できる教材として普及させ、文理の枠を超えた宇宙教育の浸透を目指す。

57百万円
(令和3年度~5年度)

国立大学法人
東京大学

小林 博樹

(プログラム2: 宇宙ビジネス国際展開人材育成プログラム)
環境音と衛星画像を用いたヒマラヤ山岳地帯の野生動物保全・犯罪対応の拠点形成

世界税関機構 (WCO) と国際刑事警察機構 (ICPO) は世界各国で発生する野生動物犯罪対応を行っている。環境音と衛星画像を用いたヒマラヤ山岳地帯の野生動物保全・犯罪対応の拠点形成を目的とする。これは野生動物犯罪の被害が著しいネパールを対象とし、日本の宇宙開発の国際的な利用を通じて人材育成することを目指すものである。具体的には、(A) 野生動物保全・犯罪対応の情報処理基盤の開発、(B) 現地関係機関等との合意形成、(C) 人文社会分野の人材教育とシナリオ構築を実施する。成果目標は、(A) モニタリング方法の開発、(B) 合意形成数の維持と増加、(C) 空間的思考を身に付けた人材の輩出である。そして日本国内の学生に向けた国際交流活動も行う。

60百万円
(令和3年度~5年度)

国立大学法人
京都大学

嶺重 慎

(プログラム4: その他)
倫理学を基盤とした宇宙人材育成プログラムの開発と実践

近年、民間の参入により人類の宇宙進出が本格化した。これに伴い既存の知見では対応することが難しい倫理的・法的・社会的問題が生じている。本プログラムは、それらの問題に対して倫理学を基盤に解決することができるような人材育成を目的としている。講義は宇宙や倫理学の基礎知識を理系・文系を問わず履修することが出来るように構成する。演習では、例えば「宇宙資源の分配」といった実践的問題を用いながらクリティカルシンキングのスキルを磨く場を提供する。専門研究においては、学生が自ら選んだテーマを考究し判断する力や発表する力を涵養する。本プログラムによって育まれた人材を社会へ送り出し、宇宙開発のさらなる発展を目指す。

52百万円
(令和3年度~5年度)

 

令和2年度

令和2年7月13日  令和2年度宇宙航空科学技術推進委託費の採択課題の決定について
提案件数:29件(うち宇宙航空人材育成プログラム8件、宇宙利用技術創出プログラム6件、宇宙探査基盤技術高度化プログラム15件)

令和2年2月20日  令和2年度宇宙航空科学技術推進委託費 公募
公募対象プログラム(採択予定件数):宇宙航空人材育成プログラム(2件程度)、宇宙利用技術創出プログラム(1件程度)、宇宙探査基盤技術高度化プログラム(2件程度)

委託先

研究代表者

課題名

概要

予定総事業費
(実施年度)

宇宙航空人材育成プログラム

独立行政法人国立高等専門学校機構
新居浜工業高等専門学校

若林 誠

継続的な超小型衛星開発・運用を通した次世代の高専型宇宙人材育成

国立高専6校が連携して、超小型人工衛星の開発と運用を題材とした次世代の高専型宇宙人材教育プログラムを整備し、基礎教育から衛星開発・運用に至るまでの一連の流れを習得した人材の輩出を目指す。具体的には(1)高専スペースアカデミアによる高専型宇宙教育、(2)全国高専「宇宙コンテスト」によるミッション企画&ものづくり力育成、(3)KOSEN衛星シリーズの開発・運用を通した実践力育成のための教育プログラムを企画し実施する。

48百万円
(令和2年度~4年度)

国立大学法人
東海国立大学機構

砂田 茂

空飛ぶクルマ産業界構築のための人材育成プログラムの提案と実践

我が国が空の移動革命を実現し、空飛ぶクルマ産業の国際的イニシアティブを獲得するため、「航空安全技術」及び「認証技術」と、それらが世界的に認められるために必須となる「飛行試験技術」に関する感覚と知見を有する人材育成を目指す。そのために、(1)安全技術・認証技術に関する講義、(2)空飛ぶクルマ周りの環境状況(騒音)に関する実習、(3)飛行試験技術に関する講義・実習から構成される教育スキームを構築する。

26百万円
(令和2年度~4年度)

宇宙利用技術創出プログラム

国立大学法人
鹿児島大学

後藤 貴文

過疎地活性化のための地球観測と高精度測位による放牧地と放牧牛をモニタ可能な自動飼養システムの構築

中山間地域や離島などの過疎地の活性化を念頭に、放牧地の適切な活用や放牧牛の状態に応じた補助飼料供給や遠隔飼養を可能とし、牛肉生産の省力化に寄与するため、人工衛星による地球観測や高精度測位から得られるデータを活用して放牧地の状態や放牧牛の行動履歴や運動量をモニタリングする今後の5G通信も見据えた自動飼養システムを構築する。草肥育でも牛の産肉性を飛躍的に向上させる代謝プログラミング技術を活用するとともに、農業法人との連携のもと、実際の耕作放棄地と放牧牛を対象に本システムの有効性を検証する。さらに将来的にニーズ探索により国内及び海外に普及するシステムとする。

60百万円
(令和2年度~4年度)

国立大学法人
山口大学

長井 正彦

衛星コンステレーション時代のAI画像解析のためのキャリブレーション手法の開発

衛星コンステレーションを利用するには、センサー毎の特徴、衛星毎に違うバンドの波長域、大気の状態による見え方の違いなどを理解して教師データを作成し、様々な機械学習の手法を検討する必要がある。本委託業務では、衛星コンステレーション時代におけるAI画像解析のためのキャリブレーション手法の開発を行う。具体的には、軌道上の衛星の特性評価やチューニングを実施するための地上キャリブレーションサイトとして校正サイト(評価パターンとミラーアレイ)と既存の地物によるターゲットサイトを構築し、機械学習のための新たな共通データ基盤の開発を行うことで、膨大に提供される衛星画像のAIによる自動処理を可能にすることを目指す。

33百万円
(令和2年度~4年度)

宇宙探査基盤技術高度化プログラム

国立大学法人
東京大学

小泉 宏之

超小型探査機の大電力化時代に向けた統合「水」推進系の発展

現在、小型機による宇宙探査がはじまっているが、いずれも主探査機の打上げに依存し、「機会」や「行先」を選べず小型機の利点を活かせずにいる。この状況を打破するため、静止軌道圏から月以遠に航行するための推進系が必要とされている。東京大学が有する小型推進系の知見・技術と、株式会社Pale Blueの有する技術力・開発力を合わせ、「水」を推進剤とする推進系を開発することにより、超小型探査機による深宇宙探査を加速させ、持続可能な宇宙開発・利用を目指す。

75百万円
(令和2年度~4年度)

国立大学法人
九州工業大学

趙 孟佑

地上発の電波測距信号のオンボード処理による超小型探査機の軌道決定技術の開発

特殊な地上系がなくとも大学等の研究者が自力で月探査を行えるように、超小型探査機に適した軌道決定技術の実現を目的とする。複数の直径数メートルのアンテナから出された測距信号を、市販品を組み合わせた安価で小型の測距機器を使って探査機側で受信し、オンボード処理で軌道要素を決定する技術を開発する。そのために、地球低軌道周回のCubeSatを使った概念実証、軌道上実証用機器の製作、超小型探査機コミュニティの形成を行う。

75百万円
(令和2年度~4年度)

 

終了した採択課題はこちら
 

参考:審査評価会委員名簿

主査

張替 正敏

前 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
理事 兼 航空技術部門長 兼 研究開発部門長

 

赤松 幸生

国際航業株式会社上席フェロー

 

稲富 裕光

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所教授

 

栗田 佳代子

東京大学大学院教育学研究科教授

 

神武 直彦

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授

 

小林 訓史

東京都立大学システムデザイン学部機械システム工学科教授

 

新谷 美保子

TMI 総合法律事務所 パートナー弁護士

 

続橋 聡

新むつ小川原株式会社取締役常務執行役員・企業営業本部長

 

平子 敬一

東京大学大学院工学系研究科特任専門員

(五十音順(主査を除く)、敬称略、令和5年6月現在)

※書面審査は専門ワーキンググループにて別途実施

(研究開発局宇宙開発利用課 宇宙航空科学技術推進委託費事務局)