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中央教育審議会大学分科会将来構想部会

2002/05/23
中央教育審議会大学分科会将来構想部会(第10回)議事要旨

中央教育審議会大学分科会
将来構想部会(第10回)議事要旨

1   日時    平成14年5月23日(水)16時〜18時
   
2   場所    文部科学省分館特別会議室201,202
   
3   議題
  (1)大学等の設置認可の望ましい在り方等について
(2)その他
   
4   配付資料
 
資料  1       ヒアリング資料(日本私立大学団体連合会)
資料  2       ヒアリング資料(日本私立短期大学協会)
資料  3       ヒアリング資料(公立大学協会)
資料  4       「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」(中間報告)に対する団体の意見の概要
資料  5       「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」(中間報告)に対する団体以外の意見の概要
資料  6       大学分科会の今後の日程について
   
参考資料  1   中央教育審議会「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」(中間報告)に対する各団体の意見
参考資料  2   関連新聞記事
   
(机上資料)  
 
  「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」「大学院における高度専門職業
  将来構想部会関係基礎資料
  大学設置審査要覧
  高等教育関係基礎資料集
  大学審議会答申・報告集
  中央教育審議会答申「大学等における社会人受入れの推進方策について」
  文部統計要覧
  教育指標の国際比較
   
5  
出席者   (委      員) 高倉  翔(副部会長),中嶋嶺雄の各委員
(臨時委員) 天野郁夫,荻上紘一,黒田壽二,関根秀和の各臨時委員
(専門委員) 青山善充,越原一郎,鈴木  忠,中津井泉の各専門委員
(有識者) 菅野卓雄,川並弘昭,山内昭人
(委任状出席) 吉川弘之(部会長),石  弘光,島田Y子の各委員
(文部科学省) 御手洗文部科学審議官,工藤高等教育局長,石川私学部長,板東高等教育企画課長  他
   
6   議事
 
(1) 事務局から資料について説明があり、その後「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(答申)案」について、各関係団体からのヒアリング及びヒアリング内容に関する質疑応答を行った。

(○:委員,□:説明者,●:事務局)

1 日本私立大学団体連合会
(1) 菅野卓雄教育改革委員会委員(東洋大学理事長)より資料に沿って説明が行われた。
(2) 質疑応答

  学位の分野表示が大学の判断に任されている現状に合わないという理由で、学位を中心とした設置認可に反対されているのだと思う。しかし、国際的動向として学位が中心なので、現在の我が国の大学の学位の自由な表示が今後問題になってくるのではないか。

  必ずしも学位を中心とした設置認可に反対というわけではない。日本の大学の学位は、従来は理学士や工学士等のように決まっていたが、現在は学士(工学)や学士(理学)である。アメリカの大学の学位は例えばEngineering-Physicsのような表示がされており、1つの学問分野ではあるが学部名称ではなく、必ずしも学科名称でもない。学位名称により学修内容を知らせるのであれば、その内容を的確に表現できるものがよいだろう。学問の進歩に伴い、学問分野や学科編成が変わる可能性があるが、日本の大学では一つの学部内で新分野を教育する場合、設置認可の対象になる。それは、学問の進歩を阻害し、新しい教育プログラムを作る上での障害になりかねない。例えば、理学、文学、工学等のような従来使われていた学問の範囲内では学位名称を届出で変更可能とすればよいのではないか。

  学位や学部名は戦後すぐの頃は限定的だったが、現在では大変多様化している。中間報告では、設置認可を緩和し事後チェックを重視するということで、今までの組織に着目した認可体制から学位に着目しようとしている。この部会でも、大体認可した範囲内の学位であれば各大学の自由に任せたらどうかというご意見もある。他方、同一学部内で学科を自由にする場合、旧来の理学部、工学部等の伝統的な学部であればよいが、総合科学部等のように非常に広い範囲の学部名を冠した学部の取扱いを考慮いただく必要があるだろう。例えば、医師・歯科医師養成は若干制限的にしているが、医師養成を行っていた医学部で看護学や薬学養成まで範囲が広がると、認可当時は確認の必要がなかったファシリティーが揃っているか等の問題が出てくる。それを大学の自由だと踏み切れるのか。学部のイメージの多様化についての対応に関しても伺いたい。

  新たな分野に必要な新しい施設や設備、教員組織等を伴わずに、当初設置したものから進出すると、明らかに教育研究の質が落ちる。その場合には、第三者評価でチェックができるので、歯止めになるのではないか。

  第三者評価制度の導入に関して、「複数の評価機関を設置し、多角的な評価を行わねばならない」と、「私立大学の評価を強制しないこと」という意見との関連を伺いたい。また、評価機関の評価を公共の場に求めるという意味をもう少し具体的に教えていただきたい。

  国が設置した評価機関において、私立大学が自ら望んで評価を受けることは問題がないが、私立大学が評価を受けることを必須にすべきではない。評価には様々な判断基準があるので、複数の評価機関を設置し多角的な評価を行う必要がある。1つの大学が様々な機関から評価を受けるのが好ましい。評価機関の評価を公共の場に求めるべきだという意味は、評価委員の自己責任も求めるべきということだ。評価機関の評価が絶対的な権威を持つのは好ましくないので、認証基準に従って行われているかどうかはパブリックに判断されるべきだ。

  外国人や外国の評価機関の参加等については、この部会でも適格認定の基準や機関の国際化等について議論し、中間報告でもe-Learning等を含めた大学の質の保証に係る国際的な情報ネットワークの構築等に関して幅広に記述している。

  本来の意味での国際化を考えると、外国人の参加を排除するのは、鎖国的だと思う。

2 日本私立短期大学協会
(1) 山内昭人常任理事(香蘭女子短期大学理事長)より資料に沿って説明が行われた。
(2) 質疑応答

  既設の学科の教員組織を基にする同種の分野の学科への改組については届出にするという主張と、短期大学の準学士という称号を学位に位置付けようという二つの思想に整合性があるのか。準学士の学位化の問題は、将来構想部会の範囲内なのか。

  既設の学科の教員組織を基にした同種の分野への改組は認可であるが、実質的には届出の形で処理されているので、既存の教員の3分の1以上を編成して改組する場合には、届出でよいのではないか。学位の問題は将来構想部会の範囲外かもしれないが、中間報告で学位の分野の問題を議論されているので、準学士の学位化にお力添えいただきたい。

  準学士の学位化については、この部会の委員からも要望が出ている。法令違反状態の大学に対する是正措置に関して、一部をもって全体に措置が及ぶことについての懸念が大変強いようだが、大学の中の一部の学部等における違法状態をもって大学自体が閉鎖されるという事態を招くことのないよう配慮する。

  私立学校としては、校地・校舎の基準面積を下げることは教育上よくないし、また財政上も将来的に圧迫を与えるおそれがあるが、今の基準でよいのか。国が評価機関を認証するのだが、評価機関への支援と評価を受ける側の費用の問題があると思う。

  短期大学の校地については、それほど圧縮しなくてもよいのではないか。あまり圧縮すると専門学校のようになると思う。第三者評価は受益者負担でするべきだ。評価を受ける側に対して国が補助し、評価の経費は評価を受ける所が出すべきだろう。

  第三者評価を受ける大学や短期大学への支援も考えていただきたい。

  自己点検評価と第三者評価は基本的に相入れないものだと思う。

  短期大学基準協会は自己点検から始め、客観性を高めるために相互評価制度を取り入れている。自己点検評価が手前勝手にならないようにするための第三者評価を想定している。

3 公立大学協会
(1) 荻上紘一監事(東京都立大学総長、将来構想部会臨時委員)より資料に沿って説明が行われた。
(2) 質疑応答

  事後チェックシステムの構築に一定の展望が得られるのと相まって、事前規制の緩和をすべきだというのは、そのとおりだと思う。法令違反状態の大学に対する是正措置について、第三者が客観的な立場から継続的にチェックして、違法状態にある組織に対して改善勧告、改善命令等を発動できる仕組みを導入する必要があるという意味が分かりにくいが、この第三者が第三者評価機関であれば、文部科学省の下請機関になるのでよくない。大学の質の保証に関して、質の高い教員の確保と、教育がその教員の絶えざる研究に依拠していること、納税者の理解を得られることとされているが、これは従来型のオーソドックスな大学像ではないか。新しい大学像は研究と切り離した教育にもっと配慮するのではないか。研究とは切り離して、教員が自分の教育のスキルを上げながら教育に当たるということが、今後の大学の質の向上にとって重要ではないか。

  十分な熱意を持って教育に取り組むことは必要だが、そのためには教員がここで述べているような必要条件を満たしていなければ無理であろう。

  法令違反状態の部分の「第三者」を、第三者評価機関とさせていただいてよいか。

  結構だが、これは第三者評価機関が改善命令を発動するという意味ではない。あくまでも評価機関は評価をする機関である。

  情報公開に関して、現状では募集定員は公表されているが、合格者数や入学者数のような基本データさえ公開されていないというのは、文部科学省からという意味か。

  個別に情報公開をしている大学はあると思うが、受験生が一目見て全国の状況が分かるような形では合格者数や入学者数等のデータは公開されていない。受験生がそういった基本的なデータすら簡単には入手できないという状況を指摘した。

  規制が緩和された場合に、私立大学が大都市に集中するだろうという予測があるが、公立大学としてはそれをチャンスだと考えているのか。それとも、規制の緩和でアンバランスになるのは困ると考えているのか。

  チャンス到来だと考えている。

4 全般についての審議
      
  設置基準の改正によりそれに伴う規制策が同時に廃止されるが、それについてご意見を伺いたい。

  大学の都市への集中を規制という形でコントロールするのは、好ましくないと考える。私立大学が大都市に集まり、地方からなくなる状態を想定すると、地方在住の方にとって高等教育を受ける機会を失わせることになる。それは日本の高等教育のあり方が問われるので、まず高等教育の本来あるべき姿について先に考えるべきだ。日本において、大都市集中の傾向があるのは、大都市と地方との格差が厳然としてあるからであり、その意味では大学だけの問題ではなくライフスタイルとの関わりもあるだろう。今後教育の手段が変化すると思われるので、将来的に大都市に私立大学が集中するかどうかは、即断できない。従って、私立大学の大都市への集中を規制という形で排除すべきではなく、高等教育のあり方を策定し、ライフスタイルの変化や教育手段の変化も念頭に置いてその上で考える必要がある。次の世代にとって最も望ましい教育に関しては利用者の判断に委ねるべきだ。

  大都市の抑制を撤廃すると地方の短期大学は悲惨な状態になるおそれがあり、大都市の短期大学はこれまで抑制されてきたことにより時代の変化等に対応できなくなっているので、撤廃の方向が望ましい。地方の短期大学の希望としては、抑制や撤廃ではなく、高等教育の均衡ある発展を考えて抑制を徐々に緩和していくことである。大都市の短期大学は、これまで抑制されてきたために校地校舎も入手できない状態だったので、撤廃を望んでいる。

  私立大学が学位に関して非常に慎重な姿勢だが、これまでのものを緩和する程度でよいのか。国際的には学位に主体を置くことになっているが、そこをどう考えるのか。

  基本的には、学位を基準にして考えることについて賛成である。日本の大学の場合には、大体は学部単位で学士の学位名称が決まっているが、将来的に細かい分類になってくる可能性がある。その場合、新しい分野の進展に対して上手く対応できるかという危惧の念は若干あるが、学科という組織よりは学位を対象にして考えるのがよいのではないか。

  第三者評価に対して、評価を受ける大学側としてどのようなイメージを持っているのか。ここで言う第三者評価は、1つの組織体としてある大学を評価し、専門分野としてある学部を評価するものだ。更に各々の学位課程の評価まで入ってくると、かなり複雑な仕組みを考えなくてはならない。そのために多様な評価機関が必要で、その度にコストがかかる仕組みになると思われるが、議論の中では具体的なイメージがまだ確立されていない。

  従来大学基準協会等で行っている相互評価は機関評価なので、学位の問題や届出制への移行等に関しては、大学の利用者の目は厳しいだろう。学位課程や教育課程についてのプログラム評価が行われるべきで、大学の質の評価を考えた場合にはプログラム評価が重要な役割を果たすだろう。プログラム評価は、細かい専門分野に分かれて行われるので、評価機関は相当数になるのではないか。工学関係ではJABEEがスタートしているが、それも1つの試みである。

  アメリカの専門分野別のプロフェッショナル・アクレディテーション・アソシエーションの数は幾つあるのか。

  48分野で49団体でやっている。地域別のものは6つである。

  アメリカの経済学関係のアクレディテーションの認証は非常に厳しく、そのために第2アクレディテーションのアソシエーションを作ろうと努力していると聞いたことがある。多様化は必要だと思うが、そういうアクレディテーションのメジャーやマイナーまでできるのはどうか。多様になるというのは、種類の増加なのか、階層化まで含むのか、その辺りは全く議論がなされていないので、それも含めて議論を深めていきたい。

  学位は10年程前までは博士と修士に限定されており、学士は学位ではなかった。10年前に学士の学位化がなされたが、その時は準学士は称号として位置付けられてきた。しかし、短期大学は大学と同様に国の設置認可を受けており、今回の中間報告でも第三者評価から外されているわけではなく、大学や大学院と同様に第三者評価枠組みの中に位置付けられている。短期の大学として高等教育の中に位置付けていただくために、準学士の学位化は自然の流れではないかと考える。
   
7   次回の日程
  次回は、5月31日(金)に開催の予定である。



(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

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