通常の学級におけるLD・ADHD・高機能自閉症等への教育的支援の充実を図るため、教員養成課程や臨床心理士養成課程を持つ近隣の大学との連携のもと、専門的に研究しようとする大学生・大学院生・内地留学生等を教員補助者として、小・中学校に配置し、学習や生活支援を行っている。
また、大学教員等の専門家による巡回相談を合わせて実施し、一層の効果を得ている。
通常の学級 LD等の児童生徒への支援 教員補助者の配置 専門家による巡回相談 大学との連携
事業の実施に当たり、小・中学校からの申請に基づき、児童生徒の状況や校内体制を見ながら実施校を決定している。実施校数は、平成14年度29校、平成15年度52校、平成16年度58校、平成17年度63校、平成18年度69校(小学校62校、中学校7校)であり、毎年、実施校を増やしている。
平成18年度についてみると、教員補助者は、年間60日間(週2日間)あるいは90日間(週3日間)事業実施校に配置される。教員養成課程や臨床心理士養成課程を有している京阪神間の14大学と連携し、大学生・大学院生等171名が教員補助者の活動に参加している。
専門家による巡回相談は、各校原則年2回実施しており、連携大学の教員等27名に活動を依頼している。巡回相談では、専門家を講師とする校内研修とともに、授業中教室を回ってもらい、児童生徒の観察による一人一人の特性の把握と支援に関わる教職員への指導助言が行われている。
本年度で5年目の事業であるが、実施校へのアンケート(別表参照)によると、集団適応や学習面で、顕著な効果が現れている。
また、配置されている学級に落ち着きが出てきたり、学級経営や指導面でもゆとりが出てきたりするなど、学校全体の支援体制の推進にも大いに役立っている。
大学教員等専門家による巡回指導では、教職員の意識も向上し、個別指導計画の作成やケース会議の実施等コーディネーターを中心とした支援体制の充実につながっている。
教員補助者を配置することで、特別な教育的支援を必要とする児童生徒の支援の在り方を研究し、実践していくことを目的としているが、学校によって推進体制の整備状況に差があり、市全体として体制整備を進めていくことが課題である。また、近隣の各都市において学生等の活動参加による同様の事業が多くなり、意欲の高い学生等の確保も課題となっている。
※ ボランティアは、実費程度の1日3,000円を謝礼としている。
配慮を要する児童生徒の様子 | |||
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集団適応 | パニックが少なくなった | 58校 | 84.1パーセント |
集団から外れることが少なくなった | 57校 | 82.6パーセント | |
教室から出ていくことが少なくなった | 61校 | 88.4パーセント | |
友達と遊べるようになった | 47校 | 68.1パーセント | |
対人関係で改善が見られるようになった | 50校 | 72.5パーセント | |
学習意欲 | 学習に集中して取り組めるようになった | 58校 | 84.1パーセント |
学習に対しての意欲が出てきた | 57校 | 82.6パーセント | |
学習効果 | 読み書きの面で改善が見られるようになった | 50校 | 72.5パーセント |
算数(数学)の面で改善が見られるようになった | 53校 | 76.8パーセント | |
配置されている学級・学校の様子 | |||
学級・学校 | 配置されている学級に落ち着きが出てきた | 61校 | 88.4パーセント |
支援事業に学校全体で取り組んでいる | 69校 | 100パーセント | |
学級経営、指導面でもゆとりが出てきた | 60校 | 87.0パーセント | |
子どもの様子が以前よりよく把握できるようになった | 65校 | 94.2パーセント | |
子どもの見方が変わった | 56校 | 81.2パーセント | |
軽度発達障害について以前より理解できるようになった | 62校 | 89.9パーセント | |
授業の進行がスムーズになってきた | 65校 | 94.2パーセント |
-- 登録:平成21年以前 --