障害のある子供の学びの場については、障害者の権利に関する条約に基づく「インクルーシブ教育システム(参考1)」の理念の実現に向け、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるように条件整備を行うとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据え、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある多様な学びの場の整備を行っています。
【参考1】 障害者権利条約によれば、インクルーシブ教育システムとは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な機能等を最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が一般的な教育制度から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。(中教審初中分科会報告平成24年7月より)
障害のある幼児児童生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること目的とする学校。
【対象障害種】
視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)
小学校、中学校等において以下に示す障害のある児童生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するために設置される学級。
【対象障害種】
知的障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症者・情緒障害者
小学校、中学校、高等学校等において、通常の学級に在籍し、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対して、障害に応じた特別の指導を行う指導形態。
【対象障害種】
言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者
小学校、中学校、高等学校等にも障害のある児童生徒が在籍しており、個々の障害に配慮しつつ通常の教育課程に基づく指導を行っています。
なお、小学校、中学校における、学習障害、注意欠陥多動性障害、高度自閉症等の発達障害の可能性がある児童生徒は6.5%程度の在籍率となっている。
(平成24年に文部科学省が行った調査において、学級担任を含む複数の教員により判断された回答に基づくものであり、医師の判断によるものではない点に留意が必要。)
障害のある子供に対し、多様な学びの場において、少人数の学級編制、特別の教育課程等による適切な指導及び支援を実施しています。
特別支援学校の小学部及び中学部では1学級の児童生徒の数の基準は6人、高等部では1学級の生徒の数の基準は8人を標準として、教育委員会が教員の配置について決定しています。なお、障害を二つ以上併せ持つ児童生徒で学級を編制する場合の児童生徒数の基準は3人となります。
特別支援学級の1学級の児童生徒の数の基準は8人となります。
また、小学校、中学校等で通級による指導が行われている場合、児童生徒13人につき1人の教諭が配置されることとなっております。
障害のある児童生徒の就学先については障害の状態、教育上必要な支援の内容、地域における教育体制の整備の状況や、本人・保護者の意見、教育学・医学・心理学等の専門家の意見等を踏まえた総合的な観点から教育委員会が決定する仕組みとなっております。
就学先の決定に際して、具体的な障害の程度については、学校教育補施行令22条の3及び、障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)をご覧ください。
また、具体的なプロセスについては、就学事務Q&Aをご覧ください。
我が国は、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し合える共生社会の実現を目指しています。
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校(以下「小・中学校等」という。)及び特別支援学校等が行う、障害のある子供と障害のない子供、あるいは地域の障害のある人とが触れ合い、共に活動する交流及び共同学習は、障害のある子供にとっても、障害のない子供にとっても、経験を深め、社会性を養い、豊かな人間性を育むとともに、お互いを尊重し合う大切さを学ぶ機会となるなど、大きな意義を有するものです。
また、このような交流及び共同学習は、学校卒業後においても、障害のある子供にとっては、様々な人々と共に助け合って生きていく力となり、積極的な社会参加につながるとともに、障害のない子供にとっては、障害のある人に自然に言葉をかけて手助けをしたり、積極的に支援を行ったりする行動や、人々の多様な在り方を理解し、障害のある人と共に支え合う意識の醸成につながると考えます。
小・中学校等や特別支援学校の学習指導要領等においては、交流及び共同学習の機会を設け、共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすることとされています。
交流及び共同学習は、相互の触れ合いを通じて豊かな人間性を育むことを目的とする交流の側面と、教科等のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があり、この二つの側面を分かちがたいものとして捉え、推進していく必要があります。
交流及び共同学習の内容としては、例えば、特別支援学校と小・中学校等が、学校行事やクラブ活動、部活動、自然体験活動、ボランティア活動などを合同で行ったり、文通や作品の交換、コンピュータや情報通信ネットワークを活用してコミュニケーションを深めたりすることなどが考えられます。
これらの活動により、各学校全体の教育活動が活性化されるとともに、子供たちが幅広い体験を得、視野を広げることで、豊かな人間形成に資することが期待されます。
また、学校において、交流及び共同学習や障害のある人との交流を行うことは、近い将来に社会を担う子供たちの「心のバリアフリー」を育むだけでなく、子供たちを通してその保護者や活動に関わる関係者の障害者に対する理解を促進し、ひいては社会全体の意識を変えることにつながります。
平成29年2月には、ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議において、2021年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機とし、様々な心身の特性や考え方を持つ全ての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合う「心のバリアフリー」を実現するために、政府が行うべき施策が「ユニバーサルデザイン2020行動計画」として取りまとめられた。本計画では、学校における「心のバリアフリー」の教育を展開するための具体的施策として、各学校において、障害のある人との交流及び共同学習が活性化されるよう、文部科学省及び厚生労働省が中心となり「心のバリアフリー学習推進会議」を設置し、平成30年度以降実施する具体的な取組について結論を得ることとされた。
この会議では、学校における「心のバリアフリー」の教育を推進するため、交流及び共同学習の推進や関係者によるネットワーク形成に関する方策について、平成29年7月から5回にわたり検討が行われ報告を取りまとめた。
さらに、平成31年3月には、「交流及び共同学習ガイド」を改訂するとともに、令和元年11月には、授業等で活用できる「心のバリアフリーノート」を作成・公表した。
特別支援教育に関するデータについては、下記リンク先を御覧下さい。
初等中等教育局特別支援教育課