特別支援教育について

第2章 都道府県・市区町村・学校の取組 個発達障害のある児童生徒を支援する特別支援教育アシスタント 岐阜県

概要

 平成16年度から始めた県単独事業「特別支援教育アシスタント設置事業」は、通常の学級の中で、様々な困難さを有するLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症等、発達障害のある児童生徒に対して、特別支援教育アシスタント(有償ボランティア)を配置し、支援を行うものである。現在、設置要望数は、増加の一途をたどっており、市町村教育委員会と共に、体制整備を行っているところである。

キーワード

 発達障害 通常の学級 特別支援教育アシスタント(有償ボランティア) 資質向上研修

1.事業について

(1)経緯について

 本県では、平成11年度より、緊急雇用創出事業特別交付金を財源とし、発達障害のある児童生徒のための「学校支援員」を配置してきたが、事業縮小に伴い、平成16年度より、新たに、有償ボランティアを活用した「特別支援教育アシスタント事業」を創設することとした。本事業は、「特殊教育から特別支援教育に向けての体制づくり」を進めていく中で、通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒を支援の対象にしていくことが喫緊の課題と考え、全国に先駆けて、制度化を行ったものである。

(2)支援対象児童生徒について

 通常の学級に在籍するLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症等、発達障害のある児童生徒を支援対象としており、各小・中学校長からの要請に基づき、必要度の高いケースから優先配置している。

(3)アシスタント配置数と支援対象児童生徒数について

 初年度である平成16年度は、「学校支援員」との併用であったため、57名の配置であったが、平成17、18年度は、150人配置と増員している。同一校で、複数の児童生徒を支援する場合もあり、18年度実績で、のべ270人を支援対象としている。

2.「特別支援教育アシスタント」について

(1)特別支援教育アシスタントの任用要件について

 特別支援教育アシスタントは、学校職員と協調して、児童生徒に当たることができる者とし、該当学校長の推薦を要する。なお、教員免許など資格は必要とせず、主婦や教職を目指す学生等、地域在住の様々な方に協力してもらっている。

(2)特別支援教育アシスタントの役割について

 発達障害のある児童生徒に、個別的に関わり、通常の学級の中で、仲間と共に学び生活できるように支援する。落ち着きがない時や、特別な配慮を要する際には、担任の指示により、別室での支援を行う場合もある。

小・中学校の通常の学級で学ぶ発達障害のある児童生徒が仲間と共に学び生活できるように支援する有償ボランティア 図

(3)研修について

 本事業を進めるに当たって、アシスタントの資質向上を目指した研修を充実することが必要と考え、平成18年度より、研修を実施している。ボランティアの立場であることを考慮し、任意研修としたが、129名の参加者があった。参加者からは、更なる研修の充実を求める声が多く、研修内容や方法について検討をしているところである。
 ※アシスタントは学生、一般など地域の方で、資格は特に必要とせず、報酬は1回(4時間以内)、2,000円1日続けて行う場合は4,000円とした。週5日間、年間35週以内とした。

3.成果について

(1)関係者の声について

○保護者:「学習に落ち着いて臨むことができるようになって、とても喜んでいます。」「友だちとのトラブルも減り、自分の感情をコントロールできるようになったと思っています。」「自分からがんばろうとすることが増えてきてよかったと喜んでいます。」
○小学校担任:「アシスタントが児童に寄り添うことにより、その児童の落ち着きが出てきただけでなく、他の児童の学習における集中力が生まれ、授業に集団で立ち向かう姿が生まれてきた。」

(2)市町村への波及効果について

 本事業の事業効果を踏まえ、市町村が、それぞれの地域の実情に応じた類似事業を次々と立ち上げ始めており、地域人材の活用が広がりを見せている。

4.課題について

(1)市町村との役割分担について

 本事業は、市町村立の学校への支援であり、本来、市町村教育委員会の役割である。国の財政措置がなされたことも踏まえ、県としての先導的補完的な役割も達成しつつあると考える。今後、市町村との役割分担を検討すると共に、県としては、高等学校への支援など、方向性を見直す必要がある。

(2)地域人材の活用について

 団塊の世代など、地域には多くの人材があり、協力を得る方途を更に考えたい。

-- 登録:平成21年以前 --