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特別支援教育について

第2章 都道府県・市区町村・学校の取組 専門性を有する大学院生によるボランティア活動 東京都府中市

概要

 本市においては、『府中市学校教育プラン21』に基づき『特別支援教育推進計画』を策定し、特別支援教育実施のための基盤づくりを総合的に推進している。
 特別支援教育における大学連携のボランティア活動としては、府中市教育委員会研究協力校・府中第九小学校に、将来、臨床心理士を目指す大学院生を受け入れ、学校現場と大学(白百合女子大学大学院・臨床心理研究室)の相互に大きな成果を上げている。

キーワード

 専門性を有する大学院生 対等の関係(スタッフ) 課題解決型の特別支援教育

1.背景

 学校教育現場で特別支援教育を推進するに当たっては、対象児の把握、障害に基づく指導法、そして、保護者の対応等と、専門的知識と技能が必要である。また、大学において臨床体験は、学問的内容を実践力として身に付ける上でも貴重な場である。
 本市では、平成15年12月、白百合女子大学に申し入れ検討を加え、平成17年度より府中第九小学校を府中市特別支援教育推進モデル校・府中市教育委員会研究協力校として指定し、課題解決型の特別支援教育を推進すると共に、府中市と同大学と連携し基本計画を立て、専門性を生かしたボランティア活動を実施してきた。

2.ねらい

  • 臨床心理を学ぶ学生のアカデミズムを、本校の教育現場に生かし、課題解決の実践に生かすようにする。
  • 大学院生と本校職員及び児童との望ましい関わり方を実践の中から見い出し、組織的な解決をするためのモデルを他校に提案できるようにする。

3.活動計画

  • 全ての活動内容は府中市と白百合女子大学の協定に基づいて行う。大学院生は大学指導教員と校長の指導監督の下で活動する。
  • 大学院の受講単位の1つとして行われる。
  • 前期 5月21日~7月21日、後期 9月29日~1月19日 この他、本校の実情に応じ、大学院生の自主的判断で、この期間の金曜日、及び各種行事・研究授業日等に来校することもある。

その他

  • 府中市立府中第九小学校内では、スタッフの一員として迎え、対応は勤務に準ずる。
  • 大学院生に事故等が発生した場合は、白百合女子大学が担保する。
  • 出席確認は、本校で作成した書式(出勤簿に準ずる)で出席の確認をする。
    ※ ボランティア活動は無償である。

4.活動内容

(1)平成17年度

  • 平成17年度は、白百合女子大学において臨床心理学及び発達心理学を専攻する大学院生が毎週金曜日を中心に3名派遣された。主として軽度発達障害及びその周辺にあると思われる児童の教育活動における教育的・心理的な支援活動を行うことが目的であるが、学校教育のシステムを理解してもらうことと、ありのままの教師の障害児理解を含めた意識の把握が、支援をより効果的にするために必要と考え、全クラスを回り対象児を当初から特定せずに「気にかかる児童」の把握という視点で、児童のグループダイナミクスを含めて観察及び支援活動を行った。
  • 大学院生は毎回の活動記録を作成し、小学校と大学に提出した。大学の指導教員は、隔週に学校を訪問して連携活動の様子を観察するとともに、学校スタッフ、大学院生との協議会を定期的に行い、大学院生のスーパービジョンと活動記録の点検を行った。
  • 年度終了時には、小学校において大学院生と指導教員による活動のまとめの報告と修士論文の発表を行った。

(2)平成18年度

 17年度の成果を生かし、校内体制に位置付け、早い時期より課題解決型の特別支援教育を推進のために府中九小の一員として、下記のように活動を進めることができた。

1.第一期間(5月12日~7月21日)
  • 児童の実態把握・研究協力及びサポート会議への参加。
     5年生から3年生から6年生からふたば学級(心身障害学級)から4年生から2年生から1年生と一巡して観察記録の作成、適宜に担任・特別支援教育コーディネーターとの打ち合せを行う。
  • 中間報告(レポート・発表)7月28日(金曜日)全職員対象に行う。
2.第二期間(9月8日~12月22日)
  • 授業支援、相談活動、特別支援教育研究協力及び研究授業におけるサポート会議への参加。
  • 3人が集中的に関わる学級の選定を行い、観察記録の作成を行う。
  • 10月13日(金曜日)府中市教育委員会研究協力校・研究発表会(本校)に協力する。
3.第三期間(1月12日~1月26日)
  • 本年度の活動を集約するために、特別支援教育コーディネーター等と打ち合せて、対象児のクラスへ入り活動する。
  • 最終報告(レポート・発表)3月26日(月曜日)13時~全教職員対象に行う。

5.成果と課題

  • これまで大学生等の派遣は、あくまでも小学校の教育活動の補助的な役割としてのボランティアが多かった。しかし、児童に主体的に関わる専門性を有する大学院生の派遣は、小学校教職員と対等の関係(スタッフ)の中で行われる高度なボランティア活動となった。
  • 小学校教職員は、大学院生が入ることにより、観察の視点や記録のとり方また指導教官による専門性の高いアドバイスから学ぶことができた。その成果として、児童理解や指導法、更には課題解決の方法等に自信をもって対応することができるようになってきている。
  • 今後の課題として、大学院生の派遣が1年であること、また、どこまで教職員と共同・協力できるか、大学院生の実力レベルと責任、関わる時間的制約等が浮き彫りにされた。
  • 専門領域が異なることにより、1つの現象に対しての見方や対応の方向性が異なる場合があった。このことは真剣に児童の課題解決に取り組む双方にとって当然のことであり、重要なことである。しかし、現実には時間的にも、相互理解の場の確保の面でも制約があり、まだ隔たりのある場合がみられた。今後、管理職・担任教師・養護教諭・まなびの学級担任(通級制情緒指導教室 ※東京都の呼称)等の関係者と大学院生及び指導教員とのより緻密な連携により、教育と心理の領域が専門的知識や経験を率直に出し合って、課題解決型の特別支援を進めていきたいと考える。

-- 登録:平成21年以前 --