板橋区教育委員会では、大正大学人間学部人間福祉学科と連携し、臨床心理学専攻の学生を板橋区立学校に派遣していただいている。各学校に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒に、学校と協議して、個別の学習支援をはじめ相談や観察等を、臨床心理学の専門的な知識を活用し、大学の教授とも相談しながら、担任教諭や関係職員と共通理解のもとで実施している。
専門的な知識 フレンドリースタッフ 配慮を要する児童生徒への支援 特別支援教育との関わり
フレンドリースタッフは、各学校に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒に、臨床心理学を専攻している学生の専門的な知識を活用し、学校と協議しながら、支援を行うボランティアである。学級担任との打ち合せや、その日の活動などを毎回記録し、児童生徒の変容や支援の効果を的確に把握し、次の支援に生かすようにしている。これらの記録は、特別支援教育を行う上での基礎的な資料になると共に、学級経営を行う学級担任にとっても十分に参考になるものである。
区立小学校への派遣については、概ねADHD(注意欠陥多動性障害)、広汎性発達障害(自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群)、または学習障害等の児童の支援を行う。1週間に1日程度であるが、対象児童につきっきりで支援を行うため、子どもとの信頼関係を築きやすく、児童の言動の観察やその記録から、どのような支援が適しているかを、学級担任や養護教諭、管理職と協議しながら方針を決めていく。また、教室から出て行ったり、パニックに陥っていたりした子どもを、別室で落ち着くまで話を聞いたり、一緒に行動して心の安定を図ったりすることにより、この間、学級担任は担当学級の指導に当たることができ、円滑に授業を進めることができる。その結果、対象児童だけではなく、他の児童も落ち着いて学習に取り組むことができるので、フレンドリースタッフの導入による効果は大きいものがあると捉えている。
区立中学校への派遣については、概ね不登校傾向の生徒への支援を行うことが多い。保健室や別室に登校し、教室に入ることができない生徒に、学習支援や話し相手になることで心の安定を図る。また、これらの生徒と一緒に学校生活を送る中で、子どもたちの相談相手になったり、スクールカウンセラーと連携してカウンセリングを行ったりする。その後、校内の教育相談部会等へ報告し、校内で共通理解を図りながら生徒の支援を行う。このようにして思春期の発達段階特有の悩みや不安等を抱える子どもたちに、積極的に関わることで不安を和らげる役割を果たしている。これらの活動から、子どもたちが、1日1~2時間程度ではあるが、教室に入ることができるようになった事例も報告されている。
区立小学校での相談支援
区立中学校での個別支援
来年度から本格的に実施される特別支援教育については、校内委員会とともに巡回指導・相談員が各学校の特別な配慮を必要とする児童生徒の支援を行っていく予定である。フレンドリースタッフは、巡回指導・相談員と同様、特別な配慮を必要とする児童生徒について、学校が作成する個別の指導計画をもとに支援を行っていくことになる。
-- 登録:平成21年以前 --