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特別支援教育について

第2章 都道府県・市区町村・学校の取組 学習支援ボランティアによるLD等への支援の実際 福島県

概要

 福島県では、平成18年度より、ボランティア登録者対象のボランティアセミナーにおいて、「LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒の理解と支援」についての講習を行い、さらに1,050名の学習支援ボランティアに研修を行った。研修を受けた学習支援ボランティアの中から、実際に「個別支援のボランティアを行ってみたい」という希望者による小・中学校でのLD等への個別支援を開始した。県内7教育事務所及び市町村教育委員会のボランティアコーディネーターが学校からの個別支援の依頼を受け、学習支援ボランティアを学校へ派遣している。

キーワード

 個別支援ボランティア ボランティアセミナー 小・中学校におけるLD等への支援 ボランティアコーディネーター

1.学習支援ボランティア派遣までの流れについて(A市)

A市では、LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒支援のために「個別支援ボランティア」を小・中学校に派遣している。派遣の手続きは次のとおりである。

  1. 学校から地域教育課生涯学習係指導員(A市教育委員会)へ派遣要請
  2. 地域教育課生涯学習係指導員は、ボランティアコーディネーターとして、学習支援ボランティア登録者の中から、LD等の児童生徒の個別支援の経験者又は希望者の中から派遣
  3. 「個別支援ボランティア」は、学校と連絡を取り、事前打ち合せ等を行ってから支援開始
    ※ ボランティアは学生、大学院生、一般、地域の方で資格は必要としない。無償。

図 学習支援ボランティアの派遣
図 学習支援ボランティアの派遣

2.「個別支援ボランティア」の支援事例から

(1)支援対象児童の様子

 小3年男子。落ち着きがなく、授業中の離席が多い。担任一人ではどうしても指導に難しさがあった。校内委員会によるケース会議では、授業中の個別支援と離席時の個別支援が必要であると判断されている。

(2)支援の実際

  • ア 本事例での「個別支援ボランティア」のBさん(主婦)は、県教育委員会主催のボランティアセミナーで「軽度発達障がいについて」の講義を受講した後、更に自らインターネットや書籍で「軽度発達障がい」についての事前学習を行ってから、学校の支援に入っている。
  • イ 学校との打ち合せでは、「離席した時に、対象児童の支援をしてほしいこと」「授業中に個別支援を必要としている時に対応してほしいこと」「対象児のみならず、他の児童も支援を必要としている時には対応してほしいこと」が校長より伝えられた。
  • ウ Bさんは、実際に個別支援ボランティアとして学級で支援に入ってみると、支援を必要としている児童が、「授業中にどのようなことで困っているのか」「授業の中でどのような支援が必要なのか」が、よく分かってきた。Bさんは、支援を必要としている児童が落ち着かなくなる時間を観察し、支援が必要な時間と具体的な支援内容を支援タイムテーブルとして作成し、支援に当たっている。
  • エ 具体的な支援としては、1授業中にノートを取ることができない時などは、ボランティアがノートを取っておき、放課後や休み時間等にノートを書かせる、2作文が時間内に書くことができなかった時など、放課後に個別支援を行って完成させる、などの支援を行っている。
  • オ Bさんは、支援を必要としている児童が集団の中で困っている姿を見ると何とか支援をしてあげたいと感じ、支援を通して対象児童ができなかったことができて嬉しそうな顔をする姿を見るとボランティアとして喜びを感じている。
  • カ 当初は、午前中のみのボランティアであったが、Bさんは、支援を必要としている児童のことを考えると午前中で帰ることができなくなり、実際には午後も支援を行っている。
  • キ Bさんは、支援を必要としている児童への具体的な指導方法について、担任に提案したいと思う内容もあるが、ボランティアという立場から、それをどのようにして担任に伝えたらよいのかという悩みも出てきている。

3.学習支援ボランティアの効果的な活用に向けて

(1)学習支援ボランティア活用の可能性について

 学習支援ボランティアとして個別支援に入ったBさんは、支援の難しさは感じるものの、自らの支援で支援を必要とする児童が学習を理解できるようになった姿を見て、充実感と喜びを感じている。担任、保護者、個別支援ボランティアが児童の変容した姿をみて、喜びを共有することができる関係を作っていくことが、今後学習支援ボランティア活用のためには有効である。また、学習支援ボランティアに、LD等の理解に関する研修を実施することで、地域における特別支援教育の理解啓発にも繋がり、大変有効であった。

(2)校内委員会の運営方法について

 特別支援教育コーディネーターが調整役として、担任のみならず、実際に支援に当たった個別支援ボランティアをも交えたケース会議を行うことで、支援を必要としている児童への具体的な支援策や担任自身の障害観や児童の見方の変容も含めた指導方法の変容も期待できる。

4.広域連携協議会へのボランティアコーディネーターの参画について

 A市では、幼稚園からの個別支援ボランティアの派遣依頼も多く、ボランティアコーディネーターとしては、保健師等との連携の必要性も感じている。今後、ボランティアの積極的活用を進めていく上では、ボランティアコーディネーターと関係機関との連携が必要である。広域連携協議会等にボランティアコーディネーターを参画させていくことが有効である。

-- 登録:平成21年以前 --