特別支援教育について

京都府 京都光華高等学校成果報告概要

1.研究課題
 個のニーズに応じた教育を組織的に展開し、将来展望を見据えて進路実現を図る。
 発達障害のある生徒に対して、キャリア教育の基礎的・汎用的能力を身につけるため組織的な支援を行うための、相談体制・授業・学級づくりを行う。

 

2.研究の概要
○1校内体制の整備
 校内委員会設置、スクールカウンセラー・特別支援員・特別支援コーディネーター・フリールーム担当者配置、校内相談体制の確立
○2特別支援を要する生徒の把握
 「気づきのシート」の活用、授業ノート、テストの答案用紙等から生徒の把握を行う。
 焦点化生徒の支援計画のもと、ケース会議を経て支援の手立てを共有する。
○3わかりやすい授業の実際
 ユニバーサルデザインを意識した授業(見通しを持たせ、視覚的に示す)、ICTを活用した授業の工夫(電子黒板・書画カメラ・タブレットPC)を行う。
○4キャリア教育の計画と実践
 職場体験、職業体験セミナー、就職対策講座、光華カタリ場、講演会等を行う。
○5特色あるカリキュラム
 礼儀マナー・秘書・フードデザイン・伝統文化・京都造形芸術大学連携授業(対話型鑑賞など)支援を要する生徒に効果的に活きると考える。
○6別室登校(FR)の取り組み
 心因性のある生徒が教室へ入るためのステップ段階としての居場所。キャリア教育指導自己理解・職場チャレンジ体験、SST、適性検査、特別授業の開設を行う。
○7放課後個別学び教室
 学習支援を目的に週2回放課後に実施。タブレットPCを活用する。
○8高大連携
 内部進学生徒の情報を共有する。(必要な生徒の個別支援記録にて、支援の継続を行い退学の未然防止に繋げる。)
○9担任、部長等による、きめ細かな面談
 「気づきシート」を活用し個別面談。(自己理解、ソーシャルスキルを身につける)
 「進路志望調査」を毎学期行い、それをもとに面談し将来展望を持たせる。
○10関係機関との連携
 若者サポートステーション、児童相談所、光華大学Coセンター、主治医、京都府・市相談センターなどと連携を取る。
○11校内研修の充実
 ユニバーサルデザインを意識した授業をするために「電子黒板」「書画カメラ」「タブレットPC」の使い方の研修をはじめ、日常の授業のあり方の研修や思春期の発達障害(特に女性の場合)について学ぶ事例研修及び支援のあり方の研修

 

3.研究成果の概要
・校内相談体制を確立し、一方向からでなく校内全体で支援できる体制ができてきた。
・「気づきのプリント」を活用することで、生徒の困り感を全教員が同じような視点で見ることができるようになった。
・ユニバーサルデザインを意識した授業として「見通し」を持たせることから始め、今年度は、ICT(電子黒板・書画カメラ・タブレットPC)を活用し、より視覚的に示す授業を心がけ生徒たちの集中にも繋がった。今後も継続して研究していく。
・キャリア教育に繋がるカリキュラムとして、礼儀マナーや秘書などは、社会人として必要なマナーを身につけ、社会に出るための自信に繋げていけた。また、対話型授業を継続して行うことで聞く力や伝える力が付き、他者理解に繋がったと思う。
・伝統文化の授業に於いては、型が決まっていることが多く、困り感のある生徒には安心して授業を受けることができた。
・教室に入りにくい生徒に対して、適性検査の実施や、キャリア教育学習を行うことで、自己理解ができ将来展望を持たせることもできた。その中で、学園内の図書館で職場体験に参加した生徒は、進路実現を果たした。
・特別支援員が教室を巡回することで、困り感のある生徒の把握がし易くなった。また支援員による放課後学び教室は、困り感のある生徒にとって自信をつける場として定着してきた。
・内部大学への進学者の情報共有はできていたが、外部大学との連携は課題である。
・「気づきのプリント」を活用し、生徒の個性を見極めながら面談できるようになってきた。次の段階は、より深く生徒のことを理解した面談する力が課題である。
・関係機関との連携を図ることで、生徒の意識が変化してきた。早期の連携が大切であることを実感した。
・校内の教員研修はもとより、先進校視察や研究会への参加、その後の伝達研修等で、教員の力量を高めようとしてきた。今後は、特別支援学校等の連携で実践力をつけていきたい。

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成26年12月 --