特別支援教育について

佐賀県 佐賀県立太良高等学校成果報告概要

1.研究課題
 高等学校における発達障害のある生徒及び発達障害の可能性のある生徒が、自らの特性に気付き、自己理解を深めながら、個別のニーズに基づく適切な支援を得るためのアセスメントの実施と、そのための計画的・組織的な体制づくり並びに専門機関との連携による就労支援の在り方について研究する。

 

2.研究の概要
 障害者に対する雇用支援は、障害者の雇用の促進等に関する法律によって実施されている。しかし、高等学校を卒業した発達障害のある生徒の場合、これまでは、「一般就労」を選択する場合が多く、障害者のための雇用支援制度を知らなかったり、知っていても選択しなかったりする生徒が少なくない。
 特に、問題となるのは、障害に気付いたとしても、そのことを受容することが難しく、結果的には障害を受け入れられないまま、就職直後の困難による挫折及び離転職といった職の喪失体験を味わうことなどが考えられる。
 そこで、本研究では、以下のことをねらいとして、取り組むこととする。
・進路指導の支援過程で、本人やその保護者に対して障害受容を深めながら、障害や特性等を適正に理解すること
・障害や特性等に則した就労支援を選択することを通しながら、円滑な就労移行を達成し適応や定着を図るための支援体制を計画すること

 

3.研究成果の概要
 発達障害のある生徒に対しては、自身の職業適性等の理解を深めるために、在学中において、職業相談や評価等のアセスメントが実施できる就労支援システムが不可欠と考え、既存の進路指導の取組や校内外の支援資源等を基にして、太良高校就労支援システム-Job Matching Assessment of Tara-high school-通称:JMAT(以下○1~○9)を策定した。
○1 VRT職業レディネス・テストの実施(6月)
○2 2年次インターンシップ前のTTAPによるアセスメント及び事前指導
○3 2年次インターンシップの実施と評価(2年次8月)
○4 障害者の就労についての説明会(2年次12月)
○5 障害者職業センター担当者等による個別面談会 (2年次2月)
○6 障害者職業センターにおける職業相談・評価(3年次5月)
○7 職業評価の結果を受けてのケース会議(3年次7月)
○8 障害者職業センターにおける職業準備支援(3年次8月)
○9 関係機関における職業相談と実習先紹介(3年次9月以降)

 上記プログラムの実施により、発達障害のある生徒が、職務の内容や職場の慣習等を身に付けるためには、学校や家庭における指導だけでは不足していることが明らかになった。一見、学校や家庭生活には適応していると思われている生徒が、インターンシップ活動におけるインフォーマルアセスメントによる評価から、適応できていない部分が多く発見された。これは、原因の主な理由に、職場における適応の難しさとその難しさの見えづらさによるものだと考える。
 今後、高等学校における発達障害のある生徒の就労支援については、適切な職場実習の計画と、その際のアセスメントの準備が必要と考える。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成26年12月 --