特別支援教育について

千葉県 千葉県立船橋高等学校(定時制)成果報告概要

1.研究課題
定時制高校普通科における発達障害を含む障害のある生徒のキャリア教育の在り方について
~関係機関と連携した実践をとおして~

 

2.研究の概要
 本校定時制には様々な問題を抱えた生徒が少なくない。それらの生徒に共通しているのは自己肯定感の欠如である。その背景には家庭環境や友人関係等の問題等も多いが、発達障害に起因すると思われる集団不適応や学習不適応、人間関係形成不全などの問題があり、そうした生徒の割合が増大している。
 本来、高校におけるキャリア教育は、生徒一人ひとりが自己の在り方・生き方を見つめ、将来のライフプランを構築することが目的の一つであるが、自己肯定感の低い生徒が、自己の将来を展望することには困難を伴う。
 こうしたことを背景として、本研究では、多様な課題を抱えている生徒が、自己肯定感を高め主体的に進路を選択して、様々な困難を克服し自身の進路希望を実現していくために、将来の自立と社会参画のためのキャリア教育の在り方に視点をあてた教育活動の充実を図った。
その具体策として、次の二つの主題を挙げ取り組んだ。
 低学年次では、特別支援学校等の関係機関とネットワークを構築し、体系的なソーシャルスキルトレーニング(Social Skill Training(SST))や勤労活動、職業体験活動などを実施することにより、自己理解やキャリア意識、自己肯定感を向上させ、ライフプランの構築が図れるような指導を推進した。
 高学年次では、ハローワークや地域若者サポートステーション、各種上級学校等と連携したネットワークを構築し、就職・進学など各自の進路希望を実現するために組織的・個別的な対応について研究した。
  
3.研究の成果の概要
(1)生徒
ア、全体的に生徒の自己肯定感の向上がみられた。今後のキャリア形成につながる有意義な取組をすることができた。
イ、ソーシャルスキルトレーニングを実施し、一人ひとりの生徒の可能性を広げることができた。キャリア意識を高める効果があった。
ウ、教員が特別な支援を必要とする生徒に対しての手立てや支援の方法を知ることにより、より適切に支援することができるようになった。

(2)教員
ア、研修会などを実施することにより、知識面やスキルにおいて教員の専門性が著しく向上した。
イ、わかる授業を展開することを心がけ、全職員で授業改善に取り組んだ。
ウ、生徒に関する情報を職員が共有することにより、連携して一貫した指導が展開できた。

(3)学校体制
ア、キャリア意識を涵養していく様々な取組について、教育課程全般の見直しを視野に入れ、検討する必要性を認識した。
イ、ユニバーサルデザイン化をめざし、生徒一人ひとりが過ごしやすく、必要な情報がすぐわかるような教室環境整備を実現した。
ウ、関係機関の中でも、特に、キャリア支援の観点でハローワークとの連携を緊密に行い、生徒の進路決定の過程において様々な外部のアドバイスを活用できるようにした。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成26年12月 --