高等学校においては、将来の自立と社会参加に向けた適切な進路指導を行うことが重要で あるが、とりわけ発達障害を含め障害のある生徒については、中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(答申)において、「自己の抱える学習や社会生活上の困難について総合的に適切な理解を深め、困難さを乗り越えるための能力や対処方法を身に付けるとともに、職業適性を幅広く切り開くことができるよう、個々の特性・ニーズにきめ細かく対応し、職場体験活動の機会の拡大や体系的なソーシャルスキルトレーニングの導入等、適切な指導や支援を行うことが必要である。」旨提言されている。
新しい高等学校学習指導要領においても、キャリア教育について、「生徒が自己の在り方生き方を考え、主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行い、キャリア教育を推進すること」としているほか、職業教育についても、普通科、職業教育を主とする専門学科それぞれについて配慮すべき事項を定めている。
そこで、発達障害のある生徒へのキャリア教育についての実践的な研究をモデル校において実施し、その研究成果を全国に発信することにより、高等学校等における特別支援教育を一層推進するとともに、将来の自立と社会参加に向けた支援の在り方について今後の検討の参考とする。
委託を受けた教育委員会は実践研究を行うモデル校を指定し、モデル校においては、次の研究を行う。
○1 発達障害のある(発達障害の可能性を含む。以下同じ。)生徒に対する計画的・組織的な進路指導
○2 教育カリキュラムの工夫及びより柔軟な運用
○3 教職員や保護者の研修等
○4 その他のキャリア教育に関する工夫
○5 校内委員会を中心として、全ての教職員間での連携、協力、情報共有等を円滑に行うため、上記○1~○4に係る取組の体系化
○1 「特別支援教育総合推進事業運営協議会」の設置
本事業を実施するに当たって、具体的な計画の策定や運営、連絡調整等を行う学校関係者及び運営についての指導・助言、研究結果の分析等を行う教育委員会や有識者等から構成される特別支援教育総合推進事業運営協議会を設置する。
○2 校内実施体制の整備
モデル校は、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名、個別の教育支 援計画の策定など、発達障害のある生徒に対するキャリア教育の充実を図るための体制を 整備する。
○3 専門家の活用
モデル校は、専門的な知見を有する者から発達障害のある生徒に対するキャリア教育の 充実を図るために必要な指導・助言を受けるなどの活用を行う。
○4 関係機関との連携
モデル校は、特別支援学校、発達障害者支援センター、ハローワーク、技能教育施設(学校教育法第55条の規定による指定を受けている施設)等の関係機関との有機的な連携を図ったり、地域の企業、ボランティア団体、NPO法人と連携し、その人材の協力を得る等の取組を実施する。
例:特別支援学校のセンター的機能の活用
小・中学校や上級学校との学校間連携
発達障害者支援センターとの連携
企業との連携によるインターンシップへの協力や社会人講師の派遣等
ハローワークや障害者雇用関係機関との連携
技能教育施設との合同研修会の実施
厚生労働省が実施する発達障害者支援施策、「若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」やハローワークと連携・協力した就労支援の在り方を工夫するなどの研究を実施する。
委託事業の実施期間は、委託を受けた日から当該年度の末日までとする。(契約期間は、原則当該年度末までとし、翌年度の契約については、翌年度の事業実施計画書の内容を審査し、予算の状況等を踏まえ委託を継続することが適切であると認めた場合、当該委託の継続を決定し、翌年度の契約を締結するものとする。)
初等中等教育局特別支援教育課
-- 登録:平成25年10月 --