都道府県名 大阪府
指定校名 河内長野市立三日市小学校
障害者との触れ合い活動や交流活動等を通して、障害者についての理解を深めるとともに、通常の学級において、授業時間中での障害のある児童に対する支援の仕方及び教材等の研究を深める。また、保護者や地域の方々に障害教育に関する理解を深める研究を行う。
※特別支援教育相談委員会・・・教育相談、外部機関との連携
※障害教育推進委員会・・・個別の指導計画、環境整備、研修
以上のように、校内委員会を大きく2つに分け、主に教育相談や外部との連携を主に行う特別支援教育相談委員会と、個別の指導計画の作成、校内における誰にでもやさしく分かりやすい環境作り、研修の計画・立案・運営の3部門を担当する障害教育推進委員会を組織し、互いに有機的に関連して機能を果たす。
研究計画に従い、次のように取り組んできた。
1 個別の指導計画の様式を、障害教育推進委員会が特別支援学級用と通常の学級用を作成し、全職員の共通認識を持った。
特別支援学級の指導計画【様式1】
個別指導計画(プロフィール表)【様式2−1】
自立活動における個別の指導計画( 学期)【様式2−2】
個別の指導計画シート【様式2−3】
2 保護者との個人懇談会
次の日程で、上記個別の指導計画のもと、保護者との個人懇談会において【様式2−2】を提示し、保護者との共通理解を得て指導した。なお、【様式1】及び【様式2−1】については、学校で厳重に保管した。また、懇談時間は一人につき30分で行った。
「自立活動における個別の指導計画」を提示し、保護者の願い及び優先課題と一年間の目標について話し合う。
一学期の評価及び二学期の計画について話し合う。
二学期の評価及び三学期の計画について話し合う。
三学期の評価及び来年度の計画について話し合う。
3 特別支援教育校内委員会の体制及び実施
上記の体制のもと、特別支援教育の推進を図る。
障害教育推進委員会・・・・月1回の定例委員会、計画の進捗状況等の話し合い
特別支援教育相談委員会・・月1回の定例委員会及び通常の学級担任の申し出があれば随時開催(5件)
校内委員会を中心に、下記の日程で研修を実施した。
本校では、低学年には一緒に遊ぶことで、クラス及び学年の一員としての仲間作りに重点を置いて指導し、中学年では、交流を通して障害のある児童の特性を知り、接することを目指してきた。さらに、高学年では、「障害者理解について」特別支援学級の担任と各クラスの児童が意見交流を行うことで進めてきた。
これらの取組を進めることにより、一人一人の児童が楽しく学校生活を送ること、また、自尊感情を高め合 うことができた。特に、休憩時間等にもなれば、特別支援学級在籍の児童たちが同学年や異学年と一緒に遊んでいる光景が今まで以上に多く見られるようになった。
1年生・・・「コマ作り」を一緒にし、遊ぶ。(6月実施)
2年生・・・自分たちで作った遊び道具で遊ぶ。(4月、3月)
3年生・・・昔遊びで交流。(10月)
4年生・・・特別支援学級担任が各クラスに行き、「なぜ、なかよし学級があるのか」についてのお話をする。
5年生・・・同様に、各クラスで「障害について」のお話をする。
6年生・・・同様に、「脳について」のお話をする。
本校は、7年前に子どもの安全を守るということで、三日市小学校校区地域懇談会が作られた。この会は、当初の趣旨を継続しながらも、子どもたちと触れ合う機会を増やしていく方向に発展してきた。そこで、今回はさらに障害のある子どもたちを理解していただく機会として、今回の講演会を実施することとした。地域懇談会のメンバーは、校区内の自治会・町会、青少年健全育成会、青少年指導員、民生児童委員、防犯委員、保護司等総人数は120名になる。当日参加したのは、72名であった。講師の先生は、我が子に障害があり、そのことを通じて子どもの見方を再度考えていく必要性をお話された。参加者の感想文を読んでみると、「再度、子どもたちへの接し方を考えてみるよい機会であった」という内容が多かった。
第1回目に引き続き、2回目は校区を広げ、中学校区の方々に学習していただく機会を設けた。対象者は、東中学校区教育懇談会委員、民生児童委員、保護者と教職員である。文部科学省が推進している「特別支援教育」に対して十分な理解を得ていないことで、特別支援教育に精通している大阪大谷大学の小田先生に来ていただきご講演いただいた。参加者に分かりやすいお話をしていただき、すばらしい講演会であったという感想が聞かれた。
(3) 特別支援教育研修
5月に、特別支援学級及び通級教室を一週間フリー参観とし、全教職員が授業参観をした上で、全体研修を行い、一人一人の特性について研修する。
夏季休業中には、本校コーディネーターと専門家チーム(アクトおおさか)の方から、特別支援教育についての講演を受ける。
平成19年12月6日(木曜)に本校校長とコーディネーター4名が最終報告会に参加する。その後、職員会議にて教育環境の整備を中心に報告した。
平成20年2月25日(月曜)にコーディネーター2名が特別支援教育推進校である鳥見小学校を訪問した。特に、特別支援教育体制についてその特色ある取組について研修し、全職員に報告した。
年間を通して、全学年が交流する計画を立てている。普段の生活の中で、障害者と遊ぶ姿が多く見られるようになってきた。通常の学級から特別支援学級へ向かう時にも、声を掛け合い、互いにクラスの一員であることの確認ができ、存在感がどの児童にも認められるようになった。日々の言葉のやり取りからも互いに認め合うことができている。障害があるないに関わらず、どの児童にも自然と接すること、また、互いに協力し合えるようになってきたことが、大きな成果である。
本校は、創立135年を過ぎた伝統ある学校である。何世代も続く家庭もあれば、新しく住宅開発された場所もあり、新旧が混在した地域でもある。中でも、旧村の方々には障害に対する理解が進んでいない状況であった。
そこで、今回2回の講演会を実施することにより、地域の多くの方々に障害者理解についての学習の機会を提供できることになった。特に、今まで持っていた観念をぬぐい去り、子どもたち一人一人の特性をみて触れ合っていく必要性を感じたようである。また、特別支援学級に入級している子どもたちだけでなく、通常の学級に在籍している子どもにも、配慮が必要な子どもがいることを初めて知ったようである。
個別の指導計画を作成する過程で、全職員が子どもの特性を知り、それに対してどのように指導をし、何を目標にすればよいかを十分に話し合うことができた。それによって、支援の必要な子どもたちが落ち着いて学校生活を送ることができるようになってきた。
また、先進校の訪問により、教室内の整備が大きく影響を与えるという報告を受け、各クラスの掲示物などにも配慮するようになった。さらに、一日の生活の流れを黒板に掲示することで、変更が苦手な子どもたちも安心して生活できるようになった。
本年度は、保護者・地域の方々に、講演会を通して研修していただいたが、障害者理解の最初の一歩と認識している。今後、保護者や地域の方の参加者の枠をさらに広げることで、多くの方々が学習できるよう、研修会の持ち方に工夫が必要である。また、様々な障害者理解の研修会に参加していただけるよう、その機会を学校から発信していくことが課題である。
本校においては、特別支援教育体制をさらに充実していけるよう、先進校の取組を参考にして考えていきたい。そして、学校の教育環境を子どもの実態をよく考えて整備していくことが必要である。
本校において特別支援教育に関する研究は、着実に進んでいることは間違いない。教職員においても、その必要性は強く感じている。今後の展望として、次の三点を考えている。
本年度の取組において、交流活動は、大きな成果を得た。小学校での6年間では、学年による児童の実態は大きく違い、それに伴い交流活動も内容が違ってくる。来年度は、今年度の反省のもと、交流活動の内容を吟味し、より計画的に実施していくこと、また、地域にある障害者施設との交流をより深めていくことが必要になってくる。
それぞれの子どもたちの特性を考え、その子に合った指導方法を見つけていくことが必要であることは言うまでもないが、その指導方法が現場において最適であったということではない。この点が大きな悩みであるが、今後、相談機能の充実も含めて体制をさらにしっかりとしたものにしていく。
今年度の保護者・地域に向けての講演会は、ある一定の効果があった。しかしながら、今後はそれを広めていくための方策を考えていかなければならない。そのためにも、校内委員会、特に特別支援教育コーディネーターを中心にして取り組んでいく。
初等中等教育局特別支援教育課
-- 登録:平成21年以前 --