都道府県名 宮崎県
指定校名 宮崎大学教育文化学部附属小学校
障害児理解を深めるために有効な交流及び共同学習において、自然な形の触れ合いを深めていく上でのポイントを特別支援学級と通常の学級の両サイドから探る。
宮崎大学教育文化学部附属小学校は、通常の学級と特別支援学級が公道をまたいだ別な敷地に存在し、日常生活における交流を行うには厳しい環境にある。敷地の行き来には子どもの足で10分程度かかるため、昨年度までは、集会や行事、週一回の給食時にのみ、通常の学級の校舎がある敷地まで足を運んでいる状況であった。一部の子どもにおいては、教科・領域(英語活動、音楽)で交流及び共同学習を行っていた事例もあるが、このような交流の状態では、子ども相互の理解にまではほど遠く、仲間意識が感じられていない状況にあった。子どもだけでなく通常の学級の教員も特別支援学級の子どもを十分に理解する時間や機会が少なく、交流及び共同学習になじめていないという問題があるのも事実であった。
校舎の立地環境の問題が引き起こしている現状を打破するためにも、計画的に交流及び共同学習を推進していくことが必要である。その結果、子どもにも仲間意識が生まれ、互いの望ましい人間関係や子ども相互の理解へと気持ちや心が高まっていくものと考える。
しかしながら交流及び共同学習を実施すれば、互いの理解が進むというものではなく、交流の仕方にも工夫が必要であることから、交流及び共同学習を開始するに当たり、特別支援学級の子どもについて知ってもらう時間を事前指導として設定した。また、本研究においては、活動のねらいや目指す子どもの姿と育てたい力を発達段階ごとに系統的に設定し、交流及び共同学習に取り組むようにした。
そこで、本研究の目的を、特別支援学級の子どもについての理解を深め、よりよいかかわりをもつことができる子どもの育成を目指して、計画的な交流及び共同学習を実践し、この活動を通して育てたい力の変容を明らかにすることとした。
なお、本研究は2か年計画で実施する。1年目の研究は、交流及び共同学習を開始するに当たっての事前指導と計画に沿った交流及び共同学習の実施、交流及び共同学習の経験による子どもの意識の変容を明らかにすることとした。2年目の研究は、交流及び共同学習の推進が特別支援学級の子どもに対する意識に及ぼす影響と育てたい力の変容を明らかにすることとした。これは、1年目の交流及び共同学習の開始に当たって、通常の学級の子どもが特別支援学級の子どもを知るために実施した事前指導の部分についての報告である。
調査は、通常の学級の担任と特別支援学級の担任に対して実施した。対象者は通常の学級の担任10名、特別支援学級の担任4名、計14名である。なお、通常の学級は学年各3学級、計18学級である。
事前指導を実施する学級は、特別支援学級の子どもの交流学級とした。ただし、交流学級以外の学級から事前指導を依頼された場合には、その学級においても実施することにした。5学年については特別支援学級の子どもに関する指導をすでに実施していたため、事前指導の対象とはしていない。
交流及び共同学習に関する事前指導を実施した後に、1子どもたちにとっての事前指導の意味、2教師にとっての事前指導の意味、3事前指導後の子どもたちの変容、4交流及び共同学習を通して学んで欲しいことの4項目について4件法及び自由記述による記名式の質問紙調査を実施した。
平成19年11月1日から11月7日までの7日間である。なお、対象学級に対しては、平成19年10月中旬から下旬の2週間に事前指導を実施した。
交流及び共同学習で実際に活動を共にする子どもの紹介と、交流及び共同学習におけるねらいや約束を確認することを主な内容とした事前指導を実施した。
事前指導の学習内容の第一は、特別支援学級の子どもの様子を知ってもらうことである。第二は、通常の学級の子どもと同じようにできることがあることや、通常の学級の子ども以上にできることもあるということを実際に活動を通して体感してもらうことである。第三は、これから進めていく交流及び共同学習でどのようなことを学んで欲しいか、その時の約束などを確認することである。これら三点の学習内容を入れて授業を構成することにした。6学年については、これまでの交流及び共同学習の経験から、単に子どもの紹介をするだけではなく、どのように接していきたいと考えているのかを話し合う活動や特別支援学級の子どもが考えていることなどを直接伝える活動を取り入れながら授業を構成した。ねらいや約束の確認については他学年と同じように実施した。
指導の形態については、1〜2学年は、特別支援学級の担任一人で事前指導を行った。3〜6学年(5学年を除く。)は、特別支援学級の担任と交流学級の担任とのT・Tで行った。その際、3〜4学年は、特別支援学級の担任がT1、交流学級の担任がT2に、6学年は、交流学級の担任がT1、特別支援学級の担任がT2になり、授業を進めた。なお、学年によって指導の形態が違っているのは、通常の学級の担任の意向に沿って実施したためである。
自由記述により回答された意見をまとめたものが、表1である。
「事前指導は子どもにとって意味のあるものであったか」の質問に対し、「そう思う」と10名全員が回答し、事前指導の子どもにとっての意味として記述された内容には、「深く知る(再認識する)ことができるきっかけとなった」をはじめとする意見が7件あった。これらを便宜的に「対象児の理解」と整理した。また、「心情的な部分で距離感が近づいた」などの意見は3件あった。これらを便宜的に「仲間意識の芽生え」と整理した。 (以下表1を参照)
表1 通常の学級の担任の事前指導に対する意味(記述内容、複数回答)
質問項目 | 回 答 | 事前指導の意味 | 件 |
子どもにとっての事前指導の意味 | 深く知る(再認識する)ことができるきっかけとなった 自分たちと同じことをやっていることを知り、同じということを感じるようになった 特別支援学級の子どもたちのことを詳しく知ることができた 特別支援学級での普段の姿が分かった 子どもの理解や子どもへの共感を生み出すきっかけとなった 日常の様子が分かり、声を聞くことができた 会う機会の少ない子どもたちにとって貴重な時間だった 心情的な部分で距離感が近づいた 相手の立場を思い合う場ができた 附属小の3年生は4クラスだと実感したい これからの対応方法や接し方について具体的に話し合うことができ、子どもに意識付けできた 自分のクラスでも一緒に過ごしてほしいという目標ができた |
対象児の理解 | 7 |
仲間意識の芽生え | 3 | ||
今後の交流及び共同学習やかかわり方についての意識付け | 2 | ||
教師にとっての事前指導の意味 | ○○さんについてもっと詳しく知ることができた(2) 教師自身、特別支援学級の子どものいいところ、得意なところを発見できた子どもに具体的に知らせることができた(2) 子どもと同様、特別支援学級の子どものことを詳しく知ることができた ○○さんの理解につながった 日常生活の様子が分かり、声を聞くことができた 子どもたちが1人の友達に対してどんなことを考えることができるのか改めて感じることができた クラスの子どもの見る目が変わったことが分かった 子どもたちが発見できたことを観察することができた クラスに入ってほしいという目標ができた いろいろな立場にある人との触れ合いは、子どもにも大人にも心を豊かにしてくれる |
対象児の理解 | 8 |
子どもの実態や変容の把握 | 3 | ||
交流及び共同学習に関する啓発 | 1 | ||
その他 | 1 | ||
事前指導後の子どもの変容 | もっと触れ合いたい、互いを高めていきたいという気持ちが高まった 声をかけている姿が見られた 活動の場にもっと入って欲しいと願い、自分たちでその機会を作ろうとしていた ことばかけや態度が意図的になった どちらかというと、それまで特別支援学級の友達を特別視していた感があるが、それが減ってきた ○○さんのことを意識するようになった(2) 2人と会ったときの目が変わった(距離が近づいた目) 交流及び共同学習を実施する際の約束を守ろうとしている お客さんから友達になった感覚をもっている 干渉しすぎてはいけないところが理解できた |
かかわろうとする意識や行動の出現 | 5 |
仲間意識の芽生え | 3 | ||
交流及び共同学習の約束の理解 | 2 | ||
交流及び共同学習を通して 学んで欲しいこと |
みんな違ってみんな頑張っていること 互いに同じであること いろいろな人が共にいるということ 社会には、様々な人がいてそれぞれの個性を生かして生きているということ 他者理解 互いに学び合うこと 相手の立場を思いやること、人のよさから学ぼうとすること ○○さんを知り、望ましい行動をしてほしい 自然に生活できるようになって欲しい ○○さんが特別なのではなく、いつもクラスにいるように付き合ってほしい 同じ仲間であるという意識 |
違いの尊重 | 5 |
学び合い | 3 | ||
自然な感覚 | 2 | ||
仲間意識 | 1 | ||
自由記述により回答された意見をまとめたものが表2である。
「事前指導は子どもにとって意味のあるものであったか」の質問に対し、「そう思う」と4名全員が回答した。特別支援学級の子どもにとっての事前指導の意味として記述された内容には、「自分のことをよく理解してもらう機会になった」をはじめとする意見が5件あった。これらを便宜的に「対象児(本人)の理解」と整理した。また、「交流学級に入りやすくなった」という意見が1件あった。これを便宜的に「仲間意識の芽生え」と整理した。(以下表2参照)
表2 特別支援学級の担任の事前指導に対する意味(記述内容、複数回答)
質問項目 | 回 答 | 事前指導の意味 | 件 |
子どもにとっての事前指導の意味 | 特別支援学級の子ども 自分のことをよく理解してもらう機会になった(4) 自分自身を理解することができた 交流学級に入りやすくなった 通常の学級の子ども 特別支援学級の子どものことを知る機会になった(4) 見る目が変わった(より近い存在) 受け入れ状態がよくなった 接し方、コミュニケーションの方法が分かった |
特別支援学級の子どもにとって |
|
対象児(本人)の理解 | 5 | ||
仲間意識の芽生え | 1 | ||
通常の学級の子どもにとって |
|||
対象児の理解 | 4 | ||
仲間意識の芽生え | 2 | ||
今後の交流及び共同学習やかかわり方についての意識付け | 1 | ||
教師にとっての事前指導の意味 | 特別支援学級の担任にとって 特別支援学級の子どもについてより詳しく知らせることができた(3) 通常の学級の実態に応じた特別支援学級の子どものアプローチの仕方を考えることができた 特別支援学級の担任自身が交流学級の子どもの実態と課題を知ることができた 授業を構成する中で、通常の学級の子どもに伝えたいことを考えることができた
通常の学級の担任にとって |
特別支援学級の担任にとって |
|
対象児の分析と理解の推進 | 4 | ||
通常の学級の子どもの実態と課題の確認 | 2 | ||
通常の学級の担任にとって |
|||
対象児の理解 | 4 | ||
交流及び共同学習に関する啓発 | 1 | ||
事前指導後の子どもの変容 | 特別支援学級の子どもにとって 笑顔が増えた 緊張がほぐれてきた(行きやすくなった) 交流給食を楽しみにするようになった 積極的にかかわる姿が見られるようになった
通常の学級の子どもにとって |
特別支援学級の子どもにとって | |
安心感 | 2 | ||
交流及び共同学習に対する期待 | 1 | ||
かかわろうとする意識や行動の出現 | 1 | ||
通常の学級の子どもにとって | |||
かかわろうとする意識や行動の出現 | 6 | ||
仲間意識の芽生え | 2 | ||
交流及び共同学習を通して 学んで欲しいこと |
特別支援学級の子どもにとって 共に活動すること 意思表示をすること コミュニケーションの方法を身に付けることを学んで欲しい 通常の学級の子どもにとって 特別視するのではなく、仲間としてみる意識をもつ いなくてもいい存在からいてもいい存在へ みんなと同じ友達なんだということを学んで欲しい 共に活動すること |
特別支援学級の子どもにとって |
|
共に活動する意識 | 2 | ||
コミュニケーション能力の育成 | 1 | ||
通常の学級の子どもにとって |
|||
仲間意識 | 3 | ||
共に活動する意識 | 1 |
今回の調査で、事前指導の意味と在り方について明らかになったことが5点あった。以下、その5点について示す。
(1) 事前指導は、通常の学級の子ども、特別支援学級の子どもの双方にとって、対象児の理解、仲間意識の芽生え、今後の交流及び共同学習やかかわり方についての意識付け、という意味があり、効果的であった。
(2) 事前指導は、通常の学級の担任、特別支援学級の担任の双方にとって、対象児の理解、子どもの実態や変容の把握、交流及び共同学習に関する啓発、通常の学級の子どもの実態と課題の確認、対象児の分析という意味があり、効果的であった。
(3) 事前指導後の子どもの変容については、かかわろうとする意識や行動の出現、仲間意識の芽生え、交流及び共同学習の約束の理解、安心感、交流及び共同学習に対する期待という意味があり、効果があった。
(4) 事前指導の意味において、通常の学級の担任と特別支援学級の担任との間には、大きな差はなかった。ただ、特別支援学級の担任は、共生社会に向けての障害者理解の推進というねらいがあるため、事前指導をはじめ、交流及び共同学習を実施する際には、特別支援学級の子どもと通常の学級の子どもの双方の立場で物事を考えていた。特別支援学級の担任が、双方の子どものコーディネート役になる場合があるため、双方の立場で物事を捉えることは、大切な視点となると考える。
(5) 事前指導の在り方として、障害のある子どもの生活の様子を直に見られるビデオ、障害のある子どもの力を体感できる直接活動が子ども像を明確にする上で有効である。
以上の結果から、交流及び共同学習を開始するに当たって実施した事前指導は、特別支援学級の子ども、通常の学級の子ども、特別支援学級の担任、通常の学級の担任、全員に意味のある取組であったと言える。
授業について補足すると、事前指導の内容の1点目、「特別支援学級の子どもの様子を知ってもらう」ことについて、ビデオによる特別支援学級での活動の様子の紹介、特別支援学級のカリキュラムの説明を行った。ビデオによる紹介では、普段見られない特別支援学級の子どもの様子に興味をもって見る姿が観察された。言葉での説明よりも詳しく、正しく子どもの様子を伝えるのに有効であった。カリキュラムにおける通常の学級との違いについての説明には、特別支援学級の子どもが勉強をしていることに対する驚きの声もあり、私たちが捉えていた以上に特別支援学級の様子が理解できていなかった実態にふれることができた。その中で、特別支援学級の子どもの興味のあるものや得意なことなどを紹介することができ、通常の学級の子どもに理解を促すことができたと考える。
内容の2点目、「特別支援学級の子どもにも通常の学級の子どもと同じようにできることや優れていることがあるという点を感じてもらう」ことについては、特別支援学級の子どもの得意とすることが発揮できるゲームやみんなと同じようにゲームに参加できるということを、一緒にゲームを楽しむ中で、実感してもらう活動を設定した。その結果、「○○さんはすごい」、「みんなと同じようにできるんだ」という感想が聞かれ、対象児の理解につなげることができた。子どもだけでなく、教師にとっても、「できない子、分からない子」という印象ではなく、「○○についてはできる子、指示の出し方によっては分かる子」として認識することができる上で有効であったと考える。
内容の3点目、「交流及び共同学習におけるねらいや約束を確認する」ことについては、1 あいさつをする、2 授業中は、先生を見て先生の話を聞く、3 グループで学習する時には、仲間に誘う、4 できない時だけ手伝う、5 たくさんの発見をする、の5項目の確認を行った。特別支援学級の子どもにも、通常の学級の子どもにもそれぞれのねらいがあり、互いの学びを保障することができるように設定した約束である。最後に、今後、共に学習する教科等と単元を知らせることで、交流及び共同学習に対する見通しをもたせるようにした。
以上のような内容について、通常の学級の担任が指導を行うには限界がある。特別支援学級の子どもの実態をよく知る特別支援学級の担任であるからこそできることがある。今回の事前指導の授業は、通常の学級の担任に全てを任せるのではなく、特別支援学級の担任が指導する時間を導入したことが、事前指導が意味あるものになった要因の一つであると考える。
子どもにとっての事前指導の意味については、対象児の理解、仲間意識の芽生え、今後の交流及び共同学習やかかわり方についての意識付けという意味があった。1年生にとって、事前指導は、初めての交流及び共同学習であり、互いのことを知らない子どもたちにとって対象児を理解する時間になったこと、2年生以上の学年の子どもにとっても、初めて特別支援学級の子どもの交流学級になった子どもにとっては、1年生と同様である。子どもの得意なことや苦手なことに対する紹介や、今後、共に学習する教科等や単元の紹介を行ったことが、今後の交流及び共同学習やかかわり方についての意識付けになったと考える。
通常の学級の担任にとって、事前指導は、対象児の理解、通常の学級の子どもの実態や変容の把握、交流及び共同学習に対する啓発、通常の学級の子どもの実態と課題の確認、対象児の分析という意味があった。特別支援学級の子どもは、位置的環境の違いから生活を共にしていないため、日常の学校生活において特別支援学級の子どもを理解することが難しい通常の学級の担任にとっても、対象児の理解につながった。通常の学級の担任という立場から、自分の学級の子どもの実態や変容については、観察がなされ、通常の学級の子どもの実態や変容の把握、交流及び共同学習に対する啓発という意味をもったと考える。また、通常の学級の子どもの実態と課題の確認という意味から、今後、展開される交流及び共同学習に対し、通常の学級の担任には、特別支援学級の子どもとの活動をよりよい方向へと導いていくという意識があるということを確認することができた。
事前指導後の子どもの変容については、かかわろうとする意識や行動の出現、仲間意識の芽生え、交流及び共同学習の約束の理解、安心感、交流及び共同学習に対する期待という意味があった。教師は、事前指導後も交流及び共同学習時の子どもたちの様子を観察し、その変容を見取っていたが、データに基づいた回答ではなかったことが課題として挙げられる。教師の子どもの変容を見い出そうとする目が育ってきていることは成果であった。
交流及び共同学習を通して学んで欲しいことについては、違いの尊重、学び合い、自然な感覚、仲間意識、共に活動する意識、コミュニケーション能力の育成というものが挙げられた。このような力が身に付くまでに、どれくらいの時間やどのような内容の活動が重要なのかということに対して検討し、次年度の活動を計画していく必要がある。次年度の研究において、交流及び共同学習で育てたい力の変容を調査する計画であり、結果については、次年度報告する。一度、身に付けた力は、大人になっても生きて働く力として、その人を動かす力となるものと考える。よりよいかかわりをもつことができる子どもを育成することで、共生社会を目指した障害者理解を推進していきたい。
今回の調査において、通常の学級の担任と特別支援学級の担任の回答は、ほぼ一致するものであった。ただ、特別支援学級の担任は、共生社会に向けての障害者理解の推進というねらいがあるため、事前指導をはじめ、交流及び共同学習を実施する際には、特別支援学級の子どもと通常の学級の子どもの双方の立場で物事を考え、双方の意識や行動の変容が見られるような支援を考えてきた。この研究において、交流及び共同学習を実施する際には、特別支援学級の担任が双方の子どものコーディネート役になる場合が多かったため、双方の立場で物事を捉えることは、大切な視点になったと考える。
今回の事前指導を通して、事前指導の意味について明らかにすることができた。現在、計画に沿って個々の子どもが、交流及び共同学習を実施している。今後も、計画的な交流及び共同学習を推進することを通して、子どもや教師の変容を探っていこうと考える。二年次の研究において、交流及び共同学習の推進が、交流及び共同学習に対する考え方や障害のある子どもに対する意識と育てたい力にどのような変容をもたらすのかを明らかにしていきたい。
<補足:児童に対する調査に関して>
低・中・高学年群とも約4箇月間の交流及び共同学習を実施した。多くの文献では、交流及び共同学習を推進することで障害のある子どもに対する理解が深まるという報告がなされているが、今回のみの調査では、十分な結果は得られなかった。
項目別にみると、交流及び共同学習に対する考え方と障害のある子どもに対する関心の有無は、わずかに伸びが見られ、障害のある子どもに対するネガティブな見方はわずかに得点が下がっている。この変容は、有意な差が認められるほどではなかったが、高学年群の障害のある子どもに対するネガティブな見方のみに有意な差が認められた。
このような結果になった要因について、
従って、次年度の交流及び共同学習は、
a できないことがある。
b どうすればできるようになるのか、相手に応じたかかわり方を考える(理解を深めることにつながる)。
c 「〜すれば(かかわり方を考えるなど、環境を整える)、できる。」という捉え方ができる。
この考え方を指導の基本とする。
等に留意して行う必要がある。
初等中等教育局特別支援教育課
-- 登録:平成21年以前 --