e・URK(浦賀歴史活性化)プロジェクト

学習活動の概要

単元の目標

コンピュータの働きとして、「問題の解決に必要な手順があること」や「試行錯誤を通して作られていること」があることへの気づきを通し て、自分たちの問題解決のためにコンピュータサイエンスを方法の一つとして、豊かな生活や社会づくりに活かそうとする態度を養う。

単元や題材などの学習内容

本単元におけるプロジェクトは、「児童が学習に主体的に取り組むための手立て」として、新しい表現方法の一つとして取り組みたい。
児童はここまでプログラミング活動については、ほぼ触れていない状態であるが、情報機器の使用や関心の高さは、学習の意欲付けに十分な存在である。本年度は、NTT docomoとのタイアップにより、ロボットプログラミングに取り組む。基礎的な知識・技能を学んだうえで、自分たちの願いをもって「embot」というロボティクス的教材を動かすゴールを準備する。その他の教材も準備するが、プログラミング学習が自分たちの課題の解決手段の一つ として活用して、学びに活かせるような情報探究活動をしていく。
同時並行して行う「稲作」の活動と合わせて地域とのかかわり・地域への還元を重視していく。ただの発表でなく、地域課題に対して、実際に解決・提案への足掛かりとなるプレゼンテーションへ結びつけ、6年の総合的な学習につなげていきたいと考える。

プログラミング体験の関連

本単元は,新学習指導要領第3の2(9)の「第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,プログラミングを体験することが探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること。」に基づき指導するものである。

本単元では、ブロックによるビジュアルによるプログラミング(hour of codeなど)の経験を経たうえで、ロボティクス的なフィジカルによるプログラミング(micro:bitなど)のよさを感じたうえで、embotと出会う設定をしている。機能性に加え、embotのもつキャラクター性を取り入れながら、自分たちがプログラミングした動きが自分たちの街に貢献できるよう、現実の場との接点を考えながら、学習活動を進めていく。

学習指導計画

 

主な学習内容
0

1~6

【オリエンテーション】
⇒ルビィのぼうけん、viscuit、hour of code、micro:bitなどの教材を体験する。コンピュータサイエンスに関する基礎的な技能・知識の習得と体験活動に慣れていくことで、課題解決に向けた手段の一つとして、コンピュータサイエンスの解決があることを知る。
 
1

7~11
【私たちが生きる未来社会について考えよう】(1) embotと出会う
⇒embotと出会い、そのキャラクターを身近な世界に活用したいという思いをもつ。試運転を行ったうえで、自分たちの街に貢献できるロボティクスを実現したいという願いをもち、アイディア出しを行った。
 
12~21
【私たちが生きる未来社会について考えよう】(2) e・URKプロジェクト起動
⇒街を活性化するためにと考えると、「浦賀の歴史を思っている以上に知らない大人に、浦賀の歴史を教えたい。」という仮説が生まれ、歴史財をテーマに、embotと浦賀のコラボレーションをスタートする。
 
2

22~34
【プログラミングを生かして地域をPRしよう】 (1) Go for it!
⇒embotをキャラクター化し、歴史劇やスタンプ押しをさせることにする。4グループに分かれて、動作の確認やアイディアを固める。

35~38
企業見学(WHARF)と中間構想発表
⇒現代の情報通信の現場を見学することで見識を深めると同時に、自分たちが進めているプロジェクトを報告しながら、困っていることを技術者に尋ね、解決に向けて主体的に働きかける。

39~50
【プログラミングを生かして地域をPRしよう】 (2) Brush up!
⇒地域の祭りに参加することで自分たちのアイディアを具現化させるため、祭りの主催者に自分たちの構想を伝え、協力を依頼し、祭り当日に向けて準備を進める。

3 
奉行所祭り(2020.2.2)への参加、実践、反省

 

 

 

実践報告

本時が位置する学習過程

0次.オリエンテーション:基礎的な技能・知識の獲得

アンプラグド教材によるコンピュータの特性の理解、「Hour of code」「micro:bit」などの活用による体験活動のデモンストレーションの時間を設定する。(4・5月)

 

1次.私たちが生きる未来社会について考えよう:操作活動からアイディアを固めていく

embotと出会い、ロボットを自由に動かしてみる体験活動を行う。(6月:TV番組参照)

 

キャラクターの魅力も相まって、「embot×浦賀」のコラボレーションをしたいという思いをもつようになる。(7月)


話し合い活動から自分たちの親に取材をすると、「浦賀の歴史を"大人が思っている以上に知らない"という現状に、『町全体に浦賀の歴史を教えたい。』」という歴史財のテーマを設定する。(9月)

 

2次.プログラミングを生かして地域をPRしよう:思考力・判断力・表現力の醸成

 (1) Go for it! 歴史財に対する現地調査を行う。(10月)
左:浦賀奉行所跡発掘調査現場の見学 右:中島三郎助に関する「浦賀街角博物館」の校外学習

 

 

イベントにて歴史劇やスタンプ押しをさせようと固まり、4グループに分かれて、動作の確認やアイディアを固めている。(11月~1月)
左:グループによる制作活動の様子 右:児童会祭りにおいて、他学年児童への紹介・実機体験
 

 

企業見学(WHARF)と中間構想発表

市内にあるドコモR&Dセンタ内の展示施設「WHARF」の見学と、中間報告を実施し、自分たちの悩みをドコモの技術者と情報交換を行い、今後の制作活動のヒントをもらう。(12月)
上段:「WHARF」見学の様子 右:PowerPointを用いた中間報告打ち合わせと実際の報告・相談

 

 

(2) Brush up! embotを使ったスタンプラリーを開催する「奉行所祭り」に向けて活動。(1月・2月)
左:実行委員会との企画打ち合わせ 右:企画出展

 

 

本時の展開

本時の展開(7・8/50時間)

本時のねらい

● フィジカルプログラミングを通して、コンピュータが自分の意図する動きをつくることができることを知る。【知識及び技能】
● 自分たちの課題と結びつけて、コンピュータが解決手段になることを考える。【学びに向かう力、人間性等】

展開 「私たちが生きる未来社会について考えよう」(1・2時間目)

1.本時のめあて「embot(フィジカルプログラミング)を体験しよう。」を確認する。
■「自分がやりたいことをゴールにして、コンピュータを動かそう。」というめあてを意識づける。
・かわいいね。
・早く動かしてみたいね。

2.自分が意図する動きをつくってみよう。
・操作方法、難しいな。
・いろんなことができそうだな。
■タブレットは特別配当であっても、慣れない児童も仲間と操作し合いながら学んでいくので、教員・支援員などはサポートとして待機しているが、大人側から声を掛けない。

3.地域課題を想起し、embotを紹介した際に出てきたアイディアをもとに、ブレーンストーミングをしてみよう。
■以前embotを紹介した際にメモを残した児童の振り返りをもとに考える。
・embotを店員さんにしてみたらどうかな。(役割)
・embotがいくつもいるとおもしろいな。(数・大きさ)
・embotが野菜を切ったりしたらおもしろい。(動作)
・浦賀のキャラクターにできないかな。(キャラ活用)

4.次時のめあてを確認する。
「地域をPRするために、embotをどう活用していくかを考えていこう。」


自分の意図する動きをつくっている様子

板書

 

授業者の振り返り

・自分たちから「このembotを、こう動かしたい!」という気持ちが生まれてくる。また、機能的なものよりも、キャラクター的なものからの発想が多く、心があたたかくなる。
・擬人化したキャラクターを生み出すことによって、表現を意欲的に考えるようになる。街において、歴史に関係する人物に興味をもち、関心を生み出すきっかけになった。
・ゴールは設定するが、児童に内容を任せることによって、自分たちで調べたいこと・発想することが可能になる。
・地域にとっても、子どもたちが能動的に地域イベントに出展・参加をしようとすることに対して、大変好意的、協力的である。また大人の発想と異なる点も、目新しさを産む効果がある。

参考資料
次ページに、21時(第1次)終了時点での、計画書を添付しています。
(これまでの板書をもとに、wordを投影しながら、授業内で教員が打ち込み、児童の意見をもとに修正等を行い作成。)

 

補足

徳光・木佐の知りたいニッポン!

本授業は「徳光・木佐の知りたいニッポン!~未来につながる力を学ぶ(BS-TBS 令和元年8月25日放送)」でも取材されました。授業の様子がわかりやすく紹介されていますのでご確認ください。(再生位置 15:36~)

https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg19347.html

 

参考添付資料

実施事例の詳細(PDF)

関連教材情報