プログラミングによる地域伝統芸能復興

  • 学習活動の分類:

    E学校を会場とするが、教育課程外のものF学校外でのプログラミングの学習機会

  • 対象学年:

    小学校第3学年, 小学校第4学年, 小学校第5学年, 小学校第6学年

  • 教材タイプ:

    ビジュアル言語, ロボット

  • 使用ツール:

    Scratch
    AruduinoX(サーボモーター)

  • 実施主体:

    株式会社TENTO

  • 実施都道府県:

    徳島県

  • 事業区分:

    総務省事業

  • 情報提供者:

    管理者

  • コスト・環境:

    ノートPC1人1台 (コンピュータ教室)
    ※必要な設定を済ませたスティック型PC(Ubuntu)を学校ノートPCで起動させて利用。

 

概要

趣旨

プログラミング教育の意義の一つは「作ることで学ぶ」ことにあると言われている。学習理論でいう構築主義(構成主義)の立場である。子どもたちは試行錯誤しながらプログラムを作っていくことで、親や教師に押し付けられることなく自分でルールや原理を見つけていく。そしてこうした発見的手法で学習すると、より深く、身にしみて理解できるという考え方だ。 一方、子どもは地域文化の中で生きる存在であり、いずれその伝統や文化をうけついでいかなければならい。しかし、それらをただ単に押し付けられただけでは伝統や文化の意義を深く理解できず、伝統もいずれすたれていくだろう。 そこで、プログラミングで伝統芸能を再構築することで子どもたちに発見的に伝統芸能を学んでもらおうというのが本プロジェクトの趣旨である。子どもたちは最新の技術で伝統芸能を再構築し、その深い理解から新しい芸能が生み出されるかもしれない。

取り組み

徳島県は古くから人形浄瑠璃が盛んだった。また神山町は農村部にもかかわらず、サテライトオフィスのエンジニア人材を多く有する。彼らにメンターになってもらい、地元の小学生に人形浄瑠璃を動かすプログラミングを体験してもらう。

事業者構成

全体統括・メンター育成:株式会社TENTO

教材作成・地域との連携:株式会社ダンクソフト

その他協力団体

徳島大学、神山メイカースペース、阿波十郎兵衛屋敷

徳島県の人形浄瑠璃

吉野川流域の藍染で栄えた徳島は芸能が盛んで、その代表的なものが人形浄瑠璃だった。各村々に浄瑠璃の舞台が用意され、映画が普及するまでは大衆の娯楽として存続していた。徳島の代表的な演目は「傾城阿波の鳴門」であり、現在でも「阿波十郎兵衛屋敷」で毎日上演されている(県内のアマチュア数十グループによる)が、子どもたちの間ではあまり知られていない。


阿波十郎兵衛屋敷の人形浄瑠璃

教材の構成

Arduinoとサーボモーターを使い動作部を作成した。人形は3Dプリンターで頭部・手を作成し、レーザーカッターで胴体を作成した。PCからの操作にはScratch1.4を用い、Rubyのサーバを経由してArduinoへと命令を送信する。 ソフトウェアは、すべてインストール・設定済みのUbuntuをUSBメモリからブートして使用した。これにより、小学校のPCのソフトウェアインストール制限を回避した。


エビス人形

実証内容

  1. 地方のIT系人材活用
    地方サテライトオフィスのスタッフが地域のプログラミング教育の担い手になりうること
  2. 伝統芸能の継承
    地元の伝統芸能をICTの力で新しいものとして子どもたちに受け継いでもらえること
  3. 安価なハードウェアを使った学習システム
    スクラッチと小数のハードウェアの組み合わせで人形を動かす安価なシステムが構築可能なこと

実証結果

  1. 1.地方のIT系人材活用
    メンターは用意した教材をさらに発展させ、また講座内容も独自の工夫を盛り込むことができた。
  2. 2.伝統芸能の継承
    講座後、人形浄瑠璃をまたやりたいと答えた子どもが75%以上いた。
  3. 3.安価なハードウェアを使った学習システム
    Arduinoはもともと安価なことに加え、3Dプリンターなどで応用範囲が広がることがわかった。

参考添付資料

関連教材情報