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宮崎県

宮崎県立宮崎大宮高等学校

地域と世界をつなぎ、共に創る学びへ。宮崎県立宮崎大宮高等学校が育てる「グローバル・コ=クリエイター」

  • 取材・編集・撮影:株式会社シード・プランニング
  • 素材提供:宮崎県立宮崎大宮高等学校

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宮崎県立宮崎大宮高等学校は、スーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校としての実践を礎に、2020年度から2期にわたりWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)拠点校として、探究と国際教育を深化させてきました。県内外・海外の大学や企業、高校と連携し、生徒が社会課題に主体的に向き合い、文理の枠を越えて解決策を創り出す学びを展開しています。こうした取組は、宮崎県全体で進む探究・グローバル教育の中核を担う実践としても位置付けられています。

お話を伺った先生

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高橋 哲郎(たかはし てつろう)

校長(国語)。宮崎県立妻高等学校校長、宮崎県教育委員会高校教育課長を経て、2023年度宮崎県立宮崎大宮高等学校着任、現職。

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石川 展(いしかわ まこと)

総括教頭(地理歴史科・地理)。県立高校の教諭・主幹教諭として30年間勤務し、日向高等学校教頭を経て、2024年度より現職。

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猪股 秀一(いのまた しゅういち)

研修図書部主任 主幹教諭(理科・生物)。2012年に宮崎県立宮崎大宮高等学校着任。2015年度よりSGH、WWL事業を担当。2019年度より現職。

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木塲 康典(こば やすのり)

研修図書部WWL推進リーダー 教諭(地歴・世界史)。2013年に宮崎県立宮崎大宮高等学校着任。2015年度より、SGH、WWLの各事業に関わって、カリキュラムや各種プログラムの研究開発と実践の中心を務める。

SGHからWWLへ。学びを「外につなぐ」転換点

本校は、1989年に設置された文科情報科を有する県立高校として、早くから探究的な学びと国際的な視点を重視した教育に取り組んできました。宮崎という地域に根差しながらも、世界とつながり、複雑化する社会課題に向き合える人材を育てることを目標としています。

本格的に探究とグローバル教育を推進するようになったのは、2015年度にスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受けたことがきっかけでした。それ以前は、課題研究も校内で完結することが多く、生徒の発想も限られた枠に収まりがちでした。

そこで私たちは、外部とつながることで学びを広げたいと考え、宮崎大学をはじめとする大学教員の方々にアドバイザーとして関わっていただく体制を整えました。その際に大切にしてきたのは、大学の先生が答えを与えるのではなく、生徒の問いに寄り添い、必要に応じて選択肢を示すという関わり方です。先回りはせず、生徒が試行錯誤しながら学ぶプロセスそのものを重視してきました。その関わり方が、生徒の主体性を大きく引き出していきました。成果よりも経験的学びを優先する姿勢は、現在の取組にも引き継がれています。

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宮崎県立宮崎大宮高等学校の沿革。今では当たり前となった「探究」にいち早く取り組んでいる。

SGH終了後、その実践を一過性のものにせず、さらに発展させるために挑戦したのがWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)です。外部連携の強化、教育プログラムの充実、海外との関わりの深化を柱に、2020年度から新たなステージに進みました。コロナ禍で海外渡航が難しい時期には、台湾やベトナムの姉妹校とオンラインで協働し、環境に応じた形で学びを止めない工夫を続けてきました。

本校が育成したい人物像を一言で表すと、「グローバル・コ=クリエイター」。文系・理系、国内・国外といった枠を越え、多様な人々と協働しながら新たな価値を創り出す人材を意味しています。社会課題は一つの専門や視点だけでは解決できません。だからこそ、生徒には分野横断的に考え、対話を通して共に創る力を身に付けてほしいと考えています。

教科として根付かせる探究──「グローバル協創」

文科情報科では、探究活動を中核に据えた教科「グローバル協創」を設置しています。探究を特別な活動ではなく、日常の学びとして位置付け、評価まで行うことで、生徒自身が学びの意義を実感できるようにしています。1年次には探究プロセスの基礎を集中的に学び、2年次以降は自ら設定したテーマを深め、日本語や英語で発表します。大学の先生方からは、論理性や構成力の高さを評価していただくことも増えてきました。

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グローバル協創の授業。全体での授業後、2つのグループにわかれて活動する。

国境を越えて学ぶイノベーションプログラム

本校を象徴する取組の一つが、国際イノベーションプログラムです。台湾やベトナムの姉妹校生徒、県内外の高校生が混成チームを組み、宮崎の企業をフィールドに課題解決に挑みます。文化や価値観の違いに戸惑いながらも、対話を重ねる中で信頼関係が生まれ、生徒たちの表情や行動が大きく変わっていく様子を何度も目にしてきました。

生徒の変化が、学校を動かしていく

こうした取組を通して、生徒が主体的に学び、行動する姿が確実に増えてきました。例えば、宮崎で多く水揚げされる未利用魚「シイラ」をテーマにした探究では、魚醤としての活用可能性を調べ、食品としての安全性や地域資源としての価値を整理した上で提案を行いました。

その成果として、大阪・関西万博のEXPOホールで行われたプレゼンテーション企画において、宮崎大宮高等学校文科情報科のチーム「Shiira」が発表校として選出されました。この取組では、宮崎大学農学部の田岡先生から助言を受けながら研究を進めており、大学との連携による探究の深まりや、地域課題に根差したテーマ設定が評価されたものと受け止めています。

研究を通して地域の課題と向き合い、自分たちの学びが社会とつながっていることを実感した生徒も少なくありません。

取組を通して感じるのは、生徒の変化の大きさです。最初は人前で話すことが苦手だった生徒が、発表を重ねるうちに自信を持って意見を述べるようになったり、海外の仲間との交流をきっかけに、自ら研修計画を立てて行動するようになったりしています。生徒が自分の可能性に気付き、行動に移す姿は、私たち教員にとっても大きな学びです。

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グローバル協創の学習の中で、地域企業や専門家へのヒアリング、食品開発の検討など実社会に近いプロセスを経験したことをきっかけに、地元で多く水揚げされる未利用魚「シイラ」に着目。地域資源の活用可能性を探る探究として、魚醤づくりの研究に取り組んだ。

宮崎県全体へ、そして未来へ

これらの実践は、本校だけの取組にとどまらず、宮崎県全体で進められている探究・グローバル教育とも深く結び付いています。その背景には、宮崎県全体で探究と国際教育を広げてきた蓄積があります。

県内では、本校の文科情報科を中心に探究的な学びを推進する高校が連携し、県教育委員会や大学と連携した研究発表会や合同発表の場を通して、実践や成果を共有してきました。宮崎大宮高校も、こうした県内外の高校生が参加する探究・国際教育に関する発表会や交流の場に継続的に参加し、自校の取組を発信するとともに、他校の実践から学びを得てきました。

さらに、本校で開発・実践してきた海外研修プログラムの考え方や運営の工夫は、宮崎県にも共有され、県内の高校生を広く対象とした海外研修制度の検討に生かされてきました。一部の生徒だけが参加する特別な取組にとどめるのではなく、多くの生徒が段階的に海外と関わる機会を持てるよう整理され、県全体のグローバル人材育成の基盤づくりにつながっています。

今後は、大学や企業、海外校との連携に加え、県内の高校や教育委員会との協働をさらに深め、学びの成果を地域全体に還元していきたいと考えています。生徒が自分の行動によって周囲や社会が変わることを実感できる学びの場を、これからもつくり続けていきます。

時間をかけて乗り越えた課題

こうした取組を継続していく中で、私たちは多くの試行錯誤を重ねてきました。

探究やグローバル教育を進める中で、決して順風満帆だったわけではありません。特に立ち上げ期には、教職員の理解を得ることや、探究活動に伴う負担増への不安など、多くの課題がありました。それでも、生徒が少しずつ変化し、主体的に学ぶ姿を目の当たりにすることで、校内の賛同者は確実に増えていきました。探究は特別な活動ではなく、学校生活全体で育まれるものだという共通理解が、時間をかけて形成されてきたのです。

コ・クリエーションの学びで大切にしたこと

外部連携についても、私たちは「手作り」を大切にしてきました。斡旋業者任せにせず、海外の姉妹校や大学とは学校同士で直接対話を重ね、目的や教育的意義を共有することを重視しています。台湾やベトナムの姉妹校との交流では、文化の違いに戸惑う場面もありましたが、地震など予期せぬ困難をチームで乗り越える経験が、生徒同士の強い信頼関係を育てました

国際イノベーションプログラムでは、地元企業を訪問し、その強みや課題を多角的に捉えた上でアイデアを創出します。異なる背景を持つメンバーが集まり、時には意見が衝突しながらも、対話を通して一つの提案にまとめ上げていく過程そのものが、コ・クリエーションの学びです。未利用魚「シイラ」をテーマにした研究では、官能調査や実験条件の設定に苦労しながらも、地域資源の新たな可能性を見いだしました。

評価の在り方も、試行錯誤を重ねてきた点の一つです。探究はテストだけでは測れない力を育みますが、一方で、生徒自身が成長を実感できる指標も必要だと感じてきました。そこで、多面的評価や小論文形式の課題を取り入れ、思考力や判断力、表現力を可視化する工夫を続けています。こうした評価を通して、生徒は自分の学びを振り返り、次の挑戦へとつなげています

探究やグローバルプログラムを経験した生徒の進路にも変化が見られます。大学進学後も学び続ける生徒が増え、大学院へ進むケースや、大学で学校代表として活動する姿も珍しくありません。高校時代に培った主体性や行動力が、その後の学びや人生に生きていることを実感しています。

自分の行動による変化を実感できる場を創出

こうした経験の積み重ねを踏まえ、これからの学校づくりについても考えています。

アフターコロナの時代、子どもたちの経験値が減っているという課題も感じています。だからこそ、学校を「小さな社会」と捉え、合意形成や共同作業を通じて学ぶ機会を意識的に設けていきたいと考えています。生徒が自分で考え、動き、その結果として周囲や地域、世界が少しずつ変わっていく。その実感を得られる学びの場を、これからも仲間と共につくり続けていきます。

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WWLを通して育成するグローバル・コ=クリエイターはグローバル協創とグローバルプログラムの目標。

※本記事の情報は取材時点(2025年11月)のものです。

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1888年設立の宮崎県立宮崎中学校がルーツ。

宮崎県立宮崎大宮高等学校

宮崎県立宮崎大宮高等学校は、文科情報科を中心に探究的な学びと国際的な視点を重視する県立高等学校である。1989年に文科情報科を設置し、大学や企業、海外姉妹校と連携した教育を展開してきた。2015年度には文部科学省「スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業」指定校、2020年度からは2期にわたり「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」拠点校として、文理の枠を越え、生徒が主体的に社会課題に向き合う学びを推進している。

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