(6)言語障害

言語障害とは

言語障害とは、発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったりするため、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況であること、また、そのため本人が引け目を感じるなど社会生活上不都合な状態であることをいいます。

通常の学級

言語障害に応じた教育的対応

通常の学級においては、小中学校等で編成される教育課程に基づいて、各教科等の指導を学級、学年集団で行ったり、全体で学校行事に取り組んだりするなど、一斉の学習活動が基本となります。言語障害のある子供が各教科等を学ぶ場合、障害による困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立てが必要となります。例えば、発音しにくい音や言葉がある子供の場合、教科書の音読や音楽の歌唱等において、音読の箇所を本人が自信をもってできるようにしたり、複数の子供と一緒に音読や歌唱をしたりするなど、教育における合理的配慮を含む必要な支援の内容や学習指導要領総則のほか、各教科等編の解説に示されている「学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫」等を参考とし、子供一人一人の教育的ニーズを踏まえ指導しています。

通級による指導

言語障害に応じた教育的対応

通級による指導においては、各教科等の大部分の授業を通常の学級で学び、指導上の工夫や個に応じた手立て、教育における合理的配慮を含む必要な支援を受けながら、一部の授業について当該の子供の障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために、例えば、子供の興味・関心に即した自由な遊びや会話等を通して、教師との好ましい関係をつくり、子供の気持ちをほぐしながら、それぞれのペースに合わせて正しい発音や楽に話す方法を指導しています。
また、それらの学習を通して身に付けたことを生活の中で定着させるようにしています。特に、多くの時間を過ごす通常の学級や家庭でのかかわりが重要なことから、担任や保護者との連携協力を図ることが必要になります。

障害の程度

口蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発音の遅れがある者、その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの
(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知)

教育課程

通級による指導の言語障害のある子供については、それぞれ小学校、中学校、高等学校の教育課程の基、教育を行い、特別の教育課程を編成する場合には、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領及び特別支援学校高等部学習指導要領に示す自立活動の内容を参考とし、指導目標や指導内容を設定して指導をしています。

特別支援学級

言語障害に応じた教育的対応

各教科等の指導に当たっては、子供一人一人の障害の状態等を考慮し、教材・教具の開発・工夫を行ったり、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたりしています。また、子供一人一人の障害の状態や学習状況等に応じて、通常の学級の子供と交流及び共同学習を行い、教科学習を効果的に進めたり、社会性や集団への参加能力を高めたりするための指導をしています。
多くの学級では、構音の改善に関する指導を行うために鏡を設置したり、コミュニケーションや言語活動を促進するために、様々な教育機器を設置したりするなどの設備の整備や工夫を行っています。

障害の程度

口蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがある者、その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で、その程度が著しいもの(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知)

教育課程

言語障害特別支援学級は、小学校、中学校の学級の一つであり、小学校、又は中学校の目的及び目標を達成していく学級です。ただし、子供の障害の状態等に応じて、特別の教育課程を編成して指導できるようにしており、各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、構音の改善に関する指導や、話し言葉の流暢性を改善する指導、言語機能の基礎的事項に関する指導などを行っています。また、話したり読んだりするなどの言語活動やコミュニケーションに対する自信や意欲を高める指導、カウンセリング等の指導も行っています。
また、子供の障害の状態等を考慮の上、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にし、各教科の目標や内容を下学年の教科の目標に替えたり、各教科を知的障害者である子供に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えたりするなどして、実態に応じた教育課程を編成し指導しています。

参考資料

障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~
幼稚園教育要領、小学校、中学校、高等学校の学習指導要領
特別支援学校学習指導要領