(4)肢体不自由

肢体不自由とは

肢体不自由とは,身体の動きに関する器官が,病気やけがで損なわれ,歩行や筆記などの日常生活動作が困難な状態をいいます。

特別支援学校 

肢体不自由に応じた教育的対応

特別支援学校(肢体不自由)には,一般的に小学部,中学部及び高等部が設置され,一貫した教育が行われています。特別支援学校(肢体不自由)の中には,学校が単独で設置されている形態の他,医学的治療が必要な者を対象とした障害児入所支援(医療型障害児入所施設等)と併設又は隣接している形態等があります。また,寄宿舎を設置している学校や,訪問教育を行っている学校もあります。
各教科及び自立活動の指導に当たっては,子供一人一人の実態等に即した個別の指導計画を作成し指導しています。また,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具を効果的に活用し,個別指導やグループ指導を重視しています。この他,肢体不自由の子供は,日常生活における直接的な体験や社会生活経験が乏しくなる傾向にあることから,実践的・体験的な活動を多く取り入れるよう配慮しています。
特別支援学校(肢体不自由)においては,障害の状態や特性及び心身の発達の段階等の多様な子供が,可能な限り自らの力で学校生活を送ることができるよう,様々なトイレを設けたり,廊下や階段に手すりを設けたり,車椅子がすれ違うことができるように廊下を幅広くしたり,なだらかなスロープやエレベーターを設置したり,車椅子のまま乗降できるスクールバスを備えたりするなど,施設・設備にも様々な配慮がされています。

障害の程度

一 肢体不自由の状態が補装具の使用によっても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
二 肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの(学校教育法施行令第22条の3)

教育課程

肢体不自由のある子供については、それぞれ小学校、中学校、高等学校の教育課程に準ずる教育を行い、小学校,中学校又は高等学校の教育目標の達成に努めるとともに,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知識,技能,態度及び習慣を養うことを目標としています。
これらの目標を達成するために,子供一人一人の肢体不自由に伴う身体の動きやコミュニケーション等の障害の状態等に応じた指導とともに,知的障害などを併せ有している場合もあることから、一人一人の障害の状態等を考慮した弾力的な教育課程を編成しています。例えば、「小学校・中学校・高等学校の各教科を中心とした教育課程」「小学校・中学校・高等学校の下学年(下学部)の各教科を中心とした教育課程」「知的障害特別支援学校の各教科を中心とした教育課程」「自立活動を中心とした教育課程」等,多様な教育課程を編成し指導しています。

通常の学級

肢体不自由に応じた教育的対応

通常の学級においては,小中学校等で編成される教育課程に基づいて,各教科等の指導を学級,学年集団で行ったり,全体で学校行事に取り組んだりするなど,一斉の学習活動が基本となります。肢体不自由のある子供が各教科等を学ぶ場合,障害による困難さに対する指導上の工夫や個に応じた手立てが必要となります。例えば、他の子供より書くことに時間がかかる場合には、書く時間の延長、量の調整、支援機器の活用など、教育における合理的配慮を含む必要な支援の内容や学習指導要領総則のほか,各教科等編の解説に示されている「学習活動を行う場合に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫」等を参考とし,子供一人一人の教育的ニーズを踏まえ指導しています。

通級による指導

肢体不自由に応じた教育的対応

通級による指導においては,各教科等の大部分の授業を通常の学級で学び、指導上の工夫や個に応じた手立て,教育における合理的配慮を含む必要な支援を受けながら,一部の授業について当該の子供の障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために,例えば、健康状態,姿勢や運動・動作,保有する感覚の活用,コミュニケーション等の改善・克服を図る自立活動の指導をしています。

障害の程度

肢体不自由の程度が、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの
(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知)

教育課程

通級による指導の肢体不自由者である子供については、それぞれ小学校、中学校、高等学校の教育課程の基、教育を行い、特別の教育課程を編成する場合には、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領及び特別支援学校高等部学習指導要領に示す自立活動の内容を参考とし、指導目標や指導内容を設定して指導をしています。

特別支援学級

肢体不自由に応じた教育的対応

各教科等の指導に当たっては,子供一人一人の障害の状態等を考慮し,教材・教具の開発・工夫を行ったり、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたりしています。また、子供一人一人の障害の状態や学習状況等に応じて,通常の学級の子供と交流及び共同学習を行い,教科学習を効果的に進めたり,社会性や集団への参加能力を高めたりするための指導をしています。
多くの学級では,子供が可能な限り自らの力で学校生活が送れるよう,例えば,廊下やトイレに手すりを取り付けたり,トイレに近い教室にしたり,トイレのスペースを広くしたりするなどの施設・設備の整備や工夫をしています。

障害の程度

補装具によっても歩行や筆記等日常生活における基本的な動作に軽度の困難がある程度のもの
(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知)

教育課程

肢体不自由特別支援学級は、小学校、中学校の学級の一つであり、小学校、又は中学校の目的及び目標を達成していく学級です。ただし、子供の障害の状態等に応じて、特別の教育課程を編成して指導できるようにしており、各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ,例えば、健康状態,姿勢や運動・動作,保有する感覚の活用,コミュニケーション等の改善・克服を図る指導をしています。
また、子供の障害の状態等を考慮の上,特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にし,各教科の目標や内容を下学年の教科の目標に替えたり,各教科を知的障害者である児童に対する教育を行う特別支援学校の各教科に替えたりするなどして,実態に応じた教育課程を編成し指導しています。

参考資料

障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~
幼稚園教育要領、小学校、中学校、高等学校の学習指導要領
特別支援学校学習指導要領