(3)知的障害

知的障害とは

知的障害とは、一般に、同年齢の子供と比べて、「認知や言語などにかかわる知的機能」の発達に遅れが認められ、「他人との意思の交換、日常生活や社会生活、安全、仕事、余暇利用などについての適応能力」も不十分であり、特別な支援や配慮が必要な状態とされています。また、その状態は、環境的・社会的条件で変わり得る可能性があると言われています。

特別支援学校

知的障害に応じた教育的対応

特別支援学校(知的障害)には、一般的に、小学部、中学部、高等部等が設けられています。高等部には、普通科のほかに職業教育を主とする学科が設けられていることもあります。
各教科及び自立活動の指導に当たっては、子供一人一人の実態等に即した個別の指導計画を作成し指導しています。知的障害のある子供には、学習によって得た知識や技能が断片的になりやすく、実際の生活の場面の中で生かすことが難しい傾向がみられます。
そこで、特別支援学校(知的障害)では、実際の生活場面に即しながら、繰り返して学習することにより、例えば、自分の意思を伝えることや身近な日常生活における行動など、日常生活や社会生活を送る上で必要な知識や技能等を身に付けられるようにする継続的、段階的な指導を行っています。

障害の程度

一 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの(学校教育法施行令第22条の3)

教育課程

知的障害の子供については、知的障害の特徴及び適応行動の困難さ等を踏まえ、学校教育法施行規則において、知的障害のある児童生徒のための各教科等が規定されています。これらの各教科等は、小中学校等のように学年ごとではなく、発達期における知的機能の障害を踏まえ、各教科等の目標や内容等を段階別に示しています。例えば、小学部は1段階から3段階までで構成されていますが、1段階は、知的障害の程度が比較的重く、他人との意思の疎通に困難があり、日常生活を営むのにほぼ常時援助が必要である者を対象とした内容を示しています。
また、小学部の教科には、社会科、理科、家庭科が設けられていませんが、子供の具体的な生活に関する学習の中で社会や自然等に直接関わったり、気付いたりすることができるように、それらの教科の内容を生活科に包含しているという特徴があります。

特別支援学級

知的障害に応じた教育的対応

知的障害特別支援学級は、日常生活において使用される言葉を活用しての会話や身近な日常生活動作にはほとんど支障がない子供が対象となりますが、学習によって得た知識や技能が断片的になりやすく、実際の生活の場面の中で生かすことが難しいという知的障害の特性は、知的障害特別支援学級に在籍する子供にもみられます。そのため、特別支援学校(知的障害)と同様に、実際の生活場面に即しながら、繰り返して学習することにより、必要な知識や技能等を身に付けられるようにする継続的、段階的な指導を行っています。

障害の程度

知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で、社会生活への適応が困難である程度のもの
(平成25年10月4日付け25文科初第756号初等中等教育局長通知)

教育課程

知的障害特別支援学級は、小学校、中学校の学級の一つであり、小学校、又は中学校の目的及び目標を達成していく学級です。ただし、子供の障害の状態等に応じて、特別の教育課程を編成して指導できるようにしており、各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、物事がうまくいかない際に気持ちを落ち着けて取り組むことができるようになることや言葉や支援機器を介した他者との円滑なコミュニケーションの方法等に関する指導を行っています。
また、子供の障害の状態等を考慮の上、各教科の目標や内容を下学年の教科の目標や内容に替えたり、各教科を前述した特別支援学校(知的障害)の各教科に替えたりするなどして、子供の実態に応じた教育課程を編成して指導しています。

参考資料

障害のある子供の教育支援の手引~子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて~
幼稚園教育要領、小学校、中学校、高等学校の学習指導要領
特別支援学校学習指導要領