資料2:前回の主な意見について

学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(第7回)における主な意見


<看護師が学校において医療的ケアに対応するための研修機会の充実について>
・配置直後の新人時期と経験を経ての時期では、研修についてのニーズが異なる。新人看護師への研修としては、「特別支援教育とは」とか「学校とは」や、病態や技術のほか、看護師として一体学校で何をするのが役割なのか、病院とどう違うのかといったことが理解してもらうことが必要。
・研修の方法は、講義や実技演習などあるが、看護師が少ない学校やベテラン看護師がいないところでは、ベテラン看護師がいるモデル校へ研修に行くのも良い。
・看護師、保護者と教員の判断を含めて看護師として統合的にアセスメントをする。看護師がアセスメントを口に出して教員に伝えることで、教員のアセスメント能力、観察能力も高まる。
・(研修について)学校内では、教員と看護師との事例検討も非常に良い。それぞれがどんなことを考えているのかというのは、話してみなければわからないところがあるので、事例検討も大切な研修になる。そのほか、看護師同士の技術の確認などもある。
・(研修について)学校外では、他校の看護師同士で情報交換。そのほか、他機関の看護師との看看連携というところで、その子供がかかわっている訪問看護ステーションの看護師や放課後等デイの看護師、学校の看護師で、一人の子供の状態などをきちんと情報交換できるような取組が考えられる。
・自己研鑽としては、これまで飯野順子先生のスキルアップ講習や日本小児神経学会の医療的ケア研修など幾つかあるが、行きたいのだけれども、なかなか費用面で参加できていないというの話しも聞く。
・早期に学校における看護とは何かについて学べる研修や相談できる体制があることが、非常に離職予防にもなる。
・(研修について)看護師の専門性や悩みについては、看護師だけでなく、教員も知る必要がある。

<校外学習・宿泊学習など学校施設以外の場で医療的ケアを実施する際の基本的な考え方の整理について>
・大阪府では、医師の指示によって看護師の付き添いがあれば参加が可能となる児童生徒等の宿泊行事等の実施に当たり、看護師の付き添いに要する経費措置を平成8年度から行っている。対象となる行事は修学旅行、宿泊学習、部活動の遠征等。
・人工呼吸器の管理等の高度な医療的ケアが必要な児童生徒等の宿泊を伴う行事について、保護者の付き添いなしで参加する体制についての研究を進めているところ。宿泊行事に医師が同行することによって、高度な医療的ケア、とりわけ夜間の健康管理や医療機器のメンテナンス等、日常の学校生活では経験することのないケアなどについて、看護師が医師から指導助言を受けて、スキルアップや不安解消を行っている。
・医療的ケア実施体制構築事業では、医師に医行為を求めるものではなく、看護師への指導助言というようなものが主たる目的としており、ケースによっては、保護者に同行いただいているケースもある。
・医師に事業の趣旨等、非常に深く御理解いただいている。事前の見学、打ち合わせや事後の振り返りのために来校いただくこともあり、普段からの学校と病院、医師との連携やコミュニケーションがこの事業においては非常に大切であると感じているところ。
・夜間の対応に備えて、日中に看護師が休憩したり睡眠をとる時間を設けるなど、シフトを組んで対応している。このようなシフトを組むためには、手厚い看護師配置が必要となり、宿泊行事にのみ付き添っていただく外部の看護師を探すのは非常に困難なため、看護師の確保が課題となっている。
・なお、常勤の看護師が、あらかじめ割り振られた勤務以外に緊急時対応等、急な業務が必要となった場合には、学校長が勤務時間外の勤務を命ずることになる。
・また、宿泊を伴う行事に付き添った常勤の看護師は、教員と同じく週休日の振りかえを行っている。
・高度な医療的ケアを必要とする児童生徒等が、保護者の付き添いなしで宿泊行事に安全・安心に参加するためには、看護師の手厚い配置及び医師との連携・協力が必要であり、医療機関との連携・協力体制の構築が不可欠であるというふうに考えている。
・事業の成果として、昨年度では、二人について、医師が同行することにより、保護者の付き添いなしで2泊3日の修学旅行に参加することができた。適切な体調の把握、また呼吸器管理等によって宿泊行事に参加できた児童生徒等にとっては、活動の幅が広がるなど、非常に大きな教育的効果が得られたと考えている。
・一人当たりの実施行為数や看護師しかできない高度な医療的ケアが増えていることなどを鑑みると、宿泊行事における学校看護師のスキルアップは不可欠であり、当面は医師が宿泊行事に同行して、学校看護師のスキルアップを図ることが必要であるというふうに考えている。
・主治医の先生方は学校でなるべく服薬を控えて、朝と夜とかという形で処方してくださっているが、薬を飲んだときの子供たちの状況について、宿泊行事、夜間であるとか朝の服薬を知るというところは非常に看護師、教員にとっても、1日の状態を知るというところでは非常に効果があることではないかと考えている。
・大阪府の発表は大変参考になる。人員確保であったり、予算確保であったり、まだまだハードルは高い。ただ、こういった実践を聞かせていただいたことは大変勇気を頂いたと感じる。
・外部の看護師が打ち合わせなく、当日いきなり宿泊泊行事に同行するということはない。事前に学校に来ていただいて、子供の様子や医療的ケアを実施しているところを見ていただいて、理解を深めていただいている。
・校外活動中の校内体制につきましては、なるべく学校のほうが手薄にならないようにするため、1人の常勤看護師と4人の外部の看護師でシフトを組んでいる。学校も宿泊行事も安全に実施できるように努めている。
・豊中市では、地域の学校で、「ともに学び、ともに育つ」子供たちの教育的意義を看護師も一緒に意識しながら子供の学習の目当てを教員と共有することで、看護師も看護目標を立てて、校外学習をサポートするようにしている。
・(医師の同行について)人口密集度の高い地域では医療機関も多いので、医師の同行も可能だが、人口密集度の少ないところでは、限られた医療資源をどこに使うのかという医療機関側の理解による。
・学校の中の看護師をしっかり確保した上で、看護師を宿泊行事に送り出すと考えたときに、やはり学校の中で、看護師が確保できない分、看護師は同行できませんという学校がとても多いのではないかと思う。保護者への説明の中で、体制が整わないので看護師の同行はありませんという説明を必ず聞くが、体制が整わないというのはどういうことなのかというのを、保護者としてはきちんと説明を聞いた上で、保護者の付き添いが必要なんだというふうに納得をしたい。学校の体制づくりという部分でも、保護者への説明もお願いしたい。
・学校安全の観点から災害時の対応を踏まえた内容も含める必要がある。

<学校において実施できる医療的ケアの範囲について>
・学校で行われている特定行為以外の行為、特定行為と比べればリスクの低い様々な行為が、医療行為ではないか、医療行為だからやれないのではないかというような声も出ていたりして、非常に学校では混乱しているところ。
・例えば、てんかんの座薬の問題とかは、こういう疑念があるけれども、こんな形でいいだろうかということを関係省庁が問い合わせる形で、厚生労働省がそういう考え方で問題ないだろうということで、一つずつ判断してきている経緯がある。
・「重症心身障害児(者)・在宅医療委員会Q&Aについて」は今回、Q&Aという形でまとめたのは、医師の間でも統一した見解がなかなか得られないということがあり、専門の医師が集まり、判断の目安としてQ&Aを作成した。
・Q&Aだと、ホームページで提示しながら、新しい課題や問題点が出てきたら、そこに付け加え修正していくことが可能である。ただし、これはあくまでも、法令という形ではなくて、専門家の集団としては、現在の医療状況を鑑みてこういうような基準、考え方をとっているいうことをお示ししたもの。学校の先生や関連する方々にも見ていただけたら、参考になると思っている。
・保護者としては、こういった基準があって、そういった基準を参照して、教育委員会や学校の先生にお話ししていく道具として使っていければ、とても助かる。
・学校現場としては、厚生労働省の見解、教育委員会の指導に従っていくような形になり、このQ&Aにつきましては、立場や見方によって、その捉え方が違ってくるということがあるが、それぞれ地域差がなく、同じような医療行為の判断に近づいていけるような基準があればいい。
・地域で個別に判断していくときの材料としてQ&Aを使っていただければいい。判断のたたき台のような形。医者の中でも、医療的ケアについて本当に経験がなく、初めて関わるような医者もいると思うので、そういう方たちにも見ていただければいい。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課支援第一係

(初等中等教育局特別支援教育課)