特別支援教育について

はじめに

 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律による社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正に伴い、平成24年4月より一定の研修を受けた介護職員等は一定の条件の下にたんの吸引等ができるようになった。これまで実質的違法性阻却の考え方に基づいてたんの吸引等に当たってきた特別支援学校の教員についても、この制度の適用を受けることになった。
 本テキストは、介護職員等によるたんの吸引等(特定の者対象)の研修に際し、特別支援学校の教員等を対象として実施する場合に使用するために作成されたものである。
 平成23年10月文部科学省においては、特別支援学校等に在籍する児童生徒等の実態等を踏まえ、新制度下においてたんの吸引等を行うに当たっての考え方や留意点等を整理するため、「特別支援学校等における医療的ケアの実施に関する検討会議」を設置した。同検討会議の報告では、特別支援学校におけるたんの吸引等に従事する教員等を養成する場合には、児童生徒等の心身の状況や学校生活を踏まえた研修内容とするとともに、研修の実施機関を支援するために「国においてモデルとなる研修テキストやマニュアルの作成を行うことが必要である」と述べられている。本テキストは、こうした提言を踏まえて作成されたものである。
 本テキストは、厚生労働省が作成した「介護職員等によるたんの吸引等(特定の者対象)研修テキスト」を基に、特別支援学校における児童生徒等の心身の状況や学校生活を考慮して加筆・修正されている。加筆・修正の主要点は次の通りである。 

  • 重度障害児・者等の地域生活等に関する講義に関する記述においては、「利用可能な制度」を「これまでの取組」に替えている。
  • 呼吸及びたんの吸引については、人工呼吸に関する記述を減らし重度障害児の呼吸障害への対応を幅広く紹介している。(このため受講者が人工呼吸器使用者のたんの吸引に当たることが予定されている場合には、厚生労働省作成のテキストなど研修内容に関する所要の見直しを検討するとよい。)
  • 健康状態の把握においては、児童生徒等に多い障害の状態を中心に取り上げている。
  • 経管栄養については、栄養剤に関する記述を減らし摂食・嚥下障害への対応及び経管栄養の手順に関する記述を充実させた。
  • 演習については、児童生徒等を対象にした実施を考慮して留意点を見直した。

 このように本テキストは、特別支援学校の児童生徒等を考慮して作成されたものであるが、特別支援学校の児童生徒に限定したものではなく、家庭や特別支援学校以外の学校の児童生徒を対象とする介護職員等の研修においても十分に役立つものと考える。本テキストの作成には、特別支援学校におけるたんの吸引等の実施において指導に当たってこられた以下の方が担当した。

    千葉県千葉リハビリテーションセンター小児科部長 石井光子
    近大姫路大学教授 勝田仁美
    むらさき愛育園園長 北住映二
    神戸市看護大学教授 二宮啓子
    名古屋大学大学院医学系研究科教授 三浦清邦


(氏名50音順、敬称略)

 作成に尽力いただいた皆様に深く御礼申し上げる。
 なお、本テキストの編集には文部科学省初等中等教育局特別支援教育課が当たった。

平成24年3月

文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成24年07月 --