※LDについては,「学習障害児に対する指導について(報告)」(平成11年7月),ADHDと高機能自閉症については,「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」(平成15年3月)から引用。
次の判断基準に基づき,原則としてチーム全員の了解に基づき判断を行う。
なお,上記A及びBの評価の判断に必要な資料が得られていない場合は,不足の資料の再提出を校内委員会に求める。さらに必要に応じて,対象の児童生徒が在籍する学校での授業態度などの行動観察や保護者との面談などを実施する。
また,下記のC及びDの評価及び判断にも十分配慮する。
以下の基準に該当する場合は,教育的,心理学的,医学的な観点からの詳細な調査が必要である。
以下の基準に該当する場合は,教育的,心理学的,医学的な観点からの詳細な調査が必要である。
【高機能自閉症における具体例】
【高機能自閉症における具体例】
【高機能自閉症における具体例】
小学校2,3年生 1学年以上の遅れ
小学校4年生以上又は中学生 2学年以上の遅れ
※DSM‐4.,ASSQ,「ADHD児の理解と学級経営」(仙台市教育センター,平成13年度),「注意欠陥/多動性障害(ADHD)等の児童・生徒の指導の在り方に関する研究」(東京都立教育研究所,平成11年度)を参考にした。
A.従来の特殊教育の特徴は,教科の指導と並んで障害に基づく種々の困難の改善・克服を目指す自立活動の指導を行うことにある。これに対し,学習障害児に対する指導は,特定の能力の困難に起因する教科学習の遅れを補う教科の指導が中心となる。このため,学習障害とは別の理由により教科学習に遅れが見られる児童生徒に対する指導内容・方法と重複する部分も少なくなく,学習障害に特有の指導内容・方法を明確に示すことは現時点では困難である。ただし,反面これは,障害のない児童生徒に対する指導においても,学習障害児に対する指導内容・方法を広く活用することができるということも意味している。
B.また,従来の特殊教育においては,障害の種類や程度に応じた固有な指導内容・方法,あるいは指導形態があるが,学習障害児については,困難のある特定の能力の種類により指導方法等が異なることもあり,学習障害児に共通した一般的な指導方法は現時点では確立されていない。
さらに,同一の能力に困難を有していても,個々の学習障害児に生じている学習上のつまずきや困難などは様々であり,これらを改善するためには,個々の実態に応じた指導を行うことが必要である。
その際,個々の児童生徒の認知能力の特性に着目した指導内容・方法を工夫することが有効である。
C.具体的指導方法については,調査研究協力校や国立特殊教育総合研究所等における研究が参考となる。
まず,調査研究協力校における研究では,学習障害児又はそれに類似した児童生徒に対する指導方法として,学習障害児等が興味・関心を持って授業に参加できるような指導や,達成感を持てるような指導が大きな効果を上げたことが報告されている。具体的には,困難のある能力を補うための教材を用いた指導,スモールステップによる指導,自信をつけさせたりやる気を持たせることができる指導,同一の課題を繰り返して実施する根気・集中力を養う指導といった例が挙げられている。
また,国立特殊教育総合研究所における研究では,児童生徒のつまずきに速やかに気付いて個に応じた指導をすることが可能なティームティーチングの活用や,集団の中では落ち着きがないため一斉指導では学習に集中できない児童生徒に対する個別指導が効果を上げたことが報告されている。とりわけ,それぞれの児童生徒の認知能力の特性や学習の仕方に配慮して個別に指導計画を設け,苦手な分野の学習にも長所を生かせるような指導が重要であること,具体的には,
が報告されている。
※上記の具体的な配慮は,すべての年齢層に共通というわけではなく,年齢によって,異なることに注意する必要がある。また,同年齢であっても,個々の状態に応じて配慮事項は変わることに注意する必要がある。
※また,いくつかの指導実践では,通常の学級で可能な配慮と,通級指導教室等における配慮が有効な場合もあることが報告されている。
初等中等教育局特別支援教育課振興係
-- 登録:平成22年10月 --