特別支援教育について

第3章 地域における一貫した相談・支援のための連携方策

3 「相談・支援手帳(ファイル)」の作成
 医療、保健、福祉、教育、労働等の各機関において必要な情報を共有し、連携して相談・支援を行う際の参考となるよう、「相談・支援手帳(ファイル)」を作成し、保護者に配付します。

 医療、保健、福祉、教育、労働等の各機関が、それぞれ適切な支援を行うとともに、それらが一貫してつながった支援となるためには、保護者とともに必要な情報を共有化することが大切です。
 そのためには、共通で活用でき、連携して支援に当たることができるよう、子どもの障害や発達に関する総合的な評価、各種の相談・支援の内容とそれによる効果、子どもや保護者のニーズ等を記録する相談・支援のための手帳やファイル「相談・支援手帳(ファイル)」を作成し、障害のある子どもの保護者が活用できるようにすることが有効です。
 この手帳やファイルは、関係機関による情報の共有化を図ることができ、かつ、関係機関による各種相談・支援の際に円滑な情報の共有ができるようにすることを目的としています。また、保護者が各種の相談・支援を受ける際に提示することにより、相談・支援者に対して必要な情報が提供できるように、また、保護者や相談・支援者が必要な情報を記入できるようにします。
 手帳やファイルに記載された内容は、関係機関が適切な役割分担の下に、障害のある子どものニーズを把握し、関係機関の連携による乳幼児期から学校卒業段階までの一貫した支援が行われるための計画(「個別の支援計画」)(第3章「6 関係機関の連携による支援のための計画(「個別の支援計画」)の策定」参照)づくりのために、重要な情報になると考えられます。また、この手帳やファイルの中に、「個別の支援計画」が直接記載されることもあります。
 特に、医師の診断に基づく情報は重要であるため、医師や医師の団体等との一定の合意がなされることは重要です。
 さらに、この手帳やファイルには、子どもの障害の状態や相談・支援にかかわる情報等の個人情報が記載されることから、保護者の参画を得て作成したり、その意義や目的等について保護者から十分な理解を得たりすることが大切です。
 なお、関係機関が情報を共有したり、相談に応じた機関が他の機関へと引き継いだりする場合は、本人及び保護者の了解を得るなど、個人情報の取扱いは十分に留意して行うことが求められます(第3章「8 個人情報の取扱い」参照)。
 また、保護者の障害受容への配慮から、これらの手帳やファイルを、母子健康手帳交付時に母親全員に渡すことも考えられます。
 さらに、近年、これらの情報を電子化し、一定のルールにより限られた関係者が共有するという方法も試みられています。
 ここでは、教育相談体系化推進事業や、福祉、医療等の機関が中心となって作成された「相談・支援手帳(ファイル)」の例を紹介します。

*相談・支援手帳(ファイル)の例

【宮城県白石市(すこやか相談個人ファイル)】

 

【長野県(個別支援手帳)】

-- 登録:平成21年以前 --