平成18年4月1日
初等中等教育局長決裁
本事業は、幼稚園から高等学校までのLD・ADHD・高機能自閉症等を含む、障害のある児童生徒に対する適切な教育的支援のための支援体制を整備することを目指し、47都道府県に委嘱して実施するものである。また、本年度からは、障害のある幼児児童生徒に対する早期支援の重要性に鑑み、厚生労働省とも協議の上、保育所も本事業の対象とすることができるものとする。
なお、LD・ADHD・高機能自閉症等の幼児児童生徒に対する支援体制の整備に当たっては、発達障害者支援法の趣旨を踏まえ、厚生労働省の「発達障害者支援体制整備事業」と連携協働して実施するものとし、もって、医療、保健、福祉、労働等の関係機関が連携した個別の教育支援計画に基づく乳幼児期から就労に至るまでの一貫した支援体制の整備を目指すものとする。
文部科学省は、事業の実施を都道府県教育委員会に委嘱する。
事業の実施を委嘱された教育委員会は、教育委員会、学校、学識経験者、関係機関等の関係者からなる調査研究運営会議を設置する。
事業の実施を委嘱された教育委員会は、LD・ADHD・高機能自閉症等の幼児児童生徒を含め、障害のある幼児児童生徒に対する支援体制の整備を促進するため、教育、医療、保健、福祉、労働等の関係部局、大学、親の会、NPO等の関係者からなる広域特別支援連携協議会を設置する。また地域レベルでも、関係部局・機関等の関係者からなる特別支援連携協議会を設置する。
文部科学省の協力者会議においてとりまとめられた、LD、ADHD、高機能自閉症の定義、判断基準(試案)等の有効性を検証するとともに、学校内の体制整備及び関係部局や機関の連携協力による一定の地域におけるLD・ADHD・高機能自閉症等の幼児児童生徒に対する支援体制の整備を図るため、以下の取組を行う。
事業の実施を委嘱された教育委員会は、LD・ADHD・高機能自閉症等の幼児児童生徒への支援体制の整備を行う一定の地域をLD・ADHD・高機能自閉症等推進地域(以下「推進地域」という。)として指定する。推進地域の範囲については、一の市町村単位又は二以上の市町村が管轄する地域若しくは市町村内の一定地域等、各都道府県の実情に応じて効果的な範囲の設定を可能とする(一つ又は複数の教育事務所が管轄する地域を推進地域として指定することも考えられる)。
推進地域内のすべての小・中学校においては、児童生徒の実態把握等を行うために、校長、教頭、特別支援教育コーディネーター、担任教師、その他必要と思われる者で構成する「校内委員会」を設ける。
推進地域内のすべての小・中学校においては、校内委員会での推進役、専門家チーム、関係機関や保護者との連絡調整等を行う特別支援教育コーディネーターを指名する。
事業の実施を委嘱された教育委員会は、LD・ADHD・高機能自閉症等に関する専門的知識・経験を有する者を巡回相談員として委嘱する。巡回相談員は、推進地域内の幼稚園、小・中学校及び高等学校を定期的に巡回し、当該学校の教員に、LD・ADHD・高機能自閉症等の幼児児童生徒に対する指導内容・方法に関する助言等を行う(これらの児童生徒について個別の教育支援計画及び個別の指導計画が作成される場合には、作成に向けた助言を含む)。
事業の実施を委嘱された教育委員会は、幼稚園、小・中学校及び高等学校からの申し出に応じてLD、ADHD、高機能自閉症か否かの判断、望ましい教育的対応等を示すため、教育委員会の職員、教員、心理学の専門家、医師等からなる専門家チームを設ける。
推進地域内のすべての小・中学校においては、長期的な視点に立ってLD・ADHD・高機能自閉症等を含めた障害のある児童生徒一人一人のニーズを的確に把握して、教育、医療、保健、福祉、労働等の関係機関の連携による適切な教育的支援を効果的に行うことができるよう、教育的支援の目標や内容、役割等に関する計画(個別の教育支援計画)の策定を行う。
※1 幼稚園及び高等学校については、引き続き4及び5を対象とするとともに、昨年度、推進地域内で2 3 6についてその機能の在り方の検討を行った幼稚園、高等学校については、その成果を踏まえて、2 3 6について取り組むよう努めること。
※2 小・中学校における2及び3の取組については、LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒はもとより、校内の障害のある児童生徒のための支援体制整備についての役割があることにも留意すること。
中央教育審議会答申を踏まえ、特別支援教室(仮称)の構想を実現するための先導的な取組を行うこととし、現行制度の中で特殊学級及び通級指導教室の担当教員による通常学級に在籍しているLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒への弾力的な運用について推進地域内において実践的な研究を進めること。(本研究については、実施希望のある都道府県に限る。)
盲・聾・養護学校における特別支援教育を推進するため、以下の取組を行う。
事業の実施を委嘱された教育委員会は、地域の特別支援教育のセンターとしての機能の充実や個別の教育支援計画の策定を行う盲学校、聾学校又は養護学校を特別支援教育推進校(以下「推進校」という。)として指定する。
推進校として指定された盲・聾・養護学校においては、これまで蓄積してきた専門的な知識や技能を生かし、地域の特別支援教育のセンターとしての機能の充実を図るため、実際に推進地域の小・中学校等への支援を行うなどしながら、その支援方策や連携協力の在り方等について実践的な研究を行う。その際、上述の答申におけるセンター的機能の記述を参照すること。
推進校として指定された盲・聾・養護学校においては、関係機関や保護者、地域の小・中学校との連絡調整を行う特別支援教育コーディネーターを指名する。
推進校として指定された盲・聾・養護学校においては、長期的な視点に立って障害のある児童生徒の一人一人のニーズを的確に把握して、教育、医療、保健、福祉、労働等の関係機関の連携による適切な教育的支援を効果的に行うことができるよう、教育的支援の目標や内容、役割等に関する計画(個別の教育支援計画)の策定を行う。なお、平成14年12月障害者施策推進本部決定の「重点施策実施5か年計画」において、「盲・聾・養護学校において個別の支援計画を平成17年度までに策定する」ことが示されていることに留意すること。
事業の実施を委嘱された教育委員会は、独立行政法人国立特殊教育総合研究所において示した特別支援教育コーディネーター養成研修モデルプログラムを踏まえ、地域の実情に応じた特別支援教育コーディネーターの養成研修プログラムの具体的内容について、調査研究運営会議で検討を行い、その養成研修を実施する。
事業の委嘱期間は、平成18年度とする。
教育委員会は、事業の終了後速やかに事業報告書を作成し、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長あて提出するものとする。
文部科学省は、事業の推進に資するため、教育委員会の担当者等による連絡協議会を開催する。
文部科学省は、予算の範囲内で事業の実施に要する経費を支出する。
文部科学省は、必要に応じ、本事業の実施状況及び経理処理状況について実態調査を行う。
(1)本事業の実施に当たっては、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」(平成17年12月8日中央教育審議会答申)、平成17年4月から施行されている「発達障害者支援法」(平成16年12年10日法律167号)、文部科学省関係局長連名通知「発達障害のある児童生徒等への支援について(通知)」(平成17年4月1日付け17文科初第211号)及び「学校教育法施行規則の一部改正等について(通知)」(平成18年3月31日付け17文科初第1、177号)の内容にも十分留意し、効果的な事業の実施に努めること。
(2)LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒への教育支援体制については、本事業等を通して、平成19年度までにすべての小・中学校においてその整備を目指すものである。整備に当たっては、平成16年1月に文部科学省が公表した「小・中学校におけるLD、ADHD、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」を参考にすること。
(3)本事業の委嘱は、都道府県に対して行うものであり、政令指定都市に対しては文部科学省から直接委嘱を行わないため、域内に政令指定都市が含まれる都道府県においては、推進地域の指定に当たって、政令指定都市の全部又は一部を指定することも検討すること。
-- 登録:平成21年以前 --