特別支援教育について

第2章 都道府県・市区町村・学校の取組 特別支援教育における学校支援ボランティアの活動 岡山県岡山市

概要

  岡山市では、岡山市立の学校園での教育活動に地域の教育力を活かすため、平成14年度から学校支援ボランティア制度をスタートし、予め登録した地域住民や保護者などに、教育活動支援、教師の補助、環境整備支援、学校安全支援など幅広い分野で、学校教育を支援してもらっている。近年、特別支援教育に関わる活動依頼が増加している。

キーワード

 学校支援ボランティア 大学との連携 教育活動支援 登録者リスト 開かれた学校づくり

1.岡山市学校支援ボランティア制度

(1)制度の趣旨・目的

 岡山市立幼稚園・小学校・中学校・高等学校での教育活動に、予め登録した地域の方々や保護者の様々な特技や趣味などを活かし、学校教育を支援していただく制度である。
 学校を地域に開き、学校・家庭・地域社会が連携して子どもたちの「生きる力」の育成を図るとともに、学校の施設・設備の開放や、地域の教育力の学校教育への導入を進めることで、地域住民のために生涯学習の場の提供と、学校教育の改善・充実を図る「開かれた学校づくり」の一環として、平成14年度に開始した。

(2)ボランティア登録及び活動までの流れ

  • 対象:岡山市在住・在勤・在学の方
  • 活動範囲:岡山市立学校園(幼稚園68園、小学校88校、中学校35校、高等学校1校)での教育活動への支援を対象とする。
  • 登録期間:登録した日から年度末まで(毎年更新)
  • 活動分野:
    1. 教育活動支援:各教科や総合的な学習の時間などにおける補助、学校園行事やクラブ活動・部活動等における支援
    2. 教師の補助:子どもたちの学習活動や学校生活の補助、障害のある子等へのサポートなど
    3. 環境整備支援:校舎等の補修、植木の選定、花の栽培、教材や教具の作成、表示札の作成など
    4. 学校安全支援:通学路の巡回、登下校時の付き添い、校門でのあいさつ、声かけなど
    登録時に、活動希望場所や活動希望分野について、届出をしていただいている。
  • 活動までの流れ
     学校園からの依頼を受けて、教育委員会生涯学習課が登録者リストの中から該当者を探しボランティア本人の了解を得た後、学校園に紹介する。その後、改めて学校園からボランティア本人に連絡し、相談・打ち合せの上、活動を開始している。また、地域の方や保護者など学校園から直接依頼を受けて活動する場合もある。

(3)学校支援ボランティア保険

 登録に当たって、学校支援ボランティア制度の対象事業等に参加・活動した場合に適用するボランティア保険に加入している。

(4)大学・専門学校との連携

 平成15年度から市内の大学と連携し、大学生の学校単位での登録を進めている。本年度は、市内6大学・短期大学、1専門学校の学生が学校単位で多数登録をしている。連携している大学等には学校園からの依頼内容を毎月掲示し、学生からの活動希望を受け付けている。教職を希望する学生の登録も多く、近年は、障害児のサポート、個別学習支援、3歳児保育支援などへの依頼が増加している。

(5)登録者数

 制度を開始した平成14年度には約800人の登録があったが、登録者数は年々増加している。平成18年12月末までに、約3,200人の登録があり、そのうち約700人が学生である。

2.特別支援教育における学校支援ボランティアの活動

 近年、特別な支援を必要とする幼児児童生徒数の増加や障害の多様化に伴い、学校園からの障害児等の支援や障害児学級の支援の依頼が増えている。平成18年12月末で総依頼件数の約4割強であり、校種では小学校が7割強と圧倒的に多い。また、大学生に依頼を希望する学校園も大変多く、特別支援に関して学校支援ボランティアに寄せる期待が大きいことが分かる。この他にも、学校園が直接登録ボランティアに依頼をして活動をしているケースも多数ある。
 学校支援ボランティアは、支援の内容や期間・回数・時間等は各学校園とボランティアが個々に相談して決めており、通常学級や障害児学級で学習や生活上で困難を抱える子どもに寄り添い、それぞれの障害に応じた支援を行っている。

3.成果と課題

 学校支援ボランティアが支援に入ることで、支援の量的・質的補完ができ、支援を必要とする幼児児童生徒だけでなく他の子どもたちも落ち着いて活動に取り組むことができる。また、継続的に関わることによって、信頼関係も生まれ、幼児児童生徒の成長にもつながっており、学校支援ボランティアが活動をした学校園では、この活動を高く評価している。
 課題としては、打ち合せの時間の確保や、学校園とボランティアの活動時間等の調整が難しいことなどがある。更に、大学生の活動依頼は多いが、大学から遠い地域や市周辺部での活動希望は非常に少なく、依頼に応じられないことがある。今後、コーディネート機能の充実が必要である。
 また、大学で学んだ一部の大学生や専門的な資格を有しているボランティアを除いては特別支援教育に関する専門的な知識がないまま活動しているため、今後、ボランティアの資質向上を目的とした研修等の充実が必要である。

-- 登録:平成21年以前 --